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うだつの上がらない相場師列伝

かれこれ相場に携わって十年になった。

勝ったり負けたりで資産は増えも減りもしない。

こんな俺は社会に適合できないと思い就活もせずに大学を中退した。それからなんとはなしにミュージシャンを志したり挫折したりの繰り返しでもう31歳になる。二十代の頃は野心に燃えていた。だがそれもない。大きな資産を作って結婚して自由気ままな人生を。それももう手放した。

今あるのは障害年金で月6万円くらいをやりくりして実家に引きこもっている。たまにスカイプで女を漁ったりしていたがそれももう飽きてしまった。今はもうただ惰性で FX トレードを続けているだけだ。それも芳しくない成績だ。

ここ最近物思いに耽る。人生とはなんなのか。正直トレードは人生で一番続いたことだ。大学受験は一年間猛烈に勉強してそれなりにいいところに入ったが燃え尽きてしまったんだ。それから俺の心を無性に掻き立てたのは FX だ。むかしネットでエリオット波動理論というものに出会った。俺は感覚こそ最強の武器と思っていたのでセオリーなんて糞食らえと思って馬耳東風だったが、心境が変わった。相場において根無し草だった俺はセオリーに興味が今すごく湧いている。また俺はどうも人付き合いがヘタなようだ。スカイプで仲良くなった人間も深くそいつにシンクロすればするほどそいつの浅はかさ、底の浅さに辟易してしまう。つまり俺は世界で一番頭が良くて感性も鋭いと自負しているのだ。ツイッターでつぷやいてもエンゲージメントは全くない。スカイプで女と仲良くなっても底が浅い。俺は孤高になる決心をしようと思う。大衆はバカなのだ。社会システムに組み込まれてアホみたいに働いては消費する。そして忘れて同じことを繰り返す。俺は精神的に根無し草なのかもしれない。だが相場に関して今はエリオット波動理論にとらわれてやっている。いつの日かエリオット波動理論にこだわらなくなるその日まで、また新たなる理論を追加するまで日々ふらついていくのだろう。こんな俺の一番の友達はタバコだ。ラッキーストライクがお気に入りだ。結局、人は一人。孤独なのだ。愛や平和を求めるのではない。みずからがすでにそれそのものなのだ。人生は自分の平和と愛を貫くための戦いなのだ。

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