異世界物語への序章
勇者!みんななら勇者って何をイメージする?
魔王城に行って魔王を倒す?それとも勝利を約束されし剣エクスカリバー?って、それは武器か…
勇者って一口で言ってもピンとこないかもだけど
俺、ただの村人ローグは今ここに勇者になることを宣言します!
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ローグの生まれ育ちし村 フォール村
「なぁなぁ!勇者っていいよな!つえーじゃん!?むちゃくちゃ」
そう言ってただ畑を耕す桑を振り回していた
「なぁ!ミィもさ!魔法使い志望なんだろ?だったらさ!俺の仲間なってよ!」
「はぁ?!確かに私は魔法使いを志望してるけど、何でバカでアホなアンタの仲間にならないといけない訳?!しかも勇者って!ほんとバッカじゃないの!?」
村では名を知らないものはいないアイドル的存在の村娘ミィ
ローグの幼馴染で生まれ持った特殊能力で魔法使いを目指している
「だってさ!だってさ!いくら勇者だからって一人じゃ無理だろ?世界征服」
「あっアンタ世界を征服してどうするつもり?!まさか……魔王にでもなるつもり?!」
「魔王じゃなくて勇者だって!」
そんな話をしていた時
突如、空が割れた。うん、割れた。パキッて。
「………なに?!急に空が」
「それ今、俺が言ったから!」
「え!?ナレーションもしてるの!?なんか、気持ち悪い。言葉が丁寧だったから…」
お、俺だってナレーションなれてねーよ!
って、そんなことより……
割れた空からこの世には存在しない生き物が現れた。
「まさか、魔物!?こんなのどかな村に!?
ね、ねぇ、ローグ。あいつらに勝てそう?」
無理。勝てない。
「普通に喋ってくれないかな!?アンタやっぱり馬鹿だから勇者なれないわよ!農夫とナレーションしてれば!?」
「ナレーションはカンケーねーだろ!?てか、魔物と戦える武器って……おりゃっ!」
バキッと見事に桑が折れた。
「む、無理だって!勇者たって武器ねーしそれに……お、お前なら魔法使えるだろ!?」
頭に桑が刺さった魔物がローグ達に気付き襲いかかる
「ま、魔法!?つ、使えない訳じゃないけど……『ファイヤーボール!』」
ミィが唱えた呪文はまるでライターに火をつけたかのようなか細い炎だった
「おま!ヒヨッ子魔道士!」
「いきなりは無理よ!この口だけ勇者!」
魔物がローグ達に触れる瞬間突如、二人から光が放たれた
そして、それに触れた魔物はチリも残さず消えた…
「た、助かったのか!?」
「そ、そうみたい……」
「それにしても何だよ!さっきの魔法!」
「し、失礼ね!まだ練習途中なのよ!」
そう言いミィは空を見上げる
が、先ほどまで割れていた空は元に戻っていた
もしかして、夢なんじゃ…と思わせるような出来事だった
が、それを破るかのように
『異世界の扉は開かれた。その異世界の扉を再び閉ざす為に勇者と魔法使いを御招待致します』
と、ローグ、ミィの二人の脳内に声が響く
周りを見渡すが村の人たちは何変わらぬ顔でいつも通りに過ごしていた
「………もしかしてだけど、ローグ…」
「え?なに?」
「私の推理が正しければ……村のみんなには“見えていない”かもしれないわ、さっきの魔物も……
そして、この声すらも……」
「え!?なんで!?」
「私達、選ばれたのよ…きっと、世界を救う“勇者”に…」
そう、いまこの時、運命が大きく揺れ動く
二人の少年ローグと少女ミィ
これは、勇者が大きな闇へと挑む前の序章…
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『役者ハ揃ッタ……サァ…愉シモウ…
異世界ノ勇者ヨ……』