第7章−1話
わたしは麻里に代わって友永くんに話した。
かつてはわたしがなりたくないと思っていた負けの象徴ともいえる不登校児になりつつある麻里に代わって。話しているうちに、わたしは友永くんに対しての怒りよりも自分がどうして麻里が抱えていた悩みに気づいてあげられなかったのかという、どうしようもない自分に対する後悔の怒りのほうが強くなっていた。
そして、わたしの中で一つの思いが崩れ、同時に新たな思いが生まれた。
後悔は人を成長させる。
「だから友永くん。もうやめて、こんなこと」
わたしは一言言って、屋上を去った。
俺は、何をしていたんだ・・・・・・。
市村に言われて、俺はやっと目が覚めた。
今まで渡辺にひどいことをしていたことに、やっと気がついた。
思えば、あのときだった。俺が施設に預けられることがなかったら、こんなふうに自分が悪い人間に成長することなんてなかったはずだ。環境を責めるのはよくないけれど、今はそうでもしないとやりきれない状態だった。
自分が、自分じゃない気がずっとしていた。今ここにいるのは、本当の自分なんだろうか。それとも、仮面をかぶった嘘の自分なんだろうか。答えの見つからない疑問がいつも頭のなかでうずまいていて、心が痛かった。
でも、さっき分かった。自分は自分なのだ、と。
自分がどういう人間であれ、それを行ったり考えたりしているのは他人ではなくて自分。それを認めるかどうかが、大事な分かれ道だ。今まで俺は弱い自分から逃げてばかりで、そんな卑怯な自分が嫌で誰かに当たりたくなって、それで渡辺にひどいことをしてしまった。渡辺だけじゃない。市村も、傷つけてしまった。
・・・・・・やり直したい。
俺の中で、その時何かが変わった。
友永の中で、何かが変わった部分。
これは全て更新する直前に付け足したものなので、
少しまとまっていないかもしれません。
ただ、思うとおりに書いたので、
それがうまいこと伝われば嬉しいです。
また、更新がいつもより遅れてしまいすみませんでした。