初戦闘
目を開けると視界にはいちめんの平野が映り、地球とは違う空気のにおいがする。
左右には街道が走り、振り返ればそこは森で濃い緑が茂っている。
どうやら俺は無事に異世界についたようだ。
自分の体を見てみると、銀糸で刺繍された黒いシャツ、黒く細いベルトがまかれたレザーパンツ、黒くごつい編み上げブーツ、黒いフィンガーグローブ、赤い線が入れられたひざ下まである黒い革製のコート(動きやすいように裾に切れ込みが入っている)
いかにも魔王然とした服装である。
そして腰にはリアリスに声をかけられたときに持っていた刀。
鑑定で見てみると服はすべて【自動修復】がついていて、さらにその辺の鎧より頑丈なようだ。
刀に至っては【破壊不可能】のスキルがついていた。
魔王になった時、同時にこのようになったようだ。
リアリスの話だと今、俺がいるのは他の魔王が治める国の首都の近くらしい。
とりあえずは首都を目指すことにした。
森を右手に街道をしばらく進むと、森の中から複数の気配を感じた。
相手はこちらが気付いたことが分かったのか、森の中から出てきた。
「勘のいい兄ちゃんだな」
「そうですね頭、せっかく俺たちが優しく身ぐるみ剥がして奴隷商に売り払おうと思っていたのに」
「いい面してるから高値で売れそうだしな」
五人の、獣が二足歩行した様な魔族が俺を取り囲むようにしながらそんなことを話している。
会話から相手が盗賊であると分かることだし、今のうちに鑑定を使っておく。
ステータス
名前:ゲルド
種族:人狼
称号:
スキル:【身体強化】【短剣】【隠蔽】
頭と呼ばれている奴が一番スキルを持っていて、他は【短剣】を持っているくらいだ。
【隠蔽】を持っているのにスキルが分かるのは相手が俺よりはるかに弱いからだろう。
そんなことを考えていると盗賊たちがこんなことを言ってきた。
「兄ちゃん悪いことは言わないからおとなしくつかまれよ」
もちろん答えは決まっている。
「寝言は寝てから言え、カス共」
「そうかい、それじゃあ死ねよ!」
そういうと一斉に五人が切りかかってきた。
前から二人、左右から一人ずつ、背後から一人斬りかかってきたので、魔王になったことで得た高い身体能力を発揮して相手より先に四人を切り捨て、頭の首に刀をつきつける。
「動くな、少しでも動けば頭と胴が泣き別れするぞ」
頭は微動だにしないようにして目に怯えを浮かばしている。
「今から俺が質問をするが正直に答えろ」
「わ、わかった」
「お前たちのほかに仲間はいるか」
「居ねえ、ここにいるだけで全員だ」
「本当だな、うそをつくと殺すぞ」
「ほ、本当だ、信じてくれ!」
「よし、それじゃあお前たちのアジトはどこだ」
「森を三十分ほど進んだところにある洞窟だ」
「わかった、それでは死ね」
「な!?約束が違う!」
「約束などしていない、正直に話せといっただけだ」
そういって頭にとどめを刺した。
【簒奪】のスキルによって【短剣】【身体強化】【隠蔽】を奪ったが、【隠蔽】以外は【武王】に統合されたようだ。
盗賊の死体をどうするか迷ったが、魔法を使って燃やすことにした。
称号の『魔神の寵愛』のおかげで魔法の使い方はなんとなくわかるのだ。
魔法の属性は火、水、風、土、光、闇、無、時、空間の九属性があり今回使うのは、死体を燃やすために火だ。
魔力を集め、火をイメージして死体を燃やす。
イメージ次第で自由に操れるようだ。
盗賊たちのアジトで金目の物を回収してから、また街を目指して歩いていく。
回収したものは、空間魔法で異空間を作りその中にいれている。
しばらく歩くと目標の街が見えてきた。
戦闘描写は難しいです。
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