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零史 高校1年生 冬

あーなんか遊びすぎちゃって22時半。

連絡なんてもちろんしてないし、やっばいだろなー。

でも帰るって決めた。偉いっしょ。

壱野(いちや)くんの機嫌が良いことを願って…

カチャ、と遠慮がちにドアを開けて玄関に入った、その瞬間、

ガシャン!!という音と共に背中を強打。

目の前には兄貴、壱野くん。

…いきなりかわいい弟を蹴り飛ばすとは想像以上にお怒りなようですね。。

勇気出して帰って来たのに。


「いってぇ…」


玄関のドアに背中をぴったりとくっつけて壱野くんとの距離を確保。

正々堂々とお話しをしましょうよ、お兄さま。


兄貴が怖い顔して靴下のまま三和土に下りてきて僕の体は強張った。

「ちょっ、なっ」

ガツンっと髪の毛を掴まれてドアに押さえつけられる。

いてぇ!

「すいません…でした。」

無意識に出る謝罪の言葉。


「あ?なにが?」


ドスッ

っうぅ…腹殴られた。


めちゃくちゃキレてんな…


うずくまりたいくらい痛いけど頭押さえられてるからできない。

痛いんすけど。


「遅くなってすいません…連絡もしなかったし…」


パァンッ

今度はビンタ。フルコースだな。

叩かれた頰を押さえる間も無く腕を乱暴に引っ張られて僕は慌ててスニーカーを脱ぐ。

半ば引きずられながら自室に連れて行かれ、放り込まれた。


「座れ」


はい。すかさず正座。


「零史くん、俺すっげー怒ってんですよ。なんでだと思う?」


え…?

連絡無しに帰るの遅かったからじゃないの?

そうじゃなかったら、バレちゃったのかな…学校で喧嘩して謹慎処分になったの。

壱野くんに連絡行ってないっぽいから今日も普通に学校行く振りして遊んでたんだけど。

それバレてたらやばすぎでしょー。


それとも、壱野くんの漫画勝手に借りたのまずかったかな。。

駿に貸しちゃって手元にないから僕が売ったとか勘違いしてんじゃねーの?


あーそれかリビングにあったプロレスの雑誌捨てたの、あれ壱野くんのだったのかな?

いや、あれは僕が買ったやつを壱野くんが勝手に読んでたんだろ?


「おい、零史」


えーどれだ?どれに怒ってんの?

めんどくせー質問すんなよ。


「な…に?」


パァンッ


いって。またビンタ。


「わかんないです。」


墓穴は掘らねーぞ。

シラ切ってやる。


「お前、ふざけてんの?殴っていい?」


しゃがんでた兄貴が立ち上がる。

僕の体はビクつき正座の足を崩して反射的に戦闘体勢になる…前に殴られて床に倒れ

こんだ。


「ごめんなさいっ」


「何が?何を謝ってんだよ。」


「壱くんが…怒ってること全部に…」


「はぁ?まだふざける気かよ?」


「あ、いや、そんなつもりじゃ…」


しっかりと正座をし直して息を整える。

これ以上殴られたらたまんねーからな。

覚悟を決めてイチバンヤバイヤツから告白するか。


「謹慎になってしまいました。」


パァンッ


「しまいました、じゃねーだろ。バカヤロー。」


「はい。」


「もうケンカしませんって言ったよなぁ?」


「はい。」


「どんなにムカついても手ぇ出さない、絶対我慢する、悔しくても逃げるって言ったよなぁ。」


なんだよ。事細かに情報行ってんじゃんか。


「だって…」


パァンッ


「言い訳は聞かねーよ。クソガキ。」


「でも…」

聞けよ、クソヤロー。


パァンッ


「うるせぇよ。あと少しで2年なのに留年になったらどうするつもりだよ。」


「辞める」

言った瞬間兄貴の右手が動く。

「違っ冗談!嘘!」

今のは心の声です!


ガゴッ


「いってぇー…」


あーもうだめだ。





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