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奴の魔法は物理的!  作者: 凜乃 初
第一歩
15/60

挑戦者の準備

 一悶着のせいですっかり時間は進み、隼人がギルドのフロアに戻ってきた頃には、すでに昼を過ぎていた。

 当然ランタンの光は消え、査定が終了したことを示している。

 隼人は、恐る恐るカウンターへと顔を出す。


「すみません。ランタンの光が消えたんですけど」

「はい、隼人様ですね。お待ちしておりました」


 受付は先ほどと同じだ。受付嬢は、隼人を見ると笑顔で受け答えしてくれた。

 目の前で、リュンと激しい私闘を繰り広げてしまったせいで、怯えられていないかと少し不安だったが、その心配が無かったことに、心の中でホッと胸をなでおろす。

 そして、ランタンを渡しながら、先ほどのことについて謝罪する。


「さっきは悪かったな。いきなり乱闘しちまって。怪我とか大丈夫だった?」


 リュンに殴られた際、かなりの衝撃波が周りに広がっていたのを思いだし、隼人は尋ねる。

 視界の端ではかなり書類が舞っていたし、皆頭を伏せて庇っていた様子からすると、怪我人が出ていてもおかしくはない。


「あ、はい。大丈夫でしたよ。書類もすぐに集まりましたから。それにしても凄いですね。あのリュンさんのパンチを受けきるなんて。どこかで戦闘訓練でも受けていたんですか?」

「あいつってそんなに凄いの?」

「当然ですよ! リュンさんは第一歩の塔の登頂者なんですから!」


 登頂者。それは、塔のボス部屋以外の全てを制覇した者のみに与えられる称号だ。

 この称号を持つ者には、例外なく弱者はいない。

 身体能力、戦闘能力、頭脳、その全てに秀で、一流と呼べるだけの力を持つ者でなければ、塔の最上階までその足を進めることはできないからだ。

 それはたとえ初心者のための塔である第一歩でも変わらない。

 第一歩の塔であっても、その上層部には強力なモンスターが徘徊し、たとえ他の塔で活躍している挑戦者(アッパー)であっても一筋縄ではいかない猛者たちばかりがうようよしているのだ。

 一般の挑戦者(アッパー)は、中層までを攻略したのち、新たな塔に向かい、そこでまた中層までの攻略を目指す。魔石を回収するだけならば、そちらの方がはるかに効率も良く安全だからだ。

 その中でわざわざ危険を冒し、塔の最上階まで登りつめた者たちは、その実力と成果を評価され、登頂者の称号を与えられるのだ。

 ただの称号で得点などはないが、その実力は確かな物のため、国からも一目置かれる存在となる。

 挑戦者(アッパー)の引退後には、騎士団や国軍から指導官の依頼を受けることもあるほどだ。


「へー、あいつ登頂者だったのか。やけに強いはずだ」


 防御するのが精一杯だったことを思い出しながら、しみじみと呟く。


「強いなんてもんじゃないはずなんですけどね。そう言えるってことは、あの時もまだ余裕があったんですか?」

「いや、結構ギリギリだった。けど、あいつを超えれば、塔の最上階まで登れる実力の目安になるってことだよな?」

「それはそうですけど、私闘は禁止ですよ」


 まるで、再び戦うことが決まっているかのような隼人の発言に、受付嬢はジトッとした目を投げつける。

 隼人は乾いた笑いを浮かべながら、それをやり過ごす。


「分かってるって。それで、今回の報酬は?」

「あっと、そうでした。こちらが今回の報酬です。罰則の三割はすでに引いてますのでご了承ください」


 そう言って受付嬢がトレーに乗せて差し出してきたのは、銅貨が九枚と六百四ファン。約一万円である。丸一日の拘束としては破格だが、数人が魔石を集めた量の金額としては安すぎる金額だ。


「安!」

「まあ、だいたいは小粒の物ばかりで数十ファンから数百ファンでしたからね。一番良い物で銅貨一枚でした」


 さすがに、一階層や二階層で集めただけあって、魔石自体にほとんど価値が無かったのだ。その上、隼人を襲った連中の奪った魔石も、同じような物ばかりだったため、この値段になってしまったのだ。

 低階層が子供のお小遣いと言われる理由も納得できる値段である。


「まあ仕方ないっちゃ仕方ないか」

「罰則が無ければ銀貨一枚と銅貨三枚はあったんですから、最初としては上出来だと思いますよ? 隼人さんの実力ならもっと上も目指せると思いますから、頑張ってくださいね」

「おう、ありがと」


 トレーの上から報酬を回収し、袋に詰める。


「この後はまた塔へ?」

「どうすっかな」


 時刻はすでに昼を過ぎてしまっている。今から塔へ行っても精々一階層か二階層で狩りをするぐらいしかできないだろう。

 それでは今回以上に稼ぐことなど不可能だ。

 そこで、受付嬢に言われた通り、隼人は上を目指してみることにした。


「いや、今日の午後は準備だな。食糧とか買って、明日から少し上まで登ってみるよ。野営で登るの初めてなんだけど、これだけは絶対いるって物、何かある?」


 ギルド職員は元挑戦者(アッパー)が多いということを思いだし、隼人はダメ元で聞いてみることにした。すると、受付嬢はするすると思った以上に答えてくれる。


「魔力ランタンは必需品ですね。塔の夜は本当に真っ暗ですから、灯りは重要です。松明でも大丈夫ですけど、場所次第では木の無い階層もありますから、魔力ランタンが良いと思いますよ? 魔力が切れても、魔石はそこらじゅうの魔物が持ってますから。後食糧は乾物を重点的に持って行った方が良いですね。二、三日の予定なら果物とかでも大丈夫ですけど、それだけ重さがありますから。乾物は水分が少ない分体積も少なくて軽くて済みます。体力勝負の塔ではかなり重要になりますね。水も重要ではありますが、森や草原には川が流れている場所もありますし、砂漠のようなエリアでも、オアシスが一定間隔でありますから大き目の水筒を持っていけば大丈夫ですよ。昔ならいざ知らず、今は案内板もしっかり設置されちゃってますし。案内板と言えば――「ちょ、ちょっと待ってくれ」

「どうかしましたか?」


 マシンガントークのようにつらつらと述べられる塔を登る上での注意。

 隼人も最初は単純に聞くだけだったが、その量に次第に焦り始める。そして、待ったをかけた。


「ちょっと待って。今メモ取るから。言われただけじゃ覚えきれん」


 蓮華ならば、今聞いた話を頭の中だけで整理して、必要な部分をきっちり覚えていることもできるかもしれないが、頭の出来がイマイチな自分では全部を覚えることは不可能だと感じた隼人は、途中で鞄からメモ帳を取り出し要点を記入する。


「えっと、魔力ランタンは絶対だろ? んで、食料品は乾物がメイン。水筒は大き目の奴があればいいんだっけ?」

「はい。あ、ランタンは四つぐらい持っておくと良いですよ? 部屋の四隅や、テントの四隅に置いて場所をきっちり照らした方が良いですから」


 魔力ランタンと一口に言っても、その品質はピンキリである。

 一つの魔力ランタンで同じ魔石を使っても、中の魔法陣の出来の違いで光の強さや持続時間が全然違うのだ。

 隼人のような初心者が買うものは、大抵そこまで品質の良くない物のため、受付嬢は四つほど買っておくことを進めた。


「了解。ランタン×4な」

「それでですね、案内板と言えばサポーターの家にはもう行きました? あそこには――」


 そう言って、次々に説明してくれる受付嬢。

 隼人は必死にメモを取りながら、受付嬢の話をただ聞き続けることでやっとだった。



 受付嬢に色々とアドバイスを貰った隼人は、その足で挑戦者(アッパー)用の道具が揃いやすい西区画の市場へと来ていた。

 今隼人がいるのは、そんな市場の中でも端に近い場所にある一軒の魔導具店だ。

 ここは、アドバイスをくれた受付嬢のおすすめの店ということもあって、とりあえず最初に足を運んでみることにしたのだ。


「とりあえずランタンだよな。安い奴だと一つ五百ファンって話だけど」


 道具屋に入った隼人は、まるで主力商品のように陳列されているランタンを眺めながら、どれにしようか検討する。

 さすがに一番安い物を買って、すぐに壊れでもしたら大変だ。そのため、最低でも銅貨一枚程度の物を買うことを進められている。

 値段は受付嬢が言っていたようにピンキリで、高いものでは銀貨一枚以上するものもあり、綺麗な装飾が施されるなど見た目からして凝った作りになっている。これは、塔に登るための物ではなく、家の装飾用である。

 安い物では本当にランタンの機能だけを追求したような、光る筒と持ち手があるだけの物が三百ファンで売っていた。


「どれがいいんだ?」


 適当に一つ手に取り、眺めてみる。円錐状の蓋が付いたランタンは、下部に引き出しがありそこに魔石を入れる仕組みになっている。スイッチを入れると、魔石から魔力を取り出して魔法陣を介して光を発する仕組みになっているようだ。

 蓋の上には、持ちやすく枝などにも引っ掛けやすいようにか、丸い輪っか状の取っ手が付けられている。

 観察しても、どれがいいのかさっぱり分からない。そんな時――


「何かお探しですか?」

「ん? ああ、ちょっとランタンとかをね」

「もしかして挑戦者(アッパー)さんですか?」

「おう、新人で今度数日かけてソロで塔を登ろうと思ってな」


 声を掛けてきたのは、この店の店員らしき二十代の女性だ。

 女性は、隼人が挑戦者(アッパー)の新人であることを知ると、嬉しそうにポンと手を合わせてにこやかにほほ笑む。


「ソロとは珍しいですね。よろしければ私の方で見繕いますよ? これでも何人もの挑戦者(アッパー)さんに魔導具を販売してますから」

「おお、そりゃ心強いな。お願いしてもいいか?」

「お任せください。魔導具関連なら一通りそろっていますので、他にも入用があれば申し付けくださいね」

「じゃあ携帯コンロと水筒もお願い。全部一人用で」

「分かりました」


 携帯コンロはもちろん魔力で火を出すコンロだ。水筒は向こうの世界から持ってきた物を使ってもいいのだが、魔導具の水筒だと入れておくだけで水を冷やしてくれるということで、受付嬢からおすすめされていた物でもある。


「これと、これと――あ、費用ってどれぐらいに抑えればいいですかね?」

「とりあえず銀貨一枚で頼む」


 それだけあれば、一通りの魔導具は揃うだろうと言われているからだ。


「平均ぐらいですね。ならこれと、後これですね」


 店員は、店の商品を両手に抱え隼人の元に戻ってくる。


「説明しますのでこちらにどうぞ」


 カウンターへと案内した店員は、そこに自分の持ってきた魔導具を並べていく。どれも、シンプルな形のもので性能を追求したような物だ。


「まずはランタンですね。とりあえず壊れにくさを優先しつつ、なるべく燃費の良い物を選ばさせていただきました。これが一つ九百ファンですね。魔石は小さいのが入ってますけど、試し程度なのですぐ切れちゃいますから交換が必要です。新品の魔石なら、夜つけるだけとして半月程度でしょうか。この辺りはお客様の使い方次第ですからかなりアバウトになっちゃいますね。光が弱まってきたら、変え時と思ってください」


 同じ形をしたランタンが四つ。合計で銅貨三枚と六百ファンだ。銅貨四枚が相場とされている中でならば、少し安い方だろう。


「お一人で探索ということなので、コンロは小型で一人用の鍋が乗る程度の物です。魔石はランタンと同じサイズぐらいで、だいたい三階層超えた辺りの魔物ですね。それで毎日使っても一か月は持ちます。これが銅貨二枚です」


 コンロは銀色を基調としたもので、鍋を乗せるための爪が五つの物だ。現代のカセットコンロとは違い、ボンベを付ける必要が無いので一回り小さい。

 魔石を入れる部分は横に設置されており、ランタンと同じく引き出しになっている。

 ボタンは表面の隅に設置されており、店員がスイッチを入れると、見慣れた青い炎では無く、赤いたき火のような炎が小さく灯る。さすがに空気を入れて炎を青くするような科学的な仕組みはまだ導入されていないようだ。


「水筒は大き目ということで少しお値段上がっちゃいましたけど、その分良い物を選びました。私の自信作ですよ」


 最後に店員が自信満々と言った様子で見せてきた水筒は、隼人がこの世界に持ち込んだ三リットルサイズの水筒と同じぐらいの大きさの物だ。

 魔石を入れる部分がある分、内容量は少なくなるだろうが、それでも二リットルから二.五リットル程度はある。一人ならば十分な大きさだろう。

 むしろ、これ以上大きくなると、持ち運びが不便になる可能性もある。

 と、考えたところで、隼人は一つ気になるフレーズに気が付いた。


「自信作?」

「はい、そうですよ。渾身の逸品です! 水筒の表面積が大きい分、内部に魔法陣を二つ設置出来たので、二種類の魔法陣による効果を発揮することが出来るんですよ! 一つは一般的な冷やすもので、もう一つは逆に加熱する魔法陣を組み込みました! これで、冷たい水も熱い水も両方出せますよ。入れる魔石も小魔石二つとお手頃なのもポイントです! 切り替えはスライド式のスイッチになっていて、切り替えから一分以内には効果が表れるはずですから、待つストレスもほぼ無しですよ!」


 店員は自慢げに水筒について説明する。

 現代の電気ケトルも真っ青な高性能っぷりのその水筒は、まさしく店員の逸品と言うにふさわしい性能を有している。

 しかし、隼人はそんなことよりも別の事に気を取られていた。


「もしかしてこの魔導具って、全部君の手作り?」

「え? はい、うちの商品は全部私が造ってますよ。と言っても、他の店も皆そうですけどね」

「へー、魔導具って分担作業とかしないんだ」

「大型のお店なら、何人かで分担してる所もあるみたいですけど、魔法陣の刻印士の資格があるなら、自分で作って売った方が儲けもありますから」

「刻印士の資格って難しいの?」

「簡単ですよ。ただ、ちょっと資質みたいなものが必要ですけど。それは魔法と同じですね」


 刻印士とは、開発した魔導具を他人に販売することが出来る資格だ。基本的にはそれぞれの国でテスト基準が設けられているが、難易度自体は低めである。

 ただ、魔法陣を道具に刻む作業自体は魔法で行っているため、魔法を使えなければ刻印士になることはできない。

 逆に言えば、魔法を使うことが出来る物ならば、ほぼ誰でもできるようになるため、魔法使いの中でも、最も多い職業がこの刻印士だ。

 おかげで、魔導具は高騰することなく一般に浸透している。


「そうだったのか。なら俺は無理だな」


 魔力自体を操ることはできるが、魔法を発動することが出来ない隼人では、魔法陣を刻むことが出来ない。

 魔法の代わりに何か作れないかとも考えていたが、それも無理そうだ。


「そうなんですか? なら技術のみでソロの挑戦者(アッパー)になるなんて、凄い実力なんですね!」


 挑戦者(アッパー)の中で、魔法の使えない者達は、大抵の場合魔法使いの一人はいるチームに入っている。それは、塔の魔物も魔法を使ってくるため、魔法を防げるものがいなければ、防御するだけでも一苦労になってしまうからだ。

 それゆえに、魔法使いではない挑戦者(アッパー)、しかもソロと言うのは、何かしらの戦闘技術に突出した存在となる場合が多い。


「まあそんなところかな。じゃあとりあえず、その水筒も含めて全部貰おうか」

「はい、ありがとうございます。全部で銅貨九枚と五百ファンになります。あ、袋はサービスで付けておきますね」


 隼人の荷物から、魔導具を入れる袋が必要だと判断した店員は、カウンターの下から布袋を取り出しその中に魔導具を詰めていく。

 ビニール袋なんて物はないこの世界で、大口の買い物でもない限りは袋も有料である。普通は、籠や鞄を持って来ているため使うことも少ないが、稀に入りきらない物は、こうして別の袋を用意してもらうのだ。

 隼人は、店員が袋詰めしている間に財布から銀貨を一枚取り出しカウンターに置いた。


「五百ファンのお返しと、こちら商品になります。万が一故障等がありましたら、当店に来ていただければ無償で修理交換しますので」

「了解」

「ご利用ありがとうございました」


 魔導具でずっしりと重くなった袋を受け取り、隼人は店を後にした。



 挑戦者(アッパー)向けの物が集まる市場なだけあって、隼人の探す食品類や道具は簡単にそろえることが出来た。

 現在は、途中で買った大きめのリュックサックに食料品と魔導具を放り込み、昼食替わりの串焼きに齧り付きながら一息ついていた。


「さて、とりあえず全部そろったかね?」


 煉瓦造りの花壇に腰掛け、メモ帳の内容と買った物を思い出しながら確認する。

 魔導具は全て揃い、食料品も乾物を中心に一週間分を買い込んである。ロープや小鍋、フード付きマントなど、魔導具以外の物もあらかたそろっていた。


「とりあえず宿に戻って荷物置いてくるか」


 これ以上散策するにしても、手持ちがいっぱいで動きにくい。とりあえず買った物を宿に置いてこようと串焼きの残りを一気に頬張り立ち上がった時、ポケットに入れていたトランシーバーからピーピーとコール音が鳴る。


「お?」


 トランシーバーを取り出しボタンを押す。


「ほいほい」

『隼人、今大丈夫?』

「大丈夫だけど、そっちから連絡なんて珍しいな」

『ちょっと面倒事に巻き込まれそうなのよ。だからしばらくは合流できそうにないわ』

「それ大丈夫なのか? 手伝いとかいるなら行くぞ?」

『問題ないわ。もともと想定してたことだしね。だから連絡取れなくても心配しないで』


 蓮華の声は、面倒事に巻き込まれると言っているのにも関わらず冷静そのものだ。


「了解。まあタイミング的にはちょうどよかったな」

『そうなの? そっちも何かに巻き込まれた?』

「蓮華と一緒にすんなや。まあ、少しギルドで暴れはしたが、おおむね順調だ。明日からは数日かけて塔に登るから、こっちも連絡がつかなくなるんだよ」


 塔の中に入ってしまえば、電波は届かない。さすがにその状態ではトランシーバーでの連絡も不可能になってしまう。


『ああ、そういうこと。ならとりあえず一週間後の昼に連絡するわ。その時までには色々と一段落付いてるだろうし』

「あいよ。それまでは連絡なしだな」

『じゃあ頑張ってね』

「そっちもな」


 通話を終えて、トランシーバーをポケットにしまう。そして何気なく周囲を見渡すと、周りの視線がこちらに集中していることに気が付いた。

 トランシーバーなんて物が存在しないこの世界の人にしてみれば、隼人は突然何かの小道具に話しかけはじめた変人なのだ。不審に思うのも当然だろう。

 それに気づいた隼人は、首を窄めそそくさとその場を後にした。


最低でも三日に一度は更新していきたいと思っております。

よろしくお願いします。

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