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04

から光が射していた。

「結局こうなるのかよ」

「まぁ、無事解決したんだからいいじゃん」

 女の子はそう言って楽しそうに笑う。そういう女の子に抱かれているのはゆらゆらと尻尾を振る子犬で。子犬の首もとには首輪。そこから繋がっているリードを持っているのは男の子だった。

「これ、無事に解決っていうのかよ?」

「ハルが飼ってくれるなら、私だってこの子に会いやすいし? どこにも問題ないじゃん」

 ボクは一応の決着に安堵感を覚えつつ子犬を見る。

『やった。いっしょ。たのしい。よかった』

言葉に不安や恐怖はなかった。そこにあるのは純粋な喜びだけ。それがボクをも嬉しくさせた。

 不安から喜びに変わる中間点はどんな場面だったのかは分からない。けれどこんな結果になったのだから、それはとても良いモノだったのだろう。

 瞳を閉じ、それと同時に力を解除する。

 瞳を開いたとき、ボクは子犬を膝にのせて座っていた。・・・・・・子犬の背をゆっくり撫でる。大人しく丸まったまま眠っていた。

 と、道の先から女の子が歩いてきた。過去に映っていたあの子だろうことはすぐに分かった。なにせ、女の子が子犬を認めると駆け寄ってきたのだから。ボクは子犬を抱き上げると彼女に手渡す。

「うちの子がすみません」

 女の子はそう話しかけてきた。女の子も音と色を持っていた。

「あれぐれっと、とは?」

 率直に疑問をぶつけてみる。女の子は一瞬きょとんとするも、微笑みかけてくれた。

「アレグレット。やや陽気に、という意味なんです」

「ありがとう」

ボクは会話が苦手だ。だからそれだけを返すと、彼女に背を向けて歩き出した。

「……こちらこそ、ありがとうっ」

子犬のことだろう。後ろから彼女の声がしたけれど、ボクはそのまま歩き続ける。

この物語は、子犬と飼い主の絆の物語。

ボクが視た二人の大切なモノは絆だった。大切なモノのカタチは様々だけど、繰り返しの中でボクは大切なモノの本質が見抜けるのだろうか。分からない。けど、カケラに触れたような気がして、どことなく嬉しいボクが居た。


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