夜のドライブは夕食作り大変です
夜のドライブは日常生活のリズムを崩す原因、夕食作り大変です
夜のドライブは日常生活のリズムを崩す原因、夕食作り大変です
時計の針が午後八時を回る頃、秋月の運転する車のフロントガラスの向こうは、すでに深い夜の帳に包まれていた
今日は、いつもより少し足を伸ばした長時間の「ドライブ」に出ていた
日頃、我が家の清潔な維持やお掃除のために「家にいる方が長かった」秋月にとって、刻々と闇に沈んでいく街道の景色をただ見つめて走る時間は、胸のねじを心地よく緩めてくれる、最高の「気分転換」であった
しかし、愉しい時間の代償は、帰宅の足音と共にやってくる
お家の玄関をくぐった時には、すでに午後九時(21時)を過ぎていた
「しまっ……いや、いけない。少し時間を忘れて没頭しすぎてしまったな」
そこからの「夕食作り」は、まさに全問パーフェクトな手際を求められる、息のつく暇もない忙しさとなった
我が家に伝わる鉄の家訓は甘くない。どんなに遅くなろうとも、胃腸に負担をかけない確かな食事を整えることは義務であった
秋月は無酸素運動のように息を詰め、お鍋と包丁をトントンと手際よく動かしたが、心の中では静かな反省の嵐が吹き荒れていた
(あの、夕暮れを告げる街のチャペルの『チャーム(チャイム)の音』を聞いた瞬間に、すぐにくるりと向きを変えて家に帰っていれば……。もっと余裕を持って、サリナ……いや、由香里さんと温かい夕食の時間を囲めたはずなのに)
お台所で慌ただしくお鍋を叩く秋月のカタブツな様子を覗き見して、由香里が湯気の立つジャスミン茶を机に置きながら、クスクスと悪戯っぽく微笑んだ
「秋月さん、そんなに眉間にしわを寄せてお料理をしなくちゃいけないなんて、今日の夜遊びドライブは、お家から『禁止令』が出そうね」
「う……返す言葉もないよ、由香里さん。次からはチャイムの音を一番の合図にして、ルールを守って真っ直ぐに帰るよ」
秋月が少し耳を赤くして素直にうなずくと、窓の外から彼らの帰宅を待っていた旧友の健二たちの「秋月が夜遊びなんて、まるでバットボーイズだな! わっはっはっ!」という豪快で大きな笑い声が夜風と共に響き渡り、お家の中は一気に笑いの絶えないハッピーエンドのぬくもりで満たされた
お風呂(新湯)にゆっくりと浸かり、電気毛布でひだまりのように温められた寝具にもぐり込む頃、窓の外には驚くほど大きくて綺麗な満月がぽっかりと浮かび上がり、心地よい疲れと楽しさを胸の引き出しに仕舞い込んだ秋月の未来を、いつまでもぽかぽかと温かく照らし続けるのでした
夜のドライブは日常生活のリズムを崩す原因、夕食作り大変です




