#21 血で閉ざされた答え
宮河の目が鋭く光った。
「──いた」
その声と同時に、彼女の姿が掻き消える。
次の瞬間には、数メートル先で何かが崩れ落ちる音が響いた。
人々が驚いて振り返ると、地面に押さえつけられた男の姿があった。
「は、離せっ……!」
「悪いけど、そういうのは後にしてもらうね」
宮河は無表情のまま、男の腕をひねり上げていた。
まるで“空気ごと動いた”ような速さだった。
煌真、椎尾、千紗が駆け寄る。
炎の赤に照らされたその顔を見た瞬間、煌真の表情が変わった。
「お前……!」
それは、以前煌真たちと戦った三人組の一人だった。
傷跡の残る頬、あの時と同じ瞳の光。
男も煌真を見て、口の端を歪める。
「……結局、俺達に手を出すからこうなるんだよ」
「“俺達”って……何のことだ」
煌真が問い詰める。
だが、男は答えなかった。
いや──答えようとしたが、急に体を震わせ、口から血を流した。
「まさか……」
葵生が息を呑む。
男は唇を噛み切っていた。
血が滴り落ちる中、目は虚ろに揺れ、やがて完全に動かなくなる。
「くそっ……!」
煌真が拳を地面に叩きつける。
宮河は淡々と立ち上がり、男の遺体を見下ろした。
「完全に口封じね。誰かが“言わせないように”仕組んでた」
椎尾が顔をしかめる。
「つまり、この放火は……偶発的なもんじゃない」
「うん。明確な意図がある」
葵生が静かに呟いた。
「しかも、“俺達”って言い方……何かの組織か、派閥か」
煌真は沈黙したまま、燃え尽きた孤児院を見つめていた。
炎の向こうに、過去の笑い声がかすかに聞こえた気がした。
「……絶対に突き止めてやる」
その呟きは、誰にも聞こえないほど小さく、だが確かな決意を帯びていた。




