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#10 挑戦者

昼下がりの第20班本部。

昨日の宴の余韻がまだ残る中、インターホンが鳴った。


陽が対応に出ると、玄関に立っていたのは背の高い男だった。

落ち着いた物腰に見えたが、その目は鋭く光っている。


「――ここが第20班か」


低く響く声。

陽がわずかに眉を寄せる。


「そうだけど、あんたは?」


男は答えずに一歩踏み込んだ。


「……班長を募集していると聞いたんだが」


場に緊張が走った。


陽は即座に返す。


「もう決まったわ。――悪いけど、帰って」


その言葉に、男の眉がぴくりと動いた。

沈黙が落ちる。

空気が一気に張り詰め、リビングにいた千紗や夕音までもが思わず姿勢を正した。


「……誰だ?」


男は周囲を見渡し、冷たく問いかける。


「この班の班長は」


短い沈黙の後、煌真が手を挙げた。


「……俺だ」


次の瞬間、男の表情が豹変した。

唇が歪み、吐き捨てるような笑い声が響く。


「……ははっ、冗談だろ。ガキじゃねぇか」


「こんな青二才しかいない班で、しかもそのガキが班長だと?」


千紗がむっと顔をしかめ、夕音は静かに腕を組む。


葵生は険しい目つきで睨みつけたが、あえて口を挟まなかった。


煌真は一歩前に出て、男を真正面から見据える。


「……じゃあ、あんたは誰なんだ」


嘲笑の中、男はゆっくりと名を名乗った。


「――椎尾 紘璃(しいお ひろあき)。26だ」


視線は鋭く、声には自信が滲んでいる。


「ユスティティア・ルカヌス第12班所属。……いや、()所属、と言うべきか」


その言葉に、場の空気がさらに揺れ動いた。



煌真は拳を握りしめ、椎尾の挑発的な態度に目を細めた。


「……()()、何か文句あるんすか」


椎尾はにやりと笑い、鋭い目で煌真を見据えた。


「名前は……?」


「井原 煌真」


その言葉に、椎尾の笑みが消える。


「……班長だと? ふざけるな。俺は納得できない」


距離を一歩詰め、威圧的に立つ椎尾。

煌真も負けじと踏み出す。


「じゃあ……やるんすか」


その瞬間、拳を振り上げ、殴りかかろうとした。


しかし、陽の声が鋭く響いた。


「――待って!」


煌真は思わず動きを止め、拳を下ろす。


椎尾の視線が、ふと陽に移る。

背筋に一本の冷たい緊張が走る。


(……こいつは、只者じゃねぇな)


陽は落ち着いた声で続けた。


「なら、ここでやる必要はないよ。()()()に行って戦ってもらう」


椎尾の瞳が一瞬光り、眉がぴくりと動いた。


「……あそこ、か」


煌真はわずかに肩を揺らし、まだ警戒したまま陽を見上げる。


陽の目は揺るがず、静かに二人を見下ろしていた。


「……分かった?ここでの喧嘩は無駄。あとは『あそこ』で決めて」


言葉は短いが、空気は重く張り詰める。

――班長と挑戦者の火花が、静かに、しかし確実に散ろうとしていた。


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