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EPISODEⅦ 死垂れ桜

 アストラルに舞う桜。

「お、おい!或空(あるく)、俺に何したんだよぉ!?」

 紅輝(こうき)は自身の身体から吹き出す桜に困惑しながら叫ぶ。


 或空(あるく)の所持する端末は、その桜の能力を分析し、情報を表示した。


死垂れ桜(しだれざくら)】タナトス・ケラソス

 刃物のように鋭い桜の花弁を操ることが出来る。

 花弁は触れた者に溶け込んで壊死させる。


「ちっ、めんどくせぇな…!!」

 花弁を避けながら、紅輝(こうき)の様子を観察する或空(あるく)

 ふと隣を見ると蒼月(あるな)が目を輝かせながら桜を見上げて眺めている。

 そこに、ひとひらの花弁が舞い落ちる。

「わぁ…、すっごい綺麗…!」

「おい!危ねぇ…っ!!」

 蒼月(あるな)に触れそうだった花弁を、或空(あるく)が掌で受け止める。

 触れた花弁は肌を蝕んで、じわりと熔けていく。

 或空(あるく)の掌からは血が滲み出てきて、床にぼたりと落ちる。

「…はぁ、吸血して離れるか。」

 自身の掌から流れる血を舐め取り、或空(あるく)は2つに分裂する。

 言わば、幽体離脱といわれるもの。

 ふわりと浮かんだ幽体は紅輝(こうき)の元に飛んでいく。

 幽体には無数の花弁が突き刺さり、傷だらけになりながら紅輝(こうき)の両頬を掴む。

紅輝(こうき)!自我を保って桜を体内に制御しろっ!!」

「…はっ?!え、わ…かったよ…。」

 紅輝(こうき)がゆっくりと深呼吸をすると、次第に桜の花弁は床に落ちて消えていった。

「はは、紅輝(こうき)の受け入れが早くて助かった…」

 傷だらけの幽体が、或空(あるく)の本体に返った瞬間に気を失った。

 蒼月(あるな)は幽体が受けたダメージを治療しながらQUASARを教えた。

「く、ぇいさー…?あ、ほんとだ。スマホに入ってる!」

 紅輝(こうき)の所持していたスマートフォンには、QUASARが強制インストールされていた。

 そして、静かにそれが起動した。


【Καλωσήρθατε στον-η-ο Κοουκι.】

 §死垂れ桜(しだれざくら)〖タナトス・ケラソス〗

  刃物のように鋭い桜の花弁を操り、触れたものに溶け込んで壊死させる。

 §血液分離〖ハイマ・アフェレシス〗

  自身の血液を使用して、様々なものを生み出すことができる。自在に変容や消滅も可能。

 §・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 §・・・・・

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「な、なんだこれ…?!」

困惑している紅輝(こうき)に、目を覚ました或空(あるく)が説明を始める。

この場所、アストラルについて。デュナミスのこと。

世界の危機の現状、ディオスクロイの襲来。

そして自身たちの存在についても。

「…なるほど、俺の居場所が分かんなかったから強制的に召喚して、

 地球に襲来する敵に、この力で戦えってことか?」

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