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7今までの婚約(2)


 それから1年もしないうちに今度はエリアス・トッカード侯爵令息との婚約。

 容疑は違法薬物の所持と使用。

 騎士隊から騎士隊員が違法薬物を売ったり使っていると密告があったのだ。

 その主だったメンバーがエリアス様。

 彼だけなら婚約にまで持ち込まなくても良かったが、その違法薬物がロドミール商会から仕入れているらしいとわかったので仕入れ先のロドミール商会も摘発出来ればという事になった。

 婚約すれば彼の家族や出入りする人間も調べやすい。

 この時はさすがに家同士って言うのも無理があり私がエリアス様と出会うって設定だった。

 彼はトッカード侯爵家の3男で25歳。王都の騎士隊に入っていた。

 騎士隊と監察局の建物は隣接していて、私は書記官として騎士隊に書類を届けたり時には騎士隊の練習も見に行った。

 案の定、まわりの令嬢からは白い目で見られたけど、私にはやるべき事があるのよって無視した。

 それも悪い印象を与えたらしく、私が騎士隊の練習場に顔を出すとこそこそと噂をしていた。


 行動パターンは事前に調査されていて私はそれに合わせて何度か練習場に顔を出しエリアス様と顔を合わせ3回目に彼とぶつかったふりをした。

 「きゃっ!痛い」

 私はエリアス様とぶつかってわざと転んだ。近くにいた令嬢が眉をひそめたがそんなの関係ない。

 「だ、大丈夫か?」エリアス様が驚いてしゃがみ込んだ。

 チャンス。私は彼にしがみ付き彼の瞳をじっとみて囁いた。

 「エリアス様。あなたは私を好きになる。アンドレア・ティートンが好きでたまらなくなる」

 彼の瞳に圧を掛けるように彼を顔を見合わせる。

 「ティートン嬢。君が好きだ!」

 彼が私を抱き寄せてそう叫んだ。

 心の中でこぶしを握り締める。

 「エリアス様?」

 私はお得意のフルフル身体を震わせて潤んだ瞳で彼を見つめる。

 「あ、アンドレアと呼んでも?その‥君には婚約者はいるのか?」

 もう、子犬みたいに庇護欲をそそる顔で言われて「いいえ、いませんわ」と答える。

 そこで彼が立ちあがらせてくれて私の肩にガシッと手を乗せた。

 「お、俺は一日も早く君と婚約したいんだけど、どうだろうか?」

 「まあ、エリアス様。ほんとに私でいいんですか?」

 「もちろんだ」

 そしてトントン拍子に婚約。

 それからは毎日彼と待ち合わせて薬物使用者を調べた。

 エリアス様にどこで仕入れているのかを白状しないと別れると脅してロドミール商会の子会社が販売をしている所まで突き止めると監察局が一斉摘発。

 もちろんエリアス様に会うときはいつもメルディとグンネルがそばにいてくれたから安心だった。


 トッカード侯爵家はすべてエリアス様が単独でやった事として彼をばっさり切り捨てたから彼は除籍になり労働刑になった。

 もちろん他の違法薬物を使った騎士も摘発された。

 ほんとにエリアス様があんな事してたのが信じられない。

 彼意外と生真面目なところあったし、恥ずかしそうに私と手を繋いだりした時なんか真っ赤になってた。

 それに花とかプレゼントしてくれるの結構うれしかったのよね。

 暗示を解く暇がなかったのは悪かったかな。まあ、もう二度と会う事もないと思うけど何だか心は複雑だった。

 まあ、悪いことをしたのはエリアスだから仕方がないけど無事に刑を終えたら平民としてでも幸せになってほしいと思う。

 でも、ロドミール商会までは摘発出来なくて残念だった。

 








 

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