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6今までの婚約(1)


 私は夜会会場を後に王都にあるタウンハウスに帰ってきた。 

 かなり気分が悪い。

 だって、ロベルト様に暗示が効かなかったみたいだし明日はデートに誘われたしおまけに私が彼を好きだって事になってるし。

 「ああ〜もう!」

 「お嬢様そんな顔されたら皺が増えますよ』

 メルディにそう言われてハッとほおを引き延ばす。

 お風呂に入ってベッドに転がると今までの婚約者の事が洪水のように押し寄せた。


 初めて婚約者が出来たのは私が学園の2年生の時だった。相手はアントニー・リングバル伯爵令息で学園の3年生。

 この時はあらかじめ父が話を通した婚約だった。

 父はそこまでしなくてもと言ったが私が家の役に立ちたいと粘って婚約という手段を取る事になった。

 疑いは伯爵家の密造酒造りと販売だった。 

 私は婚約者となりアントニーの屋敷に訪ねて彼とお茶する事で一緒に連れてきたメルディが屋敷の様子を探った。

 私は初めての任務で心が浮き立っていてアントニーのご機嫌を取るのに必死だった。

 その頃の私はまだまだ駆け出しの新人で短剣の扱いもいまいちだったし何より父や兄様たちが危険な事をさせたくなかったらしい。

 私はみんなから取り残されたみたいで焦っていたけど少しでも役に立っていると思えてうれしかったのを覚えている。

 侍女のメルディはティートン家の精鋭で催眠術が使えるし剣の扱いもうまい。

 彼女は私の護衛も兼ねた潜入のプロだ。

 それに護衛としていつも付いてくるのがグンネルって言うめちゃ強面の怪力男で。

 年齢は30歳でもと孤児。見かけは悪いけど内面は温厚でデリケート。

 私にはすごく優しいしタクト兄様なんかより余程頼りになるかも。

 ちなみに彼は木を操ったり地面を自由に掘り起こす事ができる。逃げる時にはすごく役立つ能力を持ってるの。

 そんな訳で無事、リングバル伯爵の密造酒は摘発されて無事に婚約破棄となった。

 もちろんアントニーへの暗示は私を大っ嫌いになるって掛け直した。そのせいで彼が卒業まで嫌がらせが続いたが。


 次の婚約者はビリエル・ベルンハルド子爵令息。私が学園を卒業してすぐだった。

 彼の家の容疑は悪質な金貸し。ベルンハルド子爵家は商会を持っていて王都に店を開いている。

 領地ではワインが特産で平民向けと貴族向けの酒場を持っていてそこではカード賭博が行われている。その場でお金がなくても借金出来て積もりに積もるとあくどい取り立てが待っているらしい。

 ガレクシア国では18歳が成人でお酒も飲める。私はビリエルを誘って子爵家の酒場に連れて行ってもらいメルディがその場で借金をしている貴族の情報を調べた。

 普通なら侍女をデートに連れて行くのはおかしいがメルディとグンネルが恋人だと嘘をついて一緒に連れて来た。

 これも私が大好きって暗示が効いていたおかげ。

 後はそこにいた貴族を辿って行けばあっという間にあくどい取り立てをしている事実が発覚した。

 そこからは監察局の出番って訳で。

 ベルンハルド子爵家はかなりの罰金を支払う事になり王都から姿を消した。

 ビリエルの暗示はそのままにしてあったので去り際に私のタウンハウスに押し掛けて来て大変だった。

 まっ、そこで私もかわいそうだなって思ったから暗示を解いた。

 ビリエルは唖然とした顔で「お前のような女のどこが良かったんだ?」って帰り際に言い捨てて行った。

 酷いと思うでしょ。まったく。

 それに二度も婚約破棄したせいで夜会ではちょっとした噂にもなった。

 ”アンドレアって何か問題でもあるの?”って。

 ほんとに、貴族のご令嬢ってそんな噂話ばかり。すきだよね。他にやることあるでしょ?って言いたいわ。









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