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あざといと噂のご令嬢の今度の標的は冷酷と噂の辺境伯  作者: はるくうきなこ


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32心から幸せだって思う


 ロドミール伯爵の取り調べでノーマン・シュバック宰相とハロルド王子への関与が明らかになりシュバック公爵は牢に入る事になった。

 ハロルド王子は王位継承権はもちろん剥奪されて西の辺境にある騎士隊に行かされることになった。

 シュバック公爵家は伯爵位まで落とされかなりの罰金を支払うことになった。

 嫡男のラーソンはかなりきついだろう。

 ロドミール伯爵は爵位と財産の没収された。

 レーラはルシア様を殺してロドミール伯爵とロベルト様を争わせるつもりだったと白状した。悪かったと縋って罪を軽くしてほしいと頼んだ。

 裁判官はこれまでの行いについて言及し反省して更正の機会を与えるとして厳しいと評判の東にある修道院に送ることにした。

 魔術師はこれまでにもあちこちで犯罪に手を貸して来た前歴のあるものだったので、ティートン侯爵家が魔力を奪う足輪を取り付けて鉱山の労働刑にされた。

 ルシア様はロドミール伯爵と離縁して財産の3分の1をもらい受けた。

 彼女はそれを元手に辺境に帰って商売を始めると話していた。

 何をするかはこれからゆっくり考えるそうだ。

 

*~*~*


 私達はあれからすぐに婚約を発表した。

 ロベルト様は辺境領に帰る頃、またメルリア国との国境付近で諍いがありティートン家からも偵察部隊を送る事になった。

 それで私とグンネルとメルディが先発隊として送られることになった。

 もちろんグンネルとメルディは結婚していて夫婦として一緒に来てくれる事になった。

 アイスやボリは王都でそのまま任務に就く事になった。

 お別れの時アイスは任務でいなかった。

 「アンドレア。アイスが気を付けて行けって言ってたぞ。それに幸せになれって」

 ボリがアイスからの伝言を伝えてくれた。

 「うん、アイスにもありがとうって伝えてね。それからこれ大切にするって‥ボリも身体に気を付けてね。あの、これ使って、アイスの分もあるから」

 私はペンダントのピンク水晶をみせてボリにお別れを言って靴下を3足ずつ渡した。

 「お嬢覚えてたんですか?」

 「当たり前じゃない。死ぬまで靴下は私がプレゼントするから。今まで本当にありがとう。これからもずっと一緒だからね」

 ボリったら男のくせに泣いちゃった。腕でごしごし目を擦るけど目が潤んでちっとも隠せてない。

 私だって鼻水をずぅっと吸い上げてみっともない別れになった。



 ロベルト様はそんな私を抱きかかえるように馬車に乗せてくれた。

 「大丈夫か?寂しいよな。でも、その分俺がそばにいるから。なっ」

 「うん」

 私はロベルト様の胸にもたれて涙が引くまでじっとしていた。


 それもしばらくするとすっかり落ち着いた。

 ロベルト様はそれを見計らったように話を始めた。

 「アンドレア。俺からも頼みがあるんだ」

 「なぁに?」

 まだうるんでいるであろう目で彼を見る。

 ガシッと頬を両手で挟まれる。

 「いいかアンドレア。君は俺の妻だ。だからもう任務には参加しちゃいけない。わかってくれるな?」

 一瞬なんの話?と思ったがここで譲るつもりはない。

 「ロベルト様確かに私はあなたの妻になります。でも、それとこれは別の話です。確かに危険な任務は避けようと思ってますが後方支援くらいはしますよ」

 「だめだ。君は俺と一緒にいればいいんだ」

 ロベルト様いきなりの亭主関白宣言!

 私はそんな奥様はまっぴらだから。


 まだ夫婦にもなってないし実家から出発してほんの30分ほど過ぎたこの時点でふたりの決裂か?


 私は出来る範囲でみんなの手助けがしたいし何ならロベルト様の力にもなるつもりだったのに。

 「はぁ?いつからそんな関白亭主なったんですか?私、そんな夫には耐えられませんよ。私と結婚したいなら私を信頼してもらわなくっちゃ。危険な事は避けるつもりですが連絡係とか後方支援くらいはしたいんですから」

 私は頬をぷくっと膨らませた。

 ロベルト様がはっと目を見開く。

 何よ。私だって怒るのよ。

 なのに‥彼ったらいきなりわたしを抱きしめた。思いっきりぎゅうって!

 「でも、アンドレアが心配なんだ」

 耳朶に這うように響くボイス。

 な、何よ。こんな事して‥もぉ、ろべるとさまぁ~

 仕方なく。

 「私だって気持ちはすごくうれしいですよ。だから少しだけおねがい」

 ロベルト様は困った顔をしながら悶絶した。


 その夜。王都を過ぎた宿でロベルト様は私と同じ部屋を取った。

 もちろんグンネルとメルディは一緒の部屋だがどうして私達が?

 「アンドレア‥」

 「ロベルト様一緒の部屋なんて‥」

 「同じことだろう?辺境に帰ればみんなには夫婦として扱うように言ってある。結婚式は先だがもう同じことだろう?」

 「そうですけど‥」

 「俺のそばは嫌か?」

 「そんな事は‥」

 彼はすでに湯あみを済ませ知腰群れた黒髪が額に一筋落ちていて悩ましいほどの色気を醸し出している。

 しかも上半身裸でベッドに横たわって。

 ど、どうしよう。まだ私覚悟なんて出来てないのに‥

 「さあ、おいで。君の嫌がることはしないって誓う」

 そっと伸ばされた腕に私は絡めとられる。

 「アンドレア愛してる。心から君を愛してる」

 キスされながら愛を囁かれて私はそんな言葉に絆された。

 彼の触れる箇所は熱く爆ぜて行く。

 嵐のように激しいキスに身も心も翻弄されて。

 息をつく暇もないほどの蕩けるような快感に耐性なんてない。

 私はロベルト様の腕の中で朦朧として蕩けて行った。


 気が付けば私は裸になっていて彼の甘いささやきについ。

 薄灯りの部屋の中、彼の肌と私の肌がこすれ合い彼の愛撫に満たされ彼を受け入れた。

 なすがままに乱されて破瓜の痛みさえも彼の喜ぶ姿に打ち消されて彼のモノをたっぷり注がれた。

 「アンドレア愛してるよ心から」

 「ロベルト。私も愛してる」

 甘やかな時間を私達は過ごした。


 翌朝。

 抱きしめられたまま目覚めた時の幸せに心が震えた。

 「ロベルト」

 「アンドレア。幸せだ。俺はこんな幸せな気分になった事はない」

 「私もよ」

 「そうだ。アンドレアもう危険なことはしてはいけないよ」

 「どういう事?」

 ロベルトは嬉しそうに私のお腹に触れた。

 「ここに命が宿ったかも知れないだろう?」

 私は驚いた。でも、それはすごくうれしかった。

 「ええ、危険な事はしないって約束する」

 「ああ、俺の可愛い人」

 騙されたとは思わないけど複雑な気持ちがした。

 だってぇ~。

 ロベルト様あなたがそう言うなら考えがあります。

 

 そう言うわけで私は危険じゃない事はしますから宣言。

 「ロベルト様、辺境騎士隊へ近づくなんて危険じゃないですよね?それに慰問って言う手もありますね。

 それに私、暗示もかけれますしね。

 あっ!心配ありませんよ。いざというときはメルディの催眠もありますから」

 「アンドレア俺はそんなつもりじゃ‥君が魅力的すぎるのがいけない。我慢できなかったんだ。だからそんな事は止めてくれぇ~」

 ってロベルト様が怯えていますけど心配いりませんよ。

 だって、私はあなたを愛してるんですから。

 でも、すぐに妊娠がわかった。

 急いで結婚式を挙げた。 

 すごくうれしい。ロベルトの喜びようはすごかった。


 ~それから3年の月日が~

 私はあれから主に捕まった人たちの取り調べに暗示の力を使って摘発や事件解決に協力している。

 なので生活はほとんど我が家で家族と過ごす事が多い。メルディやグンネルは相変わらず任務に就くことが多いがメルディはそろそろ子供が欲しいと話している。

 私が子供と過ごすのを見てすごく羨ましいと思っているらしい。

 もっと早く思ってよ。メルディが妊娠したら私がそばについていてあげる。

 あなたが私にしてくれたお礼のほんの一部でも返せたら私はすごくうれしいって思うから。


 それに2年前に息子のサムが生まれてそのサムにも暗示能力があるとつい最近わかったばかりだった。

 ある日ロベルトが深刻な顔で私を問い詰めた。

 「アンドレア俺を捨てるのか?」

 「何言ってるの?ロベルトそんな訳ないじゃない」

 私は眉を寄せた。なに言ってるのって。

 「でも、君はあいつに愛を囁いていたじゃないか!」

 はっ?何のこと。私がそんなことするはずないじゃない!!

 「ぱぱ、ちんぱいでしゅね」

 サムがクスクス笑った。

 「あっ!サム何かしたのね?」

 「ぶふゅ、だってぇぇ」

 「ロベルト。サムの仕業よ。でも、おかしいわ。あなたって暗示は効かないはずじゃ?もぉ!私を信じれないの?あなただけに愛を捧げてるのに!ひどいわ」

 ロベルトはサムのいたずらと気づいてわざと言ったのだ。

 私にウインクをするとサムに慌てたように言う。

 「サムが?おい!サム。そんなひどいことを俺にしちゃだめだろう?パパがどれほどママを愛してるかわかってるのか?」

 ロベルトが私の頬にキスをする。

 「ママ、いやっていちぇまちた」

 「あれはママが危険なことをしたから‥」

 ああ、前回の取り調べで犯人が怒って私につかみかかって来たことを言ってるのね。

 ロベルトはきゅっと眉根を寄せると照れ臭そうに微笑んだ。

 私は苦笑する。

 「サムも心配してくれたの。うれしいわ」

 私はサムに頬ずりをする。

 ロベルトはまだおさまりが付かないらしく。

 「こうなったら仕方がない。また危険な事が起きないようにママに仕込むしかないな」

 「あら、あなたの子供だったらいつでも歓迎よ」

 「ぱぱ。ちこむってなぁにぃ?」

 「ああ、サムの弟か妹が出来るんだ」

 「ぱぱ、ぼくにもちこんで」

 ロベルトは笑いながら私を抱いてくるくる回った。

 心配性のロベルトが口うるさいのはちょっと嫌なんだけど私は心から幸せだって思った。



                         ~おわり~






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