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31熱い男


 アイスが出て行って父と私とロベルト様だけになった。

 ロベルト様はまだ跪いたままで。

 私はそっとロベルト様の手を握った。

 「私もロベルト様をお慕いしています。本心はこの婚約がなくならなければいいのにって思っていました。本当に私でいいんですか?」

 ロベルト様が私の手をそっと握り返した。

 「当たり前だ。私は一度結婚していて元妻に女にときめかない呪いを掛けられていると思っていた。でも違ったんだ。俺がときめかなかったのは俺の気持ちが動かなかったからだとアンドレア君に出会って気づいたんだ。君といると楽しくて君ともっと一緒にいたくて話をしたくて逢いたくて貌が見たくて‥もう、ほんとに君と出会って俺にはやっと春が来たみたいで‥こんな気持ちになったのは初めてで‥アンドレア改めて言わせてくれ。結婚して欲しい」

 彼は耳元を赤くしながらもはっきりとそう言ってくれた。

 もう迷う必要はなかった。

 「はい、ロベルト様」

 私ははっきりと返事をした。

 見つめ合う顔は互いにうれしさがこみあげて来て微笑みが零れ落ちた。


 「コホン!いいかなエークランド辺境伯?」

 「はいっ!す、すみません。つい、アンドレアが話しを受けてくれたのでうれしくて」

 「ハハ。まあ、私も君を言う人間が分かったし、安心してアンドレアを任せてもいいと思う。それにアンドレアが乗り気なんだ。断る理由もないしな」


 ロベルト様はがばっと立ち上がった。

 「義理父様ありがとうございます。一生アンドレアを大切にします。絶対に幸せにしますのでどうかよろしくお願いします」

 「ああ、君は熱い男だと言うことはよくわかった。話は以上だ。後はふたりでゆっくりするといい」

 「はい、ありがとうございます。行こうかアンドレア」

 ロベルト様が手を差し出した。

 私はその手を取って立ち上がり一緒に書斎を出てテラスでお茶を飲むとメルディに告げた。


 「お嬢様、それでエークランド辺境伯とは?」メルデイが聞いて来る。

 「婚約を続けたいってお父様に話をしたわ。結婚して欲しいって言われたの」

 「ええ~、それって旦那様の前でプロポーズを?熱い男はさすがです」

 「さっきからみんなでロベルト様が熱い男って?」

 「だって、お嬢様のためなら日の中水の中って言う奴ですよ。彼はグンネルやアイスの攻撃をまともに受けてもまだお嬢様を守ろうとしたんですよ。すごい人です」

 何やろロベルトは相当噂の人らしい。


 「それよりメルディこそどうなの?グンネルと結婚するんでしょう?」

 「ええ、申し込まれてはいるんですが私にとっての一番はお嬢様ですから」

 「私もとうとう行き先が決まったのよ。そろそろグンネルの気持ちに応えてあげたら?もし、結婚して辺境に行くとなったらメルディとグンネルに来てもらいたいし‥二人が夫婦なら問題のないんじゃない?」

 「いいんですか?私達がお嬢様と一緒に行っても」

 メルディの目が輝いて見えた。

 「私がそうしたいって言えばお父様は聞いて下さるんじゃないかしら‥」

 「ええ、旦那様はお嬢様の言う事には甘いですもの。きっとそうですね。私、グンネルと話をします」

 「ええ、日取りはわからないけどふたりで付いて来てくれるわよね」

 「もちろんです。私はお嬢様どこまでも付いて行きますから」

 メルディはテラスにお茶を運ぶと急いでグンネルの所に行ったらしい。


 「アンドレア」

 「ロベルト様」

 私達はテラスの席で隣り合って座っている。

 テーブルにはメルディがお茶を置いて行ってくれたがそれをゆっくり味わう気もない。

 「いきなり悪かった。本当はもっとムードのあるところで君に告白して侯爵に話をするべきだったのに」

 ロベルト様は後悔しているのかひたすら謝る。

 「でも、あなたの気持ちに嘘はないってはっきりわかりましたから‥フフフ‥だって父の前ですから」

 「いや、それはほんとに。まずかった。御父上は私に呆れただろうな」

 「いえ、熱い男だと思っただけです」

 「暑い男?いや、確かにむさくるしいかも知れないが」

 「いえ、その暑いじゃなくて情熱的って事です」

 「いや、自分ではそんな自覚はないんだが‥アンドレアは、その‥情熱的なのはどうなんだ?」

 「わ、私は恋愛経験もありませんし‥情熱的がどのような物かもわかりませんから」

 ロベルト様ははっとしたような顔をするといきなり私を抱き寄せた。

 ぎゅっと抱かれてそのまま顎を上向かされた。

 「アンドレア好きだ」

 目の前ではっきり言われ彼の顔が近付いて来て私はぎゅっと目を閉じた。

 もう、どうしていいのかもわからない。

 ふっと唇に温かいものが触れてそれが押し付けられた。

 わ、私今キスしてる。

 彼の香りがふわりと香って力強く抱き締められた腕の中で甘い陶酔に酔いしれた。

 そっと触れていた唇を割り込まれ口の中に彼の熱い舌が入って来て私を貪るように激しいキスをされる。

 息が続かなくて唇が離れたすきに大きく息を吸い込むとロベルト様が囁くように言う。

 「息は鼻でするんだ。。ああ、そんな事もわからないなんてアンドレア俺を殺す気か?」

 いや、私は暗殺者ではないけど?

 そう言いながら今度は首筋から耳まで舌を這わされ。

 「ひゃあっ!」

 「誘ってるのか?全然いやそうじゃないな」

 もう、女慣れしてるからって。

 「きらい!ロベルト様なんか!!」

 私は不慣れな自分が恥ずかしかった。

 「すまん。アンドレアが魅力的で‥つい。自制を失った。許してくれ」

 狼狽えてロベルト様はあたふたとする。

 いやじゃない。けど。

 「違うんです。だってロベルト様は何度も女の人と経験があって私で満足できるのかって思って‥つい」

 「そんな事を思ったのか。ばかだなアンドレアは‥好きな女とするのは初めてなんだ。俺の方こそ余裕がないんだぞ。君を傷つけていないかもっと優しくしなきゃとかもっと君を喜ばせるにはとか‥そのいろいろ余裕がないんだ」

 「ほんとに?」

 「ああ、こんなに緊張したのは‥いや、いい意味でだぞ。うれしくて舞い上がって箍が外れそうで。もう‥アンドレアお前が好きでたまらない」

 ロベルト様はまた私を抱き締めると深い口づけをくれた。

 私はそれに答えるので精いっぱい。










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