22もうすっかり片付いてると思うが(ボリ)
まったく。俺達の事わかってないんだなあの辺境伯は‥
あれだけ取引の時間を知らせろと念を押しておいたのに。
俺は見張りをしていた奴と合流してそのまま辺境伯の屋敷近くで夜を明かした。
朝になると次々に人相の悪い男たちが辺境伯の屋敷に入って行った。
きっと腕の立つ奴らでも雇ったんだろう。
ここがエークランド辺境伯の領内なら辺境騎士隊でも使えただろうが王都じゃ無理だよな。
まあ、せいぜい頑張ってくれ。
それにしても取引時間をそろそろ知らせてもいいんじゃないか?
まあ、とっくに偵察の奴が今日の午後2時に取引があると調べてきている。
すでにティートンの屋敷には知らせてあるし、そろそろ先発隊が出るころだ。
先発隊はグンネルとメルディが行く事になっている。
俺はエークランド辺境伯の後を追う手はずだ。
俺はエークランド辺境伯の後を追って王都のはずれのあの屋敷に着いた。
何でバッカロ騎士隊長がいるんだって思ったが、あれも作戦だ。
どうせエークランド辺境伯は勝手な行動を取ると思っていたから先手を打ったってわけだ。
バッカロ騎士隊長はティートン侯爵とはそりゃもう仲のいい友人でいつだって彼は監察局の捕り物に入って来たがるから始末に負えないんだ。
あれはもう楽しんでいるとしか言いようがないからな。
まあ、戦争もなく平和な時代に会って騎士隊は暇だろうからな。
あのおっさんは暴れたくてうずうずしているって感じだ。
さすが騎士隊長。屋敷の周りを偵察して作戦を立てている。
でも、もうきっとあらかた片付いてるはずじゃないのか?
だって、アンドレアにアイス。グンネルとメルディだぞ。
それに相手はたったの5人だしな。
屋敷の中でへばってるのがおちだろう。ただ一人見張りだけは手を出してない。これは仕方がないよな。
俺は裏手から回り込んでこっそり中の様子を伺った。
アイスが気づいて裏の扉を開けた。
「どうだ?」
「ああ、万事うまく行ったが‥」
アイスの顔が恐ろしいほどにぎりぎり歯ぎしりをして苛ついている。
「どうした?」
俺は少し引きながら尋ねた。
「あいつら殺す!」
「ばか、あいつらそれほど強くないだろう。そんなことしてみろ旦那にしこたま雷を落とされるぞ!」
「だが、アンドレアを襲おうとしたんだぞ」
「アンドレアを?それで大丈夫だったんだろうな?」
「当ったり前だ!俺がそんなことをさせるとでも?」
「そんなわけがないって知ってるさ。それでアンドレアは?」
「ああ、あいつらを始末したらやっと落ち着いたんだろう。今は眠っている。そっとしておいてやれよ」
「わかってる。それより外でエークランド辺境伯がやる気だぞ」
「だな。そのうちロドミールたちが来るだろう。放っておこう」
「ああ、様子を見るさ」
俺は部屋で伸びている男たちを確認してグンネルとメルディに「ご苦労さん。アンドレアは?」と聞いてぐっすり眠っているアンドレアを見てほっとして表を見ると。
エークランド辺境伯がすっかりやる気モードになっていた。
おいおい仕掛ける気か?どうすんだよ。中にいるのは味方だぞ。




