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21取引現場に出向く(ロベルト)


 その日の朝には腕の立つ奴らが8人集まった。

 中に火魔法と雷魔法を使える奴がいた。

 場所は王都のはずれの元商会を営んでいた屋敷。

 2時に会う約束だが俺達は早めにそこに向かった。

 ところで、何で騎士隊長のウィルダー・バッカロがいるんだ?彼が雷魔法の持ち主だ。そして火魔法が使えるのはウルクだ。

 「ウルクお前どういって奴らを集めたんだ?」

 「はい、王都の酒場で腕相撲をさせました」

 「腕相撲で集めたにしてもなんで騎士隊長がいる?」

 「丁度、そこに来られて面白そうだとおっしゃって‥その腕相撲が一番強くて断れなかったんです。まさかあの時は騎士隊長だったなんて知らなかったんです」

 「隊服ではなかったって事か?」

 「はい、どうしても男たちが集めるのはああ言った酒場ですので、きっと仕事が終わって来られたのではないかと」

 「困ったな。秘密の取引現場に騎士隊長を同行させていいのか?まあ、俺には非はないから困ることもないが‥」

 「何かあった時いいんじゃないでしょうか。騎士隊長が証人ならロベルト様にとっても得なのでは?」

 「そうだな。何だか俄然面白がってるし腕も経つし問題ないか」

 


 俺はもう一度バッカロ騎士隊長に確認した。

 「ここだけの話。バッカロ騎士隊長ほんとにいいんですか?これから行くのは妹を救うための取引なんですよ?相手は理不尽な要求を突き付けているんです。これは不当な取引で表立ってばれたら私もただでは済まない結果になるかもしれないんです。もしかしたら捕まる可能性だって‥まあ、私も簡単に奴らの言うことを聞く気はありませんが」

 バッカロはうんうんと楽しそうに話を聞いた。

 そしてぐっと俺を見下ろしたと思ったら俺の肩を力強い腕でつかんだ。

 「ならいいじゃないか。そんな理不尽な相手ならがぜんやる気が出て来るってもんだろ!それに俺は今日は非番だ。騎士隊長という立場ではなく人助けのつもりで参加させてほしい。必ず妹さんを救い出そう!」

 「君はいれば百人力だな」

 「任せておけ!」

 年は40過ぎのはずだが、背は俺より高く体躯はばかでかい。

 こんな男が暴れたら手が付けられんだろうな‥俺は心の中で相手が気の毒になった。

 俺はもちろんティートン侯爵に時間は知らせなかった。とは言っても見張っていると言っていたので情報は漏れてはいるだろうが構うもんか。


 昼前には取引場所に着いた。

 遠巻きに屋敷を見るがまだロドミール伯爵の手の物は来ていないようだった。

 すぐに見つからないように身を潜めて8人の野郎たちはまずバッカロの支持の元それぞれ辺りを調べ始めた。

 それが終わるとバッカロが作戦を立てて立ち位置を指し示した。

 屋敷はかなり使っていないのだろう、庭は草ぼうぼうでっ屋敷の入り口が見えないほどだ。

 家はあちこち痛んでいているが扉や窓は頑丈に閉まっていた。

 見張りが一人いて暇そうに居眠りをしている。

 屋敷の中は静かで時間だけが過ぎて行った。


 だが、バッカロの立てた作戦はロドミール伯爵を待ち伏せると言うものだった。

 それじゃ間に合わないだろう!

 ロドミール伯爵がやって来る前にルシアの身代わりとなっている女性を救い出さなきゃ。

 俺はバッカロが静止するのも聞かず野郎たちに声をかけて屋敷に入ると作戦を告げた。

 「いいか。まず2人で屋敷の表から中に突っ込み男達と戦う。その側面を2人が突っきる。女性の所に向かう男たちを取り押さえその間に3人が裏から入り込み女性を救い出すんだ。残りは表で待ち伏せろ。ウルクお前は表で待機だ。よ~しこれでばっちりだ!」

 きっと女性は奥の部屋にいるだろう。そして一番に男たちは女の所に向かうはずだ。

 もし表に逃げてもバッカロが立てた作戦で表の攻撃はばっちりだろう。

 庭の外側には罠を仕掛けてある。

 地面には等間隔に燃える水をしみ込ませて逃げ出してきた奴らにはウルクの火魔法で火を放つ。

 一気に火は燃え広がるだろう。

 ざまあみろ!!

 絶対に蟻一匹逃さないかなら。

 もし逃げたやつらがロドミール伯爵に知らせるとまずいからな。

 とにかくロドミール伯爵が来る前に女性を助ければ取引は出来なくなるからな。

 さあいよいよ本番だ。

 俺はぐっと気持ちを引き締めた。

 

 






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