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あざといと噂のご令嬢の今度の標的は冷酷と噂の辺境伯  作者: はるくうきなこ


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17/32

17元妻が来訪(ロベルト)


 (ロベルトはアンドレアと一緒にエンカーレッジに行って妹のルシアがひどい目にあっていると知って驚いた。

 ルシアとは母が違うが彼女と出会ったのはまだ俺が13歳の頃でルシアは5歳だったか。

 何の事情も知らないルシアは俺のそばに寄って来ては甘えてくれた。

 そんな妹が可愛くないはずもなく俺はルシアにはずっと癒されて来た。

 最初の結婚がうまく行かなかった時も辺境でずっと暮らしてもいいって言ったんだがルシアにもいろいろ想うことがあったんだろう。

 結局王都で家庭教師をしながら暮らす事になった。

 年に数回ほどしか会う機会がなかったが、夜会シーズンに入るとルシアと食事をするのが楽しみだった。

 今回も近いうちに食事でもと思っていたんだ。

 半年ほど前ロドミール伯爵から結婚の申し入れがあってルシアには無理をするなと言った。

 でも、出戻りだと言う負い目はルシアには辛かったんだろう、再婚相手が出来て喜んですぐにロドミール伯爵との結婚に踏み切った。

 ロドミール伯爵も再婚で結婚式などはしない事になって王都の教会で簡単に式を挙げた。

 それを見届けるとちょうど夜会シーズンが終わり俺は辺境に引き上げたというのに。

 ロドミール伯爵が俺を利用するためにルシアを利用したと思うと怒りがこみ上げた。

 でも、アンドレアには気づかれてはと必死で誤魔化していると彼女はカードゲームでかなりの金額を巻き上げていた。

 ほんの少し緊張がほぐれた。

 やるじゃないかアンドレアって。

 もしかして俺はアンドレアに轢かれてるのか?

 いや、まさか俺には呪いがある。


 アンドレアを送り届けるとすぐに屋敷に戻って執事のウルクに命じてロドミール伯爵の事を調べるように指示を出した。

 まんじりともしない夜を過ごしているとティートン侯爵家から使いが来た。

 ルシアの事は心配ないから決して通行許可証を発行しないようにと。

 ティートン侯爵と言えば監察局長、貴族の動きを探る機関だ。

 ということはロドミール伯爵の事を?

 あいつが汚いことをやっている噂は聞いていたがまさかここまでとは思わなかった。

 ルシアを結婚させたことに後悔した。

 だが、これ以上ティートン侯爵に手出しして欲しくない。もしもルシアが巻沿いになったら‥

 俺は何とかこっちで対処しなくてはと考えていた。


 *~*~*


 翌日の午後。元妻のレーラがやって来た。

 俺と別れて子爵家には受け入れてもらえず子供は親戚に養子に出したらしいと聞いた。

 その後はああ、王都にいたのかと思ったくらいだった。

 とにかくルシアの事で話があると言われて仕方なく客間に通した。

 「一体何の用だ?」

 つっけんどんな態度で応対する。だってそうだろう。こいつが呪いを掛けたせいで俺は‥‥ふつふつと湧き上がる怒りをぐっと押し込む。

 ルシアの事を知っているなら今はどんな情報も聞き逃すわけには行かなかった。


 「まあ、冷たいのね。まあ、いいわ。でもいいのかしらそんな態度を取って?」

 レーラが薄笑いを浮かべて俺を睨んだ。

 「なんだ?君がルシアの事を知っていると聞いたから通したんだ。要件を言ってくれないか!」

 こいつの顔を見るたびに怒りが増して行く。早く言えよと内心で悪態をつく。

 「そうだったわね。ルシア様を助ける方法は一つよ。あなたがロドミール伯爵に手を貸す事よ」

 「なんだ?お前は何を知っている?」

 向かいに座っていたが思わずレーラの胸蔵を掴みたくなる。だがルシアの事がある、ここは堪えろと必死に拳を握りしめる。

 「ルシアの事は可愛いんだろうと思ってたけどやっぱりそうなのね。はっ、いい気味。あなたが苦しむ顔が見れてうれしいわ」

 さらに煽られて思わず立ち上がった。

 「レーラ!お前は何を知ってるんだ?ルシアの居場所を知ってるなら今すぐ言うんだ。嘘をつくなら‥」

 怒りで脈が速くなったせいかはぁはぁ吐息が上がる。

 「ああ、恐い。実は私、今はエンカーレッジで働いているの。ロドミール伯爵に雇われてるのよ。私は国境通行許可証の事を知っていたわ。この事は辺境伯と近しい人しか知らない事でしょう。だから教えてあげたのよ。フフフ」

 「お前という女は!!」

 とうとう我慢できなくなってレーラの腕を掴んだ。

 「いいの?私に何かあればルシアは無事では済まないわよ」

 「脅す気か?」

 「脅すなんて‥腕を放して!」

 ハッとして俺は掴んでいた腕を放す。

 「レーラ。お前がルシアを利用しようと言ったのか?それともロドミール伯爵が?」

 脅すつもりで少し声を荒げてみた。

 「そ、そんなのロドミール伯爵に決まってるわ。でも、私が口添えしたからルシアは今も無事よ。でも私に何かあればルシアは死ぬわよ」

 「‥‥」

 俺はレーラを掴んだ手を緩める。

 レーラは俺を一瞥すると。

 「ふん!ロドミール伯爵はルシアなんか全然興味もないわ。ルシアと結婚したのはあなたと親戚関係になるためよ。なのにあなたときたら‥」

 レーラは少し上ずった声だが相変らず辛辣な事を言った。

 

 あの時どうして結婚を止めなかったのか悔やまれた。

 俺はレーラに煽られてはいけないと大きく息を吐いて考えを巡らせる。


 俺の予想からすればレーラはロドミール伯爵の愛人ってとこだろう。

 もしかしたらルシアと結婚してロドミール伯爵はレーラに興味がなくなったのかもしれない。

 それでレーラがルシアが邪魔になって囮に使おうと言い出したのかも知れない。何しろこいつは相当の性悪女だからな。

 それにロドミール伯爵もかなり悪質な男だ。

 こんな奴との結婚を認めたのが間違いだったと思うがもう今更だ。

 今は何でもいいルシアに関する情報を聞き出せたら。


 「ということは‥レーラ。お前はロドミール伯爵に口添えできるって事だよな?」

 「そ、そうよ。ロドミール伯爵に伝言なら伝えるわよ」

 「だったら最初からそう言ってくれ。ロドミール伯爵と取り行きすると伝えろ。だが、まずはルシアの安全を確認したいと」

 「わかったわ。あなたが許可証を出してくれるってことよね?」

 「ああ、だが、先にルシアの安否を助かめる。それが条件だ。いいな?」

 「ええ、わかったわ。じゃあ、後で連絡するわ」

 「ああ、とにかくロドミールにルシアに合わせろと伝えろ!」

 「それじゃ、取引成立ね」

 レーラはほくそ笑んで目的を果たしたって言うような顔で出て行った。


 








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