15ルシア様救出(2)
私達は王都のはずれのルシア様がいると言う屋敷の前に着いた。
まずは見張りの男が1人。
ボリが皮膚がたまらなくかゆくなる攻撃を仕掛けた。
すぐに男があちこちをたまらないとばかりにぼりぼりかき始めた。
「あっ、くっそ。なんで?たまらん」
男は見張りもそれどころに必死で顔や腕、足や背中をかきむしる。
そこにすっと私が近付く。
男の顔が強張る。
「ここにいる5人は味方よ」
男の頷きまた体をかきむしり始めた。
「ああ、味方だ。いいから早く行け!‥あ”あ”くそかゆい~」
私達はそのまま中に入る。すぐにもう1人の男がいた。
グンネルがあっという間に男を取り押さえて私が暗示をかける。
「私達は味方。他に仲間はどこにいる?」
「ああ、みんな右側の部屋で酒を飲んでいる」
「そう、あなたはこのままここで見張りをして」
「わかった」
見張りの男と同じように男はまたその場で見張りをし始めた。
そして私たちは右側の部屋に近づいた。
ボリがたまらなく痒くなる攻撃を仕掛けた。
4人ほどいた男たちは見張りの男動揺何もかも放り出して身体中をかきまくる。
アイスが扉を開けて中に飛び込んで4人の足元をフリージングする。
「お前らどこから入った?」
「なにもんだ?」
「クッソ。かゆくてたまらん。おい、どうにかしろ!」
「どうにかってこれじゃ動けませんよ」
「ったく!お前ら誰だ?」
グダグダ騒ぐ4人アイスとボリに任せてメルディと私とグンネルはルシア様がいる部屋に行く。
鍵はさっきの男達から借りた。
どうやらルシア様が動けないので見張りはいなかった。
「ルシア様?助けに来ました。もう大丈夫です。しっかりして!」
ルシア様は朦朧としていて動ける状態ではなかった。
私達を見たが状況はほとんどわかってないようだ。
急いでルシア様の着ている服を脱がせてメルディーが自分の着ていたマントでくるむ。
ルシア様をグンネルが担ぎ上げる。
すぐにメルディーが身代わりになろうとする。
どうして?それは私の役目じゃ?
「えっ?身代わりは私よ?」
「そんな事させるわけには行きません。お嬢様。ここは私が」
「でも、ルシア様がここにいると思わせなきゃだめじゃない。私が残るから」
「お嬢様はそれは「私が一番適任だってわかってるはずよ。私だってちゃんとやれるわ。さあ、もう行って!」
長い間一緒にいるメルディーは瞬時に私の決意が固いと判断したらしい。
私は一度言い出したら割と頑固なところがある。
「お嬢様。ではアイスを残します。グンネル、ルシア様を連れて。さあ、急いで、時間はあまりありません。お嬢様、いいですか。ここに入って来た男達にすぐに暗示をかけて下さいよ」
「わかってる。心配しないで。それよりルシア様が心配」
「任せて下さい。グンネル。さあ早く」
グンネルは先にルシア様を連れ出した。
私とメルディー達は一度男たちの所に戻ってもう一度暗示をかける。
「今夜ここでは何も起きていない。ルシアさんは無事で部屋にちゃんといる。また、食事を続けて」
その間にアイスが桶に湯を入れて来て男たちの足元にかけて凍った足元を解かすとメルディー達は大急ぎで屋敷を出た。
アイスと私はルシア様がいた部屋に戻る。
私はルシア様が来ていた服に着替えてベッドに横になる。
「お嬢、大丈夫か?」
「もちろんよ。男が入ってきたらすぐに暗示をかけるわ。ルシア様は意識もないほどなんだもの。男達も油断してるから大丈夫」
そう言いながらもそれを自分に言い聞かせる。
何しろこんなの今まで経験がない。
屋敷に入って暗示をかけて任務を遂行することはあったけど、その場に留まって敵の中にいたことはなかった。
アイスは私の心を確かめるようにじっと私を見つめていたが大丈夫と判断したらしく部屋に会ったクローゼットの中に身を潜ませた。
私はベッドの中にもぐりこみ上掛を目元にまでかぶり耳を澄ませた。
もし男が入ってきたら瞬時に暗示をかけよう。
私なら出来る。絶対に!!




