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12クラブ<エンカーレッジ>に行く


 「こんな所でどうした?」

 「いえ、騎士隊に用があって」

 「そうか。そうだ!エンカーレッジの会員になれたんだ。良かったら今夜行って見ないか?」

 えっ?もう取れたの?あそこの予約ってなかなか取れないって聞いたけどさすが辺境伯

 「凄いです。さすがは辺境伯ですね」

 「まあ、知り合いがいてな」

 「いいですね。そんな頼もしい知り合いがいて」

 「妹の夫があのクラブの持ち主なんだ」

 「ああ、そうだったんですか。ロドミール伯爵でしたよね?」

 「ああ、じゃ俺は急ぐから、今夜」

 「ええ、よろしくお願いします」

 そこでロベルト様と別れた。

 早速、監察局に戻って父にそのことを告げた。

 『では、今夜はボリとアイスを付けるからな。絶対に余計な事をするなよ。アンドレアは同伴相手として振る舞えばいいからな」

 「わかってます」

 そうは言ったがあのロドミール伯爵と会えると思うと緊張と興奮で胸が高鳴った。


 *~*~*


 そして夜にはロベルト様が迎えに来て私たちはクラブに。

 それにしても呪いって何だったんだろう?

 どうしても気になって馬車の中で聞いてみた。

 「ロベルト様、そう言えば今日お会いした時聖女様と一緒でしたよね?何か困った事でもおありなんですか?」

 「あっ、あれは‥いや‥そうだ!久しぶりの王都だから寄付をと思って」

 何だかおかしい。

 ウソをついていることはわかった。

 「でも、呪いがどうとか?あっ、別におせっかいを妬くつもりじゃないんですけど」

 「そうか?ほんとは俺が好きになったんじゃないのか?こうやって誘ってくるしな」

 「違います!」

 こうやって聞きたいことははぐらかされた。

 まあ、ロベルト様がときめかない呪いにかかっているならそれはそれでいいか。だって無駄にときめかれても困った事になるし。

 穏やかでない気持ちに蓋をする。


 エンカーレッジに着いた。

 私たちは表でロベルト様が会員証を提示してすんなり店内に入った。

 店内は豪華な造りだった。さすが高級クラブ。

 カウンターには高級なワインやモルトウイスキーが並び革張りの高級な椅子に壁には高額と思われる絵画が飾ってあった。

 テーブル席に案内されて酒を注文する。

 周りには数組のカップル。店の奥ではカードゲームに興じる男たちがいた。

 ロベルト様はモルトウイスキー私はワインを一杯飲むと私はロベルト様をカードゲームに誘った。

 すでにゲームをしていた客と一緒に4人でカードを始める。

 私は隣の席に座った50代くらいの男性に暗示をかける。

 “あなたは私を勝たせたくて堪らなくなる。カードが揃わないようにして“

 そしてもう片方の40代の男性にも同じように暗示を掛けた。

 感情を操る暗示は近くの方がいいがこの程度の事なら離れていても出来る。

 ロベルト様は向かいの席。彼に暗示が効くか試してみよう。

 “ロベルト様。あなたは私に負けることだけ考えて、カードは揃わないようにして“

 ロベルト様が意味深な笑いを浮かべる。

 もしかして暗示にかかったとか?

 俄然私はやる気モードになった。

 結果。2人には勝った。でも、ロベルト様には負けた。これで完全に彼に暗示は効かないとわかった。


 そこにアンソニー・リングバルが現れた。一番最初も元婚約者だ。

 彼は私に気づいたらしい。彼はボーイの姿をしている。

 「お前アンドレアじゃないか?おい、聞いたぞ。俺に振られてからまだ結婚もしてないらしいな。婚約4回解消の記録更新中だろ?ククッ」

 「あら、あなたこそこんなクラブで下働きなんて」

 「チッ!俺はロドミール伯爵の所で働いているんだ。何が悪い?それもお前のせいだ!」

 アンソニーは嫌そうな顔をして私を睨みつけた。

 「もうその辺にしろ!それよりアンソニー俺に話があったんじゃないのか?」

 「ああ、そうだ。エークランド辺境伯。ロドミール伯爵様がお呼びです」

 「ああ、わかった。アンドレア悪いが少し席を外す。一人で大丈夫か?」

 「ええ、もちろん」

 私はぎくりとなった。

 やっぱり彼はロドミール伯爵と?

 そうだ。急いでアンソニーに暗示をかけた。

 “アンソニー。ロベルトとロドミール伯爵の話を私に報告して、一語一句聞き漏らすんじゃないわよ“

 アンソニーの顔が一瞬ひきつった。あっ、こいつには無理かもしれない。

 まあ、おおまかな事が分かるだけでもいいか。

 私は無駄にアンソニーに微笑んでやった。

 内心はロベルトがロドミール伯爵とが繋がっているかこれではっきりすると思うとなぜか辛い気持ちがした。

 














 

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