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前回のまとめ
間近にいる2人の間に赤い糸が見えた
目の前にいる青城とハンナさん
その2人の間に赤い糸が結ばれているのがはっきり見えた
青城は縁野さんと許婚同士だと言っていたが運命の赤い糸はメイドのハンナさんに繋がっている
この能力を使って様々なカップルを見てきた
両親のようにしっかり結ばれている2人もいれば、実は繋がっていないカップルもいた
繋がっていないカップルは結局それぞれ糸の結ばれている相手を見つけて別れてしまう
そんな状況をたくさん見てきた
それなら今、目の前にいる2人には結ばれてほしいと思ってしまう
人の恋愛に口を出すのもお節介が過ぎるとは思うが1つの選択肢を考えさせるくらいなら悪くも無いだろう
青城に少し質問をしてみる
「なあ、青城? 縁野さんは許婚なんだよな?」
急に質問されても青城はブレずに答える
「もちろんそうだ。運命の相手だぞ。」
めちゃくちゃドヤ顔をしている
「じゃあ、ハンナさんの事はどう思う?」
思いもかけない質問だったようで分かりやすい動揺が見て取れる
「どどどどど、どうとは?曖昧すぎる質問で答えかねるが……」
「いや、単純に可愛いとかカッコいいとか性格が良いとか、何か無いの?」
さっきまでドヤ顔していた顔がみるみる真っ赤になる
「ハンナは幼い時からそばにいるが、いつも可愛くて… … 仕事は真面目にこなすし… 素敵な女性だと思うが… …」
先程までのドヤ顔はどこかへ行ってしまい、両手をモジモジさせながら俯いて喋っている
ここまで言ってくれると思っていなかったが素直なやつだ
その様子を見ているハンナさんも何も言わないが耳まで真っ赤だ
なんて分かりやすいリアクションなのだろうか
「も、もう、良いじゃないか、この話は!帰らせてもらう!」
そう言って青城は教室を出ていった
「先に車でお待ちしています」
追うようにハンナさんも教室を出ていく
「昔からああなのよね、あの2人。分かりやすいでしょう?」
笑いながら縁野さんは言った
「だから許婚っていうのも、実はどうでも良いんだ。あの2人の間に割り込む気にもなれないしね。」
「そうなんだ」
「私もそろそろ行くね」
立ち去ろうとする縁野さんに手を振られ彼女の手が見えた時、薬指に結ばる赤い糸が見えた
薄っすらとしか見えない細い糸が力なく指から垂れていた
「じゃあ、またね」と手を振り替えしたその時、縁野さんの糸と自分の糸がぼんやり光った
縁野さんの糸は気持ち太くなり、自分の糸は少し巻き取られた気がする
これはいったいどういう事だろうか?
登場人物紹介
赤井 紡
運命の赤い糸が繋がっているのが見える
繋がっている2人には早く気付いてほしい気持ちがある
青城拓海 黄瀬ハンナ
気になる人を意識してしまってドキドキ中
縁野 ゆい
目の前の2人のやり取りを微笑ましく応援中