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前回のまとめ
高校の入学式に向かう
親友の織と話しながら歩く
学校の門まで来ると人も増えてきた
『◯△□高校入学式』と大きく書かれた看板の前で写真を撮っている人たちもいる
オレ達も後から来た親と合流し記念写真を撮った後、学校の敷地内に入る
親たちは先に入学式の会場に行くとのことで、オレと織は一緒に教室に向かう
どうやら織と同じクラスになったのでちょっと安心した
教室につくと机に名前と番号が書かれた紙が貼られていて出席番号順に席が決まっていた
『赤井』のオレは大抵1番なので前の教室の前へと歩いていく
紙を確認していくと前から2つ目の席に自分の名前を見つけた
珍しく2番目だったなと思いつつ席に着こうと椅子を下げたところで気が付いた
ちょうど自分の席を出すところに1冊の本が落ちていた
「落とし物? 後ろの席の人のかな?」
落ちてる本を拾い上げ周囲を見渡すが今はだれもいない
ブックカバーがしてあり中は表紙は見えないが文庫本のようだ
パッと見誰のものか分かるようなものも見当たらない
拾ったもののどうしようか思案に暮れていると一人の女の子が近づいてきた
こちらに興味を示すことなく俺の後ろの3番の席に座る
机の中に手を入れ何かを探しているようだ
探しているものがなかったのか「あれ?…」と言いながら机の中を覗き込んでいた
「探しているのはこの本? 今、ここに落ちてたよ」
急に話しかけられてびっくりしたのか驚いた顔でこちらを見てくる
拾った本を差し出し彼女に手渡す
「あ、ありがと…」
礼を言い差し出された本を手にとる
そのまま会話が始まる事もなく場を持て余したのでこちらから声をかけた
「オレ赤井、前の席なんだ。よろしくね」
「私は縁野ゆいよ。よろしく」
もしかして、この人が朝言ってた縁野さんか?
話題に出した相手がクラスメイトだなんて世間は狭いようだ
艶のある黒髪をポニーテールにしていて、背筋を伸ばした姿勢で座っている様子はどこか品があった
雰囲気からお嬢様なオーラを感じてしまう
これ以上話しかけるタイミングを失ってしまい自分の席に座った
「おい、お前。なんでゆい様の目の前の席に座っている?そこはオレの席じゃないのか?」
横に立った男に突然話しかけられた
席に貼られている紙には自分の名前が書かれていたのを確認しているし、ぶっきらぼうな質問のされ方にムッとしてこちらも無愛想に返す
「名前順で席が決まってるようだし間違いないよ。ていうか、あんた誰?」
「名前を聞く時はまずは自分が名乗るのが礼儀だろう?失礼なやつめ。まあいい、オレは青城 拓海だ」
失礼なのはどっちだよと思いながらもこちらも名乗る
「オレは赤井だよ。名前順なら君はオレの前なんじゃない?」
席の紙を指差しながら青城に確認を促す
「なんだと?ゆい様と将来を約束しているオレとの間に割って入るだなんて無粋な事をしてくれる。早々に退いてもらうからな」
本当に許婚なんているのかと思いつつ、始めっから変なのに絡まれて辟易した
登場人物紹介
赤井 紡
入学式が始まる前の教室で変な因縁つけられる
縁野 ゆい
紡の1つ後ろの席
本を落としていたのを拾ってあげた
青城 拓海
紡の1つ前の席
縁野さんの許婚? 失礼なやつ
狭いエリアでお話展開中