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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
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夕香とリン編 5

第82話 夕香とバネ


 緊迫した空気が漂ってる中唯1人、お気楽自由で何だかハッピーな夕香が居ます。

「んふふっふっふ〜ん♪」

 まぁこんな感じなので有ります。

 余裕シャキシャキな夕香とは打って変わって、ピリピリビリビリしているのは、リンとバネ。

 このバネ、使者が創り出した怪物の中でも、知性を持たせた上に、解放されし魂達で創られた怪物50体分以上の強さを持つ、かなり危険なモノなのだ。

 阿沙華や権也に、弥夜と護都詞の前に現れた()()()()使()()よりも弱いのだが、其れでも今の夕香達よりも遥かに強く、禍々しいオーラを放っている。

 本来の力と姿を取り戻したリンでも、如何考えても太刀打ち出来ないと、戦う前から分かって仕舞うリン。

 保護されし魂達も、自分達が犠牲と成っても、無駄だと思っていた。

 だからこそ、夕香に

“直ぐに逃げないと危険だ!!”

 と、懇願する様に伝えるのだが

「ん?其う?」

 と言わんばかりに、平然としているのだった。

 其れ所か

「ねぇバネちゃん、貴方とお話ししたいの〜。ダメ…かしら〜?」

 等と、追加平然お代わり下さい!みたいな事を言うのでした。

“この人、本気の天然(バカ)で豪胆異常”

 と、同時に思うリンと魂達。

 遂先程迄ならば、一瞬の隙を見て逃げ延びる事も可能だったのに、今では、上手く逃げても確実に追い付かれて仕舞い、既に逃げ切れなく為ったとも思う、リンと魂達。

 其れを充分に理解しているバネ。

 力の差が歴然としている為

(フッこんなひ弱なカス如きに、アタイを差し向けるだなんて、何を恐れてるんだ?我主人様は…。でもまぁ、こんなゴミを片付けるだけで、あの快感と快楽を主人様が施してくれるのなら、スゲェ〜得した気分だぜぇ…フフフ〜…。主人様の()()()()()()()で味わう快感と快楽を思えば、こんなカスの言い分を聞いてやっても別に大した事じゃ〜ねぇよな…フハハハハッ…)

 と、使者自ら施す逢瀬の一時(ひととき)で味わえる快感と快楽を考えると、夕香のお願い等、容易く取るに足らないと思ったバネ。

 なので、少しだけなら話に付き合って、飽きたら直ぐに消滅させ様と考えたバネは

「あぁ良いぜ?でもよ、ちょっとでもアタイに牙を剥こうとしたなら即、殺すぜ…?」

 と、脅しを掛けて来た…。

「えぇ勿論良いわよ〜」

 バネの脅しに平然と答える夕香。

「おいアンタ、分かってんのか!?あっ其れとな、逃げる算段や、助かりたいだけの延命処置だと分かっても同じ、即殺すからな?良いな?分かったか?」

 更に脅すバネ。

 だが

「もぅ〜嫌〜ねぇ〜、其れも分かってるから大丈〜夫よ〜。ちゃ〜んと分かってるからね、バネちゃん♪」

 とまた、何でも無いかの如く、只平然と笑って答える夕香なのでした。

 余りにも余裕シャキシャキ過ぎて、身震いが止まらないリンと魂達。

 ほわほわとピリビリが対面し合ってる、不思議な構造を眼にするリンと魂達。

 キツい…キツ過ぎる…この絵面は…と、無駄に心を擦り減らしていくのでした。

「で、アンタ、アタイと何を話したいってんだい…」

「うふっ本当に良いの?私とお話をしてくれて?」

「良いから話してんじゃねぇか、アンタバカなのか!?」

 バカか?と聞いた瞬間

「あらまあ!」

 と、大きく目を見開く夕香に

「アン!?何だ!?バカにされた事に腹を立て」

「嬉しい〜!本当に私と話してくれるのねぇ〜!キャ〜本当嬉しいわ〜♡ありがとう〜バネちゃ〜ん♡」

 心底嬉しそうに笑う夕香の言動に、本気で転けるバネとリンに魂達。

「ゆ、夕香様…」

ー ユイナ様…貴女って… ー

「マジ如何成ってんだ!?アンタの頭の中は…」

 其々が、夕香の奇行じみたマイペース振りに、只驚愕と唖然が折混ざるのだ。

 自由(マイペース)な夕香は

「ねぇねぇバネちゃん、折角お話しするのだからね、あの小池のほとりで話さない?あそこなら、水面(みなも)を通る風が気持ち良さそうだし、ゆっくりお話しするには、持って来いだと思うのだけれど、如何?嫌?バネちゃん?」

 其う言って、夕香が指差す場所には、清らかな小さな池が在り、木々も生い茂り、木漏れ日が優しく指している場所だった。

 何時も居る、異空間には無い風景にバネは、何故か胸の奥底がザワッとするが、嫌な感じはせず、其の場所に惹かれるのだった。

 だからか

「……ん?あぁ良いぜ?」

 と、了承するのだ。

「あぁ良かったぁ〜、バネちゃんの苦手な場所だったら如何しようかと思ってたのよねぇ〜。あそこがダメなら、皆さんと出会った大ちゃんの所迄行こうかな?って思ってたのよねぇ。只ちょっと距離が有るから、迷惑掛けちゃうと悩んでたのよね〜。だから本当良かったわ〜♪」

「…皆さん?何だ其れ…?」

 この時、保護し魂達の事がバレて仕舞うといけないと思ったリンが、天然を発動せずに珍しく気を利かせ

「そそそ、そんな事よりバネさん、ははは、早く小池のほとりに行きましょうよ」

 と、話に割り込むのでした。

「…ん!?何だか腑に落ちねぇが、ま、いっかぁ〜。其れじゃ早く行こ〜ぜ…」

「えぇ其うしましょ〜」

 と、何とか難を逃れた魂達。

 この後直ぐに、リンが夕香に念話で

(夕香様、この会話はバネさんに知られたく無い会話なので、表情を変えずに聞いて下さい)

(えっ?如何して?)

(とても重要な事なので、知られたら不味い内容なので…)

(OK分かったわ〜。で、どんな内容?)

(夕香様が解放された魂達の皆さんの事です。皆さんの存在を知られたら、私から無理矢理にでも簒奪する筈何です)

(エッ何故!?)

(自分の力を増す為です)

(エェッ!?其うなの!?)

(…はい、必ずすると断言出来ます…)

(其れじゃ皆さんだけじゃ無く、リンちゃんも無事では居られないって事よね…?)

(ですです…。どんな手段を使おうが、皆さんを奪わせはしませんし、奪われる事は、断じて有り得ません。私達宝具が保護してますから…。ですが、私が破壊されて仕舞うと、今後皆さんが、本当に解放されなく成ります)

(うん?…其れって如何言う事?)

(私達宝具が保護している場所が、とても特殊な場所なので、私達宝具にしか使用出来ない場所何です。其れとこれ以上は、幾ら主人の夕香様でも教えられないので、此処迄しかお教え出来ません…)

(……そっか、分かったわリンちゃん…。でも大丈夫だからね〜、何も心配しないでね〜うふふ〜)

 うふふと笑う夕香に、そんなの無理!だと言いたいリンなのでした。

 ルンルンランランと鼻歌混じりで小池に向かう夕香。

 其の後を黙って着いて行くバネ。

 池のほとりに着き、夕香とリンにバネの3人が、落ち着いて座れる場所を軽く探していた時

「夕香!無事か!?大丈夫なのか!?」

(夕香様、何処かお怪我等は、されてませんか!?)

 と、突然聖司と神音が出現する。

「夕香!夕香!!」

(夕香様!ご無事ですか!?)

 突然の出現に

“何故此処に2人が居るの?”

 と、ポカァ〜ンと為る夕香。

「お前は何モノだ!?俺の最愛の妻に、少しでも触れてみろ!必ず消滅させてモガッ」

 バネに対し、初見から喧嘩腰の聖司に、これ以上バネを怒らせたく無いと、夕香が聖司の口を塞ぐのだ。

(!?ゆ、夕香様…?い、一体何を、何をされてるのですか!?)

 神音にしてみれば、夕香の行為の意味が分からず、当然の疑問として聞くのだ。

「あっ神音ちゃんね、こんにちは。えっとね、聖司さんにこれ以上、何も言って欲しく無かったのよ…」

(エッ…意味が分かりません…何故で)

「オイアンタ!アタイを謀ったなあ!!?殺す!殺す!約束通りに今直ぐ殺す!!」

 やはり逃げる算段と、延命処置の時間稼ぎだったのだと思ったバネは、瞬間に禍々しく強力なオーラを発した。

 其れに対し

「ごめんねバネちゃん…。貴方に其う思われてもしょうが無いわよね…本当ごめんなさい…」

 其う言って、深々と頭を下げる夕香。

「今更謝っても知らねえーよ!覚悟しな!?」

「う〜ん、其うよね…約束してたものね…。でも、貴方ともっとちゃんとお話ししたかったのはね、本当だから…。でもごめんなさい、約束は守らないといけないものね…」

 シュンとしながら言う夕香の表情を見たバネは、何故か直ぐに行動には出ず

「あぁ約束は約束だ!……だが、アンタが本気で悪いと思ってるんなら、ちょっとは待っても良いぜ?…」

「えっ本当に!?やった〜嬉しい〜わ〜♪ありがとうバネちゃん♡」

「ほ、本当、ちょっとだけだからな…」

 何故か夕香の事が気に成るみたいで、先程の怒りが薄らいで消えているバネ。

 この時バネ自身、今怒りを感じない事に、全く気付いてはいない。

「ありがとうねぇ、バネちゃん」

「良いって…」

 少しモジモジして言うバネ。

「って事で聖司さん、ねぇ何故此処に居るの?何をしに来たの?」

 夕香も、至って当たり前の疑問を問うと

「何故此処に居るって、何をしに来たって夕香お前、そんなの決まってるじゃないか!?」

(其うですよ夕香様…)

「ん?えっ?決まってる?一体何が決まってたの?」

 と、本気で分かっていない夕香。

「ガクッ…ゆ…夕香…お前ってヤツは…。本当に分からないのか?なぁ夕香…」

「あら、ごめんなさい聖司さん…本当に分からないのよ?」

 キョトンとしながら、追加で其う答えるのだ。

「ふぅ〜…。あのな夕香、夕香のピンチに駆け付けない旦那が何処に居る?」

「…?あら?私ピンチだったの?」

「あぁ其うだ、だから駆け付けて来たんじゃないか…」

「何故私がピンチだと思ったの?」

「そりゃ、家族の誰かがピンチの時に駆け付ける手筈に成っていたからだ」

「まぁ其うなの?で、私がピンチだと如何やって知ったの?」

 ガンガンと質問を繰り返す夕香。

 其の夕香に

「わ、私が神音を通してお伝えしちゃいました〜…」

(リンから夕香様がピンチだと伝えられ、即駆け付けました…)

「ふ〜ん、其うだったのね〜」

「ふ〜んって…」

 夕香の軽い反応に唖然と成り、其れ以上何も言えなく成った聖司。

 そんな2人の遣り取りに

「オイ!アンタ!アンタ、アタイと話がしたかったんじゃねぇ〜のかよ!?」

 と、バネが少し苛立ち始めました。

「勿論其うよ〜。ごめんねぇ〜バネちゃん、放ったらかしにしちゃって〜…」

「ったく、アタイが本気で切れる前によ、ちゃ〜んとする事しなよな!」

「だわね〜、本当ごめんなさいね…」

「まぁ其れは別に良いけどよ…このオッさん、マジ何しに来たんだ!?アンタ等の遣り取り聞いててもよ、此処に来る必要が有ったのか?」

 其のバネの言葉に聖司は

「何だお前は!?お前は何が言いたい!?そんなの当たり前だろうが!」

 と、かなり切れ気味で言い返すのだ。

「何が当たり前何だ?言ってみろよ」

 其の一言に

 ブチッ

「大切な妻のピンチに駆け付けない旦那が何処に居る!!最愛の妻がお前に消されるかも知れないのに、黙って知らぬ顔が出来る訳が無いだろうが!愛する夕香は、俺のスベッチィィーン!!」

 パチィ───ンと音を立てて、思いっ切り頬を叩かれる聖司。

 叩いた相手を涙目で見れば

「嫌だもぉ〜聖司さんったら♡皆んなの前でこんなにも、沢山愛するだなんて〜♡私、恥ずかしいわ〜♡うふふ〜♡」

 と、片手を頬に当てて、モジモジ頬を赤らめている夕香。

「は、恥ずかしいからって、何故俺の頬を叩いたんだ…」

 真っ赤に腫れ上がった頬を庇い、涙を流しながら、聖司が抗議の意味を込めて問うと

「あら?………私、聖司さんの頬を叩いちゃったの?あれ?あれれ?」

 と、信じられない顔をするのです。

「私、軽く肩を叩いたつもりだったのだけれど…あぁごめんなさい聖司さん!私、またやらかしちゃったわね…」

「………あぁまた其の様だな…夕香…」

 如何やらこの光景は毎度の事の様で、龍乃瀬一家にしてみれば、当たり前の光景なのだ。

「本当ごめんなさい聖司さん…」

「…いや良いよ大丈夫…」

「其れとバネちゃんもね、ずっと放って置いてごめんねぇ〜…」

「…だから其れは、別に良いって言ってんだろ?…」

 謝る夕香を許す、聖司とバネ。

「そんな訳にはいかないわ〜。あっちょっと待ってて、向こうに行って来るから。私が戻る迄、自由に寛いでいてくれる〜?」

 と、また何か思い付いたのか、2人を其のまま放置して、茂みの奥へと向かうのでした。

 余りに自由過ぎる行動に、全く付いて行けず只2人、ポツンと佇むのでした。

 夕香が茂みの奥に向かってから、聖司とバネ以外は、何時この2人が勃発するのかと、気が気じゃ無いリンと神音に魂達。

 そんな気苦労等気にせず

「2人共ごめんねぇ〜お待たせ〜」

 と、手に何かを持って戻って来る夕香。

「オイアンタ、一体何処で何をしてたんだ?」

「そ、其うだぞ夕香、こいつじゃ無いが、俺も同じ事を思ったぞ!?余り心配させないでくれよ…って、何だ?其の手に持ってるモノは…」

 夕香が手にしているモノが気になる聖司。

「あっこれの事?これはねぇ〜うふふ、おもてなしとね、お土産としてのお花の蜜♪」

「おもてなしと、お土産のお花の蜜?」

「えぇ其うよ〜聖司さん」

 何故そんなモノをと思った聖司が

「おもてなしとはまさか、このバネとか言う奴にもてなすって事なのか?」

 まさかそんな筈は無いだろうと聞くのだが

「えぇ其うよ?何当たり前の事を聞いたの?」

 こんな当たり前の事を何故聞くのかと、不思議そうに、聞き返す夕香。

「──マジか…。ん?ちょっと待てよ…お土産〜…?お、おいちょっと夕香、ま、まさかお土産ってのは、誰に対してのモノ何だ!?こ、このバネにか!?そ、其れとも、おお、俺に…?」

 夕香(てんねん)の行動が、余り理解出来ない聖司。

「如何したの聖司さん?また何当たり前の事を聞くの?これはね、聖司さんと神音ちゃんの分よ?」

 可笑しな事を聞く聖司と思う、夕香なのでした…。

「お、お土産って夕香、其れは如何言う…」

「私の為に、わざわざこんな遠い場所迄来てくれたんだもの〜、手ぶらじゃ()()返せないでしょ?ねぇ?聖司さん」

「おい夕香!?ちょっちょっちょっと何言ってんだ!?愛する夕香が危ないって聞いて、無事で居てくれって願いながら来たんだぞ!?其れなのに、何もせずに帰れって言うのか!?」

「えぇ其うよ?」

「なっ!?」

 平然と答えた夕香に、一瞬言葉が詰まる聖司。

「只帰れと!?然も只帰すのじゃ無く、追い返すってのは、流石に如何何だ!?其れって酷くないか!?言ってる意味が分からない…」

 段々と険しく成る聖司に

「だってこれから女子会するんだもの…」

「女子会!?」

 思いもしない言葉が返って来て、思わず前のめりで聞き返す聖司。

「其うよ?女子会♪今からバネちゃんと、リンちゃん交えてのガールズトークするの〜♪」

「??????」

 この時点で既に、夕香の言ってる意味が理解出来ない聖司。

「まぁ〜私の年齢だとね、流石にガールズと言って良いのか分からないけれどね、ずっと憧れだったの〜♪バネちゃんがね、お話ししても良いって言ってくれたからね、私嬉しくて嬉しくて、スッゴくウキウキしてるの〜うふふ〜」

「……………ハアァ!?………」

 天然の考える事が、これ程にもややこしく、理解不能だなんてと、思わずには居られない聖司。

 其の聖司に

「だからね聖司さん、男性の貴方は戻って頂戴ね〜。其れに貴方、聖司さんもね、神音ちゃんを早く見付けなくちゃいけないんでしょ?」

「あ、あぁ…」

「だからほら、早く戻って見付けて上げなきゃね〜。聖司さんにとって大事な神音ちゃんをね〜、ほらほら早く〜」

 と、お土産を無理矢理手渡し

「神音ちゃ〜ん、其れじゃまたね〜♪次お会いする時はね、是非本当の姿を見せてね〜♪楽しみにしてるわ〜」

(えっあっゆ、夕香…様?…あっはい…)

 突然振られた会話に、思わず“はい”と答えたのが間違い。

「其れじゃ〜ね〜、また日を改めてお会いしましょうね〜♪リンちゃ〜ん、もたもたしている2人を送り届けてくれる〜?」

 リンはリンで、突然夕香のお願いに

「あっはい…」

 と、思わず了承して仕舞い

「あっちょっと夕香!」

(あ、あの夕香様!?)

 其れが最後の言葉と成って、強制退場させられた聖司と神音。

 リンも、夕香の行動に翻弄されて仕舞い、言われるまま、2人を元居た世界に送り届けて仕舞う…。

 嵐の様な怒涛の展開に、唖然としていたバネが

「おおお、おいアンタ…折角生き延びるチャンスを不意にしたの…気付いて無いのか!?」

「?チャンス?何の事かしら…」

「ズルッ!」

 バネの言ってる事が、本気で分かって無いのだと理解するバネ。

「マジかぁ…あ〜分かってねぇのなら、まぁ其れでも良いさ…。でもよ、幾つか聞きてぇんだけれどよ、聞いても良いか?」

「ん?何かしら…」

「何かしらってなぁ…はぁ〜やる気が抜けるぜ…。あのな、聞きてぇってのはさ、其の女子会?ガールズトーク?って何だ〜?」

 ニュータイプの怪物として創られたバネにしたら、当然の疑問だった。

 其の疑問に

「えっ?あら?もしかしてバネちゃん、女子会とか、ガールズトークを知らないの?」

「──っつ!知らねぇから聞いてんだろうが!知ってたら聞かねぇ〜よ!」

「あらまぁ…其うだったのね…。ごめんねぇバネちゃん…。女子会ってのはね、女性だけで集まってね、お話しする事よ〜。所謂これが、ガールズトークって言うんだって〜」

 自分が教える立場に成れた事が嬉しかったみたいで、とても楽しそうに教える夕香。

 そんな夕香に

「ちょっと待てよアンタ…いや確か夕香だったよな?」

「あらまぁ〜!私の名前を覚えてくれたの?ありがとう〜バネちゃん♡」

「〜〜〜〜〜そ、そんなのは良いからよ、未だ聞きてぇ事が山程有るんだが、先ずは其の女性ってのはよ、此処に居る中で、夕香、アンタだけだぜ?」

「そそそ、其うです夕香様…」

「えっ…其うなの?」

 首を傾けて聞く夕香。

「言っとくけどアタイ達にはさ、人に似せられた創りには成ってるけどよ、魂の配合割合の違いで型が違うだけで、基本性別はねぇよ…」

「あっ其れ、私達宝具もです…」

 女性だと思い込んでる夕香に、自分達には、性別等存在しないと教えるリンとバネ。

 其のリンとバネに

「あら其うなの?でも2人共、一人称が女性の言い方だわよね?」

「…あぁ其うだけど…」

「はい、其うですね…夕香様…」

「其れにね、バネちゃんは、ガサツイ言い方してるけれど、何処か優しさがこもった感じだしね、リンちゃんもフワッとした感じで話すし、何よりも()が女性の声何だもの…。だから私、てっきり女性だと思ってたわ〜」

 夕香の言った事を否定出来ないリンとバネ。

 腰に手を当て、頭を掻きながら

「ったく、ああ〜本当、アンタと話してると、こっちの調子が狂うぜ…」

 と、ため息を吐くバネでした。

「………まぁ何でも良いさ…取り敢えず其の、女子会?ガールズトークってのをすれば良いんだろう?」

 この時既に、先程迄の怒りが無くなっていたバネ。

 穏やかに成りつつ有るバネに

「きゃ〜っ!本当嬉し〜いわ〜♪実はねぇ私、1度女子会のね、ガールズトークってのをやってみたかったのよね〜♪これでまた1つ、夢が叶ったわ〜」

 と、大喜びの夕香なのです。

「あっ………其うか…。ハハッ…其れなら良かったじゃねぇか…ハハ…」

「ゆ……夕香様…とほほ…」

 大喜びの夕香と打って変わって、リンとバネは、完全に引き気味に成るのでした。

「さぁ〜さぁ〜2人共、座って座って♪早くガールズトークしましょうよ!ねっ?ウフフッ♡」

 1人だけ、キャッキャとしているのだが、残りの2人は唯、夕香の自由の謳歌に巻き込まれた、有る意味被害者だと言えるだろう…。

「さぁ2人共、先ずはどんな話から始めましょうか?」

 と、どんな会話をしようかと考える、夕香なのでした。

 3人の会話は、一体どんな会話に成るのでしょうかね…。

 敵で在るバネを怒らせない内容だと良いのですが…。


第82話 夕香とバネ 完

 如何でしたか?今回の夕香とリン編は。

 自由な夕香に翻弄される周りのモノ達の苦労は、如何程なのでしょうかね…。

 きっと…いや確実に、疲れるでしょうね〜…。

 ってな訳、次話を待っててね〜です。

 多分、次話辺りで、夕香とリン編は終わるかな?

 ではでは次話迄、お待ち下さいませ。

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