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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
終わりの始まり
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語られる者、語る者 その4

第8話 語られる者、語る者 その4


束の間の一家団欒ではあるが、いつもの家とは違う歪んだ空間での食事は、やはり歪んだ風景が何処となく、歪に思えて来るので、それが気になり会話が余り弾まない。

そんな状況を少しでも変えたいと

「所で光の主よ、1つ聞きたい事が有るのだけれど、聞いても良いかな?」

と、聖司が尋ねる。

「別に構わぬが、何を聞きたいのだ?」

「いや何、ちょっと気になってた事なんだが、あんたの喋り方の事なんだけどさ…」

「我の喋り方?何を今更…、先程説明したでは無いか!それだけでは理解出来ないと申すのか?」

少し不満気に聞き返す。

「いや、別にそうでは無くて…、スマン気を悪くしたのなら謝るが、ただ今ふと気になった事を思ってしまってさ、ちょっと興味が出て来て、聞いてみようかなと思っただけなんだが…、嫌なら別に話さなくても構わないよ」

そう答える聖司。

「気を悪くしてはおらんよ、構わん何でも聞いてくれれば良い」

と、快く承諾する。

「それじゃお言葉に甘えて、あのさ!最初に出会った時の話し方、あれはいつの時代に合わせた話し方だったんだ?」

「…あれか?あれは今の時代から150年程前のものだな…人の言う何時代迄は分からぬが、大体それくらい前に覚えたやつだったと記憶している」

その数字が正しければ、明治から大正時代辺りなのだと推測された。

その時代に、前の自分達が存在していた事になるという事も、予測出来たのだ。

「そんなに前なのか…、なのに一気にあのチャラい話し方になるなんて、時代を飛ばし過ぎてる感は、ある意味凄いんだが…何故あんな口調を覚えてしまったんだよ?ずば抜けた学習能力は認めるが、覚えるチョイスがなぁ…」

残念そうな顔をして言う聖司に対し

「あれがこの時代で、当たり前だと思ったんだが…、この時代になってから、至る所を観察して、色んな若者達が、あんな喋り方であったり、大きな建物の中に集合している者達の遣り取りを見て覚えたのだが、何処か間違いがあったのか?」

不思議そうに聞き返す光の主。

話を聞き、何と無く理解して確認の意味も込めて

「観察していたのは、もしかして若い者達だけだったりしてないか?」

と聞くと

「それはそうだろう!時代を創るのは、いつの時も若者と相場が決まっているだろう?」

と、至極真っ当な事だろうと言わんばかりな態度で、返答をするのだった。

確かにそうかも知れないが、その考えは少し改めた方が良いような気がする。

だからあの()()の一件以降のやり取りが、ああだったなのだと思えた。

多分、見て観察した者達の多くは、街行くノリの軽い若者や、仕事を適当に考え、適当に仕事しミスを犯した事で上司を怒らせた、そんな者達を重点的に観察したのだろうと、何故か容易に想像出来てしまうのだった。

そこでアドバイスをする

「確かに時代は、若者が創り上げて行くものだと思うよ、だけど全てがそうじゃ無いだろう?時代を創り上げる者達を導くのは、その前の若者だった者達なのだから、年配の事も観察と理解するべきだったと思うのだけどな…」

そんな感じで、まるで部下に優しく教えを施す様に伝えるのだった。

聖司は、広告業者に勤めていて、幅広く人との付き合いをこなす、エリート営業マンだった。

面倒見の良い聖司は、上司にも部下にも慕われて、成績もトップクラス。

そんな中、とある広告の撮影に出向いた時に、人気絶頂の夕香と出会うのだ。

お互い一目惚れをし、何度か仕事で顔を合わす度に、少しずつ距離を縮めていく。

実は奥手の聖司に対し、意外にも告白したのは夕香からだった。

まぁ告白というより、天然な夕香の

「今度のお仕事、結婚式場での撮影なんですよ、何でも華やかにドレスを纏って()()さんとダンスをしながら愛を誓うシーンを撮るらしいの」

と、無意識ながら相手役の名前を間違えて、聖司の名前で言う。

その事に気が付いてない夕香は

「聖司さんとの結婚のシーン、本当素敵なシーンになると思いません?これ誰にも言っちゃいけない内容なのですけど、聖司さんにだけ教えても良いと思いまして、お話しちゃいました〜、内緒ですよ」

と、その言葉により

「夕香さん!俺の事、結婚を前提に想ってくれてるんですね!」

と、顔を真っ赤にしながら、自分も貴女の事を大切に想ってますと切り出し、お付き合いましょう!の告白と、プロポーズの告白を同時に済ませてしまうのだった。

その時初めて、自分が語った内容に、思わず聖司の名を入れた事に気が付いた夕香は、これ以上無い程に真っ赤になり、穴が有れば入りたいと思う気持ちを抱きながら、聖司からの申し込みが心からとても嬉しくなって、ボロボロと涙を流しながら

「はい、私で良ければ…末長く…共に居させて下さい…」

と、即OKの返答を返すのだった。

それが2人の成り初めだった。

少し話が逸れたが、何に対しても真摯に受け止め、誰に対しても的確な指示やアドバイスを出し、行動力も抜群な聖司は、誰からも信頼される存在なのだ。

そんな聖司からのアドバイスを光の主は素直に受け入れたのだ。

「有難い、その助言を今後に活かそうと、考えを改めよう。()()()()()()な…」

聖司の助言を素直に聞き入れたと言う光の主の言葉に、嬉しく思えるのだが、最後の言葉に何故か胸がざわめいて来る。

でもそのざわめきが、何なのか考えても分からない内に、

「皆それぞれ休息出来たであろう、では話の続きを語ろうか…」

その言葉に一同は、真剣な顔付きで光の主と向き合う。

「今から五千年程前の時代は、今のこの時代とは違う文明を築いていたのだ。この時代は、科学や機械が発展した世に対し、我の時代はその逆と言えよう。今では見えない見る事が出来ない、ありとあらゆる自然に未知なる力に満ち溢れた世界だったのだ。人はその力を自由に使う事が出来、その力を人々は大いに利用して、巨大な都市と文明を築き上げた。その中でも、全ての力を最大限に発揮し使える突出した一族が現れて、その一族の長が人類の頂点の王として君臨していたのだ。その王は、全ての民や自然の守護者として導き護り手となり、その都市を統べていた。…そうあの日までは…」

この語りにより、今とは違う世の中が、過去に有ったのだと知るのだが、イメージが追いつかない。

最後のあの日まではの部分も気になるのだが、どんな感じの世界だったのかが気になり、

「話を止めて悪いけど、光の主のいた時代のイメージが出来なくて、話が追い付かない…」

そう聖司が言うと

「そうであるか…、それも仕方のない事なのだろうな…、では其方達に直接我の記憶を見せよう」

そう言って光の主は、一同に手をかざし、光の線を其々に繋げるのだった。

光の線が繋がった瞬間、一瞬ビリっと電気が走り、うっと思った時には目を開けているのに、見た事の無い風景が見えて

「うわぁ!な、なんだ!?」

「何これ!?突然何か違う景色が見えてる!」

と、パニックになる。

すると光の主が

「上手くいった様だな…、其方達に我の記憶を映像化した物を見せる事が、無事出来た様だな…」

それを聞いて、本当は凄い奴なんだと思わずにはいられない一同。

心の中で、小馬鹿にしてた事を恥じる。

「それにしても、凄い技術だ!こんな技術は、今の科学でも無理だ…」

感心していると、

「ただ済まぬが、何せ五千年も古き記憶だから、余り鮮明には出来ぬが、そこは許して欲しい…」

そう言われるのだが、聖司達には充分過ぎる程の、良く出来た映像なので、

「そんな事は無いよ!凄〜く見易くて良い!本当凄い!」

権也がはしゃいで、答える。

「それなら良かった、では続きを始めるとしよう」

そして、光の主の五千年前からの記憶が、鮮明な映像と共に映し出されるのだった。


そんな遣り取りをしている間に、あのしし落としの様な音が、また少しずつ音量を上げて、近寄って来ていた。

だが未だその事に気付く者は、誰1人としていないのだ。

この音と共に迫り来る、凶事にも気付かないまま…。


第8話 語られる者、語る者 その4 完

グダグダと続く語られる者編、もう少しで終わります。

グダグダと続けてすいません…。

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