信康とロマン編 9
やっと投稿出来ました。
正直、今月の投稿は無理かも…って、思ってました。
でも投稿出来て、良かったです。
では本編を如何ぞ…。
第72話 は〜るばる〜行くぞ!アンタの元へ!
デェーンズズズズッズッデェーンズズズズッズッデェーン…ズデェーン…♪
デェーンズズズズッズッデェーンズズズズッズッデェーン…ズデェーン…♪
デェーンズズズズッズッデェーンズズズズッズッデェーン…ズデェーン…♪
トゥットゥットゥットゥットゥットゥットゥッ〜トゥトゥトゥ〜〜…トゥトゥトゥトゥトゥットゥ〜〜…♪
バ〜ンバン…バ〜ンバン…バッバッバッバッドビュドゥビュ〜ドゥ♪
パァーパパパッパァーパパパッパァーパパパッ♪
パパパパパパパパパァ〜〜♪
ジァ〜〜〜ン……
「フゥイエ〜イ!軽快な音楽とステップと共に、さぁさぁ〜今回も始まりました〜スゥーパァーエンターテイメントショーゥ!さぁ今宵は〜、どんな〜ショーが観られるのか、既にぃ〜ぃ楽しみですよねぇ〜。もぅ〜ワクワクドキドキがぁ…止まらなぁ〜〜い!さぁ〜て今宵、皆様にお披露目する最初の演目は〜〜っ…ドゥルドゥルドゥルドゥルドゥル〜…ドゥン!」
パチィン!
「これだぁ!信チョとロマンが企んだ、其の全ての企みを大暴露〜!!…だ!さぁ皆んな!驚かずにいてくれよな!…では、スタート……」
ピィーピィッピィッピィッピューー!
テクテクテク…
「フゥ〜ヨイショッ…はいお待たせ〜。面倒いからパパッと話し、先進めちゃってチョ〜」
「「(……………)」」
ロマンの行動に、呆気に囚われる3人。
「突然する事有るからと、タキシードに蝶ネクタイと、シルクハットを身に着けた男の型に成ったと思えば、何処からか現れたステージとスポットライトを浴びながら、軽快な音楽とステップに、スーパーエンターテイメントスタートって、まるで1970年代のアメリカのステージを彷彿させるんだが、なぁ信康…コイツ…何時もこんな感じなのか?…」
「……うん、大体其う…。しかも一仕事終えた〜みたいな、やり切った感満載でね…。嫌な事や面倒な事が始まるのが分かってたら、必ず其の前にこう言ったおふざけするんだよ…。テンション上げないと持たないって…。今回は、未だマシな方だよ……」
(何千年経ってもブレずに、本当変わりませんね…貴方って方は…)
「いやいやいやいやいや〜、そんなに褒められても〜ねぇ〜」
「「(褒めて無い!)」」
「?…あれ?褒め褒めじゃ無いの?なぁ〜んだ、喜んで損した!でもね、神音ッぺも相変わらずでしょ?アータさんもブレずに変わりませんぜ?」
(イラッ………フンッ!)
バリバリバリッ
「アギャギャギャギャッ!!」
問答無用に、懲らしめの電撃を喰らうロマン。
「コゲッ……」
今度は、シルクハットがボンバーヘッドに成っている。
電撃=ボンバーヘッドが、ロマンのお気に入りに登録されたみたいだ。
(いい加減キチンと名前を呼びなさい!折角、我が主人の聖司様に付けて頂いた、素敵な名前を汚さないでくれませんか!?識や巫阿燐でしたら未だしも、私は断じて許せません!殺意しか感じません…)
次は無いぞ!と言う神音。
神音には、穏やかさは無いのだろうか…。
此処最近、過激思考の持ち主だと知らされる、聖司と信康。
特に聖司にすれば神音の主人なので、絆感染で、自分も過激思考を持って仕舞わないかと、内心気が気じゃ無かった。
其れをよく理解していた信康が
「あのさぁ神音、僕の話を聞いてくれる?」
(聞いて欲しい話とは、一体何でしょうか?)
「絆感染はさ、僕とロマンだけじゃ無いんだよね?」
(はい、其うですが…。其れが何か?)
「自分の性格に気付いてる?」
(私の性格ですか?勿論、把握してますよ?主人思いの、曲がった事が嫌いな、真面目な性格だと思ってます)
間違っては無いけど、違うだろ〜!と思う、信康と聖司。
「いやいや、確かに!確かに其うだけれども!残念ながら、其れだけじゃ無いからね…」
(其れだけじゃ無いとは、他にも優秀な部分が有るとでも仰るのでしょうか?)
自ら優秀な性格だと言う神音に、違うわあー!!とまた、叫んで仕舞い其うに成る信康と聖司。
「は…はは…。確実気を悪くすると思うけど、敢えて言うよ。神音、お前の性格ってさ、かなりキツいんだよ。しかも危険思考が強いんだよね。特にロマンに対してだけかも知れないけれどさ、過激なんだよ…」
信康の指摘に対し
(私が危険過激思考だなんて、納得致しかねます…。訂正して頂けませんか!?)
「其れ!其の言い方だよ!…分かってる?今自分が攻撃的に成ってる事を…。誰彼構わずにさ、鋭い針を突き刺してるんだよね…。言葉だけじゃ無く、神音から漏れる微力なエネルギーがさ、周りを攻撃してんの…。其の最初の犠牲がさ、父さんなんだよね…」
信康が更に指摘し、自分の主人で在る聖司の事を言われ、直ぐ様聖司を確認する神音。
信康の指摘通りに、指輪をしている辺りから、聖司の魂にダメージの痕跡が有り、黒く変色していたのだった。
(!!せ聖司様!?この腕は私が…)
「大丈夫だ…気にするな神音…」
否定はしないものの、神音を気遣い、平気だと言う聖司。
(そ…そんな…。私は何て事を…)
「本当に大丈夫だから、落ち込まないでくれよ…な?」
(聖司様…)
「な?神音、分かっただろ?」
「おい信康!」
「父さんは少し黙っててよ。コレは今後にも影響する事なんだから、ちゃんと分かって貰わないといけないからね…」
「………あぁ……」
「本当なら、お叱り受けるの僕達何だけれど、コレだけ言わせて貰ったらさ、しっかりお叱り頂戴すらからさ、お願いとして聞いてくれるかな?神音…」
(……はい…)
「ありがとう神音。僕とロマンの絆感染はさ、もぅ面白いコンビとして、受け入れるつもりで諦めてるけれどね、父さんと神音の絆感染はさ、他の家族も被害を与えると思えるんだ…。厳しい父さんだけれど、愛情の厳しさってのが分かるんだよね。でも、神音からの危険思考、過激思考が感染するとさ、家族をも攻撃しちゃうかもって…思えるんだよ…」
家族全員に、縁と絆を切ると言った信康なのに、家族の事をしっかり考えているのだと、聖司と神音は思った。
其処迄の、家族思いの信康に
(ご忠告、しっかりと意思に刻みます…。今後、この様な愚行を行わないと誓いたいのですが、我を忘れてしまった時、また同じ過ちを犯すかも知れません…。其の為にも真摯に受け止め、また同じ過ちを繰り返しそうな時に、抑止して頂けますか?信康様…)
「ゴメン、其れは出来るか分からないから、約束は出来無いよ。出来る時は必ずするけどね…」
(出来るか分からないですか…。確かに、ずっと一緒に行動する訳では有りませんが、何か別の理由がお有りなのでしょうか?今の言い方に、其の様な含みが感じられましたが…)
「ん?其うなのか?信康、何か有るのか?」
頭をポリポリ掻きながら
「流石神音だね、其う何だ〜。しかも、2人を怒らせた理由でも有るんだよね…」
罰が悪そうに言う信康。
「ねぇ信チョ、やっぱり怒られると思う?」
「そりゃ怒られるよ…。元々其れ込みで、父さん達を巻き込んだんだもの…」
「だよね〜…面倒い…。あぁ面倒いけど、今回は我慢・ロマン・ボンバーヘアで居ますわ…」
「お前って奴は、如何して言葉に、何か付け足さなきゃ気が済まないんだよ!普通に話せ無いのかよ!」
「アキャッ♪」
「ハァ〜…疲れる…」
一通り、信康とロマンのバカな遣り取りを、生温い目で見ていた聖司と神音。
「お前達の気は済んだのか?未だバカな遣り取り仕様って言うなら、電撃とゲンコツ、ダブルでお見舞いするからな…」
(先程、諌めて頂いたお礼に、私も容赦無くお諌め致します…)
2人の凄む圧に、青褪めながら
「はい…」
「うぃ…」
と縮こまりながら、返事をするのだ。
「で、お前達の企みとは何だったんだ?其れをするには、俺達の協力と、家族の縁と絆を断ち切る覚悟が必要…だったんだよな?」
「何時も抜けてるのに、今回は珍しく理解が早かったね。其れってもしかして、神音との絆感染の影響なのかな?…」
「おまっ…言わせておけば…。悔しいが、確かに俺は抜けてる自覚は有る!存分に有る!だが流石に、コレくらいは分かるぞ?コレでも一応、トップセールスマンだったんだからな!」
「あぁ確かそんな設定だったよね。実際に見て無いからさ、真偽は如何だかフッ…知らないけれどね…」
鼻で笑う信康。
「くぅぉのヤロォ〜〜…。ヨシッ決めた!信康!俺はお前とピッタリ抱きくっ付いて、片時も離れてやらないからな!反抗期だろうが何だろうが、ウザい父親を貫いてやる!寝る時も、風呂入る時も、飯もトイレも全てくっ付いてやるからな!覚悟しておけよ!絶対俺から離れられない体にしてやるからな!コレが親の俺の反抗期だと思い知らせてやるからな!」
其う言ってジリジリと、お前を逃しはしないと、詰め寄る聖司。
「ぅわキモ!…父さん…マジ其れ止めて…。其れにさ、今変態的な事言ったの、分かってる?気付いてる?この変態さん…」
「何だと〜!?俺の何処がキモいんだ!変態何だ!何時変態的な事言ったってんだよ!?」
このオッサン、本当抜けてるよ…と情け無くて泣けて来る信康…。
「父さんって本当、感情が昂ぶるとさ、思考能力おかしく成るよね…。四六時中抱き付いて、俺から離れられ無い体にしてやるって、其う言ったんだけど…。其れ、自分が聞いたらさ、如何感じる?如何思う?確実変態さんじゃんよ…。この変態発言発生機さん」
信康の的確なツッコミで、“あっ!”と成る聖司。
「前回の事が有った後だから、今回は誰も聞いて無いけどさ、家族全員が今の発言聞いてたら如何するつもりだったの?マジヤバい状況に成ってたんだよ?特に護都Gちゃんと、弥夜お婆ちゃんにさ、阿沙ッパの弄りに耐えられる?母さんも多分、白い目で見て来ると思うし、夫婦の危機にも成りかねない発言何だよ?まぁ権也は唯普通に弄るだけだと思うけどね…」
「あぅあぅあぅ…」
信康に、今後如何成るか聞かされ、青褪め冷や汗を滝の様に流す聖司。
「更に言わせて貰えば、僕に四六時中抱き付いてさ、僕が父さんから本当に離れられ無い体に成ったら、完全に2人だけ家族から孤立しちゃうよ?変態の烙印押されてね…」
ハア〜…と、大きく溜め息を吐く信康。
憧れの父親が、此処迄抜けていて、変態だった事実に落胆するのだった。
掛け離れて行く、憧れの父親像。
五千年前のセルジも其うだったのかと考えると、身震いして仕舞う信康でも有った。
遅い反抗期…。
其の反抗期が、良い歳したオッサンが発症すると、こうも変態に成るのかと思って、今反抗期真っ只中で良かったと、目の前の反面教師に複雑ながらも感謝するのでした。
「アキャキャッ♪た〜のし〜!オ〜モロ〜!出来れば其のままの変態聖セイさんでいてね〜♡其うすればね〜絆感染で神音もさ、変態さんに成るもんねぇ〜♪アキャキャッ♡」
ビリビリビリッ!!
「アギャギャッ!オッス!電撃ご馳走です!…コゲッ…」
チリチリチリ…チリチリチリ…
「アギャッ!アッツ!アッツ!アッツゥーー!」
ゴォォォーーーッ…
「はい昇て〜ん…燃え…」
神音の電撃と信康の火焔攻撃を受け、ピクピクするロマン。
其処に
「金剛撃!」
容赦無い、トドメの超強力ゲンコツをお見舞いする聖司。
「ヨッシャー!ワシペッタンコ〜!…ペチャ…」
トドメの超強力ゲンコツが効いたのか、ピクリともしなく成ったロマ…
「パララララッタラァ〜ン!ハイ復か〜つ!」
元気良く、復活するロマン…。
華麗なる復活劇を演じられて、大変満足なロマン。
其れに対し、“やはりな…”と思う信康達。
鼻歌を歌い、ルンルンランランと小踊りしているロマンに、ブチ切れ其うに成る事は無かった。
何故なら
「本当お前ってさ、毎回攻撃喰らう度に何か言うよな…。全く如何して無言のままヤラレ無いんだよ!黙ってヤラレてろよな!」
「全くだ。其れに確実なダメージを与えた手応え、全然感じ無かったからな…。如何成ってんだ?コイツの創りは…?」
(私も其う思いました…。まぁ何と無くですが、ノーダメージのカラクリは、大体の予想が付きますがね…)
と、こう成ると予測していたからだ。
アホな事をする為なら、労力を厭わないのがバカロマン。
何故なら、面白く楽しむには、アホな事をするのが1番だと思っていたのだ。
其れを完全理解していた信康達。
正直バカは放っておけば良いのだが、周りに居る其々を、ピンポイントで苛付かせてくれるから、遂乗せられて仕舞うのだ。
ある意味、人心把握の天才だと言えるだろう…。
恐るべしロマン。
今回も、ロマンの思惑通りに付き合った事で
「へいへいへいへ〜い、いらっしゃいませ〜あっいらっしゃいませ〜、ジャンジャンバリバリ、ジャンジャンバリバリ、今日もお付き合い、ありがと〜ございました〜…。あっジャンジャンバリバリジャンジャンバリバリ〜」
と、超ご機嫌宜しい感じで、7色の光を発光している。
チカチカ光輝く迷惑ロマンに、またツッコミを入れて仕舞いそうに成るのだが、これ以上優越感を持たせて成るモノかと、グッと堪える信康達。
怒りマークを貼り付けながら、大きく溜め息をして、“ヘイヘイヘ〜イ!カモンカモンカモ〜ン!”と煽るロマンを無視し
(([後で必ずシバク!]))
と、心に決める信康達。
「其う言えば神音、お前さっきノーダメージのカラクリの検討は付いてると言ったが、本当なのか?」
聖司が神音に尋ねると
「えっ?父さん分かって無いの?まぁ僕も何と無くしか分かって無いけど、多分神音と同じ事を考えてるよ…」
と信康は、不思議そうに聞くのだ。
「またバカにしてるな!?俺も何と無くだが、分かってるつもりだぞ?唯自信が無いだけで、間違ってたら恥掻くからな…」
(其う何ですか?ではお聞きしても宜しいでしょうか?違っててもバカにする事は有りません。元々正解など、ロマンにすれば如何でもいいと考えてる筈なので、私達が楽しく論議出来れば良いのですから…)
「だね。僕も其う思うよ」
「其うか?其れなら…。俺の考えはこうだ。何十モノ強力な防御結界を張ってるのか、受けたダメージを別空間か次元に飛ばす…う〜ん…別空間にと次元は、面倒臭がりのアイツがす」
「其れ!僕も同じ事思ったよ」
(私もです)
「えっマ、マジ!?」
「マジ!」
(本当です)
「オオォォゥ!?何だ?俺、凄くないか!?」
「………珍しく言い当てたからって、自から凄いと言うのは…大人として如何かと思うんだけれどさ…」
(クスッ…。私は嬉しく思います。何時迄も、素直にお喜びに成れる、そんな聖司様がお好きですよ。我主人だと、誇らしくさへ思えます)
「神の〜ん!何て嬉しい事言ってくれるんだ〜。其れに対して信康、お前の反抗期ってのは、苛っとも来るが、可愛くも思えて来るよ。今の其れ、遠回しの愛情表現なんだろ?えっ?如何何だ?」
そんな訳有るかアホッ!と思うのだが、これ以上はムダに絡まない方が良いと判断し
「あっ分かっちゃった…?見破られて恥ずかしいよ〜」
と、無表情の棒読みで返す信康。
なのに
「ほらやっぱりなぁ〜♪本当、俺の息子はツンデレで可愛いモノだなぁ〜♡何なら、幼い時の様に、抱き上げてヨシヨシしてやろうか?」
とニタニタ顔で、嬉しそうに言って来た…。
堪らず
「爆轟炎覇!」
を聖司に向けて放つ。
「グアッあっつ!っておい!いきなり父親に向かって何してくれてるんだ!!」
こう成る事を予測し、神音がちゃんと防御結界を張り、聖司を守ってくれていた。
一応、神音なら其うしてくれるだろうと信康は、危険な術を躊躇いも無く放ったのだ。
「良かったね、ダメージ其れだけですんでさ。神音に感謝しておいてよね」
其う言いながら、キッと睨む信康。
「父さんのイメージが総崩れする前に、以前の父さんに戻れる様励んでよね…。今のままじゃ、頼りないダメダメ父親にしか、思えなくなって来てるから…」
(其うならない様、私も全力でサポートしますが、信康様の仰る通り、しっかりして下さい…)
2人に叱られ、シュンとする聖司…。
(でも今の言動は、聖司様が信康様を留める為に、ワザとされているのですよね?)
「僕も何と無く其う思ったよ…。途中からだけれど、無理して無理矢理にでも、僕達を引き剥がさない為に、必死に変態を演じていたんでしょ?違う?」
2人の言葉にビクンッと反応し、フーフーと音の鳴らない口笛を吹き
「ななな、何の事かなぁ〜?俺は思った事をしてた迄何だがなぁ〜」
と、下手な演技で誤魔化そうとする。
後頭部で手を組み、鳴らない口笛を続け、白々しく目を合わせ様としない聖司に、呆れて来る信康が
「ヘッタクソ!マトモに口笛も吹けないの!?本当に自分の思った事をしてたとしたら、マジ変態確定何だけど!?っとに…」
聖司を罵倒しながら
「!!?」
聖司に近寄り、そっと抱き付く信康。
「なな、どど…」
驚いて、言葉が上手く出ない聖司。
「本当に僕が居ないと、ダメダメに成り其うで、離れられ無く成っちゃうよ…。前にも皆んなに言ったけど、僕の決心を揺るがさないでお願いだから…」
震えながら、目に涙を溜めて、更に強く抱き付く信康…。
うぅぅ…と声を押し殺し、必死に泣かない様にする信康を見て、聖司も少し強めに信康を抱き締めた。
「信康…一体何を企んだのか、ちゃんと教えてくれよ?内容によっては、ダメだと言うかも知れないし、神音には悪いが、ずっと一緒に、お前と共にいてやる気でもいるんだ…。だからな、俺達に何がしたいか、するのかちゃんと答えられるよな?」
愛しい息子を守ろうと、ギュッと抱き締める聖司。
聖司の其の温かさに、やはり理想の父親だと思えた信康。
「分かったよ…。でも怒る確率がきっと高いから、言うの躊躇っちゃうよ…。でもちゃんと言うからさ、途中で横槍入れないで、最後迄聞いてくれる?」
聖司に記憶を渡す時も、今回も同じく、信康の決意と覚悟の強さは何時だって、家族を思っての覚悟なのだと、特に聖司の事を思っているんだと、其う思えていた…。
「…あぁ分かった…。夕香が覚悟を決めたみたいに、俺も父親として覚悟を決めるよ。横槍入れないから、ちゃんと信康の思ってる事を話してくれよ?良いな?」
「うん、ありがとう。お〜いロマン、フザケタ振りはもう良いから、こっちに来て2人に説明するぞ〜」
“ハァ?フザケタ振り!?”と、キョトンとする聖司と神音。
「永年の付き合いの神音でも知らなかっただろうけれど、コイツってさ、周りのモノに気を遣っててさ、暗く成るとか辛く成る時に、ワザとフザケて場を和ごますみたいなんだよね…」
「(………エッ!?)」
コイツ何言ってるんだ?気は確かか?頭がおかしく成ったのか?と、疑いの目で見る聖司と神音の気配。
「其の気持ち、良く分かるよ…。でもね、其れ本当何だよね…。ほらアイツ、超〜を遥かに超えた面倒臭がりでしょ?雰囲気が暗くなるとか、辛くなるや誰かが怒ってたり、気が沈んでるとさ、其れが面倒だと思うみたい…。だから面倒事避ける為にね、ワザとフザケてるみたい何だよね…」
信康の説明に、これ迄のロマンの行動を思い出してみると、凄く納得して仕舞う2人。
(の信康様、其れを何時気付いたのですか?信康様よりも、遥かに永い時を共にして来たのに、私は気付く事など出来ませんでした…)
信康以上の解析力を持つ神音が、自分には分から無かったと言う。
其の言葉に少し嬉しく思った信康が
「其れはしょうがないと思うよ。だって、永い時を共にしててもさ、四六時中一緒にとか、今迄こんな風に、沢山のトラブルや危険な目には、遭わなかったんだよね?自由気ままな行動をとった時くらいでしょ?一緒に過ごした時って。其れにさ、最初の僕達が殺されてから以降、其々が自分の意思で各時代各地で、眠りに着いたんだから尚更だよね…」
信康の的を得た説明に、すんなりと納得する神音。
(成る程…。確かに其う言われれば、ロマンの言動を理解出来ますね…)
「だってさ、ロマン。だからコッチに来いよ、僕に言い当てられて恥ずかしいのは、分かったからさ」
「この〜バカチョ〜!何でバラすの!おかげで今後、アホな事出来無く成ったじゃないの!折角楽しんでたのにぃ〜!!」
「って事だからさ、今後は大目に見てやってくれる?」
(……ですね、分かりました信康様…)
「……話は終わりか?終わったのか?ったく、俺を置いてけぼりにしたまま、本来の説明もせずに…。取り敢えず、俺達に話さなきゃいけない事を教えなさい、信康とロマン」
聖司がムスッとしながら、本来の説明を急かして催促する。
「あっ!其うだったね…。ゴメン父さん、ロマンの言動を少しでも理解して欲しくて、其方を優先にしちゃったよ…」
「分かった分かったから、早く聞かせなさい」
「うん了解。取り敢えず僕達、過去のバカ共を懲らしめに行こうと思ってるんだ〜」
「ンン?ハァッ?過去のバカ共?其れ、誰の事何だ?」
「神音なら、大体の予想は付いてると思うけど、ちゃんと言っておくね。勿論バカクソロキ!其れにロマン達を創った創造主ってボケをね…」
ロキと創造主を言う時の、信康の表情は、怒りに満ちていた。
(ロキと創造主をですか!?確かに私達の宝具の力で、過去には行けます。ですが創世主は良いとして、ロキに会うのは不安定な次元を越える、危険を伴いますし、何よりも其の時代に私達は存在していません。知らない過去には行く事など出来ませんよ?)
神音の言葉に、信康とロマンがニヤッとする。
「其れがさ、確実にとはいかないけれど、ロキを見付ける事は出来そうだし、会いにも行けそう何だよね〜」
「ハァン?其れは如何やれば良いのかも、ちゃんと分かってるって事なのか?」
「其うだよ。えっとね、神音からの依頼が有ったから、可能に成ったって言えば良いのかな?でね…」
信康の説明はこうだ。
実は既に、ロキのバカ遺産は全て回収済み。
運良く1つ目のアイテムを手に入れた時、やはりクソアイテムだったので、これでは探すのが面倒だと、信康が手伝いロマンに、ロキの遺産の波長のモノを一気に引き寄せるシステムを開発したのだ。
其のシステムを使い、全てのアイテムを回収し、どんな機能が有るのかも調べた結果、100以上ものアイテム全てが、クソアイテムだと判明。
ブチ切れる信康とロマン。
システムを開発していなければ、無駄な努力をしていただろうと思うと、“流石”だと自分達を褒めてやりたかった。
この時点で、ロキをシバキに行く事が決定。
更に創造主も、信康が個人的にシバくと確定したのだ。
何度も定期連絡をする神音に、其の事を言えば、確実止められただろうし、無理矢理2人で行こうとすれば、聖司が一緒に行くと言い出し其うだからと、言わずにいたのだ。
ロキの元へ向かうと確定してからは、ロマンと綿密に作戦を立て、今迄其の作戦通りに過ごして来た。
所々で、他の家族も傍受している事に気付き、これから自分達がする事によって家族の身に、何かしらの影響が有ってはいけないと思った信康は、家族の縁と絆を切ると言える状況に成る様、細かな微調整をしながら、今迄ずっと嘘を演じて来たのだ。
其の嘘に、如何しても聖司と神音の協力が必要だと思ったのと、後は懸念する事を聖司に任せたくて、お叱りのゲンコツ覚悟の上、ロマンと2人、バカをし続けていた。
そして今、信康の思惑通りに事が運んでいて、予測通りだったなら、聖司からのお叱りのゲンコツにビクビクしていた。
だがお叱りゲンコツでは無く、これでもか!と言う程の力で抱き締められた。
「ウギィッ〜!くくく、苦…し…お、折れる…せ、背骨…お、折れる…」
本気で折れ其うに成る信康。
「今度からお前のお叱りお仕置きは、コレにするからな!如何やら其の方が、お前には効き目が有るみたいだしな…。父親に抱き締められる恥ずかしさと、反撃出来無い程に締め上げないと、反省し無さ其うだしな…お前はな…」
「グテ…」
キツく締め続けられた信康が、伸びて仕舞う。
「…で、俺達にさせたい事とは何だ?失神してる振りをしてないで、早く答えなさい!答えないなら、お前が赤ん坊の時にした様に、顔中チュッチュッしてやろうか?高い高いしてやろうか?」
信康限定で、こう変態的な事を言えば、即座に従うと判断した聖司。
思惑通りに
「ロマンに預かって貰ってる、クソアイテムを全て渡すから、出来れば改良して使える様にして欲しいのです…。其れと、僕達が安全に行き来出来る様に、サポートをお願いしたく…」
素直に答える信康。
しばし間を空け、溜め息混ざりで
「はぁ…あぁ分かった。お前の頼み、ちゃんと聞いてやるよ。でもな、やはり家族との縁と絆を切るのは、了承出来無い。縁と絆を切られても、誰も他人と思わないぞ?逆に助けに成るって、思ってくれる筈だぞ?其れなのに、如何してあんな事言ったんだ?」
嘘を言わせない為に、未だキツく抱き締められたままの信康は
「僕達が過去のロキと創造主に会って、歴史が変わるかも知れないし、何よりもあの使者がこの事を知れば、其れを真似して家族を殺される以前に戻って、殺される前に僕達を殺そうとしないかって、其う思ったから…」
本当に、先の先迄考えての行動なのだと、聖司と神音は思ったのだった。
締め付けるのを止め、信康の頭をわしゃわしゃと撫でる聖司。
「お前ってヤツは、本当に先を考えて行動してるんだな…。あぁ分かった。お前の頼みを聞いてやるさ。だからな、何が有っても必ず無事に帰って来るんだぞ?良いな?」
「う、うん…」
「多分皆んなも、何故お前があんな事を言ったのか、ちゃんと理解してる筈だ」
「きっと其うだよね…」
「だから誰もお前を責めるヤツ何ていない。一応皆んなには、真相を伝えておくが、別に良いよな?」
「……うん、良いよ…」
「うんうん、ヨシッ。其れじゃ、お前のやりたい様にして来なさい。俺達は、あの場所で待ってるから…」
「うん、ありがと父さん…」
「ん…其れじゃロマン、俺達の気が変わら無い内に、信康を安全に連れて行ってくれよ…」
「アイアイッ!ま〜かせて〜チョ♪聖セイさんも、神音もまぁ〜たね〜!げ〜ん気でね〜ん」
(しっかりお役目果たすのですよ、ロマン…)
「言われなくても、ホイホイサ〜」
「其れじゃ、またね。ロマン、後宜しく」
「ラジャー!」
クソアイテムに残るロキの波長を増幅し、集中したロマンが、遥か過去に居るロキを見付け出す。
そして、ロキをロックオンしたロマンは、直ちにロキ目指して、異空間へと飛び去って行く。
“元気で”とだけ、言い残して…。
逞しく成ったんだと思えた聖司。
其の聖司の目の前には、山積みに成ったクソアイテムが有った。
信康の無事を祈りながら、目の前のクソアイテムを如何するかと、神音と共に悩むのだった…。
第72話 は〜るばる〜行くぞ!アンタの元へ 完
未だ、信康とロマン編が続いてます。
本当なら今月中に、此方の小説と、キューと僕の思い出日記を各2話ずつ、投稿しようと思ってました。
ですが、元日の出来事で、僕自身には被害は無かったのに、身内や親族が、直に災害に襲われて、今も厳しい生活をしてます。
メンタル弱の僕は、其れを思うと、なかなか執筆活動出来なくて、昨日やっと完成出来ました。
毎日は無理でしたが、2・300文字程を書いては止め、書いては止めを繰り返し、何とか…って感じです。
今後は、もう少しだけ気持ちを切り替えて、少しでも早く完成させ様と思います。
では次話をお待ち下さい。