信康とロマン編 8
阿沙華、権也、弥夜編とは違い、話数を7話で統一しようと思ってましたが、信康編からは、統一と法則を無視する事に決めました。
何故ならロマンが自由過ぎて、収まりきれません。
今話もそんな感じの内容に成ってます。
では本編をどうぞ〜。
第71話 作戦成功…?
僕に平穏と言う言葉は似合わ無い。
唯、格好付けて言ってる訳じゃ無い…。
本当に平穏とは掛け離れているから、似合う似合わ無いと言う言葉すら、言って良いのか分からないんだよね…。
だってさ、今目の前に居るコイツを叱る為に、無理してコッチに向かう父さんと神音に、申し訳無く思ってるのにさ、先程迄“ヤバい、叱られる…。チッ面倒臭い!”と、アタフタしながらフザケタ姿で、ウロウロ宙を舞っていたのに、今は
「フニャムニャ…スースースー…フヘヘェ…アキャキャッ真剣白髪抜き!…スースースー…」
爆睡して、変な夢を見てるよ…。
なぁ〜にが真剣白髪抜き何だ!?
如何して真剣白刃取りの白刃が白髪に成ってるんだよ!
何抜いてるんだよ!
しかもさっき迄羽の生えた人参だったのにさ、今は更にフザケタ姿に変わりやがったんだよ!?
どんな姿だって?
其れ聞く?
まぁ良いや…魚の串焼きで、魚が焼かれてるのにピチピチ跳ねてるんだよ…。
其処は大人しく、焼かれて死んでおけよ!
爆睡してるのに、ピチピチ跳ねてるんじゃ無いよ!
このバカロマン!!
ねっ?こんな状況何だよ?
平穏とは程遠いでしょ?
「……………」
チリチリチリ……
「……熱っ!熱っつ!アチチィ!アギャアギャッ!!焼けるぅー!!コンガリ焼ける〜〜!!美味しく焼けちゃう〜〜!!って何また人を焼いてくれてんのよ!」
「…………」
チリチリチリ……
「アッギャギャギャギャーーーー!!熱いって言っ」
ゴオォォォーーーッ!
「しょ〜て〜〜ん……コゲッ……」
アレだけピチピチしていた串刺し魚のロマンがピクリともせず、こんがり焼けて昇天した様だ。
「ふぅ…やっと昇天したか…。ロマン、ありがとう。僕の為に、美味しそうな焼き魚に成ってくれて、本当にありがとう!お前の尊い其の思い、しっかり受け止めるから…。ありがとうロマン!…お前の事…決して忘れないからね…。本当にありがとう…美味しく頂くよ…」
パァ〜パパァ〜〜
空からロマンを迎えるかの様に、串刺しの焼き魚に光が射してくる。
「良いんだよ〜信チョ〜…。ワシが信チョの役に立つのなら〜…。其れじゃぁ召されて来るねぇ〜…何時かまた会おうねぇ〜…バイバ〜〜〜カ!このアホのバカチョめが!!アンタ何しでかしてんのよ!!」
「チッ…クソが…無駄に頑丈だよ…。あっロマン、おはよう♪熟睡しながら日光浴してたからさ、火焼けしたいのかと思ってさ、其れなら僕が、少々火焼けの手伝いしてやろうかなって思ってさ、チリチリ焼いて上げたんだけど、如何だった?」
「あっ其うなの?なぁ〜んだ、其うだったのねぇ。おかげでコンガリ焼けましたわ〜♪」
「おお〜、其れは良かった♪いやぁ〜、何せ焼くの初めてだからさ、火加減の調整中々難しくってさ、弱過ぎてダメかな?って思ってたんだけれど、最後の強火力がロマンに合ってたみたいだね〜。上手く行って良かったよ!」
「本当〜バッチリ!さぁ〜すがワシの主人、分かってる〜!ヨッ信チョ〜〜この〜ヤロ〜ブチのめす!!アンタもボーボーゴーゴーコンガリ焼いたろかい!!」
ドゴーーンッ!ドドドドドーーーンッ!!
焼いたろうかい!と言う前に、火焔流星群を既に放っていたロマン。
「ウワッ!ウヒャッ!熱っ!バッバカやろ!言う前に放ってんじゃ無いよ!危ないだろ!!殺す気か!?」
「ヘッ!殺そうにも、既に死んでますがな!其れにアータさんは、殺しても死なないタイプでしょーが!!何かしらの保険を掛けて、生き延びるタイプでしょーが!!」
ロマンが言った事は、まさに其の通りなのだ。
生命や身の危険を最小限にする為に、数多くの策を張り巡らせ、所謂保険として、色々と仕掛けを施していた。
だが、言わなくても良い言葉を使って仕舞ったあの言葉は、本人達以外に言われると、かなりキツい言葉だった。
其れも、主従を結んだモノからだったから、尚更堪えて仕舞うのだ…。
「…………フッだよね……既に死んでんのに、殺す気かって…笑えるよね…ハハッ……」
本気で傷付いた信康は、其の場をピクリとも動かず、ロマンの放つ火焔流星群を避け様とはしない。
更に、先程も言っていた保険をも、発動を解除していた。
ロマンも、信康なら保険を効かせた上で、ロマンの攻撃を交わしながらも、術や技で応戦して来るモノだと思っていた。
一応我主人なのだからと力をセーブし、ギリギリ当たらない様に、コントロールして攻撃していたのだった。
本体を得た、今のロマンと信康の力の差は歴然で有り、其れを踏まえての攻撃だったのだ。
なのに、其れも無駄に成る。
本当にギリギリだった為、今信康が立ち止まってる場所に、火焔流星群が容赦無く降り注ごうとしていた。
「危ない!信チョーーーーッ!!」
声を張り上げ、叫ぶロマン。
逃げろ、避けろと思って叫んだのだが、其の場から動こうとしない信康。
慌てて火焔流星群の軌道を変えようとするのだが、時既に遅く、全くコントロールが効かないのだ。
「の、信チョーーーーッ!!」
叫ぶロマンに、悲しげな笑みを浮かべ、目を閉じる信康。
「の…信チョ…」
もう間に合わないと悟ったロマン…。
「雹風月疾風脚!!」
其の声と同時に、信康に多重結界が張られ、降り注ぐ火焔流星群は凍り付き、音を立てて砕けて行く。
「「!!」」
威力を弱めていたとは言え、魂が消滅しそうな程の高出力の火焔流星群を意図もアッサリ破壊し、其の上、其れによって発生する衝撃をも、防御結界で守られた事に、信康とロマンが驚く。
「大丈夫か!信康!?」
「と、父さん…」
(ご無事ですか?信康様)
「か、神音…」
間一髪、信康を助けたのは聖司と神音だった。
2人のおかげで信康は助かり、あわや主人を消滅させて仕舞う事に成り其うだったロマンも、其れを避ける事が出来たのだ。
そして聖司と神音により、躾と言う名の制裁が、激しく繰り広げられ、瀕死の状態に成るロマンだった…。
「で、コレで満足なのか?お前達の希望は叶ったんだよな?」
「えぇ…はい…」
(其れは大変宜しい事で…。私も大変嬉しく思いますよ、信康様にロマン…)
「うぃ…」
何故か聖司と神音の分身体の前に、信康とロマンの2人は正座をしていた。
聖司の額には分かり易く、怒りのマークが貼り付けられている。
分身体で表情が分からない筈なのに、何故か神音にも同じマークが貼り付いているのが分かるのだ。
信康とロマンが、何やら2人を怒らせた様だ。
信康とロマンは、何をして2人を怒らせたかと言うと、先程迄繰り広げられた信康とロマンの喧嘩は、実際には行われては無く、2人の妄想を唯映像化したモノだった。
妄想を映像化したのは神音。
2人の心理にアクセスして、其れを映し出していただけなのである。
何故この様な状況に成っているのかと言うと、余りにも自分勝手なロマンを躾ける為に、わざわざ信康の元へと向かう事にした聖司達。
聖司は、大事な息子の為に。
神音は、ロマンを叱り付ける為に。
唯神音は、永年叱り続けて来たせいか、其れが何時しか趣味と生き甲斐に成っていた様で、ロマンを躾ける許可を得た事が嬉しくて、心が弾んでいる。
其の証拠に、如何やって躾ようかアレコレ考えては、クスクス笑うのだ。
絆が深まり思考が伝わる聖司にしてみれば
(神音ってこんな性格してたんだな…メッチャ怖いんだけど…。コレはコイツを怒らせない方が、絶対良いよな…)
と、神音が怖くて無言を貫く聖司。
本来なら、時間や次元の移動に莫大なエネルギーを使う為、省エネモードで、エネルギー消費の少ないルートで向かうのが当たり前で有り、タイムトラベルも、場所やこの時間に到着したいと狙っても、様々な次元や時間が異なる為、到着する場所や時間がズレるのが普通なのだ。
家族全員でピカさんの記録を頼りに、初めてのタイムトラベルをした時も、其れが1つの要因として、信康の思った時間とズレが生じたのだ。
ロマンや巫阿燐にカンちゃん達の様な、宝具の助けが有ったとしても、宝具達が其々に思い描いた場所や時間からは、かなり離れているのが現状だった。
其れ程難しいのに、ロマンを気が済む迄ボコボコに出来るのだと思うと、気持ちが高揚して心が弾む神音は嬉しさの余り、普段の数十倍ものやる気と集中力で寸分違わない所か、思っていたよりも早く、信康の元に到着するのだった。
信康の元に向かう途中念の為に、ロマンが逃げて雲隠れしないかと、監視していた神音。
何せ、面倒事を嫌うロマンが本気を出して逃亡すれば、見付け出すのに、どれだけの労力が必要なのかを理解している神音。
何故なら過去に、嫌って言う程、何度も同じ事をされて来たのだから…。
其うさせない為に監視をしていた時、ロマンと信康が談笑しているのを見た神音は
[おかしいですね…2人が談笑してるだなんて。先ず其れは考えられません…。私達が出向く程に仲が拗れていた筈なのに、楽しそうに笑って話を弾ませてるのは何故でしょう…?私達が向かっている最中に、拗れが解消したのでしょうか?其れだったなら大変喜ばしいのですが、何でしょうか…しっくりしませんね…。取り敢えず音声音量の調整をして、話を聞いておきましょうか…]
2人の会話を聞き易くする為、音声音量の調整をし、聖司に2人の遣り取りの映像と共に会話を聞く。
(聖セイさん本当に来るかなぁ〜?)
(大丈夫、絶対来るって)
(ワシだったら、行くって言いながら、面倒いから絶対行かないけどねぇ〜)
(確かにお前基準だったならな。でもお前には、父さんが如何映ってるか分からないけどさ、スッゴク正義感強いし、逞しくて頼りになるんだぞ?元々腕っぷしも有るのに、過去の父さんの経験の記憶が足されてさ、格闘も生前より強く成ってるんだから)
(ありゃ〜?ちょっと前迄あんなに反発しよったのに、なあ〜に嬉しそ〜に大褒めホネハネしちゃってんのよ〜ん。さては、ファザースープレックス掛けちゃってる〜?)
(其れを言うならファザーコーンスープレックスだろ!ったく、何父親を飛ばすプロレス技キメてんだよ!)
(アキャッ!で、如何なのよん?聖セイラブライクのファザコさんですか?如何ですか?)
(お前…僕を揶揄うの好きだよな…)
(あらまぁ〜何言ってるの!?そんなの当たり前じゃ無いの!其うじゃ無きゃ、主従関係結ば無いっての!で、如何なのよ!?早く答えなさいな!)
(否定し無いのかよ!ったく…。確かにファザコンかって言われれば其うかもって思うけど、家族皆んなの事が好きだし大切だよ。唯、其の中で父さんが1番だと思うだけ。其れだけの事だよ…)
(つまらん…。オモロ無い答えでつまらん…。まぁファザコさんだって事は分かったから、如何でも良いっスわ。で、この後如何するの?そろそろ来ちゃうよ?)
(このボケ…如何でも良いって…。ふぅ〜…其うだね、そろそろ父さん達来ちゃうよね。何せ神音が、ロマンをケチョンケチョンにしたいみたいだし、其の圧に押されて向かった筈だから、後半日くらいで着くかもね)
(半日ねぇ〜。其れなら少し時間に余裕が有るね〜。ワシ達が啀み合ってるって思わせないといけないから、ド派手にしちゃう?)
(其うだね…派手にドンぱちしてさ、ロマンが言ってはいけない言葉を使ってさ、僕が其れに心痛めてさ、消滅を選択してワザと攻撃を受けようとした時に、駆け付けた父さん達に救われ、2人にボコボコにされそうなロマンを庇い、許して欲しいってのは如何?)
(アァッ!?其れワシだけ悪党や無いの!)
(だから良いんだよ。其の方がさ、僕達もすんなりと仲直りして、絆を深められましたって言えるだろ?)
(………確かに……。何か納得しないけど、うん其れで行きますかぁ〜)
(ヨシ決定!だから上手く演技してくれよ?)
(アイアイサー!)
其の後、ケラケラ笑う2人に怒りが沸いて来る聖司と神音。
「神音、最大出力で電撃浴びせろ!」
(はい、了承しました♪)
手加減無しの最大電撃を撃ち込まれ、声を上げる事すら出来ずに気絶する信康とロマンでした。
意識を取り戻した2人の前に、聖司と神音が仁王立ちで、2人を見下ろしていた。
で、今現在に至っています。
霊体なのに、最大電撃を浴びた信康は、チリチリボンバーヘアーに成っていた。
其の状態で、シオシオとしてる姿に
「……信康、お前本当に反省してるのか?何だ其の頭は…。霊体に成っても、電撃喰らうとこう成るもんなのか?不思議なもんだな…」
(いえ、其れは違います)
「んん?違う?」
(はい。肉体が有った時でしたら、強力な電撃によっては有り得ますが、霊体の今は有り得ません。霊体に変化が見て取れるのは、其の者のイメージが其うさせているのです。ですから、信康様の今の姿は、ご自身のイメージが反映されているのです)
神音の説明により、このふざけた髪型は、信康のイメージが反映されてると知る。
実際、聖司も何度か経験していたから、成る程と納得するのだ。
実際に、夕香の怒りの暴走により、しっかり顔が腫れた経験を既にしていたのだから…。
そして其の記憶が蘇り、1人青褪めて震えるのだった。
(如何されました?)
「いい、いや…べ別に、ななな、何でも無いよ」
(?…其れなら良いのですが、とても其うだとは思えません…)
「ほほほ、本当に何も無いから!…で、このフザケタ姿は、信康のイメージが其うさせてるんだよな?」
(其れは間違い有りません。魂の形の変化は、其の者のイメージが強く反映されますので)
「ったくロマンといい、お前迄フザケタ性格に成って来てる様だな…」
(其れも致し方無いと思われます。アレだけ啀み合ってても、ロマンとの絆が強く結ばれてる様ですので、ロマン病に色濃く感染されてるみたいです。其の原因菌が何、串刺しの焼き魚のまま、器用に正座するとは、本当に貴方らしいと言うか何と言うか…)
「アキャッ♪」
ビリビリッ!
「アギャア!!」
(誰も褒めてません!何嬉しそうに笑って返事をしてるのです!)
「ヒクヒクゥ…ヒクヒクゥ…グテ…」
気を失うのなら、何も言わずに倒れたら良いのに、ワザワザ効果音を付けて倒れるロマンには、未だまだ余裕が有りそうだ。
「……確かにコイツを見てたら、信康に多大な影響を与えた様だな…」
(申し訳ございません、聖司様信康様…)
「何を謝っているんだ?神音…」
「其うだよ、今の状況なら僕達が謝らなきゃいけないのに、何故神音が謝るのさ…」
(まさか絆感染するなんて、思ってもいませんでしたから、コレまで何も対処をして来ませんでした…。こうなる事が分かっていたなら、ロマンが創られた時、全力を持って潰していたのに…。口惜しいです…)
過激な発言をする神音。
戦々恐々と震える3人。
特に聖司は神音の主人で有る為、神音の怒りの深さが底知れず、更に信康のサイコさんをも感じて仕舞い、心中穏やかではいられなかった。
「か神音…一旦落ち着こう?そんな怖い言葉、神音には似合わないからさ、一旦落ち着こ?なっ?」
サイコ持ちの信康が、神音のご機嫌を取る。
(信康様…。私は常に落ち着いてますし、そんな怖い言葉を言いましたか?少々納得致しかねますが、信康様の仰る通りに、気持ちを落ち着かせます…)
おいおいおい、充分怖い事言った自覚無しなのかよ!?と、思いながらも
「あ、ありがとう…」
を言い、これ以上余計な事を言わないと強く思うのだった。
(其れでお尋ねしますが、何故こんな愚行をされたのですか?速やかにお答え頂けますか?)
過激思考の神音に其う問われ、怒らせ無い為にも、素直に直ぐ答え始める信康。
「あっえっと…」
(速やかに簡潔にお願いします)
「は、はい!僕達の元に、父さんと神音に来て貰いたかったんです!」
(えっ?聖司様と私に来て貰いたい?…其れは如何言った事ででしょうか…?)
「俺と神音に来て貰いたいとは…。ん?何だ?アレか?俺が恋しかったのか?寂しかったのか?其れなら其う言えば良かったのに…。お前の為なら幾らでも会いに来てやるのに…」
信康が聖司に甘えたいのだと思い込み、“も〜甘えん坊さんだなぁ〜”と、ニタニタ嬉しそうに笑いながら言う。
其の顔にイラッとするが、速やかに簡潔に答えないと、面倒な事に成り其うだと、聖司を無視する事にした。
(ロマンが面倒がるのも納得するよ…)
「2人に来て貰いたい理由何だけどさ、実は手伝って欲しくて何だよね…」
(手伝い?)
「ん?手伝い?何だ?俺に甘えたいだけじゃ無く、手伝って欲しいのか?」
「ウッサイ!ワザとスルーしてたのに、何時迄お子ちゃま扱いしてんだよ!ちょっとは有るけどさ!この歳でのお子ちゃま扱い恥ずかしいって、前にも言ったでしょ!」
「おおっ?反抗期再来…。でもちょっとは俺に、甘えたかったんだよな?」
「〜〜〜………父さん、1つ忠告しとくよ…」
「ん?何をだ?」
「家族皆んなが、僕達の会話を何時でも聞けるって事…。前に神音が、家族皆んなにお願いして、僕との会話をしてたの忘れたの?」
「………あっ!」
「本当抜けてるよ…。皆んな超の付く野次馬さんでしょ?多分、家族の中で1番面白い事しでかすのって父さんだからさ、暇さへ有れば傍受してる筈だよ…。其れにさ、ロマンって言う存在も居るから、尚更聞いてると思うよ…」
「ああぁぁ…其れマジなのか?…」
「だよね、護都Gちゃん阿沙パッパ?其れに敢えて言わせてね、弥ンボーお婆ちゃん。権也と夕チョ母さんも聞いてるだろ?違う?」
(ギクッ)
(だ、誰が阿沙パッパなのよ!)
(あら信チョ…。しょうがないわね、今回は許して上げますね…)
(バレてたの?ねぇ信兄ちゃん?…)
(ウフフ、流石信チョねぇ〜♪賢い賢い♡)
「ね?…」
「…………」
信康の予想通り、残りの家族全員が同時に聞いていた様だ。
この様子だと、信康と聖司との会話は、かなり前から聞いていたと思われる。
ワナワナする聖司とは打って変わり、信康は冷静に
「家族の絆を切りたいのなら、其のまま僕達の会話を聞けば良いよ。盗み聞きする様な人とは、何時でも縁と絆を切るから其のつもりで…。後は其々好きにすれば良いからね…。ご自由に…」
スパッと縁と絆を切ると宣言する。
余りにも堂々と言うモノだから、信康にもオドオド狼狽える聖司。
(の、信チョ、其れ本気か?なぁ本気なのか?)
「本気…。僕の性格知ってるでしょ?護都Gちゃん」
(ややや、やぁ〜ねぇ〜、そんなに怒らなくても…)
「怒る?僕が?其れは如何だろうね、阿沙パッパ…」
(悪かったわ信チョ、嘘でもそんな事言わないでね、お願い)
「言わないと分からないだろ?お婆ちゃん…」
(僕もなの?僕、ロマンと話したかっただけなのに、其れもダメなの?)
「お前は保留って事にするよ、権也」
(あら、逞しい事言える様に成ったのね?嬉しいわ〜♪やはり1人旅は、人を強くするのねぇ〜。コレで安心して旅を続けさせられるわね〜、ウフフ〜)
「2人何だけど…相変わらずちょっとズレてるよ…夕チョ母さん…。ハァ〜…母さんも保留だね…」
(でもね信チョ…う〜んやっぱりこの呼び方、しっくり来ないわね〜、止めましょう。あっ其うそう信康、ちょっと良いかしら?)
「えっ何?如何したの母さん…」
(信康貴方、さっきから縁を切るだとか、何だとか言ってるけれど、切るなら今直ぐ切りなさい。後、保留だとか言ってましたけど、其れはこっちから願い下げよ…。保留など、して欲しくは無いですから)
「えっ……」
(確かに盗み聞きは良く無いわ、悪い事よ。でもね、盗み聞きしたくてしてたんじゃ無いのよ?其れにね、貴方も盗み見してたわよね?忘れた何て言わせませんからね。聖セイ…違うわねぇ、やっぱり聖司さんの方が良いわ〜。でね、聖司さんと私がキスしてたの見てたでしょ?)
はい、其の通りです…と、思わず言いそうに成った信康。
「ゆ、夕香〜!ちょちょ、ちょっとこんな時に、皆んなが聞いてる中で、キスの時の事を言わなくても〜〜」
アタフタしながらニヤケ顔の赤面聖司が言うが
(いいえ聖司さん、こんな時だからそこ言わなきゃダメでしょ?コレでも一応母親何ですから。本気にしろ脅しにしろ、家族の縁と絆を切ると言ったからには、其れ相応の覚悟と決意に、ケジメを伴う事分から無いで言ったのなら、今此処で、其れを分からせなくてはいけませんから…)
何時もの穏やかさは一切無く、優しい口調では有るが、凍て付く様な冷たさを感じずにはいられない…。
「ゆ、夕香…。で、でも、キスは濁して欲しかった…」
(あら聖司さん、恥ずかしいの?)
「ウッ…」
(ふふっごめんなさい。唯、ずっと信康ばかり気にして構ってるモノだから、ちょっと意地悪しちゃいました〜。其れでも信康の発言は許してはダメ!其れを許して仕舞えば、本当に家族の絆が消えて仕舞いますもの…)
「…確かに其うだな…」
(で、信康。貴方は如何思ってるの?ちゃんと答えなさい)
夕香が、本当の所は如何なのかと聞く。
其れに対して信康は…
「分かってるよ。分かった上で、覚悟して言ったんだから」
元々其のつもりだったと答えた。
「(((!!!)))」
夕香の問いに即答した事で、本気だったのだと知り、驚く一同。
(…其う…。分かったわ、貴方が本気だったと言う事…。後悔は無いのね?)
「反省はするけど、後悔は無いよ…」
(其う…。貴方に其処迄の覚悟が有るって事は分かったわ…。悲しくて残念だけど、覚悟を決めたのだから、これ以上何も言わ無いわ…。後は、信康の思う様にしなさい。でもコレだけは言っておくわね。私は貴方を愛してるし、縁と絆を切られても、私はコレからもずっと貴方の母親で居るから…)
信康の覚悟と決意に、夕香もまた、母親としての覚悟と決意を聞いた聖司達は、何も言え無い…。
言って仕舞えば、其の決意を冒涜して仕舞うと思ったからだ。
「うん分かった…ありがとう母さん…。其う言う事だから、僕が其うすると決めた時は改めて伝えるから、今回は此処迄。皆んな、通信切るからね…」
其う言って、強制的に通信を切る。
「信康…」
(信康様…)
何を如何声を掛けて良いのか分から無い、聖司と神音…。
「アキャッ上手く行ったね!信チョ〜!!」
「あっバカ!未だ作戦の途中だろ!そんな事言ったらバレちゃうじゃないかよ!」
「(…………)」
「あっ其うだった!でも大丈夫大丈夫〜!聞こえて無い聞こえて無いって〜」
「あっちょっと止めろよ!そんな大きな声で!」
何やら楽しそうなロマンと、はしゃぐロマンを止めようとする信康。
其れを見ていた聖司と神音は
「おい信康、作戦の途中とは何だ?分かる様に教えなさい」
(まぁそんなに楽しそうに…。何やら企みが上手く行ったみたいですね…ロマン。其の企みとやらを聞かせてくれませんか?)
ポキポキ指を鳴らす聖司と、禍々しいオーラを2人に纏わり絡め、逃げられない様捕縛する神音。
「ウギィッ!」
「本当このバカ!お前のせいでバレちゃったじゃないかよ!バカロマン!!」
「なぁ〜におぉう!?おバカさんはアータでしょうが〜!何ならおバカ決定戦したろうかい!!」
「望む所だよ!!」
ギャーギャー騒ぐ2人に
「神音、やれ!」
(喜んで♪)
問答無用に、電撃を浴びせる聖司と神音。
「お前等2人共、バカNo.1だ!」
(ハァ〜…ですね…。其のおバカさんに酷かもですが、如何言った事なのかを上手に、簡潔に経緯を説明して欲しいのですが出来ますか?)
「「はい…」」
逃げられない、避けられないと悟った信康とロマン。
相変わらず信康の頭は、爆発ボンバーヘッドに成っている。
其れに付け加え、何故か串刺し焼き魚のロマンも、爆発ボンバーヘッドに成っていた。
このフザケタ姿で、事の経緯を説明するのかと、情け無く成る聖司と神音なのでした…。
果たして、2人が悪巧みした作戦とは一体何なのでしょうか…?
“次回、驚愕!2人の野望の全容!”
をお待ち下さい…。
第71話 作戦成功…? 完
人生初の投稿日が、去年の12月28日でした。
今日の投稿で、丸1年なんですよね。
其の為今月は、この1話だけを投稿しようと、決めてました。
記念として、これからも書き続ける為にも。
では、次話を来年迄お待ち下さい。
良いお年を〜。