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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
終わりの始まり
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語られる者、語る者 その3

第7話 語られる者、語る者 その3


 聖司たちは、光の主から語られる言葉を1つ1つ、聞き漏らさない様に、真剣に聞き入る。

 光の主は語る。

「其方達の突然と思われている死は、突然や偶然では無い。初めから決められて定められていたモノなのだ…」

光の主は、聖司達の死は、確定された出来事なのだと言う。

 其の言葉に、誰もが意味が分からない、信じられないという気持ちになる。

 話は更に続き

「今回と同じ事が、過去に数え切れない程繰り返されて来たのだ…。それも約五千年間もの永き時の中で…」

 語る声に、少し弱々しさを感じるのは、きっと気のせいでは無いだろう…。

「其方達の魂はその五千年もの間、何度も繰り返し転生しては、かの稲妻により葬り消され続けられて来たのだ。この繰り返される惨事には終わりは無く、其のまま未来永劫に続くのだ…」

 此処迄言うと、光の主の語りがしばらく止まってしまう。

 其の間聖司達は、光の主が最初に言っていた言葉を思い出す。

 確かに信じられない気持ちで、胸が張り裂けそうになる様な気がして来るのだった。

 今自分達に起きた出来事が、五千年も前から続いていて、これから先も永遠に続くなんて、信じられる訳も筈もない。

 其れが本当ならバカバカしいと、確かに笑えるし笑うしか無いのだと思えた。

 信じる事など到底出来そうに無いのだが、何故か光の主が語った内容が間違いでは無いんだと、自分の内側の何処かからか、其う囁かれて納得する自分がいる。

 この囁きは、一体何処から聞こえて来るのだろう…。

 不思議な感じなのだが、嫌な感じは一切しない。

 寧ろ、自分の魂に刻まれた声の様に思えるのだった。

 其うこれは魂の声なんだと気付き始めて、今其の思いに達した時、自分の中に今までの魂の記憶が刻まれてるんだと、唐突に理解してしまうのだ。

 この思いに、聖司以外の家族も皆、同じ様に感じていたのだ。

「全ては、五千年前の因果から始まったんだな…」

 独り言の様に呟いたのだが、聖司のその言葉は其の場にいる全ての者達に、届いてしまう。

「貴方、貴方もやはりそう思うのですのね…」

夕香が、同じ事を思ったのだと言うと、

「僕も!」

「私も!」

「私達もだ…」

「僕だって思った!」

 と、一斉に言い立ててくる。

 家族の誰もが同じ思いになっているのだと、聖司は驚きながらも、家族の繋がりに誇らしくさえも思えていた。

 其の家族の強い絆と繋がりに光の主は

「本当に、ここ迄強い絆と強い魂に、其方達はなってくれたのだな…!有難う…誠嬉しく思うぞ!…」

 と、先程までの弱々しさを感じられないくらいの、生気に満ちた力強い口調で喜んでいる。

 其の力強さに思わず驚いてしまう一同なのだが、その言葉を素直に嬉しく受け入れていた。

 そして聖司が

「光の主よ、俺達皆んなが感じた五千年前の因果とは、一体何が有ったんだ?俺達…いや始まりの俺達と言うべきか、その始まりの俺達から今の俺達まで、何故この様な仕打ちをされ続けられ、悲観のうちに消され続けなくてはいけないんだ!?」

 全ての答えは、始まりの自分達に起きた出来事に有るのだと、刻まれた魂の記憶の断片からでも、何故か確信を持てるのだった。

 其の答えを明確に出来るのは、今この場にいる光の主だけなのだから、焦る気持ちで問い掛ける。

「唐突に甦る記憶に焦る気持ちは良く分かるが、少し落ち着いて聞いて欲しい…。それと全てを知った後の事なのだが、…出来れば我の…身の安全を…約束して欲しいのだが…」

 何やら後半からオドオドし、一同をドキドキハラハラして様子を伺いながら、聞いて来るのだった。

 其の一目瞭然な態度からして、確実にこの因果の原因の1つは奴なのだと誰もが悟ったのだが、今は光の主の助けが無いと、何も出来ないのだという事を理解しているので、其の条件を嫌々ながら飲む事にした。

 其れを聞いた光の主は、かなり安堵したのか、発する光の光量の明るさが増すのだった。

 なんとも正直過ぎて分かり易い、超ど単純な奴なのだろうと、そう思った事は家族全員の秘密として、また1つ加えられた。

「これで、安心して話を続けられそうだ♪」

 とルンルン気分で安心しきっているが、口約束は破られる為に有るのだ!なんて、口にはしないが、夕香以外はそう思っているのである。

 こいつが原因なら、シバキ尽くそうと…。

 其うとは知らず

「其うだな、先ずは何処から話そうか…。だがその前に、長い話になるから、皆に休める場所と食事を用意しよう」

 其う言って手をかざすと、聖司達の前に、自宅で皆んなと囲んでた食卓と、出来たての豪華な料理が並ぶのだった。

「!?…えっ!?何これ!一瞬で家の食卓と食事が出て来ちゃった!?」

 信康が驚きの声を出し

「凄ーい!魔法みたい!」

 はしゃぐ権也。

 兄弟の中で、まだ冷静を保っている阿沙華が

「私達、魂なんでしょ?食事とか休息とか取れるものなの?取る必要が有るものなの?」

 と、疑問を提示する。

 其の疑問に光の主が答えた。

「基本食事も休息も取る必要はないのだが、それでも取らないでいたら、徐々にだが、魂の力が失われて行くのだよ…。食事を食べたと思えたのならば、其れだけで心満たされ、休息で魂を癒して活力を維持も出来よう。其方達には、今の強い魂と絆が少しでも弱くなられると、正直これから先に起こり得る苦難等に、立ち向かう事が難しい処か、消滅されかねない…、其れだけは絶対に避けなければならないのだ…。正直今の魂や絆の強さだけでは、因果に立ち向かうには、とてもじゃ無いが未だ強さが足りないのだ…」

 其う阿沙華に答えながら

「さっ、席に着き、各々の好きな様に寛ぐが良い。食事が要らないのなら、其方達のリビングも用意してあるから、少しでも魂を休めていて欲しい…」

 光の主に言われるまま、各自思うままに過ごす事にした。

 だけれども、やはり強い絆で結ばれている家族。

 自然と全員食卓の自分の席に着いたのだ。

 たった其れだけの事、なのにとても当たり前な事、そして其れがとても掛けがえのない大切な事。

 一家の誰もが、それを分かっている事が、お互いの絆をより強固にさせてる事も知っていたのだ。

 本当に強い絆で結ばれている家族の団欒は、 笑顔と笑いが絶えない。

 其の様子を少し離れた場所から眺めて、微笑ましく思う光の主。

 きっと今度こそ、此奴らが、全ての因果を解き放ってくれるに違いない!

 そして五千年もの永き抗いに、終止符を受ってくれるだろう。

(多分これが全てを賭けた、最初で最後の転機となるやも知れんな…。()()()()()()()()()、どうか苦難を乗り越えて、因果に打ち勝ってくれ…)

 其の思いは聖司達には語る事なく、幸せそうな家族を見ながら、遥か遠い過去の大切な者達の事を想い考え、静かに胸にしまうのだった。


 そんな何気なくではあるが、とても大切なひと時を邪魔をするかの様に、未だ小さ過ぎて聞き取れはしないのだが、遠く遠くから鳴り響くあのししおどしの様な

コ───ン…コ───ン…コ───ン…

 と、不気味な音を立てて、家族の元へと近づいて来る。

 だが光の主を含め、その不気味な現象に、未だ誰も気付く者はいないのだった…。


第7話 語られる者、語る者 その3 完

この語られる編、もうちょっと掛かりそうです。

表現力が無い為、繰り返し読み直しては修正で、時間も掛かってしまい、そうこうしている内に、この件は書き入れたいとか考えてしまい、増えて来たりとしてまして、後何話掛かるか手探り状態です。

多分もう少しでこの編は完了すると思います。

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