信康とロマン編
今回から信康とロマン編がスタートします。
この2人の話は、今迄とはちょっと違う感じに、話が進んで行く予定です。
権也とカンちゃん編、弥夜とシルバ編のラストは、何だか消化不良のままでしたが、信康とロマン編は如何なるか、楽しみにしていて下さいね。
第64話 名コンビ?
信康は、指輪に宿る存在にロマンと名前を付け、其れを大変喜んだロマン。
1万年もの間、名前など与えられなかったロマンは、信康の其の行為に大変喜んだのだが、信康の次の言葉
「安直過ぎて、僕なら怒るかな?」
の余計な一言に、イラッとしてしまう。
其れでも自分が認めた主人なので提言だけはするのだが、きっとこの先も、主人である信康が同じ事を繰り返してしまうのだろうと思っていた。
其の矢先、信康に近寄る危険な存在を察知し、急遽異空間へと回避するのだった。
其のおかげで、使者から放たれた怪物とすれ違いに、難を逃れた信康。
信康を逃した事が悔しい怪物達は、雄叫びを上げながら信康を探すのだった。
其の様子を異空間にて見ている信康は
「危なかったよね、ありがとうロマン」
(いいえ、大した事では有りませんから…)
大した事では無いと言うが、怪物達が出現する前に異次元へと回避するのは容易い事では無いと、信康は思っていた。
ロマンの察知力と瞬間的な行動力は、ズバ抜けているのだとも感じた。
何故なら
「大した事では有りませんって、何だよ其れ。僕もさ、ロマンと同じ事して来たけど、此処迄華麗に出来なかったよ…。其れを何でも無いかの様に涼しい感じで言われると、僕のあの苦労は何だったのかって思えるよ…」
少し愚痴を入れながら、ため息を付く信康。
「本当、ロマンって完璧って感じだよね…。実は僕も念の為に、異空間にセンサーを施してたんだけれどさ、僕が気付く前に気付いちゃうんだもの…。ロマンの感知能力とか察知力に、其の他の能力も色々と凄そうだよね」
信康が、ロマンから感じた事を其のまま言うと
(フッ…そんなの当たり前では有りませんか。其うで無ければ、私の存在意義が有りませんからね…)
と、何でも無い事だろ?みたいな感じで答えるのだった。
信康は、コイツは手強い奴だと思った。
別に、鼻に掛けるつもりも無いと思っているのだろうと、ロマンの事を信康は其う考えるのだが、ロマンの口調は、結構クールで冷たい感じの印象を与える様に思えたのだ。
先程、ロマンから指摘された信康。
持ち上げるだけ上げてから谷底に落とす事と、何度も繰り返すのは、しつこいと相手を怒らせるだけなのだと、ロマンから叱られてしまっていた。
確かに其うだよなぁ…と反省し、其れに気付かせてくれたお礼を兼ねて今度は信康がロマンに指摘し、今後も指摘し合い、お互いを高める事が出来たなら、とても良い事だと思ったのだ。
其う思ってロマンに
「ねぇロマン、あのさぁ僕からも1つ、ロマンに忠告しても良いかな?」
(いえ結構です。別に必要有りません…)
ズガガアァーーーン……
まさかの拒否。
拒否される事を想定していなかった信康。
想定していなかったせいも有り、かなりの精神ダメージを受けてしまう信康。
信康の頭の中では、“えっ?えっ?えっ?えぇーーー!?”としか出て来ない。
プチパニックを起こす信康だったが、持ち前の頭の回転の速さで持ち直し、少し恐れながら
「必要有りませんって…何も聞かずにさ、何故即答出来るんだよ…」
(答える必要も感じません…)
ピシャーーーッ…ドカァーーーン!…
言葉の稲妻が、信康を撃ち貫く…。
今迄に味わった事の無い衝撃…。
新鮮!有る意味新鮮です!
ちょっとだけゾクゾクしてしまう信康だったが、此処で心の奥底に隠れていたサイコさんが、ヒョコッと顔出しチラ見して来てイラ付きだす信康。
其のサイコさんのおかげで、変な趣向が芽生える前に摘み取られて、正直良かったと思われる。
そしてマイクロサイコの信康は、ロマンに
「ふ〜ん…分かったよ…じゃ、もう聞かない…。何だか気分が悪いけど、面倒くさいから如何でも良いや…」
そんな感じで呟く。
其れでも何の反応もしないロマン。
信康もロマンの反応を確認した後、ロマンが何も言わず何かしてくる気も無いのだと理解し、其れなら此方もこれ以上相手をする事は無駄だよね〜と無言を貫き、異空間でゴロンと横になるのだった。
「……………」
(……………)
黙ったままの2人。
「……………」
(……………)
更に続く沈黙。
「……………」
(……………)
今異空間に居る為か、時間がどれだけ経ったのか全く分からない。
現世に居たのなら、多分半日は過ぎていただろう…。
かなりの時間を無言のまま、無駄に過ごす2人。
最早お互い意地になっているとしか思えない…。
「う〜ん…ムニャムニャ…スースースー…」
いつの間にか寝てしまった信康。
パシューーーン……
(!!)
今度は逆にロマンが、回避不能の鋭い矢で撃ち抜かれてしまう。
この時ロマンは、“エッ…寝てる?…本当に寝ちゃってますの?…この状況で!?…嘘、本当に?”と、信康の行動が信じられず、プチパニックになりながら、念の為に本当に眠っているのかを確認するのだった。
[この方、本当に寝てますよ〜!!嘘でしょー!?エッ、信じられないのですが!?]
内心穏やかじゃ無いロマン。
思わず
(ちょっちょっと信康様!?)
と言ってしまう。
「う〜〜〜ん…後…後5年…スースースー……」
(…………)
信康の寝言の意味が分からないロマン…。
後5年?其れは如何言う意味?何に対しての5年なのだ?全く意味が分からない…と、ロマンの理解が追いつかず、プチパニックが乱散し、思考能力がオーバーヒートしてしまう。
普通、もう少し寝ていたいと寝呆けて言うのなら、後5分が妥当な時間だと理解していたのに、5年と言う中途半端な数字に、5分を5年と言ったのか、其れとも5年以内に何かを成すのか、終わらせなくてはいけないのか、其れか5年の年月を掛けて、ロマン本体を探そうと思っているのか、はたまた別の意味が有るのかと、幾通りもの可能性を信康の性格や言動から導き出そうとするが、どれもコレもが当てはまりそうで、考えれば考える程分からなくなり、遂には
(キーーーー!)
と、奇声を上げる始末…。
其の奇声は、異次元を揺らす程の大音量だったのだが、其れでも起きない信康…。
其れを見たロマンは…
プチッ……
と、キレてしまうのだ…。
(おいアンタ!何本気で寝てるんですか!おいコラッ!ちょっと起きなさいって!)
「ムニャムニャムニャ…スースースー……」
(ウオォーーイッ!キーーーッ!!起きろーー!!起きなさい!!信康様ーー!!)
段々と素が出て来たロマン。
でも起きない信康。
(クッ!…良いでしょう…分かりました…。そっちが其の気なら仕方有りませんよね…)
と、ロマンは分身体を出し
(このヤロ!起きろ!このヤロ!)
主人の信康に、分身体でペシペシと叩くのだった。
其れでも起きない信康。
(ハアァッ!?如何して叩かれても起きな…ん?この方に薄っすらと張られているのは…防御結界!?)
ロマンこの時にやっと、何故信康が起きないのかを理解し
(ヘヘッ…其うでしたか…。私が気付かないうちに、幾重にもの結界を張っていたのですね…。其れも防音、防振、防熱とほぼ完璧な防御結界を…。えぇ良いでしょう分かりましたよ…。貴方が其の気なら、私にも考えが有ります。後で後悔しないで下さいよね…信康様…)
フフッと不適な笑いをするロマンは容赦無く、信康に向かって火炎弾の流星群を放つ。
ゴオオオオッ……ドドーーーン!ドドーーーン!!ドドーーーン!!!
ロマンの容赦無い攻撃で、信康の張っていた結界が消滅する。
流石に信康も目が覚め、寝呆けながら
「ん?…朝…?」
と、横になりつつ小さく呟く。
其れに気付かないロマンが
(このヤロ!起きろ!このヤロこのヤロ!)
とまた分身体を出して、ペシペシと叩くのだった。
(このヤロこのヤロ!)
ペシペシ…
(このヤロこのヤロ!)
ペシペシ…
「あん…あ…あ痛…痛い…痛い!…痛いって!良い加減にしなよロマン!」
ペシペシ…ペシペシ…
「だから痛いって言ってるだろ!何してくれてるんだよ!」
(ペシペ…あっやっと起きましたか…。おはようございます、しっかりと眠れましたか?爽やかなお目覚めでしょうか?)
「おはようロマン!うん、もぅグッスリ眠れたし、目覚めも爽やか…な訳無いだろう〜!ふざけてんじゃ無いよ!何ペシペシしてくれてんのさ!」
(…ケッ!…)
「ケッ!って…ケッ!って何だよ!?お前、其れが主人に対しての態度なのかよ!?」
(…フッ…主人…主人ねぇ…。確かに其うで・し・た…ね…)
「おまっ…」
(いやだってですよ?ペシペシ叩かれてる時に、あん♡みたいな反応する方を主人扱いしろってのもねぇ〜…。変な性癖持ってません?大丈夫ですか〜?)
「〜〜〜〜〜!!このヤロ〜〜ゥ!其れならこうだ!」
信康は、ロマンが宿る指輪を少し強めに指で弾く。
(あん♡)
「………」
(………)
パチーン…
(あん♡)
「………」
(………)
「ロマン、お前も変な性癖有るんじゃ無いのか?」
(!!)
ペシペシ
「あん♡」
(………)
「………」
(…お互い様ですね…)
「…其うみたいだね…」
少々?気不味い空気が漂う…。
信康とロマンは、この変な空気感を如何すれば良いのか分からず、また無言の無駄な時間が過ぎて行く。
其の気不味い雰囲気が、突然打ち壊される。
ダァーーーンッ!ドドーーーンッ!ドドドドドーーーンッ!
「!!」
(!!)
2人の居る異空間が激しく歪み、現世の地上では無いのに、其の揺れでまともに立っていられない。
「わあっ!」
信康は揺れる異空間の中で倒れ、転がって止まらない。
「目が回る〜〜〜ヒエェ〜〜〜!」
ロマンも信康の指輪に宿っている為、一緒に転がる事になり
(ウエェェェェェェ……気持ち悪い……)
と、何とも情け無い主人と従者の姿が其処に在った。
「コ、コレ…アイツ等が此処を攻撃してるんだよね…」
(ど…如何やら其の…ウエッ…様ですね…ギモヂ悪い…)
ロマンが怪物達から避難したこの異空間は、他の異空間と干渉が比較的少なく、見付かる事は無いと思われていた場所なのだが、ロマンが奇声を上げた事により、其の特性が変化した様で、怪物達に見付かってしまったみたいだ。
(このままでは危険です!早く対処しなければ!)
焦る様に言うロマンに対し、信康は
「別に慌てる必要は無いだろ?僕は何もしないから…」
と、冷めた様に其う宣言する。
(ハアッ!?…信康様、貴方何言ってるんですか!?)
「えっ?何言ってるって?そっちこそ、何を言ってるのさ。今言っただろ?慌てる必要は無い、僕は何もしないって…」
(いやだから其の何もしないと言った事に対して、何故なのかと聞いているのです!)
「何を焦ってるのさ…。あっ其うそう其れともう1つ、僕お前を探すのは止めておくよ。探さないから、其う言う事で宜しく!」
(!!?ハアァッ!?ア、アンタ何言ってんの!?其れ本気で言ってる!?)
「うん至って本気さ!ってか、段々と素が出て来たみたいだね…」
(!!)
「だってさ、お前言っただろ?こんな事当たり前だと、何て事無いってさ…。僕の忠告など必要しないとも言ったし、其れだけ優秀なお前ならさ、コレくらいは何でも無いんだろ?なら僕が何もしなくても別に良いじゃないか…違う?僕は僕で、1人で何とか力を身に付けるからさ、ロマンが其れ以外の事を対処すれば良いんじゃない?」
信康のマイクロサイコが、ロマンを追い詰め様とする。
(な…信康様、其れってただの拗ねた駄々っ子に思えますがね…)
「別に良いよ其れで…。何を言われ様が、自分が発した言葉に全く責任を感じ無いモノには、其れ相応の対応すると決めているからね…。まぁ其う言う事〜♪」
(ウグゥ…)
信康の言葉に、ウグゥの音しか出て来ないロマン。
で、ロマンは思った。
何故信康と絆を結んだのかと、結んでしまったのかと。
永い時を掛けて、自分の主人と成る者が現れるのか確信出来無いまま、何時か現れるだろうと願い、主人を求め呼び続けたロマン。
五千年もの永き時を経て、やっと仕える主人が現れたと歓喜し、其の者の魂の有り様と芯の強さを感じ、この者なら主人として従うに相応しいとさへ思った。
実際絆を結んだ時は、ロマン自体今迄体験した事の無い安らぎなどを感じて、とても嬉しく思えた。
更に名前を付けられて、より一層強固たる絆を結んだのだと思えたら、これ以上も無い程に喜びに満ちたのだった。
なのに、相手を喜ばせるだけ喜ばせて、底に叩き落とす信康の悪い癖にイラついてから、少しはムカついてますよ?とアピールする為、気持ちチョピッリ冷たい対応をして、コレで今後は面倒臭いやり取りも無くなるだろうと思っていた。
だが其の結果がコレ。
ロマンの描いた通りにならない信康。
逆に信康の掌で弄ばれる始末。
更に信康を怒らせてしまっている様だと、ロマンは心中穏やかでは無かった。
[マズイマズイマズイ!…この方の頭の回転の速さと行動力を見込んで、私がサポートに徹すると言いながら、楽をしようと思ってたのに〜!アーッ面倒臭いのは嫌だーー!]
実はロマン、かなりの面倒臭がり屋で有り、末っ子根性の持ち主なのだ。
王族の助けとなる為に創られた宝具達は其々に個性が有り、其々の其の豊かな個性は、宝具自身の能力を高めたりするモノでも有る。
巫阿燐は明るくポジティブで、前向きに成れば成程、得意とする空間操作の精度が増す。
カンちゃんは自由人の様に思われるが、実はお堅い性格で、真面目に成れば成程、結界に関するモノならお手の物なのだ。
シルバは紳士的に振る舞い真面目そうなのだが、雷親父の様に怒り易い性格。
理不尽に対して怒りを感じると、何でもこなす万能系の精度が増し、より精密に能力を使う事が出来るのだ。
そしてロマンはと言うと、面倒臭がりの自由人で遊びたがりの末っ子根性。
其の上、ボケとツッコミに分けるとすれば、完全に天然系のボケなのだ。
完全にカンちゃんと真逆。
カンちゃんが1番最後に創られたのに、ロマンの方が末っ子で、カンちゃんの方がしっかりしている。
其れと面倒臭がりのロマンは、深く考える事が苦手で有り、今回も自分の都合の良い事だけを簡単に考えてしまい、招いた其の結果が今の現状なのだ。
付け加えて、ロマンが自由で遊び心に意欲が湧いた時は、検索能力が上昇するのだ。
何故検索能力が上昇するかと言うと、面倒事を避ける為である。
そして遂に、鳴り止まない激しい攻撃音に続いて
バリバリバリッ
裂ける様な音がした時、この異空間に怪物達が出現する。
(!!)
ロマンは驚く。
驚いたのは別に出現した怪物達にでは無く、信康に対してだった。
あれだけ激しい攻撃音と衝撃が有るのだから、怪物達が此処に現れる事など分かり切っていた。
だから其の対処を一応施していたのだが、其れでもやはり目の前に現れたら少なくとも身構え、出現と同時に攻撃するなりする筈なのだとロマンは思っていたのだが、其れを全くしない信康。
しない所か
「ふあぁ〜ぁぁぁ〜……」
と、ムニャムニャ眠そうにアクビをするのだった。
“最早豪胆!この人バカで豪胆!”
と、信康の大胆な行動に呆れを混ぜながら驚くのだった。
(ちょっちょっと信康様!?貴方本気で何もしないつもりなのですか!?)
ロマンの其の問いに
「…だから其うだって言ったじゃん…。僕は何もしないからさ、ロマン、お前が全て対応しなよ?其れじゃ僕は横になって見物してるから〜。あっ手助けもしないから〜!頑張ってねぇ〜」
(!!??)
「あっ其うそう、バカで豪胆ですから〜(怒)」
(!!!)
何故!?何故分かったのだ!?と思うロマン。
人の心を読む事に関しては、信康は誰よりもズバ抜けている上、絆が繋がったせいでロマンの声がダダ漏れしていた。
其の事を理解していないロマン。
勝てない…信康には勝てない…。
其う悟ったロマンに
「ガアアーーッ!!」
「ウゴォォーーーッ!!」
と、怪物達が一斉に襲って来る。
(ウルサイッ!今お前達の相手してる余裕なんて無いのが分かんねーのかよ!?消えろバカ!クタバレアホ共!!)
其う言って、信康の結界を壊した火炎弾の流星群をブチ込む。
其の攻撃で、怪物達は半壊して大ダメージを負うのだった。
「ウギャァァーーー!!」
「グギャァァーーー!!」
怪物達は悲鳴を上げながら、堪らず逃げて行くのだった。
(……えっ……)
本体を未だ得ていないロマンの攻撃は、有る程度のダメージを与えられても、此処迄のダメージを与える事は難しいと思っていた。
なのに何故か怪物達に、予想を遥かに上回るダメージを与えた上に、撃退する事が出来たのだ。
其の事を素直に喜べ無いロマン。
(何かがおかしい…幾らワシが優秀だからって言っても、こんな簡単に撃退出来るわきゃ〜無いっちゅ〜の!……ん?何だ〜?……この空間に残る微量な結界の残骸を感……って、まさか!)
「…ねぇロマン…お前本当元々の素が出て来たんじゃ無い?私からワシって1人称に変わってるぞ?」
(そんな事ど〜でも良いの!其れよりアンタ信康様よ〜、もしかしてだね、この異空間に細工したりしよった?)
完全に素になって話すロマンに、ちょっと引き気味の信康。
「ロマンお前…開き直ったな?…」
(其れが何か〜?フッ…もぅ面倒臭いし、何よりも信康様にはワシの素何てバレてるっしょ?だから取り繕うのを止めただけなのですよ…。元々他の王族の方達に話す宝具達の口調とかに合わせてただけだしね〜。王族の方達にワシだけ違うと思われるのが面倒だったからさ〜。ってこんな事ど〜でも良いのよ!其れよりアンタ!信康様、何かしたでしょ!?)
「…うわ…結構無駄な情報量貰ったよ…まぁ良いか…。うん勿論してたよ?」
(やっぱり…。だからあのクソ共が、弱体化してたんだ…。コレで納得…)
「そりゃするさ、ムカつく所も有るけどさ、其れでも大切なロマンに何か有ったら嫌なんだもの。だからこの異空間に来る時に、幾重モノ結界を張って置いただけさ」
(……信康…様……。アンタ凄い……)
「如何?コレでも僕の忠告とか聞く気にならない?」
(…面倒じゃ無ければ…)
「っ!!…ップハッ!ったくや〜ぱっりロマンは末っ子さんだよなぁ〜。権也と同じ感じがしてさ、多分其う何じゃ無いかなぁ〜って思ってたけど、やっぱり其うだったよ」
(えっ…其う何ですか?…ショック…あのお子ちゃまと同じだとは…ショック…)
「なら今後は其うならない様に励めば良いじゃん」
(はい…面倒臭く無ければね…)
「ったく…!!」
(!!)
「な、何突然!?力が…力が増したよ?…」
(ほ、本当……あぁ成程…如何やら聖司様の指輪にも名前が付けられたみたいだわ…。だから其の共鳴での反応?かな?)
「何曖昧な感じで言ってんだよ!?」
(だって面倒だからねぇ…)
「コイツ…。まぁでもコレでロマンの素は分かったし、本当の所は僕の呼び方も様とか付けて話すの苦手なんでしょ?」
(あれ?分かっちゃいました?実は其う何だよね〜!様とか付けて話すのって、ウェッて感じで鳥肌立ちそう何だよなぁ〜)
「コイツ…此処迄自由人でブレないとは…。まぁ良いか。ロマン許すからさ、僕を好きな言い方で呼んでくれても良いからね」
(本当に!?其れなら言葉に甘えて信チョと呼ばせて貰いますねぇ〜!)
「信チョ!?ダメ!其れは嫌だ!」
(言った言葉に責任持つのでしょ?貴方が言った言葉っスよ?)
「〜〜〜!分かったよ!もう其れで良いさ!!」
(では今後も宜しく〜信チョ〜ん)
「〜〜〜!!」
少し?後悔している信康だったのだが、取り敢えず大切な弟が1人増えたと思う事にして、ロマンを兄として守ろうと心に誓うのだった。
ロマンも扱い難い主人だと初めは思っていたのだが、何だかんだと寛大な信康が自分の主人で良かったと、思えて来ていた。
面倒じゃ無ければ…。
面倒臭がりとしっかり者の2人は、今後も諍いは有るだろうが、良きパートナーとしてお互いを支えるだろう…。
多分…。
第64話 名コンビ? 完
如何でしたか?
末っ子根性のロマンの活躍。
まぁ活躍って程、何もして無いのですがね…。
今後もこんな感じに、末っ子ロマンが駄々をこねまくると思われます。
では次話を待って下さいませ。




