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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
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弥夜とシルバ編 5

新たな怪物2体。

其れがどんな風に、話に絡んでくるかを楽しんで読んでみて下さい。

では本編を如何ぞ〜。

第61話 失態と失敗


弥夜の目の前に、ズラッと一列に並び正座するザネ達。

ビクビクしながら瞬き1つもする事なく微動だにしない。

何故この様な状況になったかと言うと、シルバの怒りが爆発したからだったのだ。

シルバの声は、本来弥夜や弥夜達家族全員と、宝具達にしか聞こえないのだ。

其れは本体から分離した思念体だったからなのだが、条件さへ揃ってしまえば、其の声を聞く事が出来るのだ。

今回、シルバは弥夜の権能を一時的に借りる事により、声は聞こえなくても、直接ザネ達の(コア)に語り掛ける事が出来たのだ。

其れにより、元々凄まじい弥夜の権能にシルバの力が加わって、威嚇と服従させる威力が大幅に増大したのだ。

だから一切声は聞こえないのに、直接(コア)に響いて来たシルバの指示に、素直に従うザネ達。

余りの恐ろしさに、考える事など出来ないザネ達。

物事を冷静に考える事が出来、更に頭の回転が早いアネも同様で、全く何も考えられなく“怖い”とだけが、ただひたすら頭の中でリピートされていた。

異空間にて、知らずのうちに弥夜から威嚇を受けていたザネ達は、今迄に味わった事の無い恐怖で意識が飛んでしまい、白目を剥いてしまっていた。

ただ1人、アネだけがガタガタ震えそうになるのを必死に堪えて、何とか許されないかと、薄い希望が叶う事を願うのだった。

其れを充分に理解しているシルバが

(弥夜様、私が弥夜様の分身体を創って操り、このモノ達に私が弥夜様だと思わせておきますから、其の間に私本体を手にして頂けますか?)

と、其う提案するのだった。

少し驚いた弥夜は、とても小さな声で

「えっシルバ…貴方、私の分身体をも創る事が出来るの?」

(えぇ簡単な事です…。弥夜様をトレースして、私の分身体にコピーするだけですから、誰にも気付かれる事は無いと思います)

簡単だと言い切るシルバ。

いやいや其れは違う、違うのだと思う弥夜は、シルバの優秀さがどれ程凄いのかをシルバ自身に教えて上げたいと思うのだが、多分如何説明しても“其れが普通なのでは?”と、理解する事は無いのだろうと思い、言うのを止めた。

実の所、弥夜は修行場にて、何度か自分の分身体を創れないかと試していた事が有ったのだ。

2万体モノの理不尽な事をするモノに、いちいち1体毎に相手をするのが煩わしいと思い、肉体にアクセスして分身体を創り出す作業を体験していたのだ。

其の時、たった1体を創り出すだけで、精神と力の消費量が半端では無いと思い知らされていた。

だから其れを簡単だと、更にコピペ迄しても簡単な事だと言い切るシルバに、呆れてしまう弥夜でも有った…。

「ふぅ〜…フフッ…簡単なのね…。私のあの苦労は一体…」

(?…弥夜様?如何されましたか?)

ナチュラルに聞いて来るシルバに

「……別に何も無いわよ?…分かったわ、其れじゃ其の分身体をお願い出来るかしら?」

(既に出来てます)

「えっ!?…ちょっと貴方、優秀過ぎるのも程々にしないと私が付いていけないから、もう少しだけ抑えてくれないかしら…」

(これは大変失礼をしました…。ですが、如何抑えれば良いのか分からないのですが…)

「……取り敢えず私を観察してみてくれる?其れと悪いけれど、今の私のレベルに合わせてくれたら良いと思うわ…」

(分かりました。今後は其うさせて頂きます)

「お願いね!其れじゃシルバ、貴方を手にして来るわね♡」

(はい弥夜様、如何か宜しくお願いします)

快く承諾しながらも、弥夜は

(結構自由人なのかもね、シルバって…。私の承諾無しに分身体を既に創り終えてるし、お堅い紳士なのかと思えば()がキツい性格だし、う〜ん知れば知るほど興味深いわね〜)

とシルバの事が益々好きになって来て、虜に成りつつ有ったのだ。

シルバがザネ達を引き付け監視し、カモフラージュの分身体の陰からそっとシルバの本体に向かう。

やっとシルバをこの手に出来るのだと思うと、嬉しくなる弥夜。

少し興奮気味で手を伸ばした時

(弥夜様早く!)

シルバが焦る様に弥夜に催促して来るのだった。

其れに驚いた瞬間、弥夜に激痛が走る。

「キャアァーーーッ!」

後少しの所で何モノかに、伸ばした手を切断されてしまったのだった。

「ウゥーーーッ!……何!?」

激しい痛みに耐えながら弥夜は辺りを見回すと其処には、ザネ達の後ろに使者の姿が在ったのだった。

「!!」

ザネの様な怪物が来る事は考えていたが、まさか使者本人が此処にやって来るとは思ってもいなかった弥夜とシルバ。

(弥夜様ご無事ですか!?魂の修復は今済ませましたから、一刻も早く!早く私を手にして下さい!其の間、私が何とかしますから!)

シルバが其う言った瞬間、あれ程有った激痛は消え、弥夜の周りに強力な防御壁が造られたのだ。

(早く!早く弥夜様!)

今の弥夜は、シルバに一時的ではあるが権能を譲渡した為、弥夜自身権能を使う事が出来無い。

シルバは“何とかする”と言うのだが、使者本人が来てしまった今は、ザネ達への威嚇、弥夜の身を守る為の防御、そして最大の脅威である使者。

其の全てをシルバ1人でこなす事は、とても無理だと思えた弥夜。

せめて譲渡した権能が自分の中に有ったのなら、威嚇をして手助け出来、其の間にシルバの本体を手にする事が出来たのにと、悔しさが込み上げて来る。

更に言うと、今の弥夜の未知な力の元は実の所、この権能に有ったのだ。

だから尚更、この事態を予測出来なかった事に怒りを感じてしまうのだ…。

このままではシルバの本体を手にする前に、今其処に居るシルバが消滅してしまう。

目の前に居るシルバが消滅してしまったら、本体は如何なってしまうのかも分からない弥夜。

ほんの数秒、其う考えて躊躇っていた間に

「情け無い…お前達にはガッカリだ…。彼奴の威嚇に萎縮してしまいおって…何の為に力を与えたと思う!」

ザネ達に怒りをぶつける使者。

其の使者の怒りにより、シルバから弥夜の権能で従わせられていた服従を解除するザネ達。

使者に捨てられたくは無いと、すかさず弥夜に総攻撃を仕掛ける。

使者が弥夜を攻撃した事で、シルバが創った分身体は偽物だと、既に知られていたのだった。

(イケナイ!このままでは弥夜様が消滅してしまう!)

シルバは、今持っている全ての力を使って弥夜を防御し、ザネ達を弾き飛ばすのだ。

この時使者は、弥夜とは別の存在が其処に居るのだと気付き、シルバに向かって黒雷を撃ち付けるのだった。

使者が放つ黒雷を何とか防いだシルバ。

だが今の黒雷で、ほぼ力を使い切ってしまったシルバは

(…弥夜様…思念体である私の身よりも、貴方が無事でいてくれなくてはいけません…。ですから其の為にも早く、本体を手に…。其れとお借りした権能をお返しします…)

これがまるで最後の事の様に思えた弥夜は

「ダメ!ダメよ!私の権能は返さなくて其のまま使えば良いのよ!其の権能に蓄えた力が有るから!其れを使ってくれたら良いから!お願い!これ以上無駄に傷付かないで!」

其うシルバに言うのだが

(大丈夫です…私は何とでもなりますから。弥夜様こそご自身のお力で身を守って下さい…。ではお返しします…)

其う言い終わると同時に、弥夜の元に権能が返されたのだった。

「シルバ…」

(ではもう一踏ん張りして来ます…。本体をお願いしますね弥夜様…)

其う言って、弥夜を守りながら使者達の相手をするシルバ。

容赦の無い攻撃に、次第にシルバの存在感が薄れて行く。

シルバの決死の覚悟を知り、涙しながら

「ありがとうシルバ、貴方の覚悟を踏み躙る事はしないわ…。だから何としてでも消えないでいて!私が貴方を手にする迄絶対に!お願いよシルバ!」

と思った其の時、シルバにまたあの黒雷が撃ち付けられ、シルバの存在が消えて行こうとしていた…。

だが…。

「!!な、何だ!?この凄まじい力は!!突然現れたぞ!?」

使者は、突如感じた爆発的なエネルギーに圧倒され、驚き後退りしてしまう。

其のエネルギーの元とは勿論、シルバが本来の姿に戻り、弥夜との正式な従者として誓いを立てた時に起こる現象だった。

間一髪、本当に間一髪…。

後1秒も無い僅かな差で、シルバが完全に消滅してしまう寸前に、弥夜はシルバ本体を手にする事が出来たのだった。

僅かコンマ何秒の時間の中で、シルバの力により2人の時を早めて、主人と従者の誓いを結んだのだった。

おかげで、シルバの思念体は消滅する事無く、本体へと戻る事が出来たのだ。

「少し冷やっとしましたが、弥夜様のおかげで無事に本体へと戻る事が出来ました…。ありがとうございます弥夜様…」

「本当危なかったわね…。ごめんなさいね、私がしっかりしていなかったから、貴方を危険な目に遭わせてしまったわ…」

「いえ其んな事はございません!寧ろアレくらいが丁度良かったのかも知れません…」

「えっ!?丁度良かったって…貴方如何したのよ…?本当に危なかったのよ!?」

「思念体が消え掛かった反動で、元の私本来の力より強力になった様なのです」

「其うなの!?」

「えぇ…。ただ正直申しますと、思念体が完全に消滅してしまっていましたら、弥夜様との絆や出会ってからの記憶が失くなり、弱体化していたかも知れません…」

「何とまあ!…今回は何とか無事だったから良かったけれども、そんな事後出しで聞かされたら、幾らシルバでも本気で怒るわよ!良い!?しっかり肝に刻み込んで置きなさい!」

「!…は、はい…申し訳ありませんでした…」

「とにもぅ…まぁ分かってくれたら良いからね。次から絶対しないでね?」

「はい、其うお約束致します。…で、一応目的は達成しましたが、如何なさいますか?」

「言わなくても分かってるでしょ?何せ私のシルバ何だからね〜♪」

「えぇ勿論。…ではパパッと済ませてしまいましょう」

「あら〜言うわね〜。フフッそうね…パパッと済ませちゃいましょう♡」

2人が済ませる事とは勿論、目の前に居る使者達を消滅させる事だった。

消滅は無理だとしても、出来る限り力を削いでやろうと、やる気満々の弥夜とシルバ。

この間の会話も時間を早めてやり取りしていた。

だから、使者達が突如現れたシルバに驚いて固まったままの状態で、2人の攻撃を喰らってしまうのだった。

「グハァッ!」

「ギャアァー!」

「キャアッ!」

「カネッ!」

「ガネッ!」

ん?…変な悲鳴が混ざっていたが、取り敢えず気にしないでおこう…。

そんな事を思いながら、弥夜とシルバは手を休める事無く、攻撃をし続けるのだった。

特に使者を集中攻撃するのだ。

「貴様、一体誰に対して愚行を犯したのだ!私の主人を傷付けおって!絶対に許さんぞ!」

怒り爆発のシルバ。

「其うよ私も許しはしない!私の大切なシルバを消滅させ掛けた報いはしっかり受けてもらうわ!」

其う言って、使者達から受けた屈辱を晴らすが如く、連続攻撃をし続ける。

だがやはり此処にいるメンバーの中で1番強い使者が

「喧しい!貴様の息子の行いを棚に上げて、よくもヌケヌケと言えるものよな!お前達こそ報いを受け続けるが良い!」

凄まじい迄の衝撃波を繰り出し、弥夜とシルバを弾き飛ばす。

「キャアッ!」

「グッ!」

弾き飛ばされた弥夜とシルバは、遺跡の巨石に打ち付けられて、かなりのダメージを負ってしまうのだった。

「クゥゥ…何て強さなの…。…悔しいけど流石ね…。消滅させる事は無理そうだわ…」

「まさか彼奴が此処迄だとは思ってもみませんでした…」

改めて使者の強さを知る弥夜達。

其のやり取りをしている時、使者が

「お前達、何をグズグズしている!今の奴等なら、お前達でも対処出来るだろう!これ以上私を怒らすな!」

と、弥夜達から受けた攻撃で怒り心頭してしまっていた使者を見て、青褪めながらザネとアネは、直ぐに行動にでるのだった。

だがカネとガネは違い、全く動こうとはしない。

何故命令を聞かないのかと思った使者は

「カネ、ガネ、何故私の命令を無視する!」

「いや主人様…我等カネとガネに何の得が有るカネ?」

「何だと!?」

「俺等、ザネとアネの元に行けとの命は聞きやしたガネ、其れ以上の命は聞いて無いガネ…」

「!!」

「ですから主人様があの程度と申されてる者共に、わざわざ加勢する意味が有りやしませんカネ…」

「其れなのに加勢しろと仰るなら、特別な褒美を頂かないとやってられませんガネ…ゲゲゲ…」

この時使者は

(……ザネといい、バネといい…何故こうも失敗作が出来てしまうのだ…)

失敗作を創った自分に対して落胆し憤り、深い溜息を吐くのだった。

「…して、お前達の言う褒美とは何が良いのだ?私に抱かれるだけでは足らないとでも?…」

「いえ其れは極上の褒美ですカネ。ですが」

「何だ未だ足りないとでも!?」

段々と苛立ちが頂点に到達しそうになる使者に

「極上を今頂くのはとても勿体無いですガネ…。ですから別のモノ…其う例えば金銀財宝とかが嬉しいですガネ…」

怪物の身で在りながら、金目の物が欲しいと言うカネとガネ。

使者にしてみれば、そんなモノなど使い所や必要性は無いと思うのだが、失敗作を抱いて、これ以上強くする事や求められる事に対し、嫌気がさしてしまっていた。

だから何故欲しいのかを知れば、今後扱いが楽になるかもと思い、2人に聞く事にする。

「金銀財宝とは、何故にそんなモノを欲しがる…」

「いえ特にコレと言った理由は有りませんガネ、ザネ達よりも煌びやかな装いにしようと思いますガネ…」

「俺はただ単に、キラキラするモノが好きカネ。其れも沢山有ると嬉しいカネ」

ゲゲゲと笑うカネとガネ。

2人の欲しい理由を何となく理解した使者。

使者は魂を取り込むと同時に、其々の生い立ちや性格をもある程度理解していたのだ。

そしてカネとガネを創るにあたって、物欲の強い魂を(コア)として創ったのだ。

其の結果がコレ…。

ある意味単純で扱い易いと思うのだが、実の所、カネとガネは何時でも使者を裏切るつもりでいた。

使者に取り込まれる前の生きていた時の2人は、確かに物欲の強い者だった。

2人は双子として産まれて直ぐに捨てられて、当時の各都市の中でもとても都市とは言えそうにも無い程小さな都市の、貧困層が住まう所で育ったのだった。

それ故、物欲は人1倍強く持っているのだが、実の所人を傷付けて迄欲しいとは思わない善良な存在だった。

ただ余りにも物欲が強かった為、使者が悪事をする事に躊躇う事は無いモノと勘違いをし、カネとガネを創り上げた。

使者に創られた時も双子として創られた2人は、姿や存在は違うモノとしてだが、また双子としてこの世に存在出来る事を喜び、そして()()()の事を思い出し、必ずや復讐してやろうと2人は誓うのだった。

其の復讐相手とは、勿論使者。

偶に王族であるセルジ達が視察と称して、カネとガネ達の都市にも訪れていた事が有った。

誰かれ構わず平等に接し、貧しい者が居なく成ればと人々を助け、共に労働迄するセルジ達。

カネとガネも其の恩恵を受け、とても感銘し感謝したのだ。

其のおかげで2人も裕福になり、其々の家庭も築かれた時に起きたあの悲劇。

悲劇を起こしたのは取り込まれてから使者だと知り、しかも自分達の魂の力を使って、崇拝していたセルジ達を殺した上に、何度も繰り返す辛い宿命迄与えた使者を激しく憎んでいた。

だからこそ、使者に植え付けられた種をこれ以上成長させたくは無く、使者に気付かれぬ様に、何とか種を除去出来ないかと、其の方法を探している最中だった。

時折襲う、使者に抱かれたい欲求。

其れを何とか堪え、今迄使者に抱かれた回数は2回だけ。

抱かれる度に強さを増す事は知っているが、其れではザネの様に抗えなくなる。

だから今は別の方法で強さを身に付けて、使者に復讐しようと考えていた。

其の1つが金銀財宝なのだ。

シルバ達の様な宝具や、パワーストンと言われる力を秘めた宝石類。

其れを密かに数多く作ろうと考えていた。

そんな事を考えているとは思わない使者は

「…良かろう…そら!望みのモノをくれてやろう!受け取るが良い!」

と、使者の羽織るマントの中から、魂と同時に取り込んでいた宝石を数個程、カネとガネに渡すのだが

「失礼ながら、たったコレだけカネ?」

「だガネ…。今回は特別な感じの命令なのに、コレだけではやる気出ないガネ…」

「ーー!!!」

恐ろしさを知らないのか、平気で使者に其う言うカネとガネ。

余りにも平然として言うモノだから、言葉を失う使者。

本当に失敗作を創ってしまった事を後悔し、今後こんな失敗作は創らないと決意を固めながら、カネとガネの要求に応じる事にした。

褒美として抱く事は無理だと使者は思った。

抱いて力を増幅させてしまうと、更に手が付けられなくなりそうだとも思ったからだ。

「クッ!この強欲めが!ふぅ…分かった良いだろう…。其れでは好きなだけ持って行くが良い!」

2人の前に、山積みになった金銀財宝。

「流石主人様!嬉しいカネ!」

「こんなにも沢山!ありがたいガネ!」

歓喜する2人は、出された金銀財宝を全て回収する。

まさか全てを持って行くとは思っていない使者。

「………」

言葉を失うのだが

「主人様、未だ持っていないカネ?」

其の一言で流石にキレる。

其れを即座に知った2人は

「其れじゃ仕事してくるガネー!」

「其うカネー!」

と、使者に何も言わせず其の場を離れるのだった。

「〜〜〜〜〜!!クソがぁ〜〜〜!!」

使者の雄叫びが虚しく響く…。

2人はしてやったとニヤけながらザネ達に加勢し、弥夜達を攻撃して行く。

だが、使者やザネ達を欺く為にワザと攻撃を外したり、“邪魔だガネ!”と言いながら、ザネ達にワザと攻撃を当てたり、時にはザネ達と弥夜達の間に割り込んで、ザネ達の攻撃を受けたりしていた。

ザネやアネは、使者の怒りが怖くて無心で弥夜達を攻撃していた為、カネとガネの思惑など気付く事は無く、使者も失敗作は何をやらせても無駄なのかと思うのだった。

だが弥夜とシルバは違った。

カネとガネが、ザネ達の攻撃をワザと喰らった時、弥夜達に向けて微笑む顔を見て、2人は今迄の怪物とは違うと感じたのだった。

其処で、何かを伝えたそうにしている2人に、秘密裏にやり取り出来ないかと考えた弥夜は

「ねぇシルバ…。後から来た2人は、ザネとアネとは違う気がするの…」

「弥夜様も其う思いますか?実は私もです…」

「やっぱり其う思う?」

「はい」

「…出来ればあの2人と秘密裏に、会話をしたいのだけれども、如何にか出来ないかしら?」

「今直ぐは流石に難しいですが、上手くチャンスさへ有れば可能てす」

「其う?其れならチャンスを作るから、会話出来る様にしてくれるかしら?」

「分かりました、では先ずザネとアネを使者の元迄弾き飛ばしましょう」

「了解!私が其れをするから、其の後お願いね♪」

「はい、了承致しました」

短い作戦会議が終わった瞬間

「土刃威!土手羅!」

ザネとアネを土刃威で切り刻み、即座に土手羅で使者の元へと弾き飛ばす。

シルバは其の隙に、カネとガネの(コア)に直接、傍受不可の専用回線を繋げるのだった。

「弥夜様、作業は完了しました」

「流石シルバ!やる事が早いわね〜」

其う褒められて嬉しくなるシルバ。

「声に出さなくても会話は可能ですから、如何ぞお話し下さい」

「分かったわ〜」

そして弥夜とカネとガネの、秘密の会話が開始される。

(私の声が聞こえる?聞こえたら思うだけで良いから、返答してくれないかしら?)

(聞こえるカネ!)

(話せるガネ!)

嬉しそうな声で返答する2人。

(取り敢えずこの会話は、私達だけしか聞こえないから、安心して話して頂戴。貴方達2人、私達に何か伝えたい事が有るのでしょう?)

(其うだカネ!)

(有り有り何だガネ!)

バカっぽい喋り方に引いてしまいそうになる弥夜とシルバだったが、今迄の怪物とは違うのだと確信するのだった。

そして、弥夜達とカネとガネの秘密裏の会話は、思いもしない内容なのだと、其う思った弥夜達だった。


第61話 失態と失敗 完

如何でしたか?

カネとガネのキャラは?

僕のお気に入りに入りそうです。

では次話を待ってて下さいね。

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