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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
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権也とカンちゃん編 7

第56話 カンちゃんと権也


権也はもう目と鼻の先に在る、カンちゃんの本体を手に入れる為に、今この城に居る者達の大半が寝静まるのを待っていた。

「ねぇカンちゃん、さっき言ってた後数個はさ、如何なったのかな?もぅ届いてるのかな?」

(あぁ其れなぁ〜。丁度今全部、宴の最中にやって来たでぇ。ほら見てみぃ、献上モン見にオッサン席たったやろ?)

「あっ本当だ」

(しばらくしたら献上したモンも一緒に、あの宴に混ざるわ…。あのオッサン、メッチャ上機嫌やモンなぁ〜。此処迄笑い声聞こえて来たわ…)

「本当だね…」

(この調子やと寝静まるの、まだまだ掛かりそうやな…)

「まぁ其れでも良いよ、しばらくこのままで待っていようよ…」

(如何してん?何時もの権坊らしく無いやないけ?何時もなら、こんなの耐えられんと寝るか遊ぶかしそうやのに、エラい大人しいやないかい)

「其の言い方ヒッド〜!…う〜んでもまぁ上機嫌って事はさ、嬉しいから上機嫌何だよね?」

(まぁ普通に考えたらな)

「だったら其の嬉しさを皆んなと共有出来たら良いじゃない。後其れと、ちょっと考えたい事が有るからね…」

(考えたい事?…まぁ何となく察しは付くけど、詮索せんとくわ。其の方が権坊もエエやろうからな)

「ありがとうね、カンちゃん。其れに、ずっと黙ったままで居てくれる魂の皆んなも」

ーいいえ、ケネラ様の邪魔にはなりたくは有りませんので、御礼など必要有りませんよ?ですからお気を使わずに…ー

「うん」

そして権也は、宴で楽しそうな声がする部屋を見つめ、ただひたすら考えた。

神音の事を…。

権也自身、何故此処迄神音に対してこだわるのか、不思議でならなかった。

明るくポジティブな権也は、今迄疑う事が無かった。

使者に対しても嫌な陰険ヤロウでしかなく、自分達や囚われた魂達の為にも、何としてでも倒さなければいけない相手なのだとしか、思っていない所が有った。

ただ単純に、大切な者を傷付ける嫌なヤロウとだけ…。

だが神音は違うのだった。

聖司にとっても、皆んなにとっても、勿論権也にとっても、とても大切な特別な存在だと分かっている。

確かに掛け替えの無い存在なのだと分かっているのだが、何故か神音を拒否したい、拒否してしまいたい衝動に駆られてしまう権也だった。

本当に何故なのだろうかと、自分の権能である直感力にも不安を感じ、このままでは前に進む事が出来無いと、使者の呪いによって死んでから、今迄の出来事や知った事を1から思い出してみる事にした。

呪いによって死んでから、経験した出来事や知識は、生きていた頃では先ず体験出来る事では無く、とても刺激的なモノだった。

死んでからと言う事が、悔やまれてしまうのだが…。

死んだ後ピカさんに宿命を聞かされ倒すべき相手が使者だと知り、其の者と渡り合う為の修練。

そして、自分達のみが身に付けられる宝具を探し見付け出し、其の宝具の封印を解き主人と成らなければいけないと、其々が違う時代や場所へとバラバラに旅立つ事になった。

此処迄は別段何も違和感は無く、すんなりと受け入れられると思えた。

宝具の在り方を分かってる範囲で思い出してみる。

宝具は、王族の助けとなる為に創られた、王族以外に使用不可な特別なモノ。

王族以外に使用されない為に、“意志”では無く“意思”を持たされて創られたと言う事も教えて貰っていた。

其の“意思”により、王族以外のモノ達に使われ無い為、宝具自ら形を変えたり分割し、場所や時代を変え力を封印したのだとも教えられた。

本体を封印した後、僅かに使える力だけを残して思念体に変えて、今其々の指輪に宿り具現化している。

其の事は、権也も目の前で見ていたから納得出来ていた。

だが此処迄順を追って思い出して来た時に、権也の中で何かが騒めき始める。

王族以外に力を使われ無い様に封印をした宝具達。

其れでも、時空移動や様々な現象を引き起こす程の、とても強力な力を宿している。

カンちゃん以外は、どんな状態で封印されているのかは分から無いが、強力だとしても、本体が封印されている状態で使える力は限られている筈…。

実際にカンちゃんは、封印を強力にし過ぎてしまい、上手く力を使え無いでいた。

なのに…

(カンちゃん達の本体って、どれ程の力を宿してるんだろう?想像も付かないくらいに強かったとしても、神音の力はおかしいよ…。よくよく考えてみたら、僕を助けに来ただけでもかなりの力を使っている筈だよね…。なのに死んだモノ達を蘇生する程の力が有っただなんて、とてもじゃ無いけれど思えないよ…。幾ら解放された魂達の助けも有ったとしても、未だ本体も見付けられて無いのに、其れを成す事事態おかしいよね…)

権也の中で騒めいた違和感が、其れだったのだと気付いたら

(更に壊された建物とかも修復した上に、お父さんを連れて戻れるモノなのかな?幾ら神音がカンちゃん達よりも優秀だとしても、其れを差し引いても先ず有り得ないよね…)

と、権也の中で確信へと近付いてていく。

(もしカンちゃん達よりも、神音の使える力が有るのだとしたら、神音の秘めた力ってどれだけ凄いのだろう?もしかしたら、使者(いんけんやろう)に匹敵するのかも知れないよね…。もしそうだとしたら、僕達にとっては頼もしくも有るけれど、神音の“意思”が“意志”に変わったら、其の意志1つで僕達の脅威にもなるって事だよね…。考えたくは無いけれど、()()()可能性も無くはないしね…)

神音からの違和感の正体を権也なりでは有るが、遂に突き止め理解したのだった。

ただ其れが正しいのか、間違いなのかは分から無いのも確かなのだが、権也は自分の権能である直感力を信じる事にした。

自身の力を信じられないとしたならば、其れは自分を否定する事にもなり、更にピカさんに付けられた権能迄もが、消えて無くなる事だろう…。

其の事も、権也は分かっていたのだった。

だから尚更、神音から受けた違和感の正体が、今理解した内容で間違いないと確信するのだ。

でも其れを、如何やってカンちゃんに伝えるかを迷ってしまう。

段々と険しい顔になる権也に

(どないしたん権坊?そんなブッサイクな顔をして。おまんにそないな顔似合わへんぞ?何か有るんやったら、ワイに何でも言えばエエんやぞ?)

「ブッサイクって、僕そんな変な顔してた?」

(エッライしてたわ)

「そうなんだ〜…。あっそう言えばさ、今気付いたんだけれどね、カンちゃん達ってさ、如何やって僕達の表情とか分かってるの?指輪からじゃ分からないよね?」

(あ〜其の事かぁ〜。其れなぁ、実はワイ等自分の主人の影を切り取ってな、誰にも見えんくらい薄い模写体を常に出しとるんよ。其の摸写体にワイ等の意識をリンクしてんねん)

「えっ?そうなの!?」

(まぁ検索機能が有るから、其れでも分かるっちゃ〜分かるけどな、この一手間掛けた方がより状況を把握し易いから、少しでも安全を確保する為にしとる)

「そうだったんだね。だからか…其処に居ないのに、目の前にカンちゃんが居る様な感覚になったり、話してても違和感無かったのは…」

(まあそう言うこっちゃ!会話は魂の絆が結び付いてる者や無いと、通じへんとは思うけどな。ワイと権坊、そして権坊の家族にワイ等の宝具達は、絆が繋がっとるから会話出来るけど、多分此処に在る魂達は、権坊とワイにしか通じへんと思うで…)

「ふ〜ん…そうなんだね〜。何時も思うけどさ、本当カンちゃんの説明って分かり易くて良いよね!」

(な、何言うてんの!?そんな褒められても何も上げるモン無いで?…ハイ飴ちゃん♪)

「ブハハッ!僕、カンちゃんのそう言う所大好きだよ」

(またまたそんな事言うよって…ホンマ敵わんわ〜、追加の飴ちゃんや♪)

「アッハハハハハハハハハ〜!最高〜!」

(…どや、少しは気難しいモン取れたか?)

「…うんありがとう。おかげで気が楽になったよ」

(ほな権坊の思っとる事、聞いてもエエか?何やったら、またイメージ共有して聞こか?)

「そうだね、共有の方がもしもの事も有るし、其れでお願いしてくれる?」

(ヨッシャ!ほなタマとポチっとな…)

「…其れ…オヤジギャグ?…」

(やかまし〜!前にボケた時に、ツッコまへんかった癖に、今頃ツッコむや無い!ボケ殺しやないか!)

「だって僕にはボケとか良く分からないんだもの…。ただの会話としか受け取れないからね…」

(…そう来たか…まぁしゃ〜無いか…ほな共有すんで〜)

多分神音に付いてだろうとは予想していたカンちゃんだったが、まさか其の内容が此処迄のモノとは思っても無く、如何対応して良いのか分からなくなるのだった。

言葉を失うカンちゃんに

「ごめんこんな内容で…。でも僕が思った事を信じて貰えたら嬉しいけど、如何するかはカンちゃんに任せるよ…」

(正直如何してエエか、如何すればエエかなんて分からんし、悩むってのが本音やな…)

「そりゃそうだよね…」

(せやけど、ワイは権坊の為に在るんや。他の誰が何言うたとしても、ワイは権坊に最後迄従うだけや。ワイの身に何が起ころうとも、絶対権坊を守り抜いてみせる!せやからワイに気を遣わんで、したい様にしたらエエからな?ワイは権坊を信じとるし、権坊の直感力も信じてんねん。権坊もワイを信じてくれたら嬉しいわ…)

「ありがとうカンちゃん」

(そんな礼を言われる事とちゃう。当たり前の事何やから、気にする必要無いでぇ〜!で…権坊は先ずは如何したいんや?)

「そりゃ勿論、カンちゃんの本体を全て見付け出す事だよ」

(せやな、先ずは其れからやな。万全の状態にならな、守りたくても守られへんしな…)

「其れじゃそろそろ行動開始しようよ。僕達のやり取りしてた間に寝静まったみたいだし、今なら大丈夫なんじゃない?」

(せやな、そうするかぁ。ほな掻っ攫いにコッソリ行こか)

カンちゃん本体を掻っ攫いに、目的の部屋の前に着いた時

(お邪魔します〜♪)

スパーーァンッ!…

カンちゃんは、大きな音をたてて襖を開くのだった。

「ちょ、ちょっとカンちゃん!?こんなに大きな音をたてて如何するの!?コッソリじゃ無かったの!?」

(あっ…す、済まん…。目の前に本体が在る思ったら、ついテンションが上がってしまってん…。悪い悪い…ちゃんとコッソリするから、そっと襖閉めといてくれるか?)

「分かったけど、ちゃんとコッソリしてね。今の所、誰も気付いて無いみたいだから良かったけど…」

(済まん済まん…で、さてさてさぁ〜て賢いワイのぉん本体は〜っと…。チッ!ホンマにバラバラ過ぎて、1個1個個別に取り出すん面倒臭いっちゅ〜ねん!ホンマ誰やねん!人の迷惑も考えんと、こんな手間の掛かる事しよった奴は〜!シバいたろうかぁ!)

「其れ自分じゃん…」

(オッシャァー!や〜っとまともにツッコんでくれたか!教育した甲斐が有ったわ♪)

「いや今のツッコまないと、先に進めないと思っただけだから…。多分この先、普通にスルーすると思うよ?」

(…チッ…まぁエエわ…。でもホンマの話、バラバラ過ぎて個別に取り出すの、かなりの手間が掛かるのはマジなんやけど、何日も掛けて取り出すみたいな悠長な事出来んからなぁ…)

「?…何言ってるの?」

(ハァ?おまんこそ何言ってんねん?ワイの話、ちゃんと聞いとったか?)

「勿論聞いてたよ。だから普通に疑問に思って、何言ってるのか聞いたの。余りにも不思議な事言ってるから…」

(何処が不思議やねん?)

「だってさ、カンちゃん達の本体って、姿形を変えられるんでしょ?だったらさ、封印解けた本体も好きに変えられるって事だよね?」

(!!ホンマやな!ホンマや…其処に全く着目して無かったわ…。其れなら細い糸状とかに変えて、ウネウネさせて集めよか?)

「うへっ…ウネウネって、まるでミミズとか蛇みたい…」

(うっさいボケッ!そんな事言われたら、気持ち悪〜て出来へんやろがぁ〜!)

「自分から言った癖に…」

(もぉエエわぁ〜…取り敢えず早よ済まそ…。ほな…)

未だ封印が解けてないモノから作業を始める。

其の時同時に、何故勝手に封印が解けたのかも調べるのだった。

意図的に誰かが封印を解いたのなら、どれ程巧妙に痕跡を隠したとしても、見付け出す事が出来ると思っていた。

何故なら今回の様に、カンちゃん以外のモノによって、封印を解かれてしまった時の事を予め考えて、複雑な封印を施し、更に隠しコマンドの様なモノも施して有ったのだ。

其れが功を奏したみたいで、やはり何者かによって封印が解かれたのだと判明したのだった。

偶然では無かったと分かった時、権也の言った言葉がよぎり、権也の直感力の凄さに感心すると同時に、出来るなら、権也の直感力から導き出されたモノであって欲しくは無いとも、そう願わずにはいられなかった。

だからこそ、事細かく間違いの無い様に調べるのだった。

そして、全ての調べが終え、封印を解いたモノが判明したのだった。

間違いが無いかと何度も繰り返したが、結果は同じだった。

判明したと同時に、残りの未開封の封印の解除も完了したカンちゃんは

(権坊悪い…ちょっとこの場に居りたないから、今直ぐ此処から離れてもエエか?)

「えっ?如何したのカンちゃん…。其れは別に良いけれど、本体は如何するの?」

(悪い…コッソリは止めや…)

「止めやって…」

(堪忍やけど後で説明する!ワイの本体、今直ぐ此処に集まれ!)

カンちゃんが、バラバラになった本体を呼び寄せる。

そしてバラバラになっていたモノが権也の目の前で、眩い光と激しい音を発しながら、1つに纏まって行く。

流石にこれだけ派手にやってしまうと、城内から何事かと武器を持って人が集まり出す。

其れを理解したカンちゃんは

(権坊、そのまま外に出んで…)

其う言って、権也を光に包んだまま空へと向かって飛んで行く。

其の姿を見た城内の者達は、光の中で輝く権也の姿を見て、其の神々しさに思わず手にした武器を降ろし、神仏が吉祥をもたらしに降臨したのだと思い、遠くへと消えて行く権也に手を合わせ祈るのだった。

余談だが、長年世継ぎに恵まれなかった城主なのだが、この騒動の数ヶ月後に、めでたく側室の者が懐妊するのだった。

其の時、やはりあれは神仏が吉祥をもたらしたのだと、1部の者に語り継がれる事になる。

今迄は、移動を権也に任せていたカンちゃんだったが、今回はカンちゃん自ら移動するのだった。

何故今迄権也任せだったのかは察しが付くと思うが、本体をバラバラにし過ぎた上に、使える力をギリギリしか持って無かったから、もしもの時の為に、余計な力を使いたくは無かったのだ。

だが今は、半分以上の本体の封印を解いた事で使える力が増え、更に使用した分の力を補填出来る様にもなった事で、出し惜しみする事なく、眩い光を放ちながら夜空を飛行するのだった。

其れも猛スピードでの飛行を…。

「カンちゃん!ねぇカンちゃん!如何したの!?物凄い勢いで飛んでるけれど、何が有ったんだよ?」

(……)

「ねぇカンちゃんってば!僕の声聞こえてる!?」

(済まん権坊…もぅちょっとだけ話すの待ってくれんか?)

「えっ何?…其れってまさか…。分かった、今は黙っておくよ…」

(おおきにな…ホンマもぅちょいだけやから…)

権也はカンちゃんのお願いを聞く事にした。

黙っていないといけない状況下で有り、イメージ共有も危険なのかも知れないと、直感力で理解した。

更に言うと、城のあの部屋にも何か仕掛けが施されていたのかもと、カンちゃんが取った行動から感じ取ったのだった。

だから素直に聞き入れ、自分の権能である直感力を最大限に発揮し、危険と思われるモノから身を守る為に警戒を強める。

権能を最大限迄強めた事により、其の力がカンちゃんにも伝わり、其の恩恵によってまた1つ理解してしまう。

理解した時、飛行するのを止めたカンちゃん。

突然止めた事に対し

「如何したの突然止まって…?」

(済まんかったな、振り回してしもぅて…。取り敢えず人に見られん場所に身を隠すわ…。あの雑木林ならエエやろ…)

「カンちゃん…」

とんでも無い事が起こっているのだと理解した権也は、其れ以上何も言えなかった。

雑木林の奥深くに入り、結界を張ってから即席の休憩スペースを作る。

(もうちょっと待っててな、話しは其れからするさかい)

「OK…」

(先ずは未だバラバラのを遠隔で封印解いて此処に呼び寄せるわ…。集え!ワイの欠片達!今この場に駆け付けぇ!)

カンちゃんから強い思念が発せられ、各地に点在していた欠片が光の粒となって、まるで流星の様に次々と飛来する。

そして目の前に、残り全ての欠片が集まったのだ。

今手にしている本体の半分と、集まったばかりの欠片から感じる強力なエネルギーに、権也は圧倒されてしまう。

「す、凄い…。これが全て、カンちゃんの本当の力何だ…」

(せやねんけどな、今のままじゃ傀儡にされてまうから、此処でそうされんように処置せな、本来の力が発揮できん…)

「其れってまさか…。あぁ、やっぱりそうだったんだ…」

(ホンマ権坊の直感力は凄いな…。ドンピシャやったわ…)

「正直其れを聞いても、余り嬉しくは無いね…」

(せやな…ワイも信じられんくて、何度も確かめたんやけどな、疑いの余地が無くなるにつれてな、あの部屋に仕掛けがされてる事に気ぃ付いて、ワイ等の情報が筒抜けになっとると分かったらな、こりゃ少しでもバレンようにせなアカン思ぅて飛び出したんや…。だが仕掛けられてたのはコレ、ワイの本体やったわ…)

正直其処迄の事をされていたとは思っていない権也は、戦慄と怒りを感じてしまう。

「其れじゃ今のやり取り…()()に筒抜けって事じゃない!」

(せや…。だからこの半分に付けられたモンを消さな、下手したら傀儡にされてまう…。相手が相手やから、打ち消すには相当苦労すると思っとらんと、返り討ちにされてしまうから、権坊には悪いがワイを助けてくれるか…)

「勿論するよ!当たり前じゃない!僕の大切なカンちゃんをこんな目に合わせた神音には、容赦はしないよ!?」

(おおきにな権坊…ほな半分だけやけど、ワイを手にしてくれるか?其れで正式な主人として本領発揮出来るからな…)

「分かった!…カンちゃんの半身よ、僕の元へ来て!」

神音の手に掛かっていない残りの半分が、権也の元へと向かい、そして遂に権也はカンちゃんを半分では有るが、手に入れる事が出来たのだった。

半分とはいえ、自分が認めた者と主従が結ばれた事によって、今此処にいる者達の中で1番強く、権也を凌ぐ力が宿るのだった。

これで敵として位置付けた神音とも渡り合えると、権也とカンちゃんは思うのだった。

其れでもかなりの労力は必要と理解しながらも…。


完全では無いが、カンちゃんを復活させる事が出来た権也。

権也とカンちゃん、そして神音との行末や結末が如何なったのかは、時が来れば語られる事になるだろう…。


第56話 カンちゃんと権也 完

匂わせ感で締めくくられましたが、一応ですが、権也とカンちゃん編は完了です。

では次話をお待ち下さい。

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