権也とカンちゃん編 6
第55話 警鐘…
(ちょい権坊!何時迄閉じ込めとる気や!ガブっと噛み付くど〜!)
「あれ?ガブっと噛み付くって、何時から犬みたいになったの?…もしかして、カンちゃんの本体って、犬みたいな形してるの?」
(ホンマこんボケは、ツッコまれな気が済まんのかいな!いちいち例えを真に受けるんやない!ホンマに疲れる…。所で聖司の旦那はん、ちょっと聞きたいねんけど宜しい?)
「ん?何だいカンちゃん?何が聞きたいんだい?」
(お宅の息子さん…以前から天然ですのん?)
何を聞くのかと思えば、権也の天然確認。
思わず前屈みにコケそうになる聖司。
「ハハ…ハハ…」
乾いた笑いしか出せない…。
「ちょっとカンちゃん!何聞いてるんだよ!僕天然じゃ無いって言ってるでしょ!?」
(これやモン…)
(ちょっとカンちゃん…。本人を目の前にして言うとは失礼では有りませんか?少なくとも貴方が仕える主人なのですよ?)
(イヤイヤ神音はん…。その言い方やと、遠回しに肯定してまっせ?)
(!!こここ、これは申し訳ございません!聖司様のご子息様に対して、何て無礼な事を…)
「いや良いよ神音…。俺も分かっていた事だから…」
「ちょっと何だよ〜!お父さん迄そんな事言うの〜!?僕天然じゃ無いって〜!!天然さんは、お母さんだけだよ!」
「………」
((………))
「ちょっと!何で皆んな黙ってるの!?」
「いや…お前はしっかり夕香の血を濃く受け継いでいるよ…」
(私からは何とも申し上げられません…)
(大体天然さんは、他人の天然さん見て安心しよるんよ…。これで分かったやろ?権坊はバッチリ天然さんやって、皆んなが思っとる事も…。それとな、何かしら指摘された事を否定してる時点で、肯定してるみたいに何ねんで?)
「ブゥーーッ!…何だよもぅ…。あれっ?そう言えばさ、ダーツ誰が1番か勝負ついて無かったよね?さっきのゲームの1等決めなきゃね!」
(あっせやったな!ほな続き始めよ…って、マイペース過ぎるわ!何いきなり話飛んでんねん!脈絡無い話ブチ込んで来よってからに、ホンマ振り回されるこっちの身にも成り〜っちゅ〜ねん!)
「えっ?そう?全然話飛んで無いよね?」
(聖司の旦那はん…お願いや…助けて欲しいですわ…)
「ハハ…ハハ…」
(またそんな乾いた笑いして無いで、ホンマに助けて欲しいんですわ…。切羽詰まってますねん…)
「済まないカンちゃん…諦めてくれ…。俺も、信康も苦労しているんだよ…。その気持ち分かるよ…とても良く分かるよ…。でも耐えるしか方法は無いんだよ…」
(…そうですわな…聖司の旦那はんも、何時も苦労されとるんですもんなぁ…)
「本当に済まない…役にたてなくて…」
(いえ…。何だか聖司の旦那はんと信やんには、また何処か違う絆を感じますわ…。同じ苦労人としての同志ですわ…)
「カンちゃん…。そっか…カンちゃんも俺達の苦労を分かってくれる同志何だな…。おぉ!同志よ!カンちゃん!…」
(旦那はん…)
(あの…そろそろ其の意味の無いやり取りを終了しては頂けませんか?)
「酷っ!神音酷い…」
(旦那はんの言う通りやわ…酷いで…酷やで…。其れこそ、本人の目の前でってい〜うヤツやんか)
「だな…」
(それは申し訳有りません…ですが、目的をお忘れかと思えましたもので、一応確認の意味を込めてお聞きしました…。それに…)
「やだなぁ〜神音、決して忘れて何か無いぞ?ただ理解者が増えた事が嬉しくて…」
(せや、その通り何ですわ神音はん、申し訳無い…。で、それにとは何ですのん?)
(貴方の主人、権也様が飽きて寝てますよ?)
(何やて〜!?ってマジか〜!!ホンマに寝とる〜!!…ハァ〜、なぁ神音はん…これでも意味無い思います?…)
(…確かに大変ですね…重ねてお詫び致します…)
(いや此方こそ、理解して貰うてありがとさんですわ。それとワイ等のピンチに助けに来て頂いて、ホンマにありがとうございました、聖司様…。完全に寝てる権坊の分もお礼させて頂きますよって、ホンマにありがとうございます)
「いや本当気にしないでくれよカンちゃん。偶々何だからさ!」
(そうです、偶々ですからお気になさらずに)
(おおきに、そう言って貰えると助かりますわ。今後はあんな事にならん様ワイが気張りますから、聖司の旦那はんは早よぅ神音はんを見付けて上げて下さい…)
「ありがとうカンちゃん。俺の大切な神音だから、必ず見付け出すよ」
(お気遣いありがとうございます、では私達はそろそろ此処を離れます)
(おおきに!ホンマおおきにやで!)
「それじゃカンちゃん、悪いが権也を宜しく頼むよ!」
(任せといて下さいですわ〜!)
(それじゃご武運を…)
(おおきに!そっちにも武運を祈っとりますわ!いずれまたあの場所で!)
「それじゃ!」
(では…)
神音が創った異空間へと消えて行く聖司を見送る。
「お父さん達行ったね」
(うぉっとビックリ!何や寝てたんちゃうんかい?)
「寝てるフリしてた…」
(寝てるフリ?…また何でなん?)
「だってさ、僕が起きてたら、お父さん僕の事気になって、なかなか此処を離れないと思ったんだ〜。それに…僕もお父さんと一緒に居たくなって、カンちゃんが完全に見付かる迄甘えちゃいそうだったんだもの…。カンちゃんを全て見付けるのは、僕がやらなきゃいけないのに、手伝って貰う訳にはいかないし、お父さんも早く神音を見付けて欲しいからね…」
(なる程なぁ…。それで寝たフリしとったんか…)
「うん」
(でもフリやとは思えん程、完璧な演技やったな!)
「あっそれ、途中ちょっと本気で寝てたから…」
(それフリちゃうやんか!)
「エヘヘェ〜」
(ったく、まぁエエわ…。でもホンマにそれで良かったん?挨拶もせんで…)
「うん大丈夫!あっそうそう、お父さん達を見送る時のカンちゃん、何時もと違う関西弁じゃ無かったけどさ、普通に喋れるの?」
(そんなん当たり前やん、ちゃんと喋れんで?)
「そうなの〜?それなら何時も普通に喋ってくれたら良いのに…」
(そんなん直ぐに変えれるモンとちゃうやん、権坊も関西弁とか他国の言葉で今すぐ話せって言われてもムリやろ?)
「確かにそうだよね…」
(あん時は特別やったからな…)
「特別?」
(せや、礼を尽くさなアカン時や其の相手には、しっかりと気持ちを伝えたいからな…)
「それであんなに畏まった硬い感じの言い方をしたんだ…」
(せや…。権坊のオトンって、関西育ちちゃうやろ?)
「うん多分…ただお婆ちゃんが関西の出身だから、詳しくは知らないけれどね…」
(へぇ〜そうなんかぁ…。まぁ相手が関西のモンなら、関西弁でも礼を尽くす相手を敬う言葉は有るんやけどな、オトン関西ちゃうやろ?せやから、その土地に合った言葉で話さな失礼やんか。せやから気を引き締めるつもりで、礼を言わせて貰うたわ…)
「なる程ね〜。…前から思ってたんだけどさ、カンちゃんって…」
(ん?ワイがどないしてん?)
「スッゴく真面目さんだよね…。しかもドの付く程の真面目さん」
(アホかぁー!ワイの何処が真面目さんやねん!こんなん普通やろが!ただ権坊、おまんが自由過ぎんねん!天然さん過ぎんねんって!)
「えっ?何言ってるの?僕の中じゃ、僕が1番マトモなんだけど?」
(このドアホ!何処がマトモやねん!?)
「だからね、周りの皆んながマトモじゃ無いんだって。僕のする事に付いて来れないだけなんだもん!」
(……そう来たか…末期や…最早末期でございます…。分かった、もうそれでエエわ…)
全くの予想外な発言に、性格修正やその他の指導など無意味なのだと理解し、キッパリ諦める事にしたカンちゃん。
[同志の聖司の旦那はん、信やん…ワイは諦めましたから…済んません…。出来れば助けて欲しい…泣きそう…]
(…そういや権坊…話は変わってちょっと聞きたいんやけどな、聞いてもエエ?)
「何を?」
(神音はんを探させる為に、聖司の旦那はんに早く帰って貰いたかったんやろ?)
「うんそうだけど」
(その言葉聞いた時にな、何か未だ他にも理由が有った様な気ぃしてんけど、ちゃうかった?)
「流石カンちゃん!実はそうなんだよね〜」
(やっぱなぁ〜。ほんで其れは何なん?)
「多分、多分だよ?カンちゃんの封印が解けたのって、神音が来たから何だと思うんだ…」
(何!?神音はんが来たから?)
「うん…。正確な事は分からないけどね、神音が封印を解いたのか、共鳴?ってやつ?まぁ良く分からないんだけれどさ、其れによって解かれたんだと思うんだ…」
(其れホンマか!?ホンマなら、帰さずでも良かったや無いんか?)
「其れがダメなんだよ…」
(何でや?)
「僕が感じた所、今はカンちゃんの本体、未だ落ち着いてるみたいだけれど、封印が解かれたままの状態だと、不思議な力が有るって事に気付かれてしまってさ、1番偉い人が悪用するかも知れないって思ったんだ…。其れを神音が居る間、バラバラになってる全ての本体が反応したら、其れこそカンちゃん争奪戦が起きるかもって…」
(あんな僅かな時間でそんな事迄分かったんか!?…いやはや権坊の権能は凄いな…。封印解かれたワイ自身、何で解かれたんかも理解してへんのに…)
「だからね、此処に神音を長く居させてはいけないってのとさ、多分だけど、集まった分の本体、今は落ち着いて反応してなくてもさ、また何かの拍子に反応してしまったら、とてもヤバいんじゃ無いのかな?」
(其れも確かにやな!こうしちゃおられん!今直ぐにでも掻っ攫いに行かなアカンな!)
「そうだよね、ヨシ行こうよカンちゃん!」
(ほな悪いけど、宜しゅう頼むで権坊!)
「OK〜!で、向かう方角はどっち?」
(分身体の球体を出すさかい、其れに付いて行ってくれ!)
「了解!超特急で向かうね〜」
カンちゃんが案内用の分身体を出し、権也は風と一体化して其れに付いて行く。
目的地に向かっている途中で気付いた事なのだが、使者の無意味な奇行で死んで行ったモノ達の全てが生き返っていたのだった。
如何やって生き返ったのか不思議に思うカンちゃん。
何者かが蘇らせた事は間違い無いとは思うのだが、其れが誰なのか分からないのだった。
だが権也は其れを施したモノは誰なのか、そして其のモノが使った莫大なエネルギーは、何処から用意されたのかも何となくだが理解していた。
蘇生を施したモノは神音。
莫大なエネルギーは、封印を解かれたばかりのカンちゃんの本体を介して、使者を攻撃した時に昇天して行く魂達から託された力を使ったのだと。
(魂の皆んな、これで少しは楽になれたかな…ずっと辛い思いをして来たものね…)
権也がそう思った時、絆の繋がりによりカンちゃんも
[せやったか…権坊の直感力はホンマ凄いな…。無意識に正解を導き出しとるな…。後で神音はんに、礼を言わなアカンなぁ〜。其れよりも先ずは…]
(おおきにな権坊…)
「ん?如何したたの突然?」
(いや、別に…。何か言いたなってん、ただそれだけや)
「ふ〜んそぉ?まぁ良いや、良く分からないけど僕もありがとうカンちゃん」
(おまんこそ、よぅ分からへんのにありがとうって、笑えるわ〜)
「ハハッだね〜!」
(アッハハハハハハハハ!おっ?権坊!もうじき着くで?)
「うん了解〜!…あっあのお城だね!」
(せや、あれや。あそこにワイの本体の半分程集まっとるわ)
「半分ね…で、あの城のどの辺り?」
(あの城の周りに幾つか建物有るやろ?)
「うん有るね〜」
(其処が普段の居住しとる所やねん。其処に色んな宝とかが置いてある部屋が有んねん。今の権坊ならどの部屋か何となくでも分かるんとちゃう?)
「……あっ!あそこかな?」
(せやな、流石権坊大当たり〜!ってちょい待ち、しばらく此処で待機しとこ)
「えっ如何して?全部じゃ無いけど、其処にカンちゃんの本体が有るんでしょ?直ぐに行かなくて良いの?」
(直ぐに行ってもエエけど、後数個程、此処に向かって来てるみたいやねん。其れが全て集まったらでエエし、更に言うとな、封印解く時やワイが本体を1つに合わせる時かなり光を発する筈やし、バラバラなモノが1つに合わさるからな。そんなの此処のモン等にしたら怪奇現象にしか思えんやろ?神霊現象に思えてくれたらエエけど、そんな神様やと都合のエエ様に解釈されるやなんて思えんしな…。せやから、此処のモン等が寝静まった頃にコッソリ掻っ攫ぉう〜)
「分かったよ。でも此処で待機より、今のうちにあの部屋に入って待ってれば良くない?」
(其れをしたらワイと権坊が本体と近過ぎて、勝手に封印解いたり、1つになったりするかも知れんからな、後々の事考えて、不安要素が有るより安全対策しといた方がエエやろうからな…)
「凄いね〜。カンちゃんそんな事迄考えてるんだ〜」
(当たり前やろ、こんなん普通やで?特に権坊には、必要な要素何やで?その直感力を最大限に活かす為にな…)
「う〜んそっかぁ〜…。それじゃ頑張って身に付けられる様にするよ。そうすれば、信兄ちゃんや阿沙姉ちゃんにも勝てる様になりそうだからね〜」
(おっ?其れにも気付いたか。流石権坊やな!ワイはこれ以上進言はせん様にするさかい、後は権坊自身で頑張って出来る所迄やってみい。サポートならば幾らでもしたるさかい)
「ありがとうカンちゃん。それじゃあの木で休憩していようか?」
(せやな日も暮れて暗なったし、其のうち此処のモン等寝静まるやろう)
この城の主人と謁見を終えた者達が帰りだし、城に残った幾人かの者と、この城の主人が宴を楽しんでいた。
其れを見ながら権也は考えていた。
神音の違和感についての事だった…。
カンちゃんの本体の封印は、カンちゃんが間近で直接解除しなければ、勝手に封印が解ける事など決して無い筈なのだが、何故あの時封印が勝手に解けたのかと、権也の中で引っ掛かる部分だったのだ。
権也の直感力で、勝手に封印が解除される事は絶対無いのだと、確信している。
でも解除されたのだ…。
何故?如何して?如何やって?…と、ただひたすらに考えていた。
だが、権也には知識が足りない。
知識だけでは無く、情報も全く足りないのだ。
其れでも考える事を止めず、ちょっとした切り口から正解に導かれるかも知れないと、考え続けるのだった。
幾つもの仮定を考えて、封印を解かれた時の事を思い出すのだが、どの仮定もやはり“神音”に辿り着いてしまう。
(あの時確かに、これ以上無い程のピンチだったけど、余りにもタイミング良過ぎるよね、お父さんが助けに駆け付ける事自体が…。幾ら時空を越えられるからだとしても、誤差は絶対ある筈だし、其の上カンちゃんの封印も都合良く解けるのもおかしいよね…。本当、余りにも都合が良過ぎるよ…)
そう思ったら、権也の中で“神音”の存在の違和感が出始め、最大の警鐘が鳴り響いて来る。
“神音”とは一体どんなモノなのか。
其れをしっかり見極め無い限り、使者同様に危険視しなくてはいけないのだとも、権也は強く思うのだった。
「ねぇカンちゃん、1つ聞いていいかな?」
(ん?何をや?)
「僕達のピンチの時に、お父さんが何時でも駆け付けられる様になってるって言ってたけれど、如何やって其のピンチを理解してる訳?」
(あぁそれか?其れはな、此処に来る前1度ワイ等が光の球になって1つに合わさったやろ?)
「あっそんな事有ったね」
(そん時に権也の魂の波長を、他の皆んなの分と一緒に纏めて渡してあんねん。だからワイ等が何処に居ようとも、必ず探し出して助けに来るっちゅう手筈なんや)
「なる程ね、其れじゃもしかしてさ、今もお父さんに、僕達の情報が筒抜けなの?」
(人聞きの悪い言い方やけど、まぁ其の通りやな)
「其れって、お父さんと神音同時に?其れとも神音が先で後にお父さん?又は其の逆?」
(ホンマどないしたん?そんな事聞いて?)
「良いから教えてよ」
(神音はんを通してやな…。其れがどないしたんや?)
「そっか…」
(おい権坊!?…)
権也は其の事を聞いて悩んだ。
出来るなら今は、神音と距離を置きたい。
だが其れをするには、カンちゃんに自分が感じた事を話さなくてはいけない。
其れをしたら、必ず神音に内容を知られるだろう。
多分今のやり取りも聞かれている筈だとも思い、何とかしてカンちゃんに教える術は無いものかと考えた。
だが良いアイデアが浮かばない…。
(権坊、ホンマに如何してん?何か有ったんか?)
「うんとね…カンちゃんに言いたい事有るんだけどね、上手く言葉に出して伝えられないんだよね…」
(何やそんな事かいな、其れならイメージ共有すりゃ〜エエんとちゃう?)
「!!」
カンちゃんの提案に、其れなら神音に聞かれる心配は無いと権也は思った。
「其れ!其れお願い!今直ぐに共有してよ!」
(何やまたいきなり…でも権坊がそぅお願いするんやったら、断る理由も無いからなぁ〜。分かった、ほなイメージ共有させて貰うからな…はいポチッと…)
カンちゃんは直ぐにイメージを共有して、権也が如何しても伝えたいと言ってた内容を知り、思わず声に出しそうになったのだが何とか堪え、其のままイメージでのやり取りをするのだった。
(如何?僕の言いたい事分かった?僕の考え間違ってるかな?)
ーいや何とも言えん…。せやけど、権坊の直感力から来たモノやったなら無視出来へん…。取り敢えず、神音はん達に悟られん様に何とか通信出来ん様にせなな…ー
(其れなら、またお父さんに迷惑掛けるのが嫌だから、本当のピンチになる時迄、僕の波長とカンちゃんの通信を断つって言えば良いんじゃない?其れかこれから先、イメージ共有して会話する?)
ーイメージ共有は、流石に不味いやろ…。突然会話が無くなってもうたら何か有ったか思うて、また来るかも知れん…。取り敢えずは迷惑掛けた無いって言えばエエやろ…ー
(其れじゃ、其の案で伝えてくれる?)
ー分かった、ほな伝えてみるわ。何やったらイメージ共有しといて、オトンにも聞いて貰った方がエエかもな。そうすれば、下手に神音はんも裏で、何かしようにも出来へんやろうからな…ー
(分かった、其れじゃカンちゃんに任せるから、お願いするね)
ーおぅ!任しとき〜!ー
そして直ぐに神音と連絡を取る。
(如何されましたカンちゃん?)
(ちょっと神音はんと、聖司の旦那はんに伝えたい事があんねんけど、今宜しいか?)
(何でしょう?承りますから教えて頂けますか?)
(権坊からのお願いも有るから、出来れば聖司の旦那はんも一緒に会話したいねんけど…)
(そうですか…分かりました、少々お待ち下さい。今聖司様にお伝えします)
程なくして
「如何した?権也が俺に伝えたい事が有るみたいだが…?」
(先程はありがとうございます〜。実は権坊がですね、聖司の旦那はんに迷惑掛けた無いって、本当のピンチ迄助けて貰わない様に頑張りたいからって言いよりまして、しばらくワイと権坊の通信と追跡を切らせて欲しいんですわ…)
「そうなのお父さん!ダメかな?」
「……ダメじゃ無いが、其れは何か有った時に困るだろ?」
「うん分かってる。だからね、本当のピンチ迄こっちから連絡出来ない様にしたいんだ…。そうしないと、僕甘えちゃうからさ…」
「…其処迄言うのなら…分かった!しばらくだけなら許そうか。そう言う事で神音、お前も良いかな?」
(聖司様がお決めになった事を拒否するつもりは有りません…。宜しいですよ…)
「神音の許可も出たから、精一杯頑張ってくれよ権也。だが本当に危ない時は、直ぐ知らせる事を約束してくれよ?」
「うん分かった!ありがとうお父さん」
(ほなそう言う事で、これにて失礼します〜)
「其れじゃ!」
(お気を付けて…)
上手く通信と追跡を断ち切る事が出来たかを確認するカンちゃん。
本当に通信と追跡が切れてる事が確認出来、安堵する2人だった。
権也の直感力から神音が最大の警鐘対象として、何故か選ばれてしまったのだ。
果たして其の警鐘は、正しいモノなのか如何かは、今は分からないのだった…。
第55話 警鐘… 完
最後の方、雲行きが怪しくなって来た感じでしたね。
さて、この権也とカンちゃん編も、いよいよ佳境となって来ました。
本当なら、今話で完了させようと思ってましたが、あっコレ書かないと!あぁコレも…と書いてるうちに、文字数8,000越えしてしまい、次話に持ち越しです。
では、次話をお待ち下さい。




