権也とカンちゃん編 5
第54話 共闘
神木のウロに強力な結界を施した修行場。
余りにも強力過ぎて逆に出られなくなり、現世では数秒なのだが、結界内では2ヶ月を過ごした権也達。
暇で遊んでいた時偶然に、結界を撃ち壊す事が出来たのだったが、喜びも束の間、外界に出た瞬間権也は襲われた。
襲ったのは勿論使者。
魂の器も成長し、これ以上無いと言える程の強力な術と力を得たのに、全く太刀打ち出来ないのだ。
最強とも思える術を発動するには、魂の核が変化する程の集中力が必要な為、その時間を何とかして作らなくてはいけない…。
だか、そうはさせてはくれない使者の強力な連続攻撃で、今の状態では不可能だった。
それ程迄の差が有る事も1つの原因なのだが、使者に言わせれば
「弱い…弱過ぎて遊び相手にもならぬ…。お前は王族の恥晒しだ」
と迄言われる程、術に加える力の無さが大きな原因だった。
それは、権也を守るカンちゃんにも当てはまっていた。
でもそれは仕方が無い事なのだった。
力を発揮する為のモノが、カンちゃんには不足していたからだった。
その事をカンちゃんは分かっていたが、権也には黙っていたのだった。
ただでさえ無鉄砲な権也なのに、その事を教えていたら、必ず無茶をする事が分かっていたから。
だがその為に、何度か使者が放った怪物を感知出来なかった事で、権也を危険に晒してしまった事実に、如何償えば良いのか悩んでいた時に起きた使者の襲撃。
これ以上権也を危険に晒さないと使者から守り、少しでも使者を足止めし、権也が術を使える為の時間稼ぎになれたならと、今持っている限りの力を込めて攻撃したのだが、全く効かなかったのだった。
[ワイって…こんな弱かったんか?…。何の役にもたたへんやん…。何の為の王族の宝具やねん…]
自分の力の無さに、悔しさと虚しさや怒りを感じた時、使者が翳した掌に集中した余りにも強力なエネルギーに、これ以上抗い続けても意味は無いのかもと、カンちゃんだけでは無く、権也もそう思ってしまっていた…。
(済まん…ワイに力がもっと有ったならな…権坊だけでも逃がせたのになぁ…)
「何言ってるんだよカンちゃん!…でも、どの道今の僕だと逃げられないよ…」
(権坊…)
ーケネラ王子…ー
そしていよいよ、使者が権也を消滅させようとした時
何者かによって奇襲を受けた使者が絶叫をし、放たれる筈だった強力なエネルギーが霧散してしまう。
誰が自分を攻撃したのかを直ぐ様確認する使者。
「なっ!何故お前が此処に!?」
驚きを隠せない使者。
だが使者と同じく驚いてしまう権也。
「お、お父さん!?…如何して?…如何して此処に居るの!?」
宙に開いた時空の裂け目から舞い降りる聖司。
権也を庇う様に使者と対峙する。
「お父さん!ねぇお父さんってば!如何して!?如何して此処に居るの!?」
「……権也、下がってなさい。危ないから…」
「ねぇちょっとお父さん!如何して!?教えてよ!!」
「…いや何、神音を探す為に時空に入ったら、何故か此処に出てきたんだ…。そうしたらアイツがお前を狙ってたからな、俺の大事な息子に何してくれてんだ!!って、ムカつくアイツに奇襲を仕掛けてやった迄だ…」
「本当にそうなの?」
「そうだ…大事な息子を助けるのは当たり前の事だろう?だから今は危ないから、少し遠く迄離れてなさい…」
「そんな!僕も一緒に戦うよ!」
「ダメだ!!頼むから言う事聞いてくれ!!」
「!!……うん…分かったよ…。でも気をつけて、無茶はしないでねお父さん…」
「あぁ分かったから…」
素直に、聖司に言われた通りにする権也。
でも本音では、一緒に戦いたかったと思っていた。
何故ならば、自分のピンチを知って、神音を探す事をわざわざ止めて迄助けに来たのだと、権也は分かっていたからだった。
権也は悔しかった。
神音を探す聖司の手を止めて迄、自分を助けに来させた事に対して、強くなったと思っていたのに、使者と対峙して簡単に消される程の力の差が有った自分の弱さ。
何て非力なのだろうと、役にたたない恥晒しだと言われた事、その通りなのだと思い、悔しさで押し潰れそうになっていた…。
(権坊…ワイにもっとちゃんとした力が有ったなら良かったんやけど…済まん…何の役にもたたんで…)
カンちゃんが情け無い悔しいと、強く思っているのを感じる権也。
「何言ってるんだよカンちゃん!…それを言うと僕もだよ…。お父さんに迷惑掛けてしまって、スっごく悔しい…。僕にもっとちゃんとした力が有れば、迷惑掛けなかったのに…」
(…権坊…。何やワイ等同じなんやな…ハハッ…。それならもっと強〜なろう!一緒に強〜なったろう!)
「そうだね…うん!今落ち込んで悔しがるより、あの使者をブっ倒せる程に、一緒に強くなろう!カンちゃん!」
(せやな!…ただ今更なんやけどな…権坊に言わなあかん事有んねん…)
「ん?何を?」
(済まん権坊、ずっと黙ったままやったんやけどな、今のワイ、ちゃんとした力が無いねん…。メッチャ弱い力しか使われへんねん…)
「…そうなの?あ〜やっぱりね〜。それは何となく分かってたよ」
(やっぱりそうやったか…。権坊の事や、その直感力で分かったんやろうけど、気付かんふりしてくれてたんやな?)
「エヘヘ…うん…。でもさ、何で弱いのとかをね、ちゃんと説明はしてくれるんだよね?」
(あぁする!ほな説明するけどな、ワイ本体を幾つもに分けててな、其々にワイの力を封印してんねん。主人や無いモンに使われん様にする為にな…。今のワイは、基本中の基本の能力しか残して無いねん。せやから、ワイのバラけた本体を集めて1個ずつ、封印をとかな元の力が使えへんのよ…)
「なる程ね…。でもさ、基本中の基本でも、凄く強い力使ってたよね?」
(ワイもそう思って、これだけの力が使えりゃエエやろうとな、高を括ってたみたいやねん…。おかげでこの有様や…。あの使者の放った怪物の気配を感じへんかったの2度も続いた時、そん時にやっと気付いたんやけどな、確実やと思ったんは、神木はんに有ったワイの本体の、更に極1部の石ころを手にした時に、検索能力が向上したから何やけどなぁ…)
「それじゃ今直ぐにでもさ、カンちゃんを見付けに行けば元の力が戻るんだよね?」
(それなんやけどな、権坊にそれ言ったら直ぐ探そうとするやろ?)
「当たり前じゃない、勿論するよ」
(それが嫌やってん、絶対無茶しよるから…。今分かってる範囲だけでも、かなり広い範囲で点在してんねん。しかもその付近には、あの使者の放った怪物同様の力を持った危険なモンがウヨウヨしてたさかい、ある程度本体が1ヶ所に集まったら、その全ての封印を解いた後に、残りを一気に遠隔で封印解除しようかと思っててん)
「それが此処に来た時に言ってたヤツ?」
(せや、何かよ〜分からんけど、今イっちゃんエラいモンの所にな、ワイのバラけた本体が各地から集まり出してんねん。何や献上する〜言うてるモンの中に、バラけた本体の半分以上が集まりそうやねん)
「ふ〜ん、そうなんだぁ…」
(勝手に人のモンを献上って、いぃ迷惑やわホンマ…。まぁ正直、そないな事関係〜あらへんけどな。集まったトコ掻っ攫うだけやからな)
「それ、泥棒じゃん!?」
(そんなモン知るかぁー!元はワイやし、権坊おまんのモンでも有んねんで?)
「それでも献上した人とかに、迷惑掛かるんじゃ無いの?1番偉い人ならさ、ちゃんと管理してなかった人とか、献上した人を殺しちゃうかも知れないじゃん…」
(それは大丈夫や。ワイの本体かなりバラけとるし、大体が服や箱の装飾品の1部になっとるみたいやさかい、先ず分かる事あらへんから…)
「そうなの?…それじゃ何とかなりそうだよね…。でも何時頃になったらさ、その半分以上が集まるのか分かる?」
(ワイの予想やと、後1・2日っちゅ〜感じやな…)
「えっ!?そんなに掛かるの!?」
(ホンマあん使者タイミング悪ぅ来よってからに、このままやと消滅されん様2日間使者と渡り合って追っ払わなアカンもんな…)
「悠長な事言ってられなくなったね…」
(まぁ権坊のオトンの聖司はんが来てくれたさかい、上手くいけば何とかなるかもやけど、それでも正直かなり分が悪いやろうな…)
「やっぱりそうなんだ…。それじゃ僕も何としてでも加勢しなくっちゃ…」
(せやな。ヨシッ権坊、今のうちにあの術使える様に集中しとけ!如何やら聖司はん、神音はんの助けも有って何とか持ち堪えとるみたいやし、使者に悟られん様にワイが何とかしとくさかい、頑張って集中しいや?それと出来たら最低3発分、連続出来る様に集中しといてくへれんか?)
「えっでも、連続は危険なんじゃ無かったの?」
(そうならん様に、保護した魂達に協力して貰うわ。おまん等もかまへんやろ?)
ーそれくらいの事なら、是非にでも!ー
(せやって…。だからおまんは気にせんと、連発出来る様集中しといてな?)
「…本当は、皆んなを使役するみたいで嫌だけど…ごめん皆んな、お願いしても良い?」
ーお願いするのは我等の方です、ケネラ王子…ー
「ありがとう、それじゃ僕これ迄以上に集中してみるよ。お父さんの助けにもなりたいからね…」
(ヨッシ!頑張れ権坊!)
ー後の事は我等にお任せを!ー
「それじゃ皆んな宜しく!」
そう言って、直ぐに集中モードに入る権也。
カンちゃんと保護された魂達は、使者に気付かれぬ様に権也をカモフラージュする。
一方、聖司と使者の戦いはと言うと…
「貴様〜〜!何故此処に居る!?しかもかなりの力を身に付けて!?」
「お前に答える義務や義理は無い!よくも俺の大事な息子や家族を殺し、消滅させようとしやがって!お前だけは絶対に許さん!覚悟しておけ!」
「何だとー!!どの口でその様な事を抜かしておる!抜け抜けとその様な事を抜かすなー!何が大切な息子だ!?何が大切な家族だ!!先に私の大切な家族を殺したのはお前じゃないか!!許さぬのは私の方だ!!」
「事実か真実かも分からないのに、俺達は五千年もお前に苦しめられて来たんだ!だがそれも今回迄だ!絶対お前を消滅させてやる!」
「未だ言うかー!私は嘘など言ってはいない!この残虐者がー!今直ぐ息子共々消し去ってくれよう!死ねえぇぇぇ!」
聖司と使者の戦いが始まった。
力の差は歴然なのに、神音の助けも有ってか、未だダメージを1つも受けずに使者を攻撃する聖司。
ただ決定打にはならず、長期戦となれば分が悪いのは聖司なのだと、使者も聖司も分かっていた。
それでも此処で引く訳にはいかない。
何故なら愛する息子、権也が命を狙われているのだから…。
決定打には欠けていたが、時折加える強力な技や術で、幾分かのダメージを与える事が出来て、少しずつでも使者を弱らせられれば、この場を去ってくれるかも知れないと、僅かな希望を加えて攻撃を続ける聖司。
その聖司に向かって
「エエーイ!効かぬと分かっていながらしつこいヤツめ!それに何故そもそも、お前が此処に居るのだ!?お前はこの先の未来にて、私と戦っている筈だ!?それが何故、如何して此処に居る!?そもそもお前は本物なのか!?」
「何を意味の分からない事を言っているんだ?五千年もの永い時で、元々イカれていた頭が更にイカれてしまったのか?悪いがイカれ野郎に答える気は無いぞ!」
「この〜〜クソがあ!あの娘といい、やはりあの娘の親だけあって、お前も人を怒らせる才能が有る様だな!此処が終われば次は、あの娘を消しに向かってやるわ!その為にも早く大人しく消え失せるが良い!…」
怒り心頭の使者が言った事は、実は本当の事だったのだ。
現代から少しだけの過去で、聖司は使者との死闘を繰り広げている真っ最中だったのだ。
それなのに、何故此処に居るのか理解出来ない使者。
出来るならば、なるべく不確定要素を取り除きたいと思っている使者は、今現時点で目の前に在る不確定要素に困惑していたのだった。
(何故此処に居るのだ?此奴に向かっている分身体からの情報では、間違い無く戦っているのだと分かるのに、何故何だ!?しかも力も同等の様だ…。何故なのだ!?分からぬ…分からぬぞ…)
考えれば考える程考えが纏まらず、焦り出す使者。
その焦りが生み出す更なる焦りによって、次第に意味の分からない恐怖心が芽生え、奇行な行動を取り始めた。
元々奇行なのだが迷惑な事に、更なる奇行で現世のモノにまで影響を出し始めたのだった。
その時大地が震え、巨大な竜巻が発生する。
現世の人達や動物達にとっても、突然の脅威に襲われてしまい、逃げ惑いながら、次々と死んで行くのだった。
そして更に有る変化が起きる。
それは本当に唐突でいて突然過ぎていて、思いも寄らない事で困惑するモノが居た。
それはカンちゃんだった。
(ハアァ!?如何言うこっちゃ!?何で?何でなん?…ワイが其処に居らんのに、何で封印が解けんねん!?)
そう、何故かは分からないが、カンちゃん本体の封印が解けてしまったのだった。
そして封印が解けた時、力が漲るカンちゃん。
「カンちゃん!僕準備出来たよ!…ってあれ?カンちゃん?…何か強くなってない?…」
(おおぅ!権坊!何か知らんが、ワイの封印が解けてもぅたみたいやわ…って、権坊おまん別人になっとるやないか!?)
「えっ?そう?…ってそれよりも、早くアイツ倒さないと!今の僕達なら、消滅させられなくても追っ払うくらいなら出来そうだよね?」
(ああ!間違いない!今迄の鬱憤晴らしたろ!権坊のオトンも限界やのに、此処迄頑張ってくれてんねん。ワイ等もドカーンと頑張ってみようか〜!)
「そうだね!それじゃカンちゃん、アイツの足止めお願いするね!」
(ヨッシャ任しとき〜!何ならワイが追っ払ってもエエんやで〜?)
「其れなら其れでも構わないよ〜。格好良い所みせてよカンちゃん!」
(ああホンじゃぁ〜一丁ブチかましたるわ〜!行くでぇ!)
「GOGO!カンちゃん!」
(今ボケー!今の今迄何晒してくれとんじゃーい!奥歯ガタガタ言わしたっるぞー!)
「うわ…口悪…」
(やかましい!こんな時だけ変なツッコミ入れんな〜!)
ツッコミと受け取ったカンちゃんは、そう権也にツッコミながら、本当に今迄の鬱憤を晴らすが如く、風を付加した時空の巨針を幾本も創り出し、使者を撃ち抜き空間に貼り付けるのだった。
今迄とは比べ物にならない程の殺傷力が有り、使者にダメージを与える事が出来たのだった。
「ギィヤアァァァァーーー!!」
(ヨッシャ〜!効いとる効いとる!今や権坊!あん使者に何発もドカーンとかましたれ〜!あっその前に神音はん!聖司の旦那はんを安全な所に避難させて〜な!メッチャ危ないからな〜、宜しくやで〜!)
(分かりました、直ぐ避難します。正直助かりました、聖司様に代わりお礼を申し上げます)
(そんなんカマヘンカマヘン!同じ主人を守る同士やないの!礼には及ばんよって、言うんなら権坊に直接お願いするわ〜)
(分かりました、後程その様にさせて頂きます)
(ほな権坊!ドデカイのブチかましたれ!)
「連発!ギュルギュルドッカーン!!」
このギュルギュルドッカーン!は、風を分子レベル迄超圧縮したモノで防御不可な上、相手の体内で分子が電子へと変わり、生身のまま電子レンジに入れられた状態になり、加熱され続けて最後に爆発すると言う、超強力な術なのである。
それを連続で3発分も喰らった使者は、流石にダメージが大き過ぎて
「何だと…ただの恥晒しのクソガキが…これ程迄の力を使うとは…クッ!此処迄不確定要素が多過ぎては話にならん…。悔しいが一先ず退散するとしよう…。覚えておれ…次こそ必ずや消し去ってやるからな〜!」
「このバーカ!それは僕のセリフだっての!陰険ウジウジムシムシが〜!目の下のクマ気持ち悪いんだよ!1度は寝てから来なよ!目の下のクマが無くなる迄来なくて良いからね!何ならそのまま起きなくても良いから!ずっと寝てなよ!」
「このクソガキ迄もが私を侮辱しおって〜!クソッ!」
そう言い残して消えて行く使者。
「バイバーイ!」
(あぁ〜スッとしたなぁ〜!)
「だね!アハハッ!」
「権也、お前凄いじゃないか!良くやった!偉いぞ!」
「あっお父さん!大丈夫?」
「あぁ俺は大丈夫だ」
「良かった〜!それに偉いって褒められたよカンちゃん!メッチャ嬉しいねぇ〜!」
(良かったなぁ〜権坊。ホンマ大活躍やで!)
「エヘヘェ〜!」
(権也様、先程は助かりました。誠にありがとうございます)
「あ、もしかして神音?」
(左様です)
「良かったね!とても良い名前付けて貰えて!流石お父さんだね〜、何だか僕も嬉しくなっちゃう」
「そうか?そう思ってくれたなら、俺も嬉しいよ権也…」
「エヘヘェ。それとね、ごめんなさい」
「何がだ?」
「神音を探さなきゃいけないのに、助けに来てくれて…。神音もごめんね…」
(いいえ何も謝られる事など有りませんよ?私を探して出た空間が偶々此処だっただけですので…)
「そう言う事だ、だから気にする事はないぞ?」
「…そぉ?…うん!それじゃさ、改めてありがとうねお父さん神音!」
「なぁにお互い様だ、俺も権也に助けられたんだから」
(そうです権也様。本当に助かりました、ありがとうございます)
「それにしても、本当に凄い術を編み出したものだな…」
(そうでっしゃろ?でもネーミングがコケそうになりますねん…)
「何それ〜!別に良いじゃん!その方が言い易いし面白いもの〜!」
「アッハハハハハッ!本当ブレないな〜権也は…」
(ウフフッ、其れでこそ権也様ですね。逞しくなられて、魂の器も成長されたのも納得出来ます…)
「エヘヘェ、また褒められちゃった〜」
(良かったなぁ〜…ってアホ!あんま調子に乗ったらあかんで!?器は大きくもなるけど小さくも何ねんから、気ぃ引き締めておかなあかんぞ?)
「…分かったよ…。そうガミガミ言わないでよ…」
「アハハッ、権也に丁度良い相棒みたいだな。これからも宜しく頼むよカンちゃん…!」
(勿論でっせ!聖司の旦那はん!ワイに任しといて〜!)
(コラコラ…カンちゃん、貴方も調子に乗ってはいけませんよ?)
「カンちゃんも怒られてんの〜!」
(何やと〜!ちょっ、其処で待っとけ!今分身体出してシバいたる!)
「ヘヘヘェ〜!出られない様に、指輪をギュッ!」
(おいコラッ!権坊ワレ何してくれとんじゃい!出さんかい!おい権坊!)
「アッハハハハハッ!本当良いコンビだ!」
(ったく…)
「アハハハハッ楽しいね〜!」
(アホッ!ワイは全然楽しい無い!)
そう言いながら、楽しそうな声のカンちゃんだった。
聖司の助けも有り、何とかピンチを乗り越えた権也とカンちゃん。
何処か逞しくなった様にも思える権也の成長ぶりに、聖司はとても嬉しく思えていた。
ありがとうカンちゃんと、感謝をしながら…。
第54話 共闘 完
権也と聖司が、使者と対峙する内容でした。
正直権也の行動を如何するか考えるの大変です。
更に、カンちゃんの関西弁が合ってるかを確認しなくてはいけないので、これも大変…。
そんな感じの内容でしたが…。
では次話をお待ち下さい。




