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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
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阿沙華と巫阿燐編 5

第46話 ボス誕生


激しい怒りも有り、怪物に、無意味に殺されたペンギン達の魂の1部が阿沙華に宿り、偶然新たな技を身に付けた事により、1体の怪物を倒す事が出来た。

その時、怪物となってしまった魂が、使者の使役から解放され、巫阿燐にアルサの生まれ変わりと聞かされた魂達は、阿沙華に希望を託し、阿沙華の力の助けになる為、自ら阿沙華の1部となるのだった。

それにより、今迄以上の力を得た阿沙華は、迫り来る残りの怪物達を前にしても、恐怖どころか、負ける気はしていなかった。

先程阿沙華の力となった魂達の助けが、これ程のモノとは、阿沙華どころか、巫阿燐さえも思ってはいなかったのだ。

出会い頭に、挨拶程度の舞零刃を軽く出しただけで、怪物の1体が粉々になったからだった。


ヒエェッ!メッチャ強力になってるんですけど!?

(本当よね〜!私もビックリよ!ってそこ!あんた達も勝手に昇天しない!これは命令よ!)

何か…容赦無くなったわね…。

(あらそぅ?そんな事無いと思うけど?)

…まぁ良いわ、それより試したい事有るって、私言ったじゃない?それ試したいのだけれどさぁ、ちょこっと手伝って欲しいんだけど〜。

(何か…途轍もない事しようって、考えてるんじゃ無いわよね?)

あっ、それは無いわよ〜?ただ思い付いたのがね、どれ程なのかを検証したいだけだから〜。

(その不適な笑み…信用ならないわ…。ん〜でも、何故か面白そうだから良いわよ〜!)

やった〜!ありがとう巫阿燐〜!

(オラァ!バッチコーイ!…ってやつよ〜)

本当軽いわね…。

(で、ど・お・す)

その言い方止めなさい!怒るわよ…。

(…はい…でね!如何するの?私、如何したら良いの〜?)


底抜けな明るさを振りまく巫阿燐に、何を言っても堪えないと悟った阿沙華は、深く考える事を止める事にした。


…フゥ…取り敢えず、残りの怪物を出来るだけ上空に飛ばして、落下させて欲しいの…出来る?

(たったそれだけ?そんなのドスコーイって感じよ〜!)

意味が分からないわ…まぁ出来るって事なら、私が指定した場所に落としてね!宜しく〜!

(まっかせて〜!ソリャー!…高く〜!もっと高く〜!飛んでお行き〜♪)

………。


楽しそうで何よりと思う阿沙華。

その阿沙華に、言われた通りに、姿が見えなくなる迄空高く、怪物を空間転移させる巫阿燐だった。


(これで良いかしら阿沙華?)

ええバッチリよ!落ちる迄の時間も長くしてくれたみたいね、助かるわ〜ありがとう!

(何のこれしき!貴方の試したい事が成功するのだったら、何て事ないわよ〜。とても楽しみにしてるからねぇ〜)

期待に応えられる様に、頑張ってみせるわ!

それじゃエイッ!


ピュシュン…


阿沙華は、落下地点に向けて氷の針を飛ばす。


(えっ?…試したい事って、それなの…?ただの小さな針じゃないの…。そんなの直ぐ折れて、ダメージ与えられないじゃない…)

フッフッフッ…まぁ見てて、試したいのはこれからなのよ。

(そうなの?それならお手並み拝見!)

フフッ…。


ペンギンなのに、阿沙華のその笑い声から、何故か不適な笑みを浮かべた様にも見えるのだから、不思議だ…。

そして、阿沙華はその氷の針に、()()()()()()を付け加えながら


神柱刺針(しんちゅうさっしん)


と、術を唱えた。

すると巨大な氷の針が出来、それは既に針では無く、聳え立つ巨大な円錐だった。

それを見た巫阿燐は


(ウソでしょー!!何て物作ってるのよ!!)


そこに、勢いよく落下して、次々と怪物達が突き刺さっていく。

突き刺さると同時に、氷の円錐の冷気によって瞬く間に凍りつき、その後ピシピシ音をたてて、粉々に砕け散っていくのだった。


う〜ん…もう少し、改良の余地が有るわね…。

(エッ!!今ので完成何じゃないの!?)

まぁ完成って言えば、そうなんだけどね…目印の針を出さないと、今の私じゃ上手く出来そうに無いのよね〜。

(ヘェ〜…そうなのね…)

それにね、これを空中から敵に向かって飛ばしたいんだけれど、それをするには重過ぎて、コントロールが難しそうだし、更に極寒の地じゃ無い所ではただの水だから、凍らせる術も合わせないといけないし…ちょっと使い勝手が悪そうなのよねぇ…。

(なる程ねぇ…今使ってる技や術は、此処南極ならではなのね…。確かに改良の余地は沢山有りそうだし、した方が良いかもね〜)

だよね〜…。

(でも、今のであちらさん、ちゃんと倒せたわよ〜!良かったじゃない)

そうね、取り敢えず上手く行ってホッとしたわ…。

(ってな事で、あんた達も勝手に昇天しちゃダメよ!)


巫阿燐に呼び止められた魂達。

阿沙華は、またその魂達を取り込むのかと思ったのだが


(あんた達にも紹介しておくわね、今はペンギンの姿になってるけど、この子の中に、アルサ様の生まれ変わりの魂が居るのよ。ちゃんと挨拶しておきなさい!)


そう言って、2度目の翻訳設定を施す巫阿燐。


(2度目だから、すんなり出来たわ〜)

あんたの力も、何だか増してる気がするわね…?

私の力が増した影響なのかしら…。

(そうなのかもねぇ〜、さっ!挨拶しなさいよ〜あんた達)


巫阿燐にアルサの生まれ変わりと聞かされた魂達は、慌てふためきながら、阿沙華ペンギンの元へ集うのだった。

「本当に姫様なのですか!?」

「姫様!」

「私は何とした事を…」

等と、一斉に話すものだから


そんないっぺんに、一斉に話さないで!分からないから!


と、阿沙華に言われ、黙る魂達。


(この中で誰か1人、代表してくれれば良いのよ〜)

そう、そうしてくれないかしら…。


その言葉に従い、1つの魂から

「本当に貴方様が、我等の姫君アルサ様なのですね…。姫様に対して何て事を我等はしてしまったのでしょう… 申し訳ありません…。ですが如何なる償いをしたとしても、われらの行いは許されるものでは有りません…」

許される事では無いと言うのだった…。

その魂達に


私はもう気にしていないから、それ以上罪悪感を持たないでくれる?

貴方達もあの使者(バカ)に、永い間使役され、苦しめられたのでしょ?

そんな貴方達を責める気も、つもりも無いわ。

解放された今、安らかに眠ってくれたら嬉しいわ…。


そう言って、罪の意識に悩まされない様に許すのだった。

「アルサ様…」

阿沙華の慈悲深さに、感謝する魂達に


(それじゃ、あんた達!私の中に待機してなさい!そうすれば、今後使者にまた取り込まれる心配も無いからね〜)

…えっ?それじゃあんたのその増した強さって、まさか…。

(そうよ?だから如何したの?)

ちょっと!それ使役してるのと変わらないじゃないの!

(そんな事無いわよ?確かに助けになって貰ってるけど、あの使者(バカ)に無理矢理使役されるより、保護した方が良い訳だし、何よりそう望んでくれてるもの)

…本当にそれなら良いけど、絶対好き勝手にしたら、幾ら巫阿燐でも許さないからね!

そこん所分かってよ!?

(分かってるわよ〜、私は絶対しないから〜ん。それに、そうしようと私達決めてた事なのだから、それは安心して信じてね〜!)

分かった、絶対よ?

(分かってくれて嬉しいわぁ〜!…それじゃあんた達、私達を目的地に運んでよ〜)

って、早速使役してんじゃないの!

(テヘッ!冗談よ〜!場を和ます為に、言ってみただけだからん♪)

…信用出来ない…。


そんなやり取りをしながら、鼻唄交じりで目的地に向かう巫阿燐。

それにヨチヨチと付いて行く阿沙華だった。


ああー!遅い!全然進まない!

それに…何故か、私の後ろに…ペンギン達が付いて来てるのよ…。

(あら本当ねぇ…。多分だけど阿沙華の事、()()として認識してるんじゃ無い?)

それ如何いう意味よ?

(だって、この子達の何体かは、解放された魂が宿ってる訳だし、私達の戦いで、最強な存在になってしまったもの。だから皆んな貴方に付いて来てるんじゃないの?)

マジかぁー!それ勘弁して欲しいわ〜!

(それは諦めた方が良いんじゃない?事実は変わらないのだから…。ヨッ!ボス阿沙華!)

何がボス阿沙華よ!止めてよ!…でもそんなぁ〜…。

(あっでもね、今確認した所なんだけどさ、貴方が魂を取り込んだ事によって、媒体になってたこの子の生命力も上がって安定してるし、阿沙華も魂の回復も完了してるわね。如何する?今なら分離しても大丈夫そうよ?)

…それなら分離するわ…。

(OK〜!でもその後は如何する?肉体が無いから、剥き出しの魂になっちゃうけど?)

…ちょっと考えが有るんだけど、試しても大丈夫か聞いても良いかしら?

(どんな事かしら?)

氷でね、わたしの体を造ってみようかな?みたいな…。

(それじゃただの氷だけじゃないの?如何するつもり?)

だからね、私に宿ってくれた皆んなの力を借りて、何とか出来ないかなぁ〜って…。

(何とかなぁ〜って…て、そりゃ何とかなるとは思うけど、それが出来るとしても、此処南極だけになるわよ?私としたら、ちゃんとした肉体が有った方が良いと思うけど…)

それで良いじゃない…だって、ペンギンのまま皆んなと会う事考えてみてよ…。

(笑えるわね…。私はその方が楽しいから良いけどねん〜)

だからよ!それが嫌なの!特に権也には見られたく無いのよ!

(ええ〜、見せてあげて欲しいわ〜)

絶っっっ対嫌!

(チェッ…残念…)

残念で結構!…それにね、この子はこの時代のこの場所で、天命を全うして欲しいのよ。

(そうよね、その方がこの子には良いよね…。でも…)

でも何よ?

(今のこの子、()()になってるじゃない?ちゃんとやっていけるのかしらね?)

…それは分からないけど、この子から力強さを感じるから、何とかなると思うわ…。

(それなら阿沙華が思った様に、すると良いわよ〜。私がちゃんとサポートしてあげるから)

うん、ありがとう。

(じゃ、阿沙華とペンギンちゃんを分離するわよ?)

それじゃ先に、私の氷像を造るわね〜。


そう言って、阿沙華は自分の姿をイメージして、氷像を造りあげた。


(………ちょっと阿沙華、これ誰よ?何別人創ってるのよ!あんたって、これ程大人じゃ無いじゃない!な〜に大人の女性にしてんのよ!しかも()デカくしてんじゃないわよ!それ願望なの!?)

別に良いじゃない!将来こうなりたいって、理想なのをイメージしたって!

(普段、子供子供って揶揄ってるのに、貴方も中身は子供なのね…)

それくらい許してよ〜!此処には、私と貴方しか居ないんだから、黙っててくれれば分かんないんだし…。

(残念…貴方、神音の事忘れてない?)

!!そうだった…。

(まぁ、あの子は告げ口とか絶対しないから、大丈夫だと思うけど、多分…聖司様…)

お父さんが如何したのよ!?

(意思を疎通してる筈だから…知られちゃ…)

うん分かった!創り直します!

(その方が無難よ〜)


阿沙華は、巫阿燐の指摘により、より精巧な氷像を創り直すのだった。


完成〜!如何?これで文句は無いわよね…。

(良いと思うわよ〜)

それじゃ分離お願いね!

(了解!)


ピィーーーーーンッ…

カン高い音が響き、阿沙華とペンギンが分離された。

「……これで、ペンギンライフもお終いね…。この子にはお世話になったわ〜ありがとうね、阿沙華ペンギンちゃん…」

(本当、この子には助けられたわね…。お母さん嬉しい!泣いちゃう!)

「何バカな事言ってんのよ!!誰がお母さんなのよ!」

(言ってみただけじゃない〜、こうでもしなきゃ、別れが惜しくなりそうでしょ?阿沙華って、何だかんだと母性強いんだから…)

「…そうかもね…ありがとう巫阿燐…」

(そんなの本当に気にしないでね!何故なら私は、貴方の為に在るのだから、私がしたい事しただけよ?ただそれだけなんだからね〜)

「それじゃ後は、この氷像を動ける様にするだけね…。皆んなの力を借りてって言ったけど…如何やろうかしら?」

(ちょっと、やり方分からないまま言ってたの!?)

「えへっ…そうなんだよねぇ…」

(えへっじゃ無いわよ!ったくそうだろうとは思ってたけど、本当にそうだとは思わなかったわ…。何だかんだと、行き当たりばったりなのねぇ阿沙華って…)

呆れた様に言う巫阿燐に、反論出来ない阿沙華。

(それじゃそんな阿沙華に、私からプレゼント!)

そう言うなり、氷像を生きた人間へと創り変えるのだった。

その事に驚く阿沙華。

如何やれば良いのかとても悩んでいたのに、意図も簡単に創り変えられた事と、それを成すには莫大なエネルギーが必要だと思っていたからだ。

更に言えば、ただの氷から人間の肉体を創り上げるなんて、そんな発想など阿沙華には無かった。

それをやってのける事に、ただ驚愕するのだった。

「如何やったの!?こんなにも簡単に…しかもかなりの力を使わないといけないんじゃないの!?」

(実はね、私が全てした訳じゃ無いのよ。私は何もして無いわ)

「えっ?それ如何言う事なの…?」

(私の中に居る魂達がね、貴方の助けになるのならやらせて欲しいって、そう言ってきたのよ…)

「そんな…皆んなには安らかに眠っていて欲しいのに…」

(阿沙華聞いて、この者達も使者(バカ)に一矢報いたいと、強く思ってるのよ。だから阿沙華、貴方は気にしないであげて。そして、その想いに報いてくれたら、私も、この者達も救われるから…)

気にしないでと巫阿燐に言われたが、とてもそんな簡単に、割り切れる訳などないのだと阿沙華は言いたかった。

だが、それを言ってしまえば、魂達の好意や想いを踏み躙る気がして、素直に受け入れる事にした。

(私以上に、この魂達も辛く悲しい思いでいたのね…。私には未だ、その想いを受け止められる程の強さは無いけど、貴方達の想いに応えられる様、精一杯頑張らせて貰うわね…)

「分かったわ、ありがとう巫阿燐。そして皆んな…」

(うふふ…良かった…。貴方がそう言ってくれたから、この者達も、とても喜んでいるわよ〜、ありがとうって…)

「それなら良かった!皆んなには、少しでも安らぎを感じていて欲しいから、嬉しいわね〜」

(そうよね〜。さぁ〜それじゃ阿沙華、新たな肉体に宿りましょう〜!準備は良い?)

「何時でも良いわよ!」

(OK〜!今度は私が、阿沙華の魂と肉体がちゃんと融合出来る様に、調整してあげるからね!)

「うん!宜しく巫阿燐!」

巫阿燐は、阿沙華の魂と肉体を完全な状態にする為、最大限に集中し、阿沙華の魂を1つ1つの細胞と融合させていく。

魂と融合していく阿沙華は、不思議な感覚になるのだった。

痛い様な、くすぐったい様な、それでいて気持ちが良い様な、不思議な感じだと思った時、全身に痺れの様な痛みが走り

「キャア!…イッタア……」

思わず、悲鳴をあげてしまう。

(良かった、何とか無事成功したみたいね…)

「…えっ…それじゃ今の痛み、私肉体を得たの?」

(そうよん!その痛みが、成功した証!如何?肉体を得た気分は?)

「やった〜!ありがとう巫阿燐!……って寒いーー!!」

(そりゃそうよ…。だって此処南極だもの…)

「ガチガチガチ…そ、そうよね…ガチガチガチ…しか…も生身だもの…ガチガチガチ…ね…」

(…阿沙華…貴方、聖司様の事言えないわよ?貴方も結構抜けてるみたいだから…)

「………ガチガチガチ……」

(はい、防寒着。念の為、向こうの時代からチョロまかして来た甲斐が有ったわ…。それとこの者達も、ちょっと呆れ気味で見てられないって…。だから、寒くならない様に阿沙華の周りに、防御膜みたいなの張ってくれたから、感謝してあげてね…)

「…ガチガチカチ…あ、ありがとう…ガチガチガチ…」

巫阿燐と巫阿燐に宿る魂達のおかげで、何とか無事(?)に肉体を得られた阿沙華。

「それじゃ、本格的に探しに出発しましょ〜!」

何事も無かったかの様に言う、阿沙華だった。

(思う所は有るけど…まぁ良いわ…。それじゃLet's go!)

余り深く考えない巫阿燐だった。


借り物では無く、正式に、自分の肉体を得た阿沙華。

それがとても嬉しくてたまらなく思えていた。

それを感じられた巫阿燐も、とても嬉しく思えていたのだった。

後は、巫阿燐本体を見付け出すだけだった。

阿沙華の後ろに付いてくるペンギンに気付かないまま、阿沙華は歩を進めて行く。


第46話 ボス誕生 完

阿沙華に、新しい肉体が与えられました。

そろそろ阿沙華と巫阿燐編も、佳境となって来ましたね〜。

僕としては、阿沙華と巫阿燐のやり取りが好きなので、もう少し書いていたいと、思ったりしてます。

では次話をお待ち下さいね!

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