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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
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阿沙華と巫阿燐編 2

第44話 念願成就?


ーーーーーー

あれ…何だか暗いわね…。

かなりしっかり寝た気がするから、朝だと思ったのだけど、未だ朝じゃないのかしら?

……それにしても、南極なのに…暖かいわね……。

ん?暖かい?

えっ?あれ?今私、魂の状態だから…暖かさなんて感じない筈…だよね?…。

何かおかしい…それに此処は何処?

何か…すっごく狭くて硬いモノに、閉じ込められてる感じがするんだけど…先ずは確かめなくちゃ!

あれっ!?動こうにも、ちゃんと動けない…。

何で!?…。

あっそうだ!巫阿燐に聞けば、何かしら分かるかも!

ねぇ巫阿燐〜!此処何処〜?教えてよ〜…。

……………

あれ?返事が返ってこないわ……。

まさか、巫阿燐の身に何か有ったの!?

如何しよう…巫阿燐に、もし何か有れば…。

こうしちゃいられない!何としてでも、此処から出なくちゃ!


そう思って、阿沙華は必死に動こうとするが、まともに動けず、しかも腕を伸ばそうとしても、硬い何かに覆われている様で、腕も伸ばせないのだった。


何でよー!何なの此処は!


と顔を上げた時、コツンという感触が、何故か口から伝わるのだった。


えっ!?…顔を動かせたのは良いけれど、何で口から何かにぶつかった、感触が伝わるのよ?

でもこの硬い壁みたいなモノ、口なら何とか壊せそうな気がするわ…。

良く分かんないけど、今はこれしか方法が無さそうだから、頑張らないと!


それからは、コツコツコツと音をたてて、何度も何度も繰り返す。

すると、集中的に突いていた所から、ピシピシ音をたてて、ヒビが入るのだった。

ヒビの隙間から、差し込んでくる光を感じるが、ハッキリと光を認識出来ない。

それでも、その光が感じる所を懸命に突いて行くと、パリッと壁が裂けるのだった。


やったー!何とか外に出られるわ!早く外に出て、巫阿燐を探さないと…。


だが、やっと外に出られたのに、まともに動けないのだった。


あれ…やっと外に出られたのに、今度は体が動かない…。

如何しよう…これじゃ巫阿燐を探しに行けないじゃ無い!


とても焦る阿沙華。

その上、何故か目が開けられないし、太陽が昇っていて、普通なら瞼を閉じていても、その光の眩しさを分かる筈なのに、それも良く見えないのだった。


太陽の光が差しているのは分かるけど、ボンヤリしか感じられないなんて、私本当に如何しちゃったの!?

…あれ?何かが私の顔に近付いて来る…。

…ちょっと何!?体が勝手に動いちゃう!


グゲエェ〜!


やだっ!何何何ー!?私にゲロを吐き掛けるつもり!?

って、私も何そのゲロを食べようとしてるのよ〜!?

アムッ…アムッ…アムッ………ゴックン…。

イヤァァァーーーッ!食べちゃったーー!!

…でも…何故かしら…不味いとか思わなかったわ……。

あっ食べたら…何だか……眠く…なってきたわ…ね…。

スー…スー…スー…。


何1つ、現状を理解しないまま、眠ってしまう阿沙華。

しばらく経つと、また同じ事を繰り返す。

そんな事が約5日間続いた時、やっと目を開いて、周りの景色を認識出来る様になった。


………ペンギン?…えっ、右を見ても左を見ても、前を見ても後ろを見ても……やっぱりペンギンしか居ないじゃない!

やったー!念願の野生のペンギンを生で見れたわ〜!

嬉しい〜!最高〜!……って、違う違う!

えっ!?もしかして私…イヤ、そんな訳無いわよね…?

まさか、私がペンギンになってるだなんて……。

ってか、ペンギンじゃん!!

やっぱりペンギンの赤ちゃんに、なってるじゃない!

一体全体如何なってるのよーー!!??


阿沙華は声を大きくして叫ぶのだが、南極の大地には小さく、そして悲しいかな、阿沙華の声はペンギンの赤ちゃんの鳴き声だったのだ。

「ピィィィイーーーー!!!」

何度叫んでも、ピィピィとしか聞こえない。

周りのペンギンの鳴き声と、同じ頃に産まれた仲間?の声が聞こえるだけで、途方に暮れた阿沙華。


このまま、ペンギンでの一生を終えちゃうの?

ペンギンは可愛いから、1度なってみたかったけど、まさか本当になるだなんて思っても無かった…。

この体…スッゴく不便何だけど!

何で1歩がこんなにも短いのよ!

全然進まないじゃない!

…それに何時の間にか、親ペンギンも何処かに行って居なくなるし…。

良く見えないけど、向こうにアザラシが居るし、空にはこっちを狙ってる感じの鳥も居るし…。

メッチャ怖いんですけど!

如何しよう…技や術を発動させたくても、何故か使えないし…。

私…今1番生命のピンチ何じゃない!?

アアーッもう!如何すれば良いのよーー!!

…それに、巫阿燐を探さなくちゃいけないのに…。

巫阿燐ー!何処なのよーー!!

(は〜い!ちょい久〜!元気にしてた〜?阿沙華!)

!!

えっ、巫阿燐?

(そうよん〜、巫阿燐巫阿燐〜!)

…ちょっとあんた!今の今迄何処で何してたのよ!?

(えっ、私?私はずっと貴方を見守っていたわよ?)

私を見守っていた?何処ででよ!?私ずっと貴方が居なくて、近くに居ないか探したりしてたのに、何処にも貴方の気配が感じられなかったわよ?…まぁ探せる範囲は狭かったけど…。

(それはしょうがないのよ、今憑依してるからね〜。憑依してる間、私の気配とか消えちゃうからね〜)

そうなの?それじゃ、今何処に居るのよ?

(此処!私此処に居るわよ!)

だから何処よ!?

(貴方の前方に居る、貴方達とは違う生き物。ほら此処よ〜!今手を振ってるから〜)


巫阿燐に言われた通りに前方を見ると、先程ペンギンの天敵で有るアザラシが、ペシペシと手を振っていたのだ。

阿沙華は思わず“可愛い”と思ったのだが


そのアザラシ、あんただったの!?

(そうよ?その前はもっとデカい生き物だったけど、大き過ぎて力を余計に使っちゃうから、この子に乗り換えたの〜)

何だか軽いわね…取り敢えず見守ってくれて、ありがとうと言っておくわ…でもね、その生き物って、ペンギンを捕食するのよ。

だから、食べられちゃうって怖かったんだから!

(そうなの?私一万年経つ今も、興味の無いモノには無頓着だから、そんな事知らなかったわ〜。でもそのおかげで、貴方を守る為、他の私が取り憑いてる同じ生き物達を蹴散らす事が出来たから、結果オーライって言うんだっけ?まぁ良かったわ〜)

何だか釈然としないけど…って一万年!?

えっ、何それ!?

(あら、知らなかった?私言って無かったかしら?)

知らないし、聞いてないわよ!

(まぁそんなに深く考えなくても大丈夫よ!ムダにあれこれ考えても、楽しく無いじゃない?それなら、ムダに考えずに楽しんだ方が良いからね〜)

…結構、ポジティブっていうか…ノー天気というか…。

まぁ確かにそうよね、ムダに考えない方が、案外すんなり行くかも知れないしね!

でもさ、1つ聞きたいんだけれど。

(えっ?何を聞きたいの?)

私卵から孵る前とか、産まれてからもずっと貴方を呼んでいたのに、何で返事してくれなかったのよ!?

(ああそれね〜)

ああそれね〜じゃ無いわよ!軽い感じで言わないでよ!こっちは本気で心配したんだから!

(その事に対してはごめんね…。でもそれが出来なかったと言うか、聞こえなかったのよ…阿沙華の声が…)

それって、どうしてなの?

(実はね、貴方の魂の力が失われそうになったの…。それでね、此処に居る生物の肉体を得て、魂の力の回復をさせていたの)

そうなの?…それがたまたまペンギンの赤ちゃんだった訳?

(…確かにたまたまだったんだけどね、阿沙華の魂を回復させる為には、生命力に溢れた生物に宿らせると、その生物の魂が、阿沙華の魂を取り込んでしまう恐れが合ったから、命尽きそうな生物でなくっちゃいけなかったの…。だから生命力が無く、阿沙華の魂の力を合わせないと、産まれてこれないその子に宿らせたの。その為、その子がある程度、生命力を身に付ける迄、貴方の声が聞き取れなかったのよね…)

……そうなんだ…それじゃ巫阿燐は、私とこのペンギンの赤ちゃんの2人を救ったって事よね?

それ、とても凄い事じゃない!流石私の巫阿燐よね!

(そんな大した事じゃ無いわよ〜、照れるじゃない〜)

照れなくて良いのよ?本当に凄い事したんだから!

(フフフ嬉しいわ〜!でもね、その子から離れる事が出来るのは、その子の寿命が尽きないと、離れられないのよね…)

ええっ!それマジ!?

(マジもマジで大マジ!今無理矢理分離したら、その子も阿沙華も、無事でいられないの。私が見た所、阿沙華も未だ回復しきってないし、今はムリね…)

エエェーッ!?それじゃ当分私はペンギンで、生き抜いてかないといけないの!?

(そうなるわね…)

ウソ〜〜〜!?……ペンギンの寿命って、何年くらい何だろう…巫阿燐知ってる?

(私が分かる訳無いじゃない?さっきも言ったけど、興味の無い事には、無頓着何だから知らないわよ…)

あぁ〜〜…気が重い……。

(だからと言って、自ら捕食されたりとか、死んだりしちゃダメだからね!ちゃんと寿命を全うしないと、阿沙華の魂も回復しないんだからね!分かった?)

…分かったわよ…その前に、そんな気はサラサラ無かったけどね…。

(それなら良かった!それじゃ私はその子が寿命を全うする迄、しっかり見守ってるから、安心してペンギンライフを楽しんでね〜!)

…取り敢えず頑張るわ…。


そう言って巫阿燐が見守る中、寿命を全うする迄、阿沙華はペンギンとして生きていく事になったのだった。


(取り敢えずカノンってみるわ〜、ペンギンの寿命が何年なのかをね〜)

ねえ、そのカノンってみるってのは何なのよ!?その言い方、まるでグ◯ってみるみたいな言い方何だけど!?

(えっ?パパッと調べる時に、そんな感じで言うんじゃ無いの〜?)

確かに現代人は、そう言いますけどね!だからと言って、そのカノンってみるなんて言わないわよ!何そのカノンってのは?巫阿燐って、時折意味が分からない事言ったりするわよね!

(カノンってのはね〜、貴方のお父さんの指輪の名前〜。あの子が1番物知りさんなんだもの、だから神音に聞いた方が早いからね〜)

…ヘッ…だからカノンってみるなのね…。何だかバカバカしくなって来たわ…って、お父さんの指輪の名前神音って言うの!?

(そうよ〜。その神音って名前、私に劣らない素敵な名前よね〜!でも1番は、阿沙華がくれた巫阿燐がダントツ可愛いよね!)

…本当に喜んでくれてるみたいで、とても嬉しいわ…。でもお父さんが、そんな綺麗な名前を付けられるセンスが有ったなんて、ちょっと意外だったわ…。

(クククッ…笑っちゃ悪いけど、私も同感!…だって聖司様はさ、何処か抜けてる所があるものね…)

あっ!ヒッド〜い!人の親の事を悪く言うなんて!って、その通りなんだけどね〜!


阿沙華と巫阿燐が、聖司の事を揶揄って笑うのだ。

その時現代に居る聖司が

「ックシュン!…くしゃみ?魂の状態でも、風邪をひくのか?…不思議なモンだなぁ…」

(いいえ、それは違います…)

「ん?…それじゃ誰かが、噂か俺の事揶揄ってたりしてるのか?」

(その通りです…)

「……阿沙華か…。揶揄うのは、あいつの得意分野だからなぁ…」

(よくぞお分かりになられましたね…、まさにその通りです…)

「ったく、今度しっかり説教してやらないとな!」

(是非その様に…、私も巫阿燐にキツく言い付けるつもりですので…)

そう聖司と神音が決意した時、阿沙華と巫阿燐は、何故か背筋が凍ってしまうのだ。


何か、凄く嫌な感じなんだけど…。

(阿沙華もなの?…私もよ…)

まぁ取り敢えず、そのカノンってみてくれる?

(分かったわ…んんん…ねぇねぇ神音、聞こえてる?聞こえてたら、聞きたい事有るんだけど、聞いても大丈夫かしら?)

(…聞こえていますよ…巫阿燐。聞きたい事は何でしょうか…?)

(えっとね、ペンギンの寿命を知ってたら、教えて欲しいのだけど…)

(結構長い…とだけお答えしておきます…)

(えっ!?それだけ?ちょっと、もっとちゃんと教えて欲しいんだけど!)

(ご自分で調べて下さい…貴方がその気になれば、容易い事でしょう?では…)

(ちょっっっと待ってよ!何故そんな冷たい言い方するのよ〜!?)

(聖司様がお怒りなのだと、そうお伝えします…。私も貴方に、少しばかり思う所が有りますので…)

(ヒィ〜〜〜ッ!!)

(では…()()()()()()()()()()()()()()()ますね…)

そう言って、交信を断つ神音。

[如何しよーー!!あれ本気で怒ってるじゃない!!ヤバいわ〜!!]

神音の静かな怒りを感じ、恐怖心でパニックになる巫阿燐だった。


ねぇ巫阿燐?神音は何て答えてくれたの?

(…結構長いとだけ…)

えっ?…たったそれだけ?

(うん、そう…)

そんな!?神音は、貴方達の中で1番物知りなんでしょ?なのに何故、たったそれだけしか答えられなかったの?…もしかして、神音にも分からない事が有る…

(違うの!)

ビックリ!何よ大きな声を出して!?何が違うのよ!?

(…聖司様と神音が…)

お父さんと神音が?如何したのよ…

(メッッッチャ怒ってるって!)

ゲッ!マジ?…

(マジよ…だからそのお仕置きに、教えてくれなかったのよ〜…)

何で2人が怒ってるのよ!?

(私達の陰口に…みたい…)

ウソッ!?えっ何で?何で分かったの!?

(…それだけ神音が、優秀だと言う事…。その神音に、後は自分で調べなさいって、私になら出来るでしょ?って…。怖かったよ〜〜!恐怖の対象でしか無いわ〜〜…)

本当にそれは恐怖ね…今後下手な事言えないし、出来ないわね…。

(そうね…出来ないわよね…。次会う時楽しみだって言ってたけど、それ迄にこの事…忘れてくれないかしら…)

叶わない望みは、持つもんじゃ無いわよ…諦めよ…。

(…ハァ…そうするわ…。それじゃパッと切り替えて!私は私なりに、ペンギンの寿命を調べてみるわね〜)

あんたって、本当に切り替え速いわね…。

(そうよ?だって、さっきも言ったけど、深く考えても何もならないんだもの!何事も楽しまなくっちゃね!)

そうよね…それじゃ私も、親ペンギンが居ないこの状況を如何するか、考えて行動取らないと餓死しちゃいそうだから、自力で出来る様に、色々試してみるわね。

(了解〜、でも余りムリしないでね!食べ物なら、私が取って来てあげるから、如何にもならなさそうな時は、遠慮無く言ってよね〜)

OK〜!ありがとう巫阿燐!それじゃ…先ずは、速く歩く練習をしないとね…。


そう言って、ヨチヨチ歩く阿沙華ペンギン。

それを見た巫阿燐は


ヨイショ…ヨイショ…

(アハハハハハ〜!何それ!?メッチャ可愛いんですけど?)

や〜ん、笑わないでよ〜!こっちは真剣にやってるんだから!

(アハハッそう言われてもムリ!)

ん〜もう!笑いたいなら笑えば良いわ〜!

(ごめんごめ〜ん!もぅ笑わないから〜!頑張ってね、阿沙華〜!)

ありがとう!頑張るわ!


それからは、早くペンギンの体に慣れて、寿命が尽きるその日迄、ペンギンライフを楽しむ事を決意する阿沙華と、その阿沙華ペンギンに、ペンギンの寿命がどれだけなのかを検索し、神音の言う通り、かなり長生きなのだと知った巫阿燐は、その事を如何伝えようか、悩んでしまうのだった。


第44話 念願成就? 完

阿沙華がペンギンになる事は、かなり前から決めていました。

毒吐く阿沙華ペンギンが書きたい!ってだけで、決まった内容です。

では次話をお待ち下さい。

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