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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
身に付けるモノ身に付ける時
39/84

弔いと…

第39話 弔いと…


其々の指輪から小さな真珠の様な球が出現したと思えば、それが一体化し、少し大きめな虹色で輝く真珠の様な球となるのだった。

その真珠の様な球から

「準備は整いました…それでは皆様を其々の在る場所へ、送り届けましょう…」

またいきなり説明も無いまま、強制転送されそうになったので、慌ててそれを止めようと

「ちょっと待ってくれ!何の説明も無いまま色々されても困るんだよ!確かにしばし待てと言われてたけどさ、こっちにもやりたい事有るんだよ!それが終わってから、ちゃんと説明してからにしてくれないか?」

「…分かりました…ではお聞きします…やりたい事とは、一体どんな事なのでしょうか?…」

「この時代の俺達の弔いさ…。過去の自分だとはいえ、俺達に死して肉体を貸してくれてたんだ…。だからせめてキチンと弔ってやりたいんだよ…」

そう聖司が言う。

護都詞も

「私達皆んな、そう思っているんだ…。私も自分で言うのは何だが、この時代の私達に感謝しているんだよ…」

その2人の言葉に賛同する弥夜達。

「…分かりました、では私くしも、そのお手伝いをさせて頂きます。…ですが、本当に宜しいのですか?」

「ん?何がだ?」

「今この場で弔いをされても…」

「あぁ良いさ、出来ればちゃんとした、墓を作ってやりたいけど、下手に現世に戻れば、あいつに見つかる可能性が高いからな…」

「了承致しました…では肉体と魂を分離します…」

「ああ、頼む!」

「最後に…肉体と魂を分離すれば、我等を探す時の肉体は有りませんので…」

「えっ?……」

「では開始します…」

「ちょっ、ちょっと待って!それって如何いう事なんだ!?」

パシュン…………

「分離、無事完了しました…」

完了と告げられた瞬間、キィィィーーーーンと、刺さる様な高音がする。

そして肉体と魂が分離されたのだった。

目の前には、焼け焦げたこの時代の聖司達の肉体が在るのだ。

分かってはいる。

だがつい先程迄、自分達がこの肉体に入っていたのに、その時はちゃんと生命力に溢れていた筈なのに、今はただ、焼け炭になった骸がそこに在るのだ。

それを見て、とても悲しく切なくなる聖司達…。

そんな悲壮な感情になりながらも、真珠から聞かされた事に対して、新たな疑問が増えたのだ。

それを確認しなくてはと、聖司は

「指輪から出た真珠の様な球よ、聞きたい事が有るんだが、聞いたらちゃんと説明してくれるのか?」

「お答え出来る事ならば、お答えします…」

「それじゃ聞くが、お前達を探すのに、この肉体無しでとは、如何いう意味なんだ?」

「そのままの意味です…」

「だから、それが良く分からないって言ってんだよ!俺達は、魂をそれぞれの時代と地域に飛ばされて、お前達を探すんじゃないのか!?それとも、この時代の俺達の肉体をそのまま使って、探せってんじゃ無いだろうな!?」

「貴方が仰ったままの通りです。この時代の肉体を使用して、我等を見付けて頂く筈でした…」

「はぁっ!?それは無理な話なんじゃ無いのか!?ピカさんが、肉体のタイムリミットが近いといってたぞ!?」

「確かに仰る通りでしたが、我等を身に付ける事により、それは無効となりました。よって、我等を見付け終える迄、肉体が滅ぶ事は無かったのです…」

「何だって!?…何故それを先に言わない!何時も後出しばかりで、正直ウンザリなんだよ!」

「…言わなかったのは、聞かれなかったからです…それ以上でも、それ以下でも有りません…」

そう聞かされた聖司達は、話にならないと思うのだった。

でも次に聞かされた

「我等が“意志”を待つ事は許されてません…何故ならば“意志”を持ってしまえば自我が芽生え、身勝手な行動をとってしまう恐れがあると、創造主がそう我等をお創りなさいました。ですが主人を思う“意思”だけは与えられました。ですからそれ以上でも、それ以下でもないのです…」

その内容で、それ以上何も言えなくなったのだった。

「……そうだったのか…済まない…知らなかったとはいえ、お前にキツく当たってしまって…許してくれないかな?…」

「謝る必要など有りません…それが我等の役目で使命なのですから…」

その言葉に、何故か寂しさを感じてしまう聖司だった…。

そんな思いを抱いていたら

「如何なさいますか?」

「如何するって…」

と聞き返す聖司に

「弔いです…」

そうだった…つい苛つきのせいで、その事を忘れてしまっていた…。

情け無い…。

そう思いながら

「そうだったな…過去の俺達を弔ってやらないとな…。でもどうやって弔おうか…埋葬する事は無理だし…俺と父さんで編み出した技では、冒涜する様に思える…」

「父さん、それを言うのなら、僕達の術や技も同じだよ…」

と、信康が言う。

「そうよね…。私達のどの術も技も、敵を殲滅するのに適したモノしか無いのだもの…。どうすれば良いのか…私にも分からないわ…」

阿沙華も同じ様な事を言うのだ。

だがそこに

「私くしに任せて頂ければ、弔うやり方は御座います…」

「!!」

真珠の様な球から、そう言われてそんな事が出来るのかと、驚く一同。

「出来るのか!?」

聖司が聞くと

「出来ます…ただ出来れば、貴方様方の心のお力をお借り出来るのならですが…」

と言う真珠の様な球の質問に

「貸すよ!弔いが出来るのなら、是非使ってくれ!」

聖司が直ぐに承諾する。

それに続いて、護都詞も弥夜も、夕香に信康、阿沙華と権也迄

「私からもお願いするよ!」

「正しい事の為なら、何でもして頂戴」

「私の力が必要なら、ドンドン使って下さる?」

「やってよ!お願い!」

「私からもお願い!」

「僕もー!痛く無いのなら、僕の力を使って、パパッとやってあげて!」

「皆様のお気持ちを承諾致しました…では心を穏やかに、そして強く、弔う者への想いを持って下さい…」

其々言われた通りに、この時代の自分達に、感謝と哀悼の想いを込めていく。

「ありがとうございます…皆様の心のお力を確かに受け取りました…では魂葬を始めます…」

真珠の様な球が一際眩しく光、この時代の自分達の肉体に向け、オーロラの様な光のカーテンを纏わせていく。

その光のカーテンにより、焼け焦げていたモノが剥がれ落ち、生きていた時の姿に戻って行く。

その神秘的な現象に驚きながらも、元の姿に戻って行く事がとても嬉しく思えたのだ。

そして光のカーテンは、肉体を光の泡に変えて行き、この時代の自分達が、光の泡となって消えて行った。

光の泡となって消えた時、聖司達は涙を流していた。

(過去の俺達よ…ありがとう…)

と…。

「これで魂葬は完了致しました…」

「ありがとう…これで無事に、この時代の俺達が安らかに眠ってくれたと思うよ…本当にありがとう…」

「いえ、礼には及びません…貴方様達のお役にたつのが、我等の使命であり、喜びなのですから…」

聖司は喜びと聞いた時、指輪の意識と対話した時、最初に感じた絆をまた感じていた。

「使命と言ったけど、余りその使命感に囚われないでくれないか?」

聖司がそう言うと

「如何いう事でしょうか?…」

「いや何…俺がお前に最初感じた絆、今もまた強く感じてるんだ…。契約じゃなく、絆を結んだのだろ?」

「確かに貴方様とは、絆を結びました…」

「だからだよ…絆を結んだ相手に、使命感で囚われて欲しくないんだ…」

「了承しましたが、絆を結んだ方は貴方だけなので、その他の方達は絆では無く、契約なので了承し兼ねます…」

それを聞いた護都詞は

「聖司、お前は契約じゃ無く、絆として結んだのか?」

「そうだよ?…何故かあの時、こいつは俺の家族だと思えたんだ…だから契約ってのがしっくり来なくて、絆としてなら結ぶって言ったんだ。それで絆を結ぶ事になったんだけど」

「何と…そうか…。それなら私も同じ気持ちだったから、今からでも契約じゃ無く、絆として結びたいのだが、変更は可能なのかい?」

「可能です…では契約を破棄し、絆を結びますか?…」

「ああ!私も絆を結ぶよ!」

そう護都詞が承諾すると、弥夜も夕香も、そして子供達も

「私も絆として結びたいわ」

「私もです!実は契約ってピンと来なかったのですけど、つい話の流れで契約してしまってましたから…」

「僕も本当は、契約って言われた時、何か違うと思ったんだよね〜」

「私も〜!それに契約って言葉、余り好きじゃ無いのよね…縛られてる感じするんだもの…」

「僕は契約でも良いかな?」

「はぁっ?おい権也、皆んな絆を結びたがってるのに、何故お前だけ契約なんだ!?」

聖司が聞くと

「…だって…契約なら指輪に、余り怒られないかと思ったんだもん…」

「……それは違うぞ?契約なら、お互いに信頼が無くなれば、何時でも破棄されてしまうが、絆は築くモノなのだから、今は怒られたとしても、お前も絆を築き上げて、友達か家族になれば良いんだよ…そうすれば、怒られても笑って済ませられるだろ?」

聖司のアドバイスに権也は

「…そうだね…うん!僕もそうする!それじゃカンちゃんと契約辞めて、絆を結ぶよ!」

「ん?カンちゃん?」

「うんカンちゃん!指輪の名前!」

「お前指輪に名前付けたのか?」

「付けたよ〜、だってそうしないと、何時迄も指輪指輪って言いにくいしね〜」

「そっかぁ…でも何でカンちゃん何だ?」

「えっ?だって関西弁だから、関西の関をとってカンちゃんなんだけど?変?」

「…ハハハ…なる程な…お前とカンちゃんが良いのなら、それで良いんじゃないか?…」

この時、夕香のネーミングセンスに似てると感じ、権也にも天然素質が備わってる気になった聖司達だった。

「…では皆様も、契約を破棄して、絆を結びますか?…」

「お願いするよ!」

「お願いね」

「は〜いお願いしますね〜」

「お願い!」

「私もお願いするね!」

「カンちゃん、宜しく!」

「何でカンちゃんやねん!…まぁえぇけど…」

「…ね…直ぐ怒るでしょ…」

ここで爆笑が起きるのだった。

「僕カンちゃん好きだなぁ〜」

信康が言うと

「私も〜!何だか憎めないし、それに無茶する自由人の権也には、ピッタリ何じゃない?カンちゃん、良く叱ってあげてね〜!」

「何や好かれて、悪い気はせぇへんなぁ〜、ヨッシャ!任しとき〜!このボンの面倒みたるから!」

「…僕絆辞めようかな…」

「アホンだらぁー!何弱気な事言ぅとんねん!男ならドーンとせんかい!」

「怖いよ〜」

此処でもまた大爆笑が起こるのだった。

「…カンちゃんの意思はおいて…では皆様方、再度お尋ねします。契約破棄をして、絆を結びますか?」

「「「結びます!」」」

「了承致しました…では絆を結びます…」

そう言われた後、絆を結んだ護都詞達に、更なる変化が起きた。

「!!何と!先程迄より気持ちが伝わり、力がこんなにも高まるとは!」

護都詞がとても驚くのだった。

それに続いて弥夜達も同じ反応を示す。

「凄いわ!」

「まぁっ!」

「ええっ!?マジ?」

「わぁ〜凄〜い!」

「凄いね!カンちゃん凄いよ!」

「せやろぉ?ボンはワテの言う事、良ぉ〜聞いといたらえぇねん!」

そんな感じで、場の雰囲気も明るくなるのだった。

「それでは皆様を転送します…その前に先程指摘された、これからの説明をさせて頂きますが、宜しいでしょうか?…」

「ああ是非頼むよ!」

真珠の様な球に向け、聖司が頼むのだった。

「では説明を始めます…今現在在るこの空間は、其々の祭壇から作られた空間なのです…」

そんな事を最初にぶち込んでくる。

「祭壇!?」

「はい、修行場に造られた社に在った祭壇です。その祭壇では、其々だけが反応する仕様だった事は、お分かり頂けてましたでしょうか?」

「それは分かっていたよ、それがどうしたんだ?」

「実はその祭壇が、その方に適した力の助けとなる仕組みになっています。そして其々の魂の色が可視化される仕組みにもなってます。護都詞様は闇の様な黒い色、弥夜様は大地の様な褐色、夕香様は自然の草木の様な濃い緑色、信康様は熱く燃え盛る炎の様な紅色、阿沙華様は澄んだ水の様な薄い水色、権也様は透き通る風の様な薄い黄色、聖司様は全てを照らす様な白い色…。それが可視化されて見える色なのです。皆様、お気付きだと思いますが、この空間が色を変え続けている事に…。それは皆様其々の色なのです…皆様の心の強さによって空間が反応し、その時、1番強い心の方の色に変化していたのです…」

その説明を聞いて、コロコロ変化していたのは、そのせいだったのだと納得するのだった。

「空間が、皆様の其々の色に変化した時、その色の方の魂を安全にお送り致します…」

「良く分かったよ!だけど肉体無しで、如何やって探せば良いんだ?魂だけでも探せるモノなのか?」

聖司が、誰もが思っていた事を聞くのだ。

「それについては、何とも言えません…。肉体が無いよりも、有る方が良い筈です。剥き出しの魂を守る事が出来ますので…」

「それじゃ、飛ばされた先で肉体が必要になった時は、一体如何するのだね?まさか…」

「護都詞様が思った通りです…その時は現地にて、皆様達を保護出来る肉体を調達致します…」

「調達!?えっ?それって、またこの時代の俺達の様に、使者に殺された俺達の肉体を使うのか!?」

聖司がそう聞き返すと

「いいえ、それはまず無理です…何故ならば、飛ばされた時代、場所が異なる為、それをする事が出来ません…。ですので、その場にて、最も皆様の魂を受け入れられそうな肉体を調達します…」

「…そうなんだな…って事は、どんな肉体を間借り出来るかは、運次第なんだな…」

「申し訳ありませんが、正にその通りです…。他に疑問や質問が無いのでしたら、そろそろ皆様を送り届けたいのですが、皆様のご理解は如何なものでしょうか?…」

聖司が皆んなを見回すと、誰もが理解し、疑問や質問もなさそうだった。

「皆んなも俺も、今の所は理解したよ。だから送り届けてくれるか?」

「はい、了承致しました…ではこれから皆様を順に送り届けさせて頂きます…」

「宜しく頼むな!」

「はい…では…」

それから直ぐに、空間からボォォォーーーーッと、船の汽笛の様な音をたて始めたのだった。

その音と共に、空間の色が変わる。

先ず飛ばされる事になったのは、阿沙華だった。

「えっ私!?」

「はい…貴方様の心から、“ペンギン”を見られるかもという思いが、1番強く感じられました…」

何時も、信康や権也を男って子供ね〜などと揶揄っているのに、此処に来て、まさか自分の幼さを知られてしまい、恥ずかしくなる阿沙華だった。

「わー!わー!わー!分かったから早く届けてよー!お願い!!」

「ペンギン!」

「阿沙姉ちゃんもガキじゃん!」

「わー!わー!わー!…聞こえない!私は何も聞こえないからねー!」

と言って耳を塞いだ時

「では現地に着く間の旅をお楽しみ下さい…」

と、飛ばされて行くのだった。

「阿沙華…ご愁傷様…」

と聖司が呟く。

その次に変わった色は、黄色。

「僕なんだ!やったー!それじゃ僕行くね〜!カンちゃん宜しくね〜!」

「ヨッシャァ!任しとき〜!」

と、軽いノリで飛んで行く。

その次は、褐色の弥夜。

「では私も行って来ますね〜」

そう言い残し、少し未来のイギリスに飛ばされるのだった。

その次は紅色になり、信康が行く事になった。

「ギリシャかぁ〜、パルテノン神殿見られるかなぁ〜?」

と、既に観光気分の信康。

「あっ、ちょっと寄り道して、エジプトのピラミッドとか見に行けたりする?」

「そんな予定は御座いません…わきまえて下さい…」

と、叱られてしまう信康。

「…はい…それじゃお願いするね…」

「では…」

そんなやり取りをしながら消えて行く。

その次の瞬間、真っ暗になた。

「私か…」

と、護都詞が次に向かう事になったのだ。

「それじゃ行ってくるよ、2人共…」

……………

何故か飛ばされない護都詞。

「ん?あれ?…如何した…?何故と…」

そう言い掛けたまま、飛ばされる護都詞。

「何だかこのパターン…よく有るよな…。なぁおい!何故父さんだけ、なかなか飛ばされなかったんだ?」

「…少々機能に不具合が起きました…」

(口説いてくるなんて、何を考えてるのでしょう…)

真珠の声は聞こえなかったのだが、聖司は何故か、真珠の思った事が分かってしまい

「口説かれたのか?」

と聞いてしまったのだ。

「………はい……」

「本当に、何してんだよ…こんな時迄…」

(多分、タラシスキルが何処迄使えるか、試したんだな…)

取り敢えず、そう思う事にした聖司。

そして、濃い緑色になり、夕香の番となる。

「あらっ?私が最後だと思ってましたのに、聖司さんが1番最後なんですね…」

「ハハハッその様だね。…でも何となくだったけど、最後は俺だと思ってたから、今はやっぱりなって思ってるよ…」

「そうなんですか?…フフフッ流石聖司さんね〜、何でもお見通しなんですね〜!それじゃ私も頑張って来ますね〜。聖司さんも頑張って来て下さいね!ファイト!ですよ〜」

「ああ!ありがとう!夕香もファイト!…だ!余りムリしないでくれよ?それじゃ頑張って!」

「はい、行って来ます〜」

「夕香の指輪よ!頼んだぞー!」

「かしこまりました、お任せ下さい…」

そう言って、夕香はこの空間から居なくなった。

最後迄残された聖司は

(何で最後なんだよ!夕香には強がりでああ言ったけど、正直1番最初だと思ってたのに〜〜〜!何でだよ!……もしかして俺の心の思いが弱かったのか?……何にせよ、毎回最後だよなぁ……)

と、嘆くのだった。

だが、今回最後だったのには理由が有ったのだ。

「ご主人様…そう嘆かないで下さい…これには理由が有るのです…」

と、真珠からそう言われたのだった。

「理由?そうなのか?…それじゃその理由って何だったんだよ…」

「ご主人様には、他の皆様を見届ける必要が有ったのです…」

「見届ける必要?」

「はいそうです…その理由とは、他の皆様の魂の波長を記録する為でした…」

「うん?何だそれ?良く分からないんだが…」

「実は皆様の指輪から、我等が球となって出現したのは、皆様其々の、魂の波長を1つにする為でも有りました…出現した(のち)1つに纏まったのは、全てご主人様に、他の皆様の魂の波長を纏めた記録を渡す為でした…」

「何故そんな事をする必要が有ったんだ!?」

「他の皆様の緊急時に備えてです…」

「緊急時?」

「はい、緊急時です…他の皆様が向かった先で、予期せぬ出来事により危険な目に遭った時に、直ぐ様助けに駆け付けられる様にする為なのです…波長が分かれば、その波長を頼りに探し出す事が出来ますので…」

「凄いな…そんな事迄考えての、最後の俺だったんだな…。でもお前達、指輪がサポートしてくれるから、安全なんじゃないのか?」

「そのつもりです…ですが万全では有りません…もし万が一にも、我等が機能しなかったり、我等が対応出来ない程の強い力に襲われたのなら、ご主人様のお力が必要になるのです…」

「分かった、よく理解したよ…。でもただ、俺なんかで良いのか?助けになるのか?」

「それは何とも言えませんが、ご主人様のお力は、他の皆様の誰よりも強いのです…何故ならば、自分以外の方達を1番強く想っている方は、ご主人様ですので…」

そう言われてむず痒くはなるが、嬉しくも思える聖司だったのだ。

「出来るなら、その緊急時が無ければ嬉しいな…」

「はい、その様に思います…では皆様の魂の波長の記録をお渡しします…受け取って下さい…」

「ああ、分かった!」

真珠の様な球が、聖司の指輪の中に吸い込まれて行く。

「それじゃ俺達も行こうか!」

(はいご主人様…では到着迄、時間移動の旅をお楽しみ下さい…)

そして俺は、指輪と共に此処から未来の現代へと、旅立つのだ。


今迄ずっと一緒だった者達なのに、初めてバラバラになる家族。

其々がすべき事を無事に終わらせられる様にと、家族皆、今はそう願うのだった。


第39話 弔いと… 完

今話は、文字数かなり多くなってます。

今話の内容は、如何でしたか?

この話を考えたのは、今から20年とちょっと前に考えてた物なんですが、その時に今話の内容を書こうと決めてました。

文章になって世に出る迄、かなりの時間が掛かってしまいました…。

では、次話をお待ち下さい。

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