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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
身に付けるモノ身に付ける時
38/84

再びの異空間

第38話 再びの異空間


突如現れた使者により、急遽戦場となった修行場。

対峙する使者と自分達の力の差は、これ程迄にも開いているのかと思わされた聖司達。

それでも身に付けた力によって、出来うるだけの抵抗はするのだった。

そのおかげで権能はそのままに、其々に付加されていたモノを消去出来、使者に1枚喰わせる事が出来たのだった。

今迄の事を思うと、とても痛快な気分にもなったのだが、それが不味かった様で、使者を本気にさせてしまったのだ。

本気になった使者からくるプレッシャーは、気を抜けば直ぐさま死んでしまう程の強さを待っていた。

そんな危機的状況から異空間に、ピカさんにより、強制的に飛ばされて難を逃れた一家。

飛ばされた異空間は、自分達が最初に飛ばされた異空間では無く、また別の異空間の様だった。

この異空間の風景は以前のモノとは違っていて、7色の色が変わり続けていくだけの、何も無い空間だった。

その異空間に飛ばされて、最初に口にしたのは信康だった。

「ピカさん!ピカさん!」

自分を犠牲にして聖司達を異空間に飛ばし、使者と対峙するピカさんを思って叫んでいたのだった。

「ピカさん何で勝手な事してんのよ!私達も一緒に戦うつもりだったのに!」

そう阿沙華が言う。

「そうだよ!早く助けに行かなくちゃ!」

権也もそう言うのだ。

だが

「落ち着きなさいお前達!…ピカさんの覚悟をムダにしてはいけないよ…」

と、聖司が子供達を宥め落ち着かせるのだった。

だかそれでも

「でもこのままじゃ消えてしまうよ!ピカさん殺されちゃうよ!」

と、珍しく信康が焦った感じで言うのだ。

「信康…お前の気持ちは良く分かる!俺もそうだから!…でもピカさんの気持ちも分かるんだ…。だから何時もの様に、冷静で落ち着きを取り戻してくれないか?お前達なら出来るだろ?」

そう言われた信康達は、聖司の手を見てハッとするのだった。

聖司の手は震え強く握られていて、血を流していたからだった。

聖司も必死に助けに行きたい思いを押し殺して、耐えているのだと理解して、昂る気持ちを落ち着かせる事に専念するのだった。

「分かってくれてありがとう…」

優しく言うその言葉には、とても力強く、そして逞しさを感じる一同だった。

何故なら始まりの父、セルジを聖司から感じとれたからだった。

護都詞はやっと、本来の聖司になったのだと、感慨深く思えていた。

(やっと本当のお前になれたのだな…良かった…)

そう思って、聖司の肩をトントンと叩き

「聖司、それと皆んなも…私達がするべき事をしようじゃないか…。その為に、ピカさんが私達をこの場に送り届けたのだから…」

そう言って、其々がするべき事を思い出させるのだ。

「そうだね父さん…でもその前に、この借りているこの時代の俺達の肉体を返さないとな…」

「そうだな…そうしよう…でも先に、ピカさんが言っていた事をしようじゃないか」

「言っていた事って、宝を探す事だよな?父さん…」

「それだけじゃなかっただろう?指輪にこの時代の魂の片鱗を刻めと言っていただろう?」

「あっ!そうだった!…でも如何やればいいのか分からないんだけど…如何するか分かってるのか?父さんは?」

「…分からん!」

「分からん!って、何当たり前の様に言ってるんだよ!」

「分からんものは分からんよ!…こう言う時こそ…信康、阿沙華、お前達が分かってるんじゃ無いのかい?」

そう振られた信康と阿沙華。

「ごめんお爺ちゃん…僕その事知らないよ…」

「私もよ…だって、光の記憶を読み解いてたのに、結構間違いだらけで何でよ!って、思ってたりしてるんだもの…」

「そうなんだよね…僕もそうだったよ…結構解析力有ると思ってたのに、いざその時が来たらさ〜、あれっ?違うぞ?って、なってたんだよね…」

それを聞いた残りの者は、2人が同じ事を言うので、実は今迄感じていた違和感だったのだが、その説明により納得したのだった。

「そうなのか?だからか…所々話が違うとは思っていたが、解析した2人がそう思うとは、本当にそうなのだろうな…」

護都詞がそう呟く。

「確か、信康が最初この時代に来た時にも、そんな事言ってたよな…」

「そうなんだよね…あの時本当に訳が分からなかったよ…」

聖司と信康のやり取りに、阿沙華も

「何だか翻訳の機能がキチンとしてなかったのかな?それとも、これもアレかな?信兄ちゃんが言ってた理不尽に慣れるってヤツ…」

その発言に、妙に納得してしまう一同。

「かも知れないわね…今度ピカりに会えたら、問いただしてみるわね〜」

と弥夜。

「か、母さん、それはしなくて良いから!今はピカさんの無事だけ祈ろうよ!」

と、聖司が止める様説得するのだった。

「あらそう?…そうねぇ、分かったわ。今は無事を祈りましょう…」

と、納得してくれたのだった。

「さて、如何すれば肉体に残された、魂の片鱗を刻む事が出来るのか、それを考えないとな…」

そう悩む聖司だったのだが、思わぬ者達が

「あら聖司さん?如何したのです?魂を刻むの私終わりましたよ?」

「えっ?」

「僕も刻んだよ!…えっ?皆んな未だ出来てないの?」

と、夕香と権也が言う。

それに驚いた聖司達。

「かか、母さん!権也!そ、それ如何言う事!?」

と、驚きを隠せない信康。

「そ、そうよ!如何して2人だけ出来てるのよ!?」

阿沙華もそう聞くのだった。

「えっ?そんな事言われても、私には分からないわ?」

「わ、分からないって…」

聖司が夕香に、つい呆れた感じで言ってしまう。

「だって聖司さん、私指輪を貰った時既に刻まれてましたもの…」

そこに権也が

「僕もそうだったよ。だけど僕の場合はね指輪がさ、早よ刻まんかい!エエェーイ!ワテがやったるわ!って言ってさ、勝手に刻んだんだよね〜」

そう答える権也だった。

その権也の話で、指輪を介せば刻む事が出来るのだと理解する聖司達。

「なる程!そうだったのか!信康、阿沙華、そのやり方でいけると思うか?」

聖司が確認の為に、信康と阿沙華に尋ねると

「いけると思うよ」

「私もそう思う」

「そうか!…それじゃ如何やれば指輪を介せるんだ?如何やれば良い?」

「「…………」」

「ん?如何した?」

「少しは自分で考えたら?お父さん…」

「僕もそう思うよ…何だか権也みたいに思えたよ…」

「そ、そこ迄言うか!?」

「ちょっと!また僕を巻き込まないでよ!何で何時も僕だけバカにされてんのさ!」

不貞腐れる権也。

だが、信康と阿沙華の発言は当たり前の事なのだから、権也には悪いが、聖司に対して抜群の効果を発揮していたのだった。

崩れ落ちそうになる聖司。

その聖司を護都詞が、またトントンと肩を叩き、凄く小さな声で

「私もお前と同じ事思ったよ…だから余り気にするな…」

「父さん…」

と、2人は頷き合うのだ。

それを見ていた阿沙華が

「バカやってないで、早く考えなさいよ!」

と叱るのだった。

女帝阿沙華に怯える聖司と護都詞+権也。

「取り敢えず、僕と阿沙華は完了したからね!お婆ちゃんも如何やらすんなり出来たみたいだし、残るは父さんとお爺ちゃんだけだからね…」

と信康迄が、そう急かすのだった。

「わ、分かったよ…それじゃ父さん、如何…」

「おっ!出来たぞ!?何だ意外と簡単な事だったのか!」

「あっ!抜け駆けしたな父さん…」

「何だ未だ出来ないのか?サッサとするんだぞ?」

と、得意げに言う護都詞。

ただ1人残された聖司は

(チクショー!いいさ!自力で頑張ってやるさ!)

と思った時

(ご主人、何やらお困りの様で…如何為されましたか?)

と、指輪から声が聞こえて来た。

(あっお前か…カッコ悪いとこ見せて済まない…。実はこの時代の魂の片鱗を刻む事が出来なくて、凄く困ってるんだ…如何したら良いか分からなくてさ…)

(それなら私がやりましょう…)

(えっ?そんな事出来るのか?)

(出来ます…)

(では是非お願いするよ!)

(承知致しました…完了です)

(早っ!…えっもう終わり?)

(左様です…)

(凄いなぁ〜、本当色々と出来るんだな…)

(その為の私です。今後何か有りましたら、私くしに申し出下さい…それが私くしの役目なのですから…)

(そうなのか、それじゃ今後も何かと宜しく頼むよ!)

(了承致しました、我ご主人様…)

何とか聖司も魂の記憶を刻む事が出来たのだった。

「よし、俺も何とか刻む事が出来たよ…」

「「おっそーー!!」」

と、信康と阿沙華。

(クッ!ここは我慢…)

「如何せ指輪に助けられたんでしょ?」

「多分そうだよ…だって父さんだから、抜けてる時は本当抜けてるもんね…」

プチッ…

「お前ら!大人をバカにするんじゃない!」

「あっヤバッ!本気で怒った…」

「ごめんなさ〜い!怒らないで〜!」

と逃げ出す信康と阿沙華。

「待てぇーーー!」

と2人を追い掛ける聖司。

結局2人は聖司に捕まり、1発ずつ拳骨を喰らうのだ。

だか拳骨を喰らった2人と聖司が、同時に笑うのだ。

このやり取りがとても懐かしくも思え、とても楽しいとも感じたからだった。

「さて、バカな事するのはこれくらいにして、今度は本格的に其々の宝を探さないとな…」

聖司がそう言うと

「でも如何やって探すの?」

と、権也が聞く。

直感力に長けた権也の筈が、その直感力が余り働いて無い様だった。

「ん?権也?…如何したんだ?そういえばお前の直感力、弱くなってないか?」

聖司がそう聞くと、信康と阿沙華が

「もしかして、付加消されたから弱くなってる?」

「信兄ちゃんもそう思う!?…何だか私もそう思えたわ…それに、私達も観察力とか以前程機能してないわよね…?」

「何だって!?それは不味い事なんじゃ無いのか?」

信康と阿沙華のやり取りを聞き、焦りながら聞く聖司。

「もしそうだとしても、ヤツの嫌がらせの付加が無くなったんだから、またしっかり身に付ければ良いと思うよ。それに僕達にはさ、この指輪が有るんだから、ある程度はサポートして貰えば良いんじゃない?」

信康のしっかりとした考え方が、時折羨ましくなる聖司だった。

「そうだな…権能は自分で育て上げれば良いよな!今後は自力で頑張って行こう!」

力強くそう宣言する聖司に、皆んな"分かった"と頷くのだった。

「それじゃ指輪に、今何処に在るのか聞いてみよう」

聖司の号令で、其々指輪に意識を向ける。

(指輪よ、お前の本体は何処に在るんだ?それを示す事は出来るのか?)

(何処に在るのかは、分かりません…ですが私くしの在る場所のイメージならお伝え出来ます。イメージを共有しますか?)

(あぁ、是非そうしてくれ…頼むよ…)

(了承しました。ではイメージを共有します)

そう言って、指輪から送られて来たのは現代の日本で、しかも自分が生きていた時代だった。

(ハァ!?これ俺が生きていた時と同じ時代じゃないかよ!この時代に在るんじゃないのかよ?)

(それは私くしにも分かりません…ですが、今私くしが在るのは、そこの何処かです…)

(でもそれじゃ、如何やってこの時代から、向こうの現代に行けば良いんだ!?)

(その件に関しましては、今しばらく時を待って下さい…時が来れば、私くしが、安全にご主人様をお送りします)

そう言って、指輪との会話が一旦終了したのだった。

意識を家族に向けると、皆んなも困惑した顔をしていた。

「皆んなの宝の在処は分かったのか?」

聖司がそう聞くと、先ず護都詞が

「私は何だかよく分からなかったのだが、如何やら此処より少し過去のインドに在る様なんだ…」

それを聞いた弥夜が

「えっ?貴方はインドなの?私は此処よりほんの少し未来のイギリスでしたわ…しかも戦争真っ只中の…」

「私はこの時代のタイでした。たしかタイってとても暑い国でしたよね?私暑いの苦手なんですけど、ちゃんと出来るか不安ですわ…」

と夕香。

「皆んなバラバラなんだね!?僕は随分過去のギリシャだったよ!」

そう言う信康に、阿沙華が

「私南極なんですけど!でもこの時代からは、そんなに離れてなさそうなのよね〜。情報が南極だけだったから、いまいち分からないのよ…」

「僕はお侍さんが沢山居たよ!何だかね、前に行った大阪城ってのに似ていたお城が在ったよ」

権也がそう言うと、なる程、だから関西弁なのかと思う一同なのだ。

「それで聖司、お前は何処だったんだ?」

「俺?俺は現代の日本って事だけで、場所は特定出来てないの…」

そう答えたら

「「「現代!?日本!?」」」

と、驚くのだった。

「えぇぇ〜何で〜お父さんだけ、現代なの〜!?ズルいよー!!私南極なのにーー!!」

と阿沙華。

「そうだよな!何で父さんだけ現代なのさ!」

信康もそう責める。

それに続いて皆んながズルい!と言うのだった。

「しょ、しょうがないじゃないか…送られて来たイメージがそうだったんだから…それにさ、正直言って現代だっていっても、少し古い感じ何だ…しかも日本の何処なのかとか、全く分からないんだぞ?」

「それでも近代文明味わえるじゃん〜!クーラーとか、TVとか、ゲームとか色々と〜…」

そうボヤク阿沙華。

「だよね〜、僕達の大半は過去だもの…」

信康も阿沙華と同じ意見だった。

「確かに現代の方が、色々と便利になって良かったけれど、俺は遊びに行くんじゃ無いんだぞ?それ分かって言っているのか!?」

聖司の言った言葉で、黙ってしまう2人。

残りの者もそうだよな〜と、黙る事にした。

だが聖司の本心は

(皆んなには悪いが、俺だけ現代を満喫させてもらうよ!)

と、少し悪どい事を考えていたのだった。

(!………)

実のところ、宝を探す者達の中で1番苦労するのは聖司なのだが、それを知らない聖司なのである。

指輪はそれを知っていたのだが、聖司の気を悪くしてやる気を失せる事があってはならないと、黙ってしまうのだった。

グオォォォォォーーーーン… グオォォォォォーーーーン…

突如異空間に鳴り響く音。

一家は、また使者の魔の手が迫って来たのかと、身構えるのだが、其々の指輪から真珠の様な球が出て来て1つになる。

そして1つになった球が

「準備は整いました…それでは皆様を其々の在る場所へ、送り届けましょう…」

と言うのだ。

聖司達は、何の事なのか理解出来ずにいたのだった。


準備が整ったと言う真珠の様な球。

それは、其々の指輪から出て来た球が1つになったモノだった。

またもや理解出来ない聖司達。

せめて何か前もって、教えてくれたならと思うのだった。


第38話 再びの異空間 完

別の異空間でのお話になりました。

いよいよ次話辺りから、宝を探す旅に出る事になります。

どんな話になるかは次話にて。

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