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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
身に付けるモノ身に付ける時
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新たな

第36話 新たな その2


光の主改、ピカさんからの重大発表があった、龍乃瀬一家。

それは、王族のみが身に付けられる、王族の宝の事だった。

それを探し出し、身に付けろと言うのだった。

だが、その宝の在処は不明で、しかも、どんな形をしているのかさへも、分からないとの事。

そんなあやふやな情報だけで、ピカさんは探せと言う。

何でも、今後の聖司達にとって、とても必要なモノらしく、必ず見付け出さないといけない様だ。

ピカさんに護都詞が聞く。

「その必要なモノとは、何処にあってどんなモノかも分からないのだな?それで間違いないのだよな?」

念を押す意味も込めて、そう聞き直すのだった。

「それで間違いない、ただ我にもどんなモノなのか、何処に有るのか本当に分からぬ故、其方達に探し方を教える事しか出来ぬ…誠に済まぬ…」

申し訳なさそうに言うピカさん。

それに対して聖司が

「それはしょうがないよ…それも試練の1つとして考える事にするさ…。だから如何すれば良いか教えてくれたら、後は俺達で何とかするから…」

「そう言ってくれると、我としても助かる…ではやり方を教えよう」

「ああ、宜しく頼むな!」

そう言って一家は1箇所に集まり、ピカさんの言葉を待つ。

「ではやり方を教えよう。皆の者、目を閉じ其々の魂の奥底に集中してみて欲しい」

ピカさんの言葉に従い、俺達は魂の奥底に集中するのだった。

魂の奥底に集中すると、魂に刻まれた記憶が、幾千ものイメージとして流れてくる。

段々と奥に向かうに従い、深く深く沈んで行くのが分かる。

あれ程あった記憶のイメージが薄れて行くと、何かが“ここにいる”と、“早く見付けて欲しい”と語り掛けてくる様なモノが有った。

「何か感じるモノが見付かったかな?」

と、ピカさんが聞くのだ。

「あぁ、これかどうかは分からないが、何か語り掛けてくるモノが有るよ…」

「私もですよ聖司さん…」

「私もだ…聖司…」

「私も何か感じるわね…ピカり…これがそうなの?」

弥夜は、最早さん付けする気はない様だ。

「父さん、僕も感じたよ」

「私も〜、何だか可愛い声してるわ…」

「僕は違うよ…何だか怒ってるよ…今頃かっ!て…何で怒られてるの僕…」

何故か権也だけは、怒られている様だった。

「良かった、皆其々魂に刻まれたモノを見付けられた様だな…正にそれだ…それが其々に必要なモノなのだ。それの言葉が分かるのなら、よく話を聞いてみてくれぬか?そうすれば、何処にどの様な形で存在してるかを教えてくれるだろう…」

ピカさんがそう言うので、その語り掛けてくる声に、更に集中して、何を話し掛けてくるのかを聞く様にしてみる。

声が聞こえてくる…でも小さくてよく聞き取れない…。

その為に更に集中し、意識を深く深く沈めていく。

魂の深い場所迄意識を沈めると、そこは静寂に包まれた白い場所だった。

(聞こえますか…私の声が聞こえていますか…)

(今しっかりと、聞こえているよ…)

(永き時の中で、私の呼び掛けに応じてくれたのは、初めてです…本当に聞こえているのですね…)

(あぁしっかり聞こえているよ、だから安心してくれ。だが永き時の中でと言ったけど、本当に俺だけだったのか?この時代の俺は、応えては無かったのか?)

(ああようやく出会えました…私の声に応えてくれる魂が…。そう貴方が初めてです。この時代とはよく理解出来ませんが、応えてくれたのは、貴方だけです)

(…そうなのか…それで俺は、お前を見付けなければならないと言われたのだが、今何処に有るんだ?教えてくれないか?)

(…此処ではない何処かです…)

(此処ではない何処か?何だそれ!?それは一体どういう意味なんだ?)

(そのままの意味です…今の私は、此処にはいません…)

(はぁっ?此処にはいないって、それじゃ何処にいるんだよ!?)

(それは私にも分かりません…)

(分からない!?それじゃ探し様がないじゃないか!)

(探す手立ては有ります…)

(手立ては有るのか?それならそれを教えてくれないか?)

(承知しました…では手を差し伸べて下さい…)

俺は言われた通りに、右手を差し伸べた。

するとそこに、トランプのダイヤのマークの様な形をした、輝くクリスタルみたいな物体が現れた。

(私を手にして下さい…)

また言われた通りに、それを手にする。

(これで私の在る場所が分かる事でしょう…)

そう言った瞬間、意識が戻る。

「…何だったんだ今の…?」

そう呟きながら家族を見ると、皆んなも俺と同じ様に、手を見つめ、呆然としていた。

そこにピカさんが

「どうやら皆其々、自分の持つべき王族の宝を知る事が出来た様だな…」

「?…それってどういう意味何だ?」

聖司がそう聞くと

「皆の者、其々の手にしたモノをよく見るがいい…」

そう言われて手を見ると、先程迄何も無かった筈のモノを手にしていたのだった。

「!!これって…魂の奥底で手にしたモノじゃないか!?」

聖司は驚いて声に出す。

「えっ!?聖司さん貴方もなのですか?」

「父さんもそうなの!?」

「聖司…お前達迄もそうなのか?」

と、皆んな同様に驚くのだった。

其々が手にしているモノの形や形態は違うのだが、其々が輝きを放っていた。

「其方達が手にしたモノが、王族の宝の場所を示してくれるだろう…。今1度、そのモノの声を聞くがよい…」

そうピカさんが言う。

「これが王族の宝じゃないのか?」

疑問に思った聖司が聞くと

「それは、宝の“意思”なのだ」

「宝の意思!?」

「そうだ意思だ…だからその意思を聞いて欲しい…」

「…分かったよ…それじゃこれに意識を集中すれば、意思の声が聞こえるんだな?」

「その通りだ…では各々声を聞いてやってくれぬか?」

「よし!皆んな聞いた通り、集中して声を聞こう!」

聖司の号令で、其々が意識を集中し、声を聞くのだった。

(…聞こえますか?私の声が…)

(あぁ聞こえてるよ…さっきよりもしっかりとな…)

(それは良かった…永き時の中で、ようやく私の使命を果たす事が出来ます…)

(お前の使命!?)

(はい…私の使命は、私の呼び掛けに応える方の力となる事です…)

(俺の力になる?それは一体…)

(それは私を見付ければ、自ずと分かる事でしょう…)

(今教えては、くれないのか?)

(今はまだ、その時ではありません…ですが、必ず私は貴方の力となりましょう…。ですから早く私を見付け出して下さい…)

(見付けろって言うが、どうやって見付ければいいんだ?何か目印とか、見付け易いモノとか有るのか?)

(目印となるモノは有りますが、それをするには私と契約しなければなりません…)

(契約?)

(はい、契約です。契約しなければ、私を使うどころか、探す事さへ出来ません…)

(それじゃ、契約さへしてしまえば、お前を探せるんだな?)

(その通りです…契約しますか?)

(するしかないのだろ?だったらするさ…それに…)

(それに?どうされましたか?…)

(いや…ただなんて言うか…お前から感じる温かさがな…懐かしく思えてさ…契約という感じじゃないんだよなぁ〜。強いて言えば、絆?かな…)

(貴方にそう思って頂けるとは、私はとても嬉しく思えます。…では言い方を変えて、絆を結びますか?…)

(ああ!是非そうしてくれ!俺はお前と絆を結ぶよ!)

(了承しました。では今から貴方と絆を結びます…)

その瞬間、全身に力が漲るのが分かった。

(!!…これは…凄い…!)

(ご満足頂けたでしょうか?)

(満足どころじゃないよ!こんなにも力が溢れるとは、本当に凄いな!)

(満足頂けた様で、大変良かったです…では今後、私の全てを持って貴方を支援します、我が主よ…)

(あぁありがとう…宜しく頼むよ…)

集中する為閉じていた目を開けると、手にしていた輝くクリスタルが、光る羽の様な形へと変わっていた。

家族を見ると、聖司と同じ様に、光る羽として変化を遂げていたのだった。

「どうやら皆其々、宝の声を聞き、探し出す手立てを知った様だな…」

そうピカさんが言う。

「探し出す手立て?…いや助けになるとは聞いたが、それは未だ聞いてはないぞ?」

護都詞がそう言うと、ピカさんは

「いやもう既に知っている筈だ、だから皆の手にしたモノが、羽と変化したのだから。それが其方達を導いてくれるだろう…」

「導くって、どんな感じで導かれるんだ?」

今度は聖司が聞き返すと

「その羽と意思を共有すれば、分かる筈だ。その為にもその羽を納めるモノが必要だな…では我は、最終目的の事を為すとしようか…」

そう言って、社の中央に移動するピカさん。

「では始めようか…先ずは其方から…」

そう言って護都詞を指差すと、護都詞の持つ羽と、祭壇に堂舎が激しい光を放ち、其々が呼応するのだった。

「!!ピカさん!?一体何をしてるんだ!?」

護都詞が驚きながら聞くと

「器を創っているのだ」

「器!?」

「そう、その器を創る為、其方専用に堂舎を創り変えている。今しばし完成する迄待っていてくれ…」

そう言ってから少しの時間を掛け、堂舎を創り変えるピカさん。

出来上がったモノは、指輪だった。

その指輪に、護都詞の羽が吸い込まれる様に、吸収されてしまう。

「これで完成だ。次は其方だ」

と、今度は弥夜。

弥夜の時も、護都詞と同じ様に指輪を創られ、羽を吸収されるのだった。

そんな事を残りの家族にも施すピカさん。

家族全員に指輪が行き渡り

「親指に嵌めてみなさい、そうすれば各々の力となり、宝を探す指針となろう…」

ピカさんに言われ、聖司達は指輪を嵌めると、ドクンッと衝撃が、体中に駆け巡る。

「ウオッ!何だ!?……凄い……凄く力が漲る!…さっきも漲ったと思ったが、それ以上に漲るぞ!」

聖司が興奮して、そう言うと

「聖司、お前もか!?私もだよ!」

護都詞に続いて、弥夜と夕香に信康、阿沙華や権也迄もが、同じ事を口にするのだ。

ただ権也だけ、少し複雑な顔をしていた。

「どうしたんだ?皆んな驚いて興奮してるのに、権也、お前だけ複雑そうな顔をして?」

聖司にそう聞かれた権也は

「だって…こいつ…お婆ちゃんが怒った時みたいにさ、関西弁で怒ってくるんだもの…あっ今もね…誰がこいつやねん!我!って言ってるもん…」

「えっ?」

その言葉を聞いた弥夜以外は、何故か戦慄を覚えてしまう。

特にピカさんが…。

「僕嫌だよ〜…ずっと怒られてるんだけど…何でなの〜?」

泣きそうになりながら、権也が“Help!”と懇願してくるのだが、誰も何も出来そうにない…。

「権也…怒られない様に、頑張るしかないな…。取り敢えず頑張れ!」

とだけ言う、聖司だった。

「えぇ〜っ!そんなぁ〜。…ねぇピカさん…何とかならないの?何か怒らせない方法とか…何か教えてよ〜…」

そう振られたピカさんは、何故我に聞く?みたいな顔をして

「わ、我に聞かれても…」

と、アタフタするだけで、答えられない。

「だったらお爺ちゃん、お爺ちゃんならさぁ、お婆ちゃんと長く一緒に居るんだから、お婆ちゃんが怒ってる時、どうしてたの?僕はお婆ちゃんが優しいからさ、怒ってても直ぐ許してくれて、抱きしめてくれるから大好き何だけど、お爺ちゃんはよく怒られてたでしょ?その時どうしてたの?」

と、かなりの爆弾を投入してきたのだった。

しかも自分には被害を被らない様に、無意識に“お婆ちゃん優しくて大好き”と付け加えての発言。

護都詞は、弥夜の鬼モードをどう鎮めていたのかを聞かれ、誰にも言わなかった、鎮める儀式の秘技を教えるハメとなる。

これは誰にも教えたくは無かったのだか、弥夜がそこに居るので、教えない訳にはいかなかったのだ。

心の中で、権也に“余計な事を聞きやがったな!”と、思うのだが

「僕の大好きなお爺ちゃんだから、教えてくれるよね?」

と言って、護都詞に抱きつく権也。

それにメロメロになる護都詞は

「ああ良いとも!可愛い権也の頼みだから、お爺ちゃん教えちゃう!」

と、激甘モードになってしまうのだった。

恐るべし権也。

流石護都詞の孫だけあって、無意識とはいえ、タラシスキルを身に付けている様だ。

「さぁ貴方、早く権也に教えてあげて下さいね〜」

と、弥夜がニコニコしながら護都詞に言う。

そのやり取りを見た、護都詞、権也と弥夜以外は、これから起きうる事を察知し、静かにソッと距離を取るのだった。

「あっいや…出来れば権也と2人で…」

「ここで話しなさい」

「は、はい…」

逃げられないと分かり、覚悟を決める護都詞。

「…権也、よく聞くのだよ?」

「うん!」

「相手が怒ってる時は、相手の言いたい事を全て聞くのが1番なんだ」

「そうなの?…それで?」

「そしてだね…何に怒ってるのかちゃんと理解して、こちらに非が有るのなら素直に、そして真摯に謝って、こちらに非が無ければ、どうして怒ったのかを相手に聞いてみるのが良いんだよ。そうしないと、何に対して怒っているのか分からないからね…」

「そうなんだぁ…」

「そうなんだよ、そしてその怒ってる者が愛する者なら、そっと抱きしめる様に、接してあげたら良いんだ。私は弥夜を愛してるから、弥夜の怒りが有った時は、何時もそうしてるんだ…何時迄も心にストレスを溜めて欲しくは無いからね」

と、何度も愛すると言うフレーズを入れて、鬼弥夜対策を話す護都詞。

そうする事によって、適当には弥夜の怒りを鎮めてないと、思ってもらえれば、本当は適当にしてた事を誤魔化せると思った護都詞だった。

ここでも、タラシスキルが発動したのか、弥夜は愛すると言うフレーズに

「も〜やですわ、貴方ったら!皆んなの前で、そんなにも愛するを連発しちゃって〜。何時も言われてましたけど、何故か今回が1番心に響きましたわ〜。あぁ〜嬉しいです事!」

と、何とか誤魔化せた様で、ホッとする護都詞と、残りの家族達。

どうにか、要らない危機は回避出来た事で、ピカさんが

「どうやら、解決策が分かったみたいだな…」

「うん!大好きなお爺ちゃんのおかげ!ありがとうね、お爺ちゃん!」

「喜んでくれたなら、それだけで嬉しいよ…」

そう答える護都詞。

「では話を進めても良いかな?」

と、ピカさんが言うので、話の続きを聞く一同。

「これでこの修行場も、役目を果たした…。これから先は、王族の宝を探し出しながら、各々修練を励んで力を更に強くして欲しい。そしてこの先の過去への旅で、その指輪に、その時代の其方達の肉体に宿る、魂の力の片鱗を刻んで行くのだ。さすれば、あの者と渡り合える事だろう…」

「肉体に宿る魂の力?片鱗?…どういう事だ!?魂は転生しているんじゃないのか?」

聖司が、ごく当たり前の疑問を投げ掛けると

「肉体に刻まれた記憶とは、普通なら有り得ないモノだ。それを為すには、魂の残骸を媒体にしているのだよ。だから、この時代の肉体にも、この時代にの記憶が残っていただろう?そうなる様に、我が始まりの頃から其方達の時代迄、常にして来た事なのだ…」

そう話すピカさん。

「色々と聞くと、本当凄い事して来たんだな…ピカさんは…」

と、感心する聖司達だった。

感心した時、突然

「ここに居たのか!手間を掛けさせよって!」

と、何処からか忌々しい声が聞こえたと同時に、激しい揺れが襲うのだった。

「キャーーーーッ!」

悲鳴をあげる阿沙華。

「な、何だ!?何が起きた!?」

護都詞が弥夜と権也と阿沙華を守る様にしながら言う。

「父さん!この声!」

信康が聖司に険しい顔をしながら言うと

「まさかあいつか!?」

と、夕香と信康の身を守りながら答える。

すると、社の天井が激しい音と共に破壊され、そこに現れたのは使者だった。

「忌々しい者どもめ!こんな所に隠れていたとはなぁ!今直ぐ消し去ってくれよう!」

そう言って、聖司達の元へと舞い降りてくる使者だった。


安全だと思っていた修行場だったのだが、安全では無かった様だ。

突然過ぎた使者の出現…。

力を身に付けたとはいえ、未だ太刀打ち出来ない程の力の差があるのだ…。

今は、突然訪れた危機をどう乗り切ればいいのかさへ、分からない聖司達だった。


第36話 新たな その2 完

今話は、かなり急展開した感じで終わりました。

如何でしたでしょうか?

次話で、この展開がどうなるかをしはらくお待ち下さい。

では次話にて…。

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