表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
身に付けるモノ身に付ける時
33/84

試練

第33話 試練 その4


聖司を除く、他の家族達の其々の属性が大体ではあるが、判明したのだった。

護都詞は闇夜。

弥夜は大地。

夕香は草木。

信康は炎。

阿沙華は水。

権也は風。

聖司だけは未だ判明出来ずにいた。

初めは時間が属性なのかとも思ったのだが、信康によれば、本当の属性は、まだ別に有るんじゃないかとの指摘があったのだ。

当の本人も、何処かその様にも感じていたので、その意見を受け入れたのだった。

そして、護都詞と弥夜の属性を聞き出している間、聖司と信康は、2人に付加されたモノを特定させる為に、観察をしていた。

2人の属性が判明した後、聖司と信康の2人は少し離れて、付加について話し合う。

そして結論が出たと、これから報告をするのだった。

「父さん、母さん、2人の付加の件なんだけど、一応判明した事伝えるよ」

その言葉に少し…いやかなりドキドキしながら護都詞が

「分かったのかい?…ちょっと緊張するが、早く教えてくれないかい?」

「私も早く聞きたいわ、どんなのが付加されてたの?」

と、弥夜も緊張気味で問うのだった。

その問いに答えたのは信康。

「お爺ちゃんとお婆ちゃんに付加されたモノは、有ると思ってたけど実は無かったんだ…」

その答えに

「何だと?…それはどういう事なんだい!?」

護都詞が、理解出来なくて聞き返す。

「そのままの意味だよ…」

「ウソでしょ!?私達には、付加を付けられて無いですって、そんな事あるの!?」

弥夜も、信じられないと言う。

その事に対して、信康は

「それが本当なんだ…何度も調べてみたけれど、お爺ちゃん達には付加されて無いんだよ…。父さんと一緒に調べたんだけどさ、何故か見つけられないとなって、最後にもう1度隈なく調べ直ししたらね、最初から無かったと判明したんだ」

続けて聖司が

「初めから無かったから、何度調べても分からない筈だったんだ。だから2人には、何も無いと安心していて欲しい」

2人は納得いかないのだが、それは夕香や阿沙華と権也もそうだった。

だが、聖司と信康が懸命に調べてくれたのだから、間違いは無いのだろうと思う事にした。

「そうなのか…済まなかったねぇ、何も無いのに、一生懸命調べてくれて、ありがとうな2人共…」

「私もお礼を言うわね、ありがとう」

その感謝の言葉に、胸を痛める聖司と信康。

実は、2人にも付加されていたのだった。

ただそれが、光の主が使者の呪いを使って与えられた、権能と同じモノだったのだ。

護都詞は、タラシスキルを使えば使う程、そのタラシ(りょく)が増し、どんなモノでも自分の意のままに出来る、とても強力な権能だった。

それは、他人だけではなく動物や植物、そして家族さへも、そのスキルで意のままに出来るのだ。

弥夜は、不正や理不尽に対しての正義感が強くなればなる程、鬼モードを炸裂させて、相手を破滅させる権能だったのだ。

それが分かった2人は、護都詞と弥夜の何時もの事が、権能と付加によるモノだと知り、ひどく納得してしまうのだ。

だから2人には、付加の事を話しても意味は無いと思い、何も無かったと答えたのだ。

ただ2人の権能は、どちらも家族を巻き込む諸刃の刃でも有り、だからといって付加を外してしまえば、光の主が付けた権能迄もが失う事になるので、どうしたものかと懸念してはいたのだ。

今後使者の付加が効力を増し、家族にも被害が出るのなら、今直ぐにでも付加を取り除いた方がいいのだが、本当に脅威となる前に、使者を葬る事が出来れば、その権能も効力を失い消滅してくれるだろうと、そう考えて2人は嘘をついたのだった。

だが洞察力の優れた阿沙華や、直感力に長けた権也には、いつかバレてしまうかも知れないのだが、今話しても、黙り通す事など難しいと、信康の提案で時限付きで嘘を付く。

この内容を話した後5分程で、自動的に記憶から一時消去される様に、2人は力を使ってセットしていた。

ただ必要な時に、思い出さなければいけない時がくる事もあるだろうと、念の為に、記憶復活のキーワードもプログラムも施してあるのだ。

そのキーワードは、2人のどちらか、もしくは両方が脅威と感じた時、記憶が自動的に復活する様にしてある。

今はただ、そうならない事を祈るばかりだ。

後は、付加をどの様にして取り除くかを調べあげなければいけない…。

聖司の時は、たまたま信康が見つけ、自分を犠牲にする事によって、消去出来たのだ。

信康の場合は、完全に記憶が無くなり、また1から新しく記憶を取り戻したから、これも偶然なモノだったのだ。

だがこの2人以外は、そうはいかない。

今の権能を保持しつつ、しかも記憶も何もかもそのままで消去しなければならない。

そのやり方が分かれば、護都詞と弥夜の解除も可能になるので、その時も記憶の復活のキーワードとしていた。

付加の解除を調べるにあたって、阿沙華の協力も必要なのだが、それにより、阿沙華の付加されたモノの効力が進行してしまう可能性が高くなる為、聖司と信康だけで調べる事にした。

そう決まってから、まだ試練の途中なので

「付加されたのを解除する手立ては、修行と同時進行するから、そろそろ修行を再開しないとな」

と、聖司が言う。

「そうだな、私はまた同じ内容の試練だと思うと、正直気が乗らないが、身に付けなければいけないのだから、始めるとしようか…」

あの()()の続きをしなければいけない事に、辟易している護都詞。

「貴方はそうでしょうね…でも私は楽しみだわ!フフフッ待ってなさい…トコトン追い詰めてあげるわ♪」

と、やる気満々な弥夜。

ただのシステムに過ぎないのだが、哀れに思う一同だった。

引き気味の信康が

「それじゃ、皆んな祭壇の前に立って、もう1度修行場に行こうか」

と言うと、其々が自分の祭壇の前に立つ。

そして向こうに行く為の言葉を口にするのだが、誰1人として向かう事が出来なかった。

「あれっ?向こうに行けないぞ?」

聖司が不思議に思うと、皆んなも困惑した表情をしていた。

「ねぇこれ壊れたの?」

と、権也が祭壇をバンバン叩く。

「壊れたのじゃないよ!叩いたら、本当に壊れかねないだろ!叩くのやめなさい!」

と、慌てて止める聖司。

「でも本当にどうして向こうに行けないんだろう…また血が必要なのかな…?」

と阿沙華が言うが、信康は

「それはもぅ無い筈だよ、父さん、今1度肉体にアクセスして調べてくれる?」

「あぁ分かった」

信康に言われた通りにアクセスしてみるが、確かに血は必要ないのだが、それ以上の情報が出てこない。

「…何も情報が出てこないなぁ…しょうがない、皆んな歩いて向かってみよう」

と提案する。

「そうだね、何かシステムが上手く機能してないのかも知れないし、今回は歩いて向かった方がいいかもね」

信康が同意すると、それに合わせて一同は、社から出て、各々の建物に向かうのだった。

其々が建物に到着した時、門が出現する。

「!!」

突如出現した門に驚く聖司。

「何だ!?突然門が現れたが、どういう事なんだ?」

そう思いながら、恐る恐る門を開けようと触れてみると…。

バチィンッと、音をたてて弾かれてしまう。

「ーッ!いってぇー!!…何だ!どういう事なんだよ!?」

その時、各建物から同じ様な声が聞こえてきた。

「えっ?まさか皆んなも同じ事になってるのか?」

そう思い、直ぐさま

(皆んな!もしかして門が現れて、触れたら弾かれたらしてないか?)

と聞くと

(聖司お前もか!?)

(聖司さん、私も同じ事起きてます…)

(夕香さん、貴方もなの?私もよ…)

(父さん、僕もだよ!)

(私も!)

(僕もそう!ねぇ何なのこれー!?信兄ちゃん、阿沙姉ちゃんも知らないの?)

と、其々同じ事が起きていた。

(やはり皆んな同じ事起きてるんだな…ちょっと待っててくれ!今アクセスして何が起きたのか確認するから!)

と、聖司がアクセスしようとすると、門から声を掛けられるのだった。

「汝、この堂舎には入れぬ…引き返すがよい…」

ハァ?何言ってんだ?此処、俺が使っていた建物だよな?間違えて、違う修行場に来たのか?

「此処、俺が使った修行場だよな?」

「そうだ…」

「なら何故入れないんだよ!?」

「…次の試練が異なるからだ…今1度、中央の社殿に戻るがいい…そこで新たな試練を聞かされるだろう…」

「何だって〜!?…なんてまどろっこしいんだよ!それなら、そこに居た時に教えろよ!」

「汝の言っている意味が分からぬ…我は此処を守るためだけにある…ただそれだけだ…」

これでは埒があかない…。

もっと文句を言いたいのだが、言われた通りに社に戻る事にした。

(おぉーい皆んなー、中央の社に戻れと言われたんだが、皆んなもそうかぁー?取り敢えず俺は戻るから…)

そう伝えると、どうやら皆んなも同じ事言われたみたいで、結局また中央の社に集まる事になった。

「本当、面倒くさいわよね!何なの!?」

と、阿沙華がぼやく。

「そう怒るなって、僕も腹立たしく思ったけどさ、多分この一連の行動を取らないと、システムが作動しない作りになってるんじゃないかな?」

と、宥める信康。

「仮にそうだとしても、何でワザワザこんな風に、まどろっこしくしてんのよ!此処を創った過去の私達と光の主って、バカだったのかしら!?」

憤りが鎮まらない阿沙華に、またも信康が

「それ!お前のそのそれだよ…」

「えっ!?何に対して言ってるの!?」

「その怒りだよ…多分ワザとまどろっこしい作りにしたのは、少しでも理不尽とかに慣れさせたかったんじゃないかな?」

「えっ…というと…」

信康に指摘され、少し冷静さを取り戻す阿沙華。

「多分だよ?この時代の僕達と光の主は、今後も多くの理不尽や困難に打ちのめされる事を懸念してたんだと、僕はそう思ったんだ。だから少しでもそれに慣れて、冷静さと平常心を鍛えたかったんじゃないかな?って、僕がただそう思っただけなんだけどね」

何故か信康が言うと、納得してしまう。

それだけ皆んな、信康の考えを信じていたのだ。

「信兄ちゃんが言うと、本当〜ムダに納得しちゃうわ」

「ムダにって何だよ?」

「そのままよ!誰も思い付かない事迄、深読みするんだから、しかもそれが間違いじゃないんだもの…だからムダにって言ってるのよ!」

罵倒しながら褒めてる阿沙華。

だから、どう反応していいのか分からない信康だった。

「はいはい、阿沙華も信康もそこまでにしておきなさいね〜。()()()()が言ってた事しないといけないんでしょ〜?」

「もんちゃん?」

誰もが誰だそれ?となり、聞き返すと

「建物の前に出できた門ちゃんの事だけど?あら?何か変な事言ったかしら?」

どうやら天然が強まると、何かしらに“さん”や“ちゃん”などと付けたり、あだ名を勝手に作る傾向がある様だ。

それを理解した一同は、今後は夕香独特のネーミングにツッコむ事はしないで、そのまま受け入れる事にした。

「確かに門ちゃんが言ってた事しないといけないなぁ〜」

だか、やはり男性陣から門ちゃんと聞くと、しまらない感が強いのだ。

しまらないながらも

「するにしたって、どうすればいいのか分からないよね?」

と、信康が言うと

「どうせ此処の社の声が、教えてくれるんでしょ?」

と、阿沙華が言う。

だが、幾ら待っても声が聞こえてくる事は無かった。

直感力の優れた権也ですら

「ねぇお父さん、どうなってるの〜?何も起きないよ〜?」

と言う。

「そうだなぁ…それじゃ今1度、肉体にアクセスしてみるか…」

と、聖司は肉体にアクセスするが、それでも何も出てこないのだ。

「…何も分からない…どうすればいいんだ?」

と、途方に暮れてしまう。

どうする事も出来ないまま、ただ時間が過ぎていくだけだったので、聖司は自分の祭壇に腰を掛けて休む事にした。

そこへ護都詞が、どうするかを相談しに、聖司の所にやって来た時、事態が急変する。

「汝…試練を開始する…」

「!?」

突然、社から声が発せられた。

すると聖司と護都詞の2人が光となって、聖司の堂舎に飛ばされていったのだ。

それを見ていた残りの者達は、とても驚き

「一体何が起きたんだ!?おい!父さん達をどうしたんだよ!」

と、信康が声を張り上げたのだ。

「…汝達の試練が再開されたのだ…」

と、社からの声が答える。

「試練が再開!?何を言ってるの!?今迄何も起きなかったじゃない!なのに何故突然、新しい試練が発動するのよ!」

と、阿沙華が聞くと

「2人以上が揃わないと、新たな試練が出来ぬからだ…」

「だったら最初から、そう教えてくれればいいじゃない!」

「それは無理だ…これも試練の1つなのだ…それに、先にそれを知ってしまえば、その対策を取るだろう…それでは試練とならない…」

それを聞いた信康は、社の言葉を理解する。

「なる程ね…言わんとした事は、理解したよ…」

「えっ?信兄ちゃん、理解出来たの?」

と権也が聞くと、信康は頷きながら

「まぁね、要は僕達が偶然でもいいから、1つの祭壇か堂舎に2人以上で赴いて、修行させたかったんだと思うんだ。でもそれを先に知ってしまえば、特に僕と阿沙華が何かしら試練の対策を考えてしまうからと、それをさせない為に、ワザと情報を隠してたんだと思うよ…」

「それって…私には未だ意味が分からないのだけれど…」

と阿沙華が聞き返すと

「だからね、僕と阿沙華は、大体の事把握してるだろ?」

「うん…」

「だからなんだよ、次に与えられる試練を予測して、その対策を取る可能性が高いだろ?」

「あっ!なる程ね!」

「だからワザと情報を隠して、偶然でもいいから、祭壇もしくは堂舎に2人以上が揃う迄、此処のシステムが作動しなかったんだと思うんだ」

信康の説明に、やっと納得する一同だった。

「それじゃ、今飛ばされたお父さん達、それを理解してないわよね?信兄ちゃんどうするの?」

「試練が始まったら、会話が出来なくなるから、無理だとと思うけど、念の為交信してみるよ」

そう言って

(父さん、お爺ちゃん聞こえる?聞こえたら返事して…)

ーーーーー

「やっぱりダメだ…通じないよ…」

「そんな…それじゃどうすればいいの…?」

「…しょうがないよ、でもきっと大丈夫だよ!父さん達もそれに気付いてくれてると思うから、無事に試練を乗り越えて戻って来るさ。だから僕達も、早く試練を受けなくちゃね」

「だと良いけど…そうね、私達も試練を始めて貰いましょう!」

ただ黙って2人のやり取りを聞く弥夜と夕香に権也だったが、口を挟む事は無く、それを素直に受け入れるだけだった。

「なぁ社の声よ、僕達は新たな試練の事を知ってしまったから、対策されてしまうだろ?そうさせない為にも、そっちの都合で振り分けしたいんじゃ無いの?僕達はそれにしたがうからさ、サッサと試練を始めて欲しいんだけど?」

そう社の声に伝えると

「分かった…では汝達を振り分けて、堂舎に送り届けよう」

そう言って直ぐ、2組に分けられて飛ばされるのだった。

振り分けの内容は、弥夜と権也に阿沙華。

夕香と信康の2組に分けられたのだ。


計3組に分けられて行われる今回の試練。

どんな思惑で、新たな試練を受けさせられたのかは、分からないままの聖司と護都詞。

果たして、その思惑を理解し、新たな試練を乗り越えられるかは、終わってみないと分からないのだ。


第33話 試練 その4 完

試練を考えるのが、なかなか大変でして、それでいて楽しいです。

まぁ予め決めてはいるのですが、追加でこうしようかな?ああしようかな?と、考えると、結構時間が経ってしまってました。

では次話にて、新たな試練ともう1つの事柄を書こうと思ってます。

上手く書き切れば良いのですが…。

では次話をお待ち下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ