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輪廻家族 〜五千年の怨恨呪詛 呪われた家族の輪廻の旅〜  作者: 喜遊元 我可那
身に付けるモノ身に付ける時
32/84

試練

第32話 試練 その3


阿沙華達の弄りを我慢し、護都詞達を待つ聖司。

「そういえば、俺より早く戻って来てたが、お前達の試練ってのはどんな感じだったんだ?それと、どれくらい俺が来るのを待ってたんだ?」

それに答えたのは信康だった。

「多分、皆んなが修行始まって、まだ10分程だと思うよ」

「何ぃっ?10分!?」

「うん、多分だけどね…」

「それって本当?信兄ちゃん」

阿沙華も信じられなさそうに聞いてくる。

「マジ…まぁ本当に多分なんだけどね、僕の部屋に時計が有ったから、時間見てたしね」

「時計!?そんなの有ったの?」

と、今度は権也が驚いて聞き返す。

「うん、修行が始まる前に、ここの作り分かってたからさ、建物のシステムにお願いして出して貰ってたんだ。そうすればさ、どれくらいで修行が進んだか、目安になると思ったからね」

流石としか言えない信康の発想。

それを聞いた聖司は

「ウソだろ…とても長く感じたぞ!?2つの試練が、たった10分程で終わってたなんて…1つは何度も死んで甦ったのに、ほんの数分だったなんて…」

「えっ?お父さん、何度も死んで甦ってたの?私は深い穴の中から脱出だったわ」

と阿沙華が言う。

「あらそうなの?私は、何千もの小さい髭の生えた子供をあやし続けていたわ。中には角の生えたヤンチャな子供もいて大変だったけど、皆んな言う事聞いてくれて、とても良い子達だったわね〜」

と夕香が言う。

それ、多分小人か物怪なんじゃないかと思うのだが、本人が気にして無いのなら、それで良しとする一同。

「僕はねぇ、鬼ごっこだったよ」

「「鬼ごっこ!?」」

信康と阿沙華が聞き返すと、権也は

「うん!沢山の僕がいてさ、全部捕まえないといけなかったの。沢山の僕、メッチャ逃げ足早くてさ、捕まえるの大変だったけど、途中捕まえた僕と遊んだりしてて、面白かったよ!」

夕香以外、沢山の権也を捕まえるのに、どれだけの苦労が必要なのかを考えてしまい、絶対したくは無い試練だと思うのだった。

だかそれを楽しかったと言う権也は、ある意味豪傑なのだと思い知らされた3人だった。

「僕はね、試練らしい事してないんだよね〜」

「はぁっ!?何それ!?」

阿沙華が解せない様な顔をして、信康に問い詰めていく。

「信兄ちゃん!それ本当なの?皆んな試練を受けてるのに、何で信兄ちゃんだけ受けてないのよ!おかしいじゃない!?」

問い詰められた信康は

「しょ、しょうがないじゃないか!無かったものは無いんだから…」

そこに聖司迄

「無かったものはって、本当に無かったのか?俺は同じ事されてるのかと思ってたのに、それぞれ違うみたいだし、何故お前だけ何も無かったんだよ?」

と、聖司も納得いかないのだった。

だか試練を普通に()()()()夕香と権也の2人は

「え〜勿体無いね〜、試練楽しかったのに…」

「私も少し疲れはしたけど、子供をあやすのは心和んだわね〜」

と、違う意見を述べるのだった。

その2人の意見を聞いた信康が

「父さんと阿沙華、今の2人の意見を聞いて、どう思った?父さん達と違う感じでしょ?」

「そうみたいだな…」

「うん、信兄ちゃんの言った様に、試練を楽しめるなんて、腑に落ちないわよ…ただ2人が試練として受け入れてないだけなのかも知れないけれど、それを差し引いても、私達との差が有るのはおかしいわ…」

そう答える2人。

「これも憶測なんだけどね、多分其々に合わせた試練が用意されてたんだと思うんだよ。それか部屋に入った時に、建物に付けられたシステムが、最も最適な修行を創り出す様になってたのかな?…何にせよ、僕は力のコントロール以外は、ほぼ熟知してるからか、試練が課されなかったんじゃないかぁ〜と思うんだ」

「それじゃ、お母さんと権也はどう説明つくのよ?」

「う〜〜ん、権也の場合…多分…風と一体化した時もそうだったけど、直感力が凄いからさ、僕達みたいに観察して考えて無くても、無意識にクリアしちゃったんじゃないかな?」

「それ、ありうるな…」

聖司は素直に認めたが、阿沙華は

「直感力でクリアって…何だかやるせない気になってくるわね…。私結構苦労したのに…」

「しょうがないよ阿沙華…。俺も同じ気持ちだよ…」

聖司も阿沙華に同意する。

「母さんはただ単に、あの性格だから…大変だと思わなかっただけじゃないかな?」

「「それも納得!」」

2人は同時に納得してしまう。

「それでも、能力の基本はマスターした筈だからここに居る訳で、2人がどんな力を身に付けたかは、聞かないと分からないよね…。ねぇ…聞いてみる?…僕正直に言って、聞くのが怖いんだけど…」

「私も〜!聞いても理解出来ない方が強そうだもん…本人も分かってなさそうだしね…」

「お前達…そんな事言うなんて…うん、確かに同感だな…」

結局同意する聖司。

しかも今回の修行にて、付加された機能により、天然と幼児化が進んでいるだろうと思われるから、尚更だった。

「ところで、阿沙華の基本の力は何だったんだ?」

聖司が聞くと

「私?私は正直良く分からなかったの…」

「分からなかった?また何故?お前にしては珍しいよな?」

「う〜んだってね、何か分かりそうになった時に、突然1つ目の修行が終わってね、その後直ぐ次の修行が始まったから、確認出来てないの…」

「えっ?それ俺もだよ!何かが弾けた感じがしたら、第一の修行が終わったんだ」

「えぇ!お父さんも!?」

「そうなんだ…ただ何となくだが、俺の力は時間に関する事の様なんだが…」

「私は水に関すると思うの…水を意識した時、修行が終わっちゃったから、何とも言えないけれど…」

それを聞いていた信康が

「多分それで合ってると思うよ」

「えっ?なんでそう言い切れるの?信兄ちゃん、何か知ってるの?」

「僕もね、修行始まる前に、何となく火のイメージが強くてさ、火の術を発動させようとしたら修行が始まらないまま終わって、直ぐ次の試練が始まったんだけどさ、その試練で術を開発しようとしたらさ、それも直ぐ終わってしまったんだよね。だからその後、力のコントロールをメインに修行させられてたよ…」

信康の説明で、何か引っ掛かるモノがあった阿沙華は

「ねぇ信兄ちゃん、もしかして建物のシステムって、単純な創りなのかな?与えられた指令をこなしてる感が、とてもするのだけれど、第一の試練は自分の能力に気付かせる迄で、第二の試練は、術を開発させるだけで良かったって思えるんだけど、信兄ちゃんはどう思う?」

「阿沙華の言った通りだと思うよ」

「やっぱりそうだよね…」

2人はたったあれだけの会話で、そこ迄理解を進めてしまうのだった。

「お前達、本当頭が良く切れるなぁ〜。感心するよ」

「そう思ったらさ、母さんと権也にも聞いた方が良さそうだよね…自分の持つ力は、何だったのかだけでも感じてる筈だから、今後の事考えて知っておくべきかもね…」

「う〜ん気は乗らないが、そうした方が良さそうだよな…」

聖司がそう言った時

パシューン

と、音をたてて護都詞が戻って来た。

「ふぅ…疲れた…」

と護都詞が呟いたその後直ぐ

パシューン…

弥夜も戻るのだった。

「…あら皆んな、揃ってるのね…早く終わってたみたいね良かった。あぁでも…ったく口惜しい!もっと追い詰めてやりたかったのに!〜〜っもう!次は容赦しないわよ!」

何やら大変ご立腹の様子。

鬼モードだった事が、容易に理解出来る一同。

システムをも、ビビらせて来たのだろうと、分かってしまうのだった。

小声で

「信康、母さんから話を聞くのは最後にしよう…」

「そうだね…」

「うん!?何か言ったかしら?」

弥夜の地獄耳に、背筋を伸ばし

「「いいえ!」」

と答える聖司と信康。

阿沙華が、鬼モードのままじゃ話にならないからと、気を利かせて

「お爺ちゃんお婆ちゃん、お疲れ様〜。修行大変だったでしょ?先ずは休んでね!色々あったと思うけれど、落ち着いたら話聞かせてくれる?私達も話す事沢山出来たみたいなの。今その為に、お父さん達と相談してたんだぁ〜」

優しい笑顔でそう語り、弥夜の溜飲を下げるのだった。

溺愛する孫の優しさで、直ぐさま落ち着きを取り戻す弥夜に、疲れを癒される護都詞だった。

「ありがとう阿沙華、それじゃ私は少し休ませて貰うわね」

「私も休ませて貰おうか、なにせクタクタだからなぁ〜」

2人はそう言って、その場に座り込む。

阿沙華グッジョブ!と、聖司と信康かグーのポーズをとり、阿沙華も笑顔でグーのポーズで応えるのだった。

「取り敢えず、夕香と権也に確認しておくか。お〜い、夕香権也〜、ちょっとこっちに来て話を聞かせてくれないかぁ〜」

夕香と権也が暇を持て余し、2人で遊んでいたのを呼び寄せる。

「何お父さん?」

「どうしたの聖司さん?何が聞きたいの?」

「遊んでたところ悪いね、聞きたい事なんだか、2人の修行中の試練で感じた事なんだ」

「試練で感じた事?」

権也が不思議そうに聞き返す。

「そう、第一の試練の時だと思うんだが、何か自分の中で弾ける様な感覚になったり、または何かを強くイメージした時にしっくり来た事とか無いかな?」

「弾ける?しっくりですか?…そうね〜…聖司さん、私が感じたのは木漏れ日でしたわ…私達がしばらく居たあの山の木々の様な優しさを感じたわ…それがどうしたのです?」

「いや、取り敢えずありがとう!後で説明するから。で権也は?」

「僕〜?僕ね〜、ビュンビュン風を感じたよ!精霊さんと話してた時みたいにね!」

それを聞いた3人は、だから風と一体化するのが早かったのかと、理解を深めるのだった。

「どうやら、其々に属性が決まっているのは本当らしいな」

「そうだね、異空間でした僕の説明通り、其々特化した属性が有るのがこれでハッキリしたね」

「それじゃ私は水なんだ…信兄ちゃんは火で、権也は風。お母さんは木や草なのかな?で、お父さんは時……時!?何それ?時間が属性!?」

自分で言っていて、意味が分からなくなる阿沙華。

「ちょっとどう言う事なの?ねぇお父さん!」

そう聞かれた聖司も

「お前達が分からないのに、俺が分かる訳ないだろ?ただしっくり来たのが"時"だったんだよ。そう思ったら、何かが弾けて修行が終わっちまったから、確証は無いんだ…」

ありのままに説明する聖司。

それを聞いた信康が

「多分父さんの力は、また別に有るような気がするよ。たまたま“時”に反応しただけで、他にも幾つか有る気がするんだ」

「えっ?何でそんな事言い切れるの?」

と阿沙華。

「えっとね、僕さ、父さんの心にアクセスしただろ?その時に感じたのは、時じゃ無かったんだよね…なんかこう…もっと色々多く感じたんだ、上手く説明出来ないけど…」

そう言われた聖司も、何となくだったが、それは感じていたのだった。

「まぁ俺の事は、後でじっくり調べるとして、残りの2人、父さんと母さんにも話聞かないとな」

「…そうだね」

「それじゃ私が聞くね、2人はその間に調べて欲しい事が有るから、そっちをお願いするね」

「調べて欲しい事とは何?」

信康が聞き返すと

「お爺ちゃん達に、使者に付加されたモノを特定して欲しいの」

「あっ!それか!うん分かった!それじゃ僕が2人を観察するから、阿沙華は出来るだけ2人と長く話をして欲しいんだ。そうすれば、光に残された記録と照らし合わせて、何が違うのか分かるかもしれないから、お願いね!」

「了解!」

「それじゃ俺はどうすれば良い?」

「父さんは、僕のサポートに徹してくれたら良いよ!多分父さんにしか分からない事が有る筈だから、それを教えてくれたら助かるよ」

「分かった!それじゃ2人共頼むな!」

そうして、3人の会議は一旦終了する。

「お爺ちゃん、お婆ちゃん、疲れてるところごめんね。多分私達の話を聞いてたと思うから、分かってると思うけど、色々と、聞きたい事が有るの」

「あぁ何となく聞いてたから分かってるよ、だから遠慮なく聞いてくれて構わないからね」

と護都詞が答えると、弥夜も

「それで私達について、何か分かるのなら、何でも聞いて頂戴!何でも答えるわよ〜」

と、やる気満々の弥夜だった。

どうやら、早く修行場に戻って、システムをメッタメタにしてやりたいと、そう思っている様だった。

ちょっと引き気味で質問をする阿沙華。

「お爺ちゃんとお婆ちゃんは、どんな修行だったの?」

「私か?私は…その…」

口籠る護都詞。

「どうしたの?言い難い内容だったの?」

「いや…なんというか…」

またもや口籠る護都詞に

「サッサと話さんか!阿沙華が困っとるやないか!」

鬼弥夜モードを発動する。

それにビビる一同。

こんな時に突然鬼モードにならないで欲しいと思うのだ。

ビビった護都詞が

「しゅ修行の内容は、1万人切りする事だったんだ!用意された1万人を口説い…」

ここで権也の耳を塞ぐ聖司。

この内容は聞かせられない。

だから口籠ったのだと理解する。

弥夜もしまったと思うのだった。

「口説いて…うぅぅ…その後の説明は無しで…お願いします…」

「…仕方がないから細かい事は、話さなくても良いよ父さん…でも1万人もの好みのタイプが用意されてたのか?そしてそれを全て口説き落としたのか?」

「…全て好みのタイプじゃ無くその逆だ…流石の私でもそれは無理だよ…何とか口説き落としたのは、せいぜい6千人程だよ…」

「ハァっ!?6千人!?」

「そう、たった6千人…」

いやいやいや、それ既に凄いんだけど!我父親にして、驚異の数字なんだが!?

と、呆れてモノが言えない聖司達。

しかも自分の好みじゃ無いのに、よくもまぁ出来たモノだと、ある意味感心するのだった。

「…で、何か弾ける様な感覚とか、しっくり来たモノとか有ったの…?」

と、軽蔑する目線を投げ掛ける阿沙華に、顔を逸らしながら

「…新月の闇夜…」

と答えるのが精一杯な護都詞だった。

「ふ〜ん、闇夜ねぇ…で、お婆ちゃんはどうだったの?」

これ以上護都詞に構う必要は無いと、サッサと切り替える阿沙華。

「私?私はね、色々と理不尽な事をしてくる者達を多分2万人程いたのよね〜。それを全て説き伏せてやったのだけれど、途中から修行場の、声がやってる事と分かってからは、その声に向かって問い詰めてたのよ。そうしたらね、途中でこっちに戻されたのよ!頭に来るわー!まだ追い詰めきれてないのに悔しいー!!」

と、本気で悔しがる弥夜に、全員が引いてしまうのだった。

システム迄、恐怖で追い出されるとは…。

怖い…今は波風たてない様にしなくては、命が危うくなると…。

「で…それで…何か感じたモノあったの?私達の大好きなお婆ちゃんだから、きっとそれも理解してくれてると思うの。なんせ勘の良いお婆ちゃんだもの!」

と、少しでも溜飲を下げて貰う為に、ほんの少し胡麻をすってみたら

「まぁ阿沙華ったら!嬉しい事言ってくれるじゃない!ふふふっ、勘が良いだなんて、しかも大好きと言われると、なんて幸せなんでしょう!嬉しいわぁ〜!お小遣いあげちゃう!」

と、一気に平常に戻る弥夜だった。

阿沙華のおかげで、危険は回避出来た事が、何よりも嬉しく思えた。

「お小遣いは無くても良いわよ、その気持ちだけで嬉しいから!ありがとうね、大好き!で、その代わり何を感じたか教えてくれたら、もっと嬉しいの!教えてくれる?」

「あらそうなの?残念ね…お小遣いあげたいのに…でもまぁ今度何かご馳走するわね!…そうね…感じた事は…大地かな?地上の全ての大地がしっくり来たわね〜」

これで全員の属性が分かった事になる。

護都詞は闇夜、弥夜は大地が属性だという事だった。

これにより、今後の修行で身に付ける能力を把握出来た事になるのだ。

これでまた1つ、前に進む為の知るべき事がわかったのだ。


このやり取りの間にも、信康と聖司は、護都詞と弥夜に付加されたモノを調べていた。

その結果はどうだったのだろうか?

しっかり見つけられたのだろうか?

それはまだ分からない…。

後は、2人からの説明を待つのみだった。


第32話 試練 その3 完

今話は、其々の属性が何となく判明した内容でした。

僕が欲しい属性は、権也と同じ風ですね〜。

風になれたら、旅行するの楽そうですもんね〜。

あっでもパスポートにハンコ無ければ、海外旅行は無理ですよね〜。

不法入国ですもんね…。

それだと別のモノが良いのかな?

皆さんは、どんな属性が欲しいですか?

ってな訳で、次話をお待ち下さい。

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