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ギャルの銀髪美少女が陰キャに懐いた件

作者: 水野凧

誤字脱字があるかもしれませんが、よければ見てください。

 人生はクソだ。理不尽に怒られたり、テストの記号問題が一問ずつズレて書いていたり、パシられたりと散々だ。まあ、テストに関しては確認していない俺が悪いのだが……。


 さて、今年で高校二年生となった俺、滋味田優(じみたすぐる)は今日も教室の隅っこの席で、ラノベを読んで昼休みを過ごす。


 だが、前髪が結構邪魔になってきた。おかげで少しラノベが読みにくい。それでも俺が髪をセットしたところで変わらない。というか面倒臭い。


「ねえ地味男、ジュース買ってきてくれない?」


 ……今日は大丈夫かなと思っていたが、やっぱり駄目だった。二個隣の席の金髪ギャルである、美園春香(みそのはるか)に声をかけられ、嫌々美園の方を向く。


「あ、買うのはいちごオレね。雫もなんか頼めば?」

「……私はレモンティー」


 雫というのは、隣りにいるクール美少女ギャルである吉野雫(よしのしずく)のことだ。顔が整っているのは言うまでもないが、綺麗な長い銀髪には称賛の一言だ。スタイルも抜群で、美園も美少女なため、二人は学校でも注目を集めており、よく告白されたという話も聞く。


 そしてそんな二人に利用されているのが俺なのだ。最初は俺がジュースを買いに行くときについでに買ってきてと言われていただけだったのだが、流れというのはなんとも怖いもので、いつの間にか俺が金を出して買うまでになった。反抗するのもいいのだが、そうなると周りの反感を買いそうなので特に何も言わない。陽キャ男子に頼まれたときなんか、ミスったら軽く殴ったり蹴ったりしてくるからな。


「分かった」


 俺はそれだけ返事をして教室を出た。俺には友達がいないせいで、俺がパシられていることを気にかけてくれる人なんかはいない。もう少し人と話して友達を作るべきだったと、少し後悔している。


 名字も滋味田という珍しい名字だが、そのせいで今の容姿と相まって地味男というあだ名がついた。完全に高校逆デビューに成功した俺である。


「優しさって何なんだろうな……」


 俺は中学生の時、中学校内では少し有名だった。こいつに喧嘩を売れば終わり。喧嘩っ早いから近づくな。そんな悪い印象で有名になったのには訳がある。



 俺の母さんは優しい人だった。おっとりとした雰囲気で、いつものほほんと柔らかな笑みを浮かべていた。俺がわがままを言っても怒らずに聞いてくれて、欲しい物も何でも買ってくれた。そんな母さんが俺は大好きだった。


 しかしそんな楽しかった日々は、元々心臓が弱かった母さんが心臓の痛みによる長期入院となって変わった。


 そう、グレてしまった。勿論グレたのにも原因があって、入院によって家に母さんがいないのが寂しかったのもあるが、何よりのきっかけは嘘告白だ。


 優しかった母さんを見習って俺も優しくあろうとして、よく先生の手伝いをしたり、掃除をやりたがらないやつにも何も言わず俺だけせっせと掃除をしたり、お婆さんを助けたりと、俺ができることは精一杯やっていた。


 しかし人生は残酷だ。陰キャの代表みたいな容姿によって、よく陰キャとか悪口を言われ、物を隠され、足を引っ掛けられ殴る蹴るなど、しょうもない事ばかりされた。平気だと自分には言い聞かせていても、体の痛みよりも精神的なダメージの方が大きかった。


 そして、ある日突然体育館裏に手紙で呼び出され、向かってみるとよく話をする女の子がいた。多少は自分でも仲が良いと思っていて、告白の言葉を聞いて嬉しい気持ちが込み上げてきた。


 しかしよく考えてみると、普段からいじめられているやつに告白なんておかしい。そもそも、俺がいじめられていることを知っているのに、俺を好きだと言いながらいじめのことに関して一回も触れられたことがないのだ。あと、ラノベを読んでいたおかげで、こんなシチュエーションを想像したこともあるからか、もう一度冷静に考えてみた。


 そうやって下を向いていると、その女の子と仲の良い女子二人が突然現れて、俺を嘲笑いだした。


「ぶふっ、あんたなんか好きになるわけ無いじゃん! 勘違いしないでよ」

「凄く真剣に考えてて本当吹き出しそうになったわ! ふふっ、だめ、ほんとおかしい」


 やはり嘘だった。そして俺は女子達が笑っているところを見て、思ってしまったのだ。


 ──ああ……もうどうでもいいや。


 次の日の朝。教室に入ると、沢山の生徒が俺を見て笑っていた。案の定、女子経由で嘘告白のことが教室全体に伝わっていた。


 そのまま席に着くと、後から教室に嘘告白してきた女子が入ってきて、俺を見て笑う。今笑われるのはどうでも良かったのだが、弄ばれたことには腹が立っていており、俺は席を立ち上がってその女子の頬をぶっ叩いた。


 当然教室がざわつき始めて、教室に入ってきた担任の先生が頬を押さえて倒れている女子を見て驚愕する。この事件を見ていた生徒に話を聞き、女子を保健室に連れて行った後、俺は職員室に強制連行された。


「どうしてこんなことをしたんだ!」

「うざかったからです」


 即答してやった。面倒くさくて詳しく話そうとしなかった俺だが、『ちゃんと話してくれないと分からない』と言われ、誰にでも優しい先生だったので、仕方なく訳を話すと、今回はまあ仕方がないということで表向きは俺への厳重な注意だけで済んだ。


 ところが、生徒間ではそうはいかない。女子を叩いた俺の評価はどん底まで落ち、更にいじめは酷くなる。そこで吹っ切れていた俺は、物を隠して笑っている奴と、普段から殴ったり蹴ったりしてきた奴をボコボコに殴り倒した。


 これは流石に駄目だったようで、先生に保護者を呼ばれ、俺がボコボコにした生徒の家に謝罪に向かわされ、二週間の出席停止処分が下された。


 入院中だった母さんにもこの話が伝わり、俺は母さんに病院に呼び出された。俺はこれから何を言われるのだろうとビクビクしながら病室に入ると、普段は優しい母さんが怒りの形相でベッドに座っていた。


「……母さん」

「話は聞いたわ。……確かに辛かっただろうし、気づいてあげられなかった私も父さんも悪いわ。でもね、その子達と同じように人を殴っちゃったら同類になるだけよ? 今後は無視してじっと耐えるか、口で言い負かすかのどちらかにしなさい」


 記憶にある中で、俺が母さんに初めて怒られた瞬間だ。とても心に響いた。完全にやりすぎたと反省もした。今後は頑張って言い任せるように頑張ろうと、雑談もしながら母さんと話をした。


 

 しかし、高校入学前に母さんが死んでしまい、心が参っている状態での高校生活を迎える。そして特に変わることのできなかった俺はこのザマだ。


 いじめられている時は何とも複雑な感情である。無理と言いたい。逆らいたい。殴り返したい。それでも、逆らったら何をされるか分からない。自分のいる場所が無くなる。そんなネガティブな考えが頭の中を支配し、どんどんツボにはまっていくのだ。


 それに母さんと約束したのだ。今後は人を守ること以外で人は殴らない。それが、大好きだった母さんとの絶対のルールだ。


「……はぁ」


 ゴトンッ、と自動販売機から出てくる飲み物と共に、大きくため息をつく。


「どうしたもんかね……」


 やはり容姿が原因なのだろうか? 陰キャっぽいからこうも利用されているのだろうか? 


 いや、そもそもなんで陽キャと陰キャって差別をするんだ。人は人なんだからそれでいいじゃないか。そして都合が悪くなったら、調子に乗るなという最強の言葉を繰り出してくる。こっちからすれば、そっちのほうが調子に乗っているようにしか見えないというのに。


「今日の晩飯どうしようかな」


 闇に染まりかけている心を繋ぎ止めているのが、食事の存在だ。料理には自信があるので、夕食は自分で美味しいものを作って食べる。この幸せのおかげでなんとかメンタルを保っている。


 今日のメニューを考えながら、俺は飲み物を抱えて教室に戻るのであった。




 

  ◆




「おい! 雨降るなんて聞いてないぞ!」


 優が近くのスーパー買い物に行っていると、その途中で雨が降ってきた。買い物を終える頃には大雨になっており、現在一人で文句を言いながら傘をささずに走って家に帰っている。


「服がビショビショだ……やっぱり雨宿りでも……ん?」


 スーパーから優の家までの道には小さな公園がある。そこにはドーム状の遊具もあるため、そこで雨宿りをしようとしたのだが、優はブランコに一人鎮座している人を見つけた。


(あれは……吉野か? なんでこんなところで傘もささずに座ってるんだ? もしかして雨に打たれたい変態か? しかも制服のままだし……透けて下着見えてるし)


「……おい、何してるんだ」


 優は一応声をかけてみた。しょんぼりとしており、このまま放置してたら変質者にでも襲われそうだからだ。


「……なんだ陰キャか。何か用?」


 ここに来ても陰キャ呼びは変わらない。優も期待はしていなかったが、やはりそうだった。


「いや、雨降ってんのに何してるんだよ。風邪引くぞ」

「あんたに関係無いから」


 顔を上げたと思ったら、吉野の顔は失意に満ちた表情をしていた。こんな雨の中でも外にいるということは、恐らく家で何かあったのだろう。


「……家来るか?」


 これが優しさなのか、単にここで何も言わずに無視した後が怖いの優には分からない。どちらにせよ、女の子をこんなところに放っておくのは男として間違っている。そんな気がして優は声をかけたのだが……、


「は? 何? 家に連れ帰って何する気?」


(……この野郎、俺の善意を踏みにじりやがって)


「そんなことしない。てか、勝手に変な想像しないでくれ。まあ来ないなら勝手にすれば?」


 優も雨のせいで服は既にびしょ濡れだ。来ないのなら来ないでさっさと帰りたい優は、すぐに後ろを向いて走り出そうとした。しかし、後ろから声が聞こえて足を止める。


「待って」

「ん?」

「……行く」


 小さい声だったが、優にはハッキリと聞こえていた。


(どっちなんだよ。はっきりしないやつだな……)


「じゃあ付いてきて」


 手を引いて走るなんてドラマやアニメの主人公みたいな事は、今の優には到底できない。そもそもそんなことをしたところで振り払われて、翌日陰キャに手を掴まれたとか言い広められて終わりである。


(……ん? それで終わるなら家に呼んでる時点で終わりなのか……まあいっか)


「なあ、何であんなところにいたんだ?」

「……」


(はい、無視ですね。まあ答えてくれないとは思ってたけど)


 結局返事が返ってこないまま走り続けて、一分程で二人は家に着いた。優はすぐに家の中に入り、部屋からバスタオルと着替えを持ってきて吉野に渡した。


「どうせ結構長いこと外にいたんだろ? そこの扉開けたら風呂場だから。制服透けてるし、さっさと入れ」

「……ッ!? あ、あんたねぇ……!」


 自分の服が透けていることにようやく気が付き、吉野はすぐに胸を隠す。そして羞恥心で顔を赤くしながらも不満げな顔をするが、特に気にしていない優はリビングに向かい、そこで服を脱いだ。パンツ一丁になった優は軽く体を拭き、すぐに調理に取り掛かる。


「風呂は沸かしてないから多分すぐ出てくるし……もう炒飯でいいか」


 優は夕食を手軽に作れる炒飯にした。優の家はガスコンロではなく、IHクッキングヒーターだが、慣れた手付きでフライパンを振り、見事にパラパラの炒飯を作った。


 そして丁度廊下の方から扉の開く音が聞こえる。吉野が出てきたのだろう。優はテーブルに炒飯が入った皿を置き、そのまま吉野と入れ替わろうとする。


「シャワーありが……って、何で裸なのよ!」


 吉野は普段優のTシャツと短パンを着ており、Tシャツはサイズが合わないはずなのに胸が大きいせいで丁度いいぐらいになっている。


「いや……だってどうせすぐシャワー浴びるし」

「いや、女がいるのに普通服着るでしょ……マジでキモいから」

「知らんわ、俺の家だから俺の勝手だろ。何で吉野に気を使わなきゃいけないんだよ」


 女の前でも平然とパンツ一丁で、何事もなかったかのように風呂場に向かう優を吉野は何とも言えないといったような複雑な思いで見る。


「あ、テーブルに置いてる炒飯食べていいよ。別に食べなくてもいいし」


 振り向いたと思ったら、優はそれだけ言って今度こそ風呂場に向かう。そして吉野はテーブルに置かれた炒飯を見る。


「……訳分かんない」


 吉野はいよいよ意味が分からず頭の中が混乱する。普段から優をパシり、お金も払わず見下していた。嫌われているはずなのに、家に上げてくれて、シャワーも先に浴びさせてくれた。しまいに自分の分の食事も用意してくれている。


 そんな優の行動を思い出して唖然としていると、吉野のお腹が小さく鳴った。訳が分からずとも、優が作った炒飯からはいい匂いが漂ってきている。本能には抗えなかったようだ。


「……」


 幸いもうリビングに優はいなかったため、吉野は再び恥ずかしい思いをせずにすんだ。食べているところも見られたくない吉野は、椅子に座って炒飯に手を付ける。


「……美味しいし」


 具材はシンプルに卵とネギだけ。だが、普段から作り慣れているのか、口の中で崩す必要がないほどに全てがパラパラだ。それでいて絶妙なしっとり具合で、全くパサパサしていない。


 そのまま吉野は無言で食べ進めていき、丁度優がリビングに戻ってきた時に食べ終わった。


「……てっきり意地張って食べてないかと思ってた」

「お腹空いてたか──っ!?」


 吉野が突然優の顔を見て驚愕した。優はそんなに顔がキモいのかと内心ショックを受け、そっぽ向いて冷蔵庫の方に向かう。しかし吉野の心情はそうではない。


(じ、地味男があんなにカッコいいなんて……普段は前髪で目元がほぼ隠れてるから分かんなかった……)


 この時の優は髪をオールバックにしていて、目元がバッチリと見えている。相変わらず上半身は裸のままで出てきたのだが、それなりにガッチリとした良いバランスの筋肉だ。


 そう、優は隠れイケメンだった。しかし元の性格が暗くなってしまっており、髪やファッションにほぼ無頓着なため、誰もが吉野のような反応にならなかったのだ。


「さて、また炒飯作ろっと」


 優は冷蔵庫に入っていた水を飲んだ後、今度は自分の分の炒飯を作り始めた。


「……ねえ」


 フライパンを振っている優に吉野は呼びかけた。

 

「何?」

「あたしに恨みとかあるんじゃないの? 普通なら放っておかない?」


 吉野はただ聞いただけだった。しかしそれに優は少しイラッとした。今更何を言ってるんだと訴えかけるように、少しキレ気味で優は言った。


「そうやって聞いてくるぐらいなら普段からああいうことしてくるなよ。喧嘩売ってるのか?」

「……別に喧嘩は売ってな」

「売りまくってるじゃねえか。教室でパシってきて、断ったら詰め寄ってくるし、手を出したら俺の周りは敵だらけ。いいよな、今だって吉野が優に無理矢理家に連れ込まれたとかでっち上げても俺は終わりだ。今の地位を使って色々好き勝手してるのがムカつくんだよ」

「……」


 吉野は何も言い返せなかった。そして今まで有頂天になっていて気づかなかったことが、今日優に優しくされて、指摘されてようやく気がついたのだ。


「吉野一年の最初の方は何も俺に頼んでなかっただろ? それなのに今じゃあパシって当たり前。どうせ最初は少し罪悪感あっても、途中から何も感じなくなってたんだろ」

「……うん」

「美園は多分元からあんな性格だよ。それちやほやされて余計に調子乗って、多少のわがまま言っても周りは可愛いから許してくれるんだ。お前も美人だから周りから人気あるし、多少のわがままも周りは聞いてくれる。それが今日、何があったか知らないけど、俺が偶々吉野を見かけて、俺がしたことに優しさと罪悪感を感じ始めてこんなこと聞いてきたんだろ」


 ここまで言われて、吉野はこれまでの自分の行動に恥ずかしさを覚え始め、下を向くしかなくなった。


「……正直少し期待してたんだ」

「え……?」

「一年の時からクラスは一緒だっただろ? 俺入学したての時、中学でやんちゃしたから友達いなくなったんだよ。それでちょっと不安になってたんだけど、吉野が声かけてくれて……」

「……あ」


 優が思い出していたのは、入学式の後のことだ。優は教室に入ろうとしたのだが、その手前で何故か躓いてコケた。勿論雰囲気は陰キャそのものだったのだが、吉野が「大丈夫? あっ、同じクラスだね。よろしく」と普通に接してくれたのだ。


「吉野は優しい人だと思ってたから、いつの間にかこんな関係になってて……悲しかったし苛ついた。いやまあ、俺が勝手に思い込んでただけなんだけどな」

「……ごめんなさい」


 吉野は初めて優に向けて謝罪した。それが軽い気持ちではないと優もすぐに分かった。


「いや、今更謝られても無理だろ。都合良すぎ」

「……」


 吉野に言葉の槍が突き刺さる。まさに優の言う通りだ。これだけ言われてようやく気が付き、優からすれば口だけの謝罪。何も言えずに口籠る吉野だったが……、


「……ぐふっ」

「……」

「いや……嘘だよ」

「は?」

「だから、別にいいっつってんの。謝ってくれたし、それで充分だ」


 普通なら許されるわけがなかった。ほぼ毎日ジュースを買いに行かせ、いつの間にかお金は出さなくなり優の読んでいるラノベを美園と一緒に晒し上げ、からかって笑う。そんなことをしてきたのに、目の前にいる優は笑って許すと言ったのだ。更に恥ずかしさが込み上げてくると共に、吉野は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


「……本当にっ……ごめんなさい」

 

 自然の吉野の目から涙が零れ落ちる。優はそれを見てパニック状態になり、「えっ、ちょ、は?」と素っ頓狂な声を漏らす。


「いや、泣かないでくれよ。俺が悪いみたいじゃんか」

「ご、ごめん……だってちょっと安心したから……」


 優は取り敢えず吉野が泣き止むまで待った。これまでの事や今後の対応についてはともかく、まず何故あそこに一人でいたのかが気になっているからだ。

 

 そして優は一応Tシャツを着た。今から聞く内容が長くなりそうで、上半身裸のままでは寒くなると思ったからだ。


「なあ……何であんなところにいたんだよ」


 泣き止んだ吉野に優は特に言葉を濁すこと無く聞いた。


「……私の親ってどっちも放任主義なの。それにどっちも共働きで帰ってくるのは遅い時間ばっかり。授業参観とか、学校の行事とか、親が参加できるものでも参加してくれたのは一回か二回ぐらい」

「それは結構きついな」

「褒められたことも殆ど無い。だから家に居場所なんかないって思って、居場所を探したらそれが春香の側だった。夜遅くまで遊んでても何も言われなかったから、朝までカラオケとかやったりして楽しかったの」


 そこで優は考えた。恐らく吉野がギャルになったのは、仮面を被りたかったのだろうと。少なくとも春香の表面は学校のマドンナ的存在で、人の好き嫌いが多少あるにせよ、容姿がいいせいで許される。


「欲しかったんだな、地位が」

「うん……高校で春香とつるむようになってから告白されることも増えたし、まだ私は勉強できる方だし、それでよく春香は褒めてくれた。それだけかって思うかもしれないけど、それでも私はそんな居場所が欲しかった」


 吉野は褒められるだけで嬉しかった。引っ込み思案だった性格も段々と変わっていき、ある意味ではいい方向に進んでいたのかもしれない。だが、やはり理想とは少し違った。


「でも……段々違和感を感じたの。春香は男を取っ替え引っ替えしてたし、春香に紹介された男はチャラそうだった。試しに一回付き合ってみたけど、すぐにヤりたがるから嫌になってすぐ別れた。このままじゃ駄目なのは分かってた。でも今更春香から離れたらどうなるか分からないじゃない? だから春香に適度に合わせて行動するしかなかった」


 そう、吉野とて奥底では良心は残っていた。しかし今の仮面を外すと思うと後が怖く、結局ツボにはまって抜け出せなくなっていた。


「それで一ヶ月前にお母さんが事故で死んだの。なんだかんだでお父さんはお母さんのこと好きだったのか知らないけど、その穴を埋めようとするみたいにより仕事に没頭するようになったわ。そしたら何か孤独感が増してきて……気付いたらあんなところでぼーっとしてた」

「そうか……まあしょうがないよな。親のことは辛いだろうし、学校のことだって俺が同じ立場なら多分そうしてるかもしれないし。……でも意外だな、吉野って結構寂しがり屋の甘えたがりだったんだな」

「なっ!?」


 吉野の顔が真っ赤に染まる。図星と言っているようなものだ。優がこれを言うまで重たい雰囲気だったが、一変して和やかになる。


「べ、別に寂しいなんてっ……」

「はいはい、取り繕っても無理。バレバレだから」

「くっ……あんたって意外とSっ気あるよね」


 こうもはっきりと言われ、吉野も流石に反論する気が失せていた。また、優の隠れた一面を見て普段とのギャップに驚きもしている。


「ねえ、やっぱり今のあんたは素なの? 喋り方も違うし」

「当たり前だろ。なんで自分の家でも仮面被っとかないと駄目なんだよ」

「だとしたら仮面分厚すぎでしょ……」


 普段の優は前髪を垂らして更に眼鏡をかけている。しかし今の優は眼鏡もかけておらず、顔がハッキリと見えている。そんな優の顔は、吉野から見てもかなりイケメンな部類に入っていた。


 そして浮かんでくる疑問は、何故普段からその格好でいないのかということだ。


「なんで普段からそれで学校に来ないの? 今のあんたなら女子の一人や二人簡単に落とせそうだけど」

「そんな大袈裟な」

「そこは無自覚なのね……」

「ん? 何がだよ」


 からかわれているのだろうかと吉野は眉間にシワを寄せるが、優は至って真面目に答えている。前までは優しさを見せて誰にでも関わっていた優だが、母が死んでからは真逆の方向に進んでいた。極力誰にも関わらないようにして、パシられたりする時以外は身を潜める。こうして三次元にほぼ興味を無くしていた優は、イケメンの基準が分からなくなっていた。


「ファッションとか興味な」

「無い」

「まだ言い切ってないんだけど……モテたいとか思わないわけ?」

「今更容姿整えて寄ってくる女なんて碌なやついないだろ」

「あ……確かにそうかも」

「吉野はどうせ中学入る前からモテてただろ? 素で可愛いんだから」

「か、かわっ……」


 当たり前のように褒められて再び吉野の顔が赤くなる。


「だって今化粧してないだろ? でも普段と殆ど変わらないし」

「……そういえば今私すっぴんだった……ちょ、見ないで」


 ギャル化してから吉野はすっぴんを殆ど見られたことがない。そしてすっぴんを見られた相手も相手なので、余計に羞恥心がこみ上げてきた。吉野は横を向いて手で顔を隠すが、それを優は許さない。


「なんでだよ、いいじゃんすっぴんでも」

「私は嫌。あんたはずっと横向いてて」

「無理ですー話すときは人の目見て話せって習わなかったのか?」

「それならあんただって普段私達の顔見ないじゃん」

「あれは会話じゃない、ただの命令だ。──あっ、てかここは俺の家だ。俺に反論するなら家から追い出すぞ」

「それはズルいでしょ!? ていうかこんな大雨で追い出すとか酷くない!?」

「ふんっ、ここでは俺がルールだ。しかも一回見られてるんだから今更だろ。雨に濡れたくなければ大人しく俺の目の保養になれ」

「……最後のは普通にキモいんだけど」


 最後の一言に若干引き気味になるも、優の言うことも最もだと納得し、吉野は観念して顔を隠すのをやめた。

 

「……これでいいでしょ」

「素直でよろしい」

「ほんとあんたいい性格してる」


 優しいくせにこうやって意地の悪い一面を見せてくる。そんな優に呆れて笑う吉野だが、同時に優との会話が楽しくて仕方がなかった。


「……そういえば、私あんたにお金返さないと」

「は? なんの?」

「いや、これまでパシっちゃった分のお金に決まってるじゃん。ていうか、よく考えたらどんだけお金使わせてたんだろ……」

「ああ、それに関しては別にいらん」

「え?」


 予想外の返答に吉野は目を見開いた。普通なら返してもらうところだろうが、優には優なりの考えがあった。


「俺の高校生活には2つのルートがあった。一つはただひっそりと卒業まで何も起こらずに済むルート。2つ目が現在のパシられルート。まあ案の定2つ目のルートとを進んでるわけだが……」

「予想はしてたんだ……他にもルートぐらいいっぱいあるでしょ」

「いや、無い。陽キャルートは取り敢えず嫌だ。なんかへんな道に引きずり込まれそうだ」

「……私見て言うのやめてよ」

「自業自得だ。まあそんなわけで、今通ってるルートであっさりとパシられてるわけだが、金に関してはそれほど辛くない。お年玉貯金も結構あるし、バイトでも稼いでる。なんで潔くパシられてるのかというと、面倒なことにならないための投資だ。パシられさえしとけばあいつら勝手に気分良くなるし、高すぎる物は要求してこないからな」

「金の力で転がしてるってことね……堂々と言うことじゃない気もするけど」


 お金を消費してしまっているため、完全に転がせているかと聞かれたら疑問が残る答えだ。


 しかし優としては、今の状態に少しの苛立ちを除いては割と満足している。こうして吉野とは和解できたわけで、吉野と素で話せていることが楽しいのだ。


「でもほんとにいいの?」

「いいよ、これから毎日コスプレしてくれたら」

「えっ……」


 吉野の顔から血の気が引いていく。しかし優はそんな吉野の反応を待っていた。すぐに優はニヤッと笑い、


「嘘だよ」

「……ほんっとムカつく」

「しっかり反応してくれるから面白いわ。でも吉野は美人だし、どんなコスプレしても似合うとおもうけど」

「……それはどうも」


 さり気なく褒められた吉野は素っ気ない返事をする。勿論顔は少し赤くなっているため、照れていることは優にバレバレだ。


「そういえばこれからどうするんだ? 家に帰るか?」

「そうね……傘貸してくれない? 絶対返すから。傘があれば帰れるか……も……」


 返すことを念押しして、吉野は窓から外を覗く。傘があれば帰れると口にしたが、それを否定するかのように雨は強さを増していた。しかもこんな時に限ってかなり風が強く、さっきから家が軋む音が聞こえるほどだ。


「……あっ、俺の家今傘無いんだった」

「えっ? 一つも無いとかある?」

「仕方ないだろ、学校とかコンビニで盗まれるんだから。名前書いてても盗まれるし、先週盗まれて傘買おうとは思ってたけど、どうせ盗まれるって思うと面倒くさくなってな……」

「……なんかごめん」


 こんなにも不幸なのか、と吉野は改めてこれまでの優に対する行いに後悔をして、また嫌な思い出を蘇らせてしまったことを謝罪する。


「いや、いつものことだからいいんだけど。……ん〜じゃあ泊まっていけば? 俺の親長期出張でいないし、ベッドは俺のを使えばいいから」

「へっ? いや……」


 もしこれが女友達であれば、吉野も喜んで泊まったことだろう。しかし今回は違う。泊まる提案をしてきたのは異性であり、しかも多少打ち解けたとはいえ、これまで散々召使いのように扱っていた男だ。そんな男からここまで優しさを見せつけられると、そうやすやすと泊まろうという気持ちにはなれなかった。


「なんだよ、泊まればいいだろ? 俺に襲われるとか思ってるのか? まあ確かに吉野は可愛いし、襲いたくなる気持ちも湧いてくるかも」

「……泊まらせてもらうわ。襲ったらマジで許さないからね?」


 吉野は優を睨みつけながら言った。優の余計な一言で吉野の罪悪感はほとんど薄れてしまったようだ。


「ちぇっ、はいはい」


 優は吉野が何に悩んでいるのかはすぐに気づいていた。確かに優は吉野に苛立ったことが何度もあったが、今となってはそんなことはどうでもいい。


 これまでのことは嫌な思い出だったとしても、それ以上に優は吉野がそんな人間ではないと信じていた。初めて吉野を見たときは可愛いと思い、優しく声をかけられてドキッとした。そして優はそんな短いやり取りでも、吉野から感じられた優しげな雰囲気を今までずっと信じていた。


 だからこそ、こうして吉野を家に連れてくることができたのは優からすれば好都合であり、更に和解もできて満足である。吉野に惚れているのかと言われれば優ははっきりと答えられない。自分では取り敢えず吉野との距離を縮めたいとしか考えていないのだ。


 つまり、優は吉野の容姿を好ましく思い、吉野は根は良い奴だと信じて近づいた。こうしてなんとか和解できたのだが、これを行動に移せた力の半分は下心だ。


(……やっぱり男一人の家に女を泊まらせるってまずいか……まあ泊まるって言ってるし別にいいか。ゲームの推しキャラに似てるし、お泊りシチュエーションとか最高じゃん!)


 所詮は男。頭の中は欲にまみれている。


「……ねえ、ゲームやらない?」


 優が妄想に浸っているところに、吉野が唐突に提案してきた。優は少し驚きながら返事をする。


「えっ、どうした急に……吉野ってゲームするのか?」

「やってるよ……あんたもやってるんじゃないの? ゴリオカート」

「吉野もゴリオカートやってんの? 意外だなぁ」


 確かに吉野の見た目は完全にギャルであり、スマホゲームや家庭用ゲームとは縁が無さそうである。


「あんたが前にやってるの見たことあるの。それで試しにやってみたらハマっちゃって」


 ゴリオカートは家庭用ゲーム機用とスマホ版の二つがある。優は学校でもよくスマホでゲームをしているため、その時に見られたのだろう。


「へぇ、なら一緒にやるか。どうせならニャンテンドーウイッチで」


 ニャンテンドーとは超大手の企業で、ウィッチとはそのニャンテンドーが開発した最新の家庭用ゲーム機だ。


「ウイッチ持ってるんだ。あっ、手加減してね、私あんまり上手くないから」

「男女平等主義なので無理です」

「……別に勝つからいいし」


 強がっている吉野だが、普段から勉強以外の時間を殆どゲームに使っている優に勝てるわけがない。


 何度か惜しい場面もあったものの、結局十五レース分プレイして吉野が一位になることは一度もなかった。  


「ほんとに手加減してくれないじゃん」

「ゲームには紳士に接したいんだ。手抜きなんてしない」

「ふふっ、なにそれ」


 他のゲームにも手を付けていき、明日が土曜日ということで二人は寝落ちするまでゲームを楽しんだ。




  ◆




「……ふう、今日はちょっと寒いな」


 まだ肌寒さが残る三月に、俺は黒のコートを着て家を出た。前髪は軽く横に流し、目元がある程度見えるようにしている。前までは髪型なんぞ気にしたことがなかったが、彼女ができてからは髪型やファッションも気にするようになった。気にするというよりも、演じるのをやめたというべきか。


「合格してるかな。俺は多分大丈夫だけどあいつはちょっと心配だ」


 月日が経ち、俺は日本で有名な国立大学を受験した。俺の彼女も同じ大学を受験したのだが、正直言って受かるかは分からない。他の大学を受ければいいと言ったのに、頑なに同じ大学を受けると言って聞かなかった。可愛い奴め。


 今日は大学の合格発表日で、俺は彼女と二人で合格発表を見るために外出している。大学に行かなくても携帯から合格しているか見ることができるため、集合場所は近くのカフェだ。


「……相変わらず分かりやすくて助かるな」


 俺の彼女は分かりやすい。なんせ日本では珍しい銀髪の髪だ。付き合うまでは染めてるだけかと思っていたが、後から地毛だと教えられた。正確には銀色ではないのだが、色は別にどうでもいいし、綺麗なのは間違いないからどうでもいい。


 俺がカフェの中にいる彼女を見つけると同時に、彼女も中からこちらを向いた。すぐに俺に気がつくと、控えめに手を振った後、柔らかな笑みを浮かべながら手招きをする。


 丁度昼食時の集合なのだが、彼女は俺のメニューまで頼んでくれていた。別に行きつけのカフェというわけではないのだが、俺が食べたいメニューを完璧に選んでいる。


「ごめん、待たせた」

「私が早く来すぎただけだし気にしないで。あっ、私のメニューチョイスどう?」

「完璧」

「でしょ! ていうかあんたメニューにパスタあったら殆どパスタ選ぶし分かりやすい。しかもカルボナーラ」


 俺の好みを理解してくれている眼の前にいる美少女は、呆れたようにして笑う。俺がパスタのある店ならほぼ必ずカルボナーラを頼むので、分かっていても呆れてしまうのだろう。


「ま、私もペペロンチーノばっかりなんだけどね」

「そうだぞ、前にイタリアンレストラン行った時だって雫はパスタ頼んでたじゃん。俺はせっかくだからピザ食べたけど」 

「仕方ないじゃん、好きなんだから」


 そう、俺の彼女は雫だ。雫の素の性格が良くて本当に良かった。確かに外見の好みも恋愛で重要かもしれないが、性格が良くないと長続きしない。人を蔑んだり虐めてるやつと付き合っている奴なんて、そいつと同じ性格だから思考も同じで馬が合うだけだ。


 雫もそうだったが、人間誰にでも失敗はある。雫は道を踏み外しただけで、今は真っ直ぐに進めている。ちなみにもうギャルは卒業したようだ。俺はギャルっぽい雫も好きだったのだが、今は薄めの化粧で清楚感が増している。どっちもクソ可愛いです、はい。


 そして雫はにんにく料理が好き。たしかに俺もにんにくは好きだが、雫のにんにく愛は凄まじい。炒飯もにんにく多めで、ラーメンにも備え付けのにんにくを沢山いれる。ファミレスでハンバーグを食べるときも、必ずにんにく醤油ソースを頼むぐらいだ。飽きるということを知らない。


「女子って匂い気にするもんじゃないの?」

「優は匂いのことで文句言う面倒な人じゃないでしょ?」

「言わないけど……いや、まあいいや。好きなもん食って何が悪いんだってな」


 多分俺以外にどう思われようと気にしていない。それほど雫はにんにくが好きなのだ。俺は別ににんにくの匂いが嫌いってわけでなく、雫が好きなものに文句を言うつもりなど一ミクロンもない。


「そうそう、分かってるじゃん。てことで早速合格しているか見ようよ」

「そうだな」


 俺達は雫のスマホから試験合格者が見れる画面を開く。余裕そうに振る舞っているが、内心では番号無かったらどうしようと少し不安だ。しかし俺よりも雫は険しい顔をして画面を見ている。


「──あ、あったわ俺の番号」

「やった! 私もあった!」


 案外あっさりと番号が見つかった。そして雫は本当に嬉しそうに笑っている。滅茶苦茶可愛い。


「よかったな」

「ずっと勉強見てもらったのに受からなかったら申し訳ないからほんとよかった」

「雫は別に成績悪くなかったしな。まあ良くもなかったけど、覚えが早いから教えるのも楽しかった。それに、結局受験なんて自分の力だし、雫の努力の結果だよ」

「……ほんと一言余計なんだけど」


 おっと、雫の反応が好きでついつい余計なこと言ってしまう。これだと彼女がいない男に死ねって思われてもおかしくない。完全な惚気だ。


「よっし! 優」

「なんだ?」

「ユニバ行こうよ」

「へ?」

「これさっさと食べて。夜行バスの時間も調べてるし、明日ぶっ通しで遊ぼうよ」

「……雫、まさか最初からユニバ行くつもりだった?」

「当たり前じゃん。私はもう着替え持ってきてるから、一旦優の家に着替え取りに行ってそれからバスに乗る」


 嘘だろ……俺今日見たいアニメあるし、ポテチとコーラも準備して楽しくやろうとしてたのに……。ちなみにユニバとはユニバーサル・スタジオ・ジャポンのことだ。ジャパンじゃなくてジャポンだ


「今度メイドのコスプレしてあげるから」

「よし、食ったらすぐに戻るぞ」

「ちょっと嫌そうだったのに切り替え早すぎ」


 当たり前だろ。雫のメイドコスプレはマジでレベル高いし、全人類の男が興奮すると言っても過言ではない。あれを見れるなら俺はなんだってする。


「ねえ優」

「ん? ふぁんはぁよ」

「……ありがとね」

「……おう」


 柔らかな笑みを浮かべる雫に、俺は照れくさくなって顔を背けてしまった。

好評であれば……

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