常連さん
カラン
喫茶店の扉を開けると、
カランッと低い音でベルが鳴る。
「こんにちは!」
「あ、こんにちは。今日も外は寒いですね」
「ほんとですよね、昨日の夜寒くて目が覚めましたもん」
私は冗談まじりに昨日の夜の話を披露したら、
店長のまきさんは声を出して笑っていた。
まきさんが笑ってくれたので、
今日は幸先のいいスタートがきれた。
私はこの店がとても気に入っていて、週一で通っている。
私の注文はカフェラテ。
まきさんは、いつものオレンジ色の可愛いカップに淹れてくれる
そして、一緒に『今日のおすすめ』をいただく。
明るい黄色のお皿の上に、同じく黄色いプリン。
カラメルがたっぷりかかっていて最高に美味しそうだ
私が先週プリンが好きという話をしたから、
今日用意してくれたのだろうか
「もしかして、今回のおすすめがプリンなのって私のためですか?」
もはや私は真相を突き止めた探偵だ
「いいえ、私が食べたかっただけですから」
まきさんは嘘をよくつく。
じゃないとそんな得意げな顔にならない
「ふーん、そうなんだ。」
わざとらしく納得した後、
私は口元にラテを近づけて、口の端が上がっているのを誤魔化した。