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いきものてんせー  作者: ポッピング足立
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ココナッツ

「ひーとごーろーし、ひーとごーろーし、ひーとごーろーしー!」


その日は持久走があった。大嫌いだったよ。


その次の週のあの日にはドッヂボールがあった。バカみたいだった。ぼくはあれが好きじゃなかった。


みんなの汗のにおいが嫌いだ。ムアリ、熱気とにおいのテントを張るんだ。気持ちの良い外気を人の生気で満たして遮断する。大地の匂いと混じって息が出来なかった。ぼくだけがいつも無機質だった。


体育は大嫌いだったけど、クラスのみんなは大好きだった。人には興味診診(しんしん)だった。



前の席のみさこちゃんはいつもわざわざ振り返ってプリントを回してくれた。そのとき髪の毛が、腰と、首のひねりに合わせて動くのを見るのが好きだった。予測がつかない、けど嘘はつかないその動きの1本1本に、ぼくなりの敬意を持っていた。



ーーー次回1月12日投稿



ある日は小学5年生の夏休みだった。



ぼくたち家族はハワイにある日系二世のおばあちゃんの家へ、バカンスも兼ねて遊びに行った。




それまでにハワイに行ったことは一度もなく、新世界に来たみたいだった。慣れてくるとすぐに日本人が沢山いることに気がついて、疎外感は感じなかった。



安全を感じる新世界に出会った。



そんなもの、出会いたくても出会えない。



ぼくの靴が空気を操っているのかと思うほどに浮き足立った。



羽が生えていたかもしれない。



端から端まで見ようと走っていたら、南国の遺伝子を感じる木が海と道の間に立ち並んでいることに気がついた。



この瞬間に頭皮が痺れた。

(僕は何か運命的な出会いをする折りに脳やら頭皮が痺れることがたびたびあった。)


その木と共ににひとつ呼吸をして、おばあちゃんの家に帰った。




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