表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

戦争は続くよどこまでも

作者: ガックマン

東暦1240年、12月24日。


今日は珍しく、姉も同行して国に向かう。

基本姉が外に出ることは滅多にない。

あったとしても数週間に一回だ。

ガッチリ戸締りもして、1人じゃ嫌そうだったので

妹も連れて行くことにした。


「このトラック三人乗れたっけ?」

「姉ちゃんが妹持って乗ればなんとか。」


若干無理やり感があるけども、どうにか乗れてよかった。

そのまま私達は国へ直行した。


「そういや、新皇帝見たって言ってたけど、どんな人だった?」

「今更?」

「そう、今更。この子にも教えてないでしょ?」

「そうだなぁ・・・若い人だったよ。ただ何ていうか・・・

オーラ?貫禄?的なのがあったよ。まるで半世紀以上

生きているような感じがした。」

「なんじゃそりゃ。まるで異世界転生だな。」


異世界転生、という言葉はとりあえず後で聞くとして、

若干現実味がなさそうな話を聞いた人間の反応だった。

暫くすると、壁が見えてきた。やっぱりいつもの様に

審査員の若目の兵士がいた。なんだか上機嫌に見える。


「なんかあったの?」

「ああ、これはこれは。実は最近、

彼女ができまして、ちょっとそれで浮かれてるんですよ。ヘヘッ。」

「おお、そりゃめでてぇこって。でも注意しておこう。

とある言い伝えじゃ、そういう事を親しい人の前で言うと

死ぬ。ってな。」


数秒の沈黙が続いたところで、


「えっと・・・そちらの御仁は?」

「ああ、うちの姉だよ。前に来たのが、

確か七ヶ月前だったかな?」


七ヶ月も会ってなければそりゃ顔も忘れる。親しい人物でもなければ

尚更だ。

今日も店長の店へ赴き、薪を売って帰る。

後、時間があればご飯でも食べて帰るとしよう。


店長と話をしていたところ、気になる話が入ってきた。


「なぁ嬢ちゃん。そう言えば近頃、また戦争が起きるって噂だぜ。」


何とも物騒な話である。兵士だった私が言えることじゃないが。


「私達が徴兵される日も近いかも、ですね。」

「ええ〜!?私嫌だよぉ〜。人殺しは良くても

あんな厳しくてむさ苦しいところには行きたくないよ〜。」


うちの姉は、なんて言うか他人と常識がズレている。

そこは人殺しも嫌だ。と言うところじゃないのか。

致命的というわけではないが、それでもいつしか

変な目に遭わなければいいのだが。


余談だが、実は姉も元軍人であり、

私が軍に入るのと入れ替わりで軍を抜けたのだ。


「お姉ちゃん、もしかして、私も兵隊さんになっちゃうの?」

「ならない様に頑張るから。ね?安心しな。」


ただ、数年後には徴兵されてもおかしくない。

私たちの血縁関係ということもあり、

同年代の中では抜きん出て身体能力が優れている。

もしかしたら、その時はその身体目当てで、

兵隊にされてしまうかもしれない。

その時には、戦争などない、平和な世界が築かれていればいいのだが。


「そういえば、騎士団の皆様の姿がよく見られますが、

どの様な理由が?」

「騎士団長様曰く、うちのコーヒーが美味いんだとさ。」


ここのコーヒー結構苦いのに?と言おうとしたが、

やめておいた。世の中には、そういう苦いコーヒー

を好む人物が大勢いる。私は甘めの方がいいが。


「おう、店長。コーヒー二つ。好きなところでいいか?」

「ああ、構いませんよ。今ならテラス空いてますよ。」

「ん、ありがとう。お、誰かと思えば三姉妹じゃねぇか。

三人揃ってるとは珍しい。」


そこにいたのは、騎士団のナンバー2だった。

その隣にいるのは、この前来た時に、皇帝に

捕まえられた女性だった。紫がかったシルバーカラーの

鎧を身に纏っていた。

女騎士はなんだか前より衣装が荘厳になった。様な気がする。


「あれ?そっちの女性、解放されたの?」

「ん?ああ、まぁちょっとした成り行きでな。

騎士団の一員になったのさ。ナンバーは33。いいだろ?」


何がいいのかサッパリ分からんが、とりあえず

顔面に足を全力フルスイングされたのに味方になった

女性に話を聞いてみることにした。

ついでに昼飯もかねて。


お二人にお邪魔して、相席することになった。

ほかの二人は、下で別席ということになった。

小さな子の前でグロテスクな話をすると、

悪い影響を及ぼすとか云々かんぬん言われているので、

その通りにした。


「そういえば、なんで君は騎士団にはいったの?

もしかして洗脳でもされた?」

「そんな、とんでもない!私は洗脳もされてませんし、

騎士団に入ったのは、私の本心ですっ!」


かくがくしかじか話を聞いたところ、

皇帝とは幼少期から縁があったらしく、

そこから両親の都合で十数年、帝国で過ごしていたそうだが、

皇帝が亡命するのと入れ替わりで、

共和国に移動。その時、すでに国は皇帝によって甚大な被害を

くらった挙句、騎士団の大部分が負傷していた。まさにこの世の終わり

の様な光景だったらしい。

帝国の地理関係に詳しかったことから、追って来るようにと命じられた

そうだ。とはいえ、先発がいたらしく、その命令が実行されるのは3年かかったらしいけど。

なお、なんで皇帝がそんなことをしたかについては、詳しく聞かされておらず、

ただ偏見に満ち溢れた意見ばかり聞かされたらしい。


更に面倒なことに、直前の事だけだが、高度な催眠魔法を

使用されていたらしく、いわば傀儡となっていたようだ。

どうして知っているのかはあえて聞かないことにしよう。

とはいえ、皇帝の蹴りで目が覚めたようだが。


「私もびっくりしましたよ・・・なんにせ尋問室で、両手両足を

縛られて、団長と三時間くらいにらめっこしてて・・・」


きっと怖かったのだろう。涙目になっていた。


「まぁ、あれだ。何も知らなかったんだ。なんで皇帝陛下が

亡命したのもな。」


その瞬間、女性は急に生き生きとし出して、

マシンガントークを開始した。


「ええ、理由聞いた時には、もうすっかりこっち側ですよ。

あんな理由聞いちゃったら、共和国に肩入れなんかできないですよ。」


この人、テンパると早口になって、どっかの

一つのことが好きで好きでたまらない人が

好きなことについて話す時によく見る感じと同じように

話すんだな。と思った。


しばらくぺらぺら早口で話していたところを、


「おいおい、そろそろ話を止めて、こっちの

話でも聞こうや。な?」


そして、女騎士が話し始めた。


「先週、実は騎士団のランク決めの大会が行われてな。

私が優勝したもんで、騎士団長、つまり、ナンバー2から

ナンバー1になったってわけだ。」


だから衣装が変わってたのか。と私は少し納得した。

そんなことはとりあえず置いておいて、

私はある話題を吹っ掛けた。


「そういえば、あんたら、異世界転生って言葉、聞いたことあるか?」


この言葉を口にすると、二人そろって首を傾げた。

女騎士は何か知っていそうな顔だが、女性は何を言っているのかよくわからない

感満々な顔をしていた。しかも超笑顔で。恐らく頭の上にクエスチョンマークでも

乗っているのだろう。


「えーと・・・よくあるぞ。」

「え、意外にそういう人たちいっぱいいるの?」

「ん?ああ、小説の中でな。」


いや小説かい!と突っ込みたくなってしまったが、それは封印しておいた。

でも、何気にそういう文化があるんだな。と思ってしまった。


「なんでその話を?」

「なんかさー、今日来るとき姉と皇帝の話をしててさ、姉からポンっと異世界

転生って言葉を聞いたもんだからさ、それが気になりすぎて、夜しか

眠れないんだよ。」

「言葉の端々に矛盾を感じるが・・・まぁいいか。

それにしても、アンタ姉に何話したんだ?」


女騎士にそんなことを聞かれたので、皇帝にあった時の

感覚や、雰囲気などについて話をしてみた。


「成程・・・確かに、陛下は若い風貌の割に、落ち着いていて、

達観している。たまにすごいキレるけど。ただ、若さゆえの至りといったものを

感じない。」

「確かに彼、小さい頃から若々しさ皆無だったんですよ。

中に中年おっさん入ってますって言われても、信ぴょう性ありそうなくらいですし。」

「陛下って、割とオッサンなんだな・・・」

「そうですね・・・彼、好物もオッサン臭いですし・・・」


二人とも、下を見ながら薄ら笑いを浮かべながら

そんなことを会話していると、二人とも、私の言いたいことが分かったのか、


「「つまり、陛下は(彼は)転生者ってことをいいたいの!?」」


とてもビックリした顔と声でそう聞いてきた。


「多分な。恐らくそれ、あるいはそれに近いものなんじゃないかって思ってる。

単なる思い違いかもしれないがね。いや、思い違いの方が可能性高いか。」


ただ単純に、精神だけが成長し過ぎただけかもしれないし、純粋だった心が、

嫌なことで、社会の現実を見てしまったからかもしれない。


「いや、あり得るぞ。なんにせ、陛下はおひとりになるとブツブツと訳の分からん言葉を

言っているからな。エアコンだとか、なんとか言ってたな。この前。」

「ええ・・・怖くね、それ。」

「うん、正直怖かった。」


やっぱり、こんな屈強な精神持った人物でも、怖いものはあるんだな。

と思った。


しばらく談義を交わしていたところ、早くも数時間が経過してしまった。

ついには妹が帰ろうと駄々をこね始めた。これは帰るしかあるまい。


「今日は、話付き合ってくれて、ありがとね。」

「おう、またな。気を付けてな。」

「ああ、そっちのお嬢さんも、身体は大事にね。」

「はい。お気遣いいただき、ありがとうございます。」


そして私は、家に戻るべく、車を出発させた。

そして・・・


「あの話、どう思う?」

「信ぴょう性はなくはないかと。」

「ああ、心外だが、ちょいとばかし、調べてみるか。」


そして二人は、踵を返し、歩み始めた。


現時刻、12月24日、午後5時34分。

この小説を書いて思ったのですが、巷の女性達はこんな喋り方しませんよね・・・

まぁ、この世界とは文化が違う。くらいに考えてやってください。


さて、最近新シリーズ(これと同じ世界線で起こること)の、別の人間視点での小説を書こうと思っております。 まぁ誰がなんと言おうと書くんですけどね。この作品で出したキャラクター達も一応は出す予定なので、

気が向いたら、そちらのシリーズも是非読んでください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ