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プロローグ ~どこかであなたを殺した~
今回からトリスが語ります。
いっそ殺してしまいたいと思っていた。
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駆け寄る私を見てレベッカが微笑んだ。そのとき初めて、取り返しのつかないことをしようとしているんじゃないかと思った。でももう止めることはできない。
私は掲げたナイフをレベッカの頸窩へと突き立てる。そこにある『石』に傷が付いたりしないように、とても慎重に。レベッカの手が私の背を強く掴む。痛みは快感にも似ていた。その手から力が抜けて、私の手にはオレンジ色の石が残った。
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