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シトワイヤン  作者: かめ屋吉兵衛
一 はじまり
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 四人での時間を持つようになってから、早い段階で彼女らに親父や兄貴の話をしたのは考え有っての事、自分の意見だけでなく、家族からの知識を披露する事で皆の視野が広がると思ったからだ。

 勿論、自分の家族にも彼女たちとの話を紹介している。

 そんな流れから。

「兄貴がね、もし良かったら今度スタートするシミュレーションゲームみたいなものに皆も参加して欲しいって、ベータ版以前のものだけど。」

「どんなゲームなの?」

「正直言って、面白さを見いだせるかは微妙なんだ、実験的に架空の村を作り参加者はその住人として、与えられた条件下で活動する、何もしないという選択肢も有るし起業して金儲けを目論むという選択肢も有る、まあ村を去るという選択肢も有って、どんな人が村を去るのかも研究の一部という感じ、ただゲームと言っても文字と数値だけの地味なものなんだ。」

「住人同士の交流は出来るの?」

「勿論、そこが最大のポイントでも有る、ただチャットの様に参加者を長時間拘束しかねない機能はあえて作らずメールのみでスタート、だからリアルでも友人という参加者は都合が良いそうだ。

 初期設定は豊かな村、それがそのままの状態で有り続けるかどうかという実験であって、バーチャル世界の愛憎がリアルと連動する可能性を否定できないという側面がある。」

「怖そうな一面が有るのね。」

「村での人間関係が嫌になりそうなら村を去れば良い、三人が去ってもその後の状況は俺が教えるよ。

 ゲーム内での人間関係を探るというのも目的の一つでさ。

 兄貴はプロジェクトの中で、人間関係を好感度などでの数値化を画策している、研究しても何の役にも立たないかもと言いつつね、でもAIによる仮想人格を村人に加える事を想定していると言えば、ただのお遊びではないと分かってくれるだろ。」

「研究の一環なのね、それで、ゲーム内でも私達は友人なの?」

「それに拘る必要は無いけど…、もしゲーム内で喧嘩してもリアルでは仲良しのままでいて欲しいと心の底から願っている。」

「人間関係学の実験なのですね。」

「それも含むって感じなんだ、色々な研究室が参加してるプロジェクトで、完成度を高めて多くの人に参加して貰う、ただ、単なる現実逃避の場にはしたくないそうでね。」

「そうなる可能性もあるのか?」

「リアルで辛い思いをしたら現実逃避したくなる、でも、バーチャル世界に逃げ込んだ人にリアルで立ち直る手助けが出来ればとか、まあ、そんなことまで考えているから本当の完成までには途方もない時間が掛かりそう、欲張りな人の集まりなんだよ。」

「それなら、是非とも参加したいわ。」


 三人とも参加してくれることになって嬉しい。

 自分一人だけでも参加するつもりだったが、ゲームはみんなでやった方が楽しいのだ。

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