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犬とお茶

作者: たろ

 ちょっといいお茶を、ちょっといいお店で買った。少しだけ楽しみにしながら茶筒をポンと開けると、懐かしいような、お茶の濃い香りが鼻から胸に流れ込んだ。はっきり言ってお茶の良し悪しはわからないが、これは良いものだと思った。

 ネットで検索しながらお茶を淹れて、少し熱いくらいのものを飲んだ。味の良し悪しも大してわからないが、これは良いものだと思った。

 それはいいとして、さっきから気になることがある。うちの愛犬のことだ。茶筒を開けてから、跳び跳ねて大喜びしているのだ。もちろんこれまでお茶なんか欲しがったことはないのだが、今日は気になって仕方がないらしい。

 その様子は毎日続いた。茶筒を開ける度に、うちの愛犬は飛んで来るのだ。私は可笑しくて、その話を友人にした。すると「お前もか」と言った。

 聞くと、友人も同じお茶を買って、犬が夢中になっているらしい。私はどうしても気になって、ついにそのお茶屋さんに電話をして事情を聞いた。若い女性の店員が答えた。


「うちの店ではお茶のマイスターが、香りなどで今年採れた茶葉を厳選し、それをブレンドした物を商品として売っております。しかし、そのマイスターが病気のため長期の休暇をとっております。」


 ここからどう犬が関わるのかわからないが、私は黙って続きを聞いた。


「我々は急遽マイスターの代役を探す必要がありました。そこで目をつけたのが、人より遥かに優れた嗅覚を持つ犬です。犬にあらゆる茶葉の匂いを覚えさせ訓練し、ついにお茶マイスター犬が誕生したのです」


「なるほど。それはすごい」


「しかし、当然犬が作ったお茶です。人よりも犬の好みに合ったお茶に作ってあるのかと…」

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