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エピローグ
「何をしているんだ」
義秋が私の手元を覗き込んだ。
「あの7日間の出来事をね、ノートに書いているの」
私はノートを閉じた。
私たちは世界が終わらなかったあの日から、日本中を旅した。
海にも、山にも、川にも、温泉にも、花畑にも、とにかくいろんなところへ行った。
外国にも行きたかったけれど、まだ混乱は続いていたので、諦めた。
義秋は、また来年行こうと言ってくれた。
「一応ね、来週で夏休みが終わるの」
「ああ、そうだな」
「家に、帰った方がいいかな」
義秋は少し考えて言った。
「俺と一緒に住まないか?」
「え、いいの?」
「ただし親の許可を貰ってからだ」
「……そうね」
「俺ももう一度挨拶に行くさ。親父さんに会ってないしな」
「うん、ありがとう。一人じゃ少し、ううんだいぶ怖かった」
「お前のあの苛烈な友人にも会ってみたいな」
「工藤さんはどうしているかしら」
私たちは顔を見合わせて笑った。
「よしじゃあ行くぞ」
「どこに?」
「お前ん家だ。善は急げって言うだろ。ほら行くぞ」
「ちょっと待ってよ!もう」
義秋と私の指輪が朝日色に輝いた。




