第7話 東の商業地区にて3
占い師は金の欠片を受け取ると、
「では、何を占いますか?」
と、聞いてきた。
アンユージンは少し悩んだ後に、
占い師に向け、口を開いた。
「俺の未来が知りたい」
占いと言っても、未来、運勢、命名など千差万別だろう、
だが、自分が何者なのかは流石に分からない、
そう思ったので、自分の未来について占ってもらうことにした...
占い師は軽く頷いた後
「はい、分かりました...あなたの未来を占えばいいのですね?」と確認を促した。
アンユージンはこう答える
「ああ、頼む」
すると占い師は、
「ではあなたのお名前とご職業をどうぞ」
アンユージンは少し困った顔をしながら、
占い師にこう言った
「どうしても名前と職業は必要なのか?」
占い師は答える
「ええ、必要です。
あなたのお名前とご職業から、
あなたの未来を占いますので...」
ムムム...これは困った、
むしろ名前と職業が知りたいと思っていたのだが...
アンユージンは占い師に、
くいさがるような表情で
「名前と職業以外で未来を占う方法はないか?」
と、聞いてみた。
占い師は多少困った顔をしながら
「そうですね...
では、あなたの手をこの水晶玉に...」
といい、水晶玉を少し前に出してきた。
アンユージンは、水晶玉に手を当てて
「これでいいか?」
と占い師に確認した。
占い師はコクっと少し頷いた...そして
「では、手をそのままにして少しお待ちください」
占い師がそう言うと、水晶玉は青白い光に包まれていった...
なんだろう?徐々に気が遠くなってきた...
アンユージンは少しだけ、意識が朦朧となる感覚があったが
体感にして数十秒だろうか?
その後、徐々に意識がハッキリとしてきた。
「視えました」
占い師がそう言うと、アンユージンの意識は
完全に覚醒した。
アンユージンは周囲を少し確認すると、
水晶玉を包んでいた青白い光は既に無くなっていた..
状況を確認していると続けて占い師は
「あなたは何か大きな使命を持っていて、
いつか巨大な悪とぶつかる、そのような未来が視えました。」
アンユージンは少し顔を下にし、
「俺は勇者でいつかは世界の危機とやらに直面するのか?」
ーーー勇者ーーー
勇気ある者、英雄とも呼ばれ、困難に立ち向かうことの出来る特別な人間。
アンユージンは勇者について考えた後、
顔を上げて占い師にこう言った
「他に何か視えたことはないか?」
占い師は、
「私に視えたのはこれだけです...」
アンユージンは少し残念そうな顔をして、
「分かった、ありがとう...」
と言った。
そのままアンユージンは立ち去ろうとすると、
占い師は、
「また何か御用があればどうぞ、
私の名前は オプリアス...
以後、お見知り置きを...」
"オプリアス"、記憶をなくしてから初めて会った、
少し不思議な占い師。
アンユージンは"彼女"のことを記憶に刻みつつ、
東の商業地区を後にし、お城へと向かう...
次話へ続く