614.さあ、その日
お待たせ致しましたー
◆◇◆
セリカさんのおめでたに、またもやエディオスさんとかが大袈裟なくらいはしゃいだけれど。
僕とセヴィルさんの結婚式への準備は順調に進み、当日を迎えることになった。
冷徹宰相さんの婚姻式だからと、お祝い事のイベントがあちこちにで開かれているそうなのか、フォックスさんから教えてもらった時は苦笑いしちゃった。
「あーんな、ちっさなお嬢ちゃんが実はこんなにも別嬪さんだったとはねぇ?」
「そんなことないですよ?」
「いやいやいや。おじさんの目に狂いはない!」
フォックスさんの外見は百年程度じゃそんなにも変わらないのは、異世界のファンタジー要素のせいかもしれない。超ご長寿が、精霊とか関係なく普通の人間でも成り立つ世界だからね。
今も、暗部の仕事とあの城下街の副ギルドマスターさんのお仕事は両立出来ているみたい。お貴族様の地位もあるけど、それはほとんど娘さんのシェィリティーヌさんに譲ってるそう。
ジェイルさんとは結婚出来たけど、お子さんはなかなか出来ないのかまだ懐妊の兆しがないそうで。けど、ラブラブだから、大丈夫な様子。まだ急ぐことでもないからね。
とりあえず、僕とセヴィルさんの結婚式当日にちょっと挨拶に来てくれたわけです。念のための護衛だから、服装はよく見る冒険者さん風だけど。
「フォックスさんも、はやく『おじいちゃん』になれるといいですね」
「……その言い方、刺さるけど。まあ、そうだね? 孫の顔は見てみたいよ」
「おふたりのお子さんなら、絶対可愛いですって」
「カティアちゃんも、閣下との子どもが生まれたら……取り合い合戦にならないかい?」
「うーん。御名手がきちんとわかるまでは、あんまり気にしないでほしいですけど」
犯罪がすべて落ち着くことがないのは、世界関係なく同じだ。ここ百年でも、誘拐や強盗とかの事件は各地で起こっている。万が一、セリカさんが行方不明になりかけたあの事件のようなことが起きたら、一大事で済まないもんね。
今のところなくても、この先はわかんない。リュカルドくんたちに、魔眼の素質がないとも言い切れないから。
それはともかくとして、今日は僕にとっての一大イベントだ。
色んな人たちに祝福されながら……僕は、セヴィルさんと本当の意味で夫婦になるんだ。
フォックスさんがそろそろ行くね、と退室される時にセヴィルさんが入ってきてくれた。
最初に散歩デートした時のような、黒と紫がメインの正装だけど……かっこよすぎて、卒倒しかけた。
本当に、僕はこの人のお嫁さんで、お腹の子どもの母親になるんだって自覚すると。
幸せだなあって、ふにゃんと顔が緩んじゃう!!
「そろそろ、行くか」
「はい」
差し出された手に、自分の手を重ね。
僕らは、バージンロードへと向かうのでした。
次回はまた明日〜