609.変わるメンバー‐①
お待たせ致しましたー
◆◇◆
月日を経て、道筋を歩み。
僕らの生活は変化していく。
「こら! リュカルドくん!」
神王城に僕の声が響き渡っていく。これは日常茶飯事のようなものになったので、いつものことだが。
「だって! 勉強ばっかはつまんないじゃん、カティア先生!」
「お勉強をつまんないで片づけるんじゃないの!」
僕はエディオスさんそっくりの小学生くらいの男の子に対して、説教している。
あれから、八十年くらいが経ち、このお城にも様々な命が生まれて成長していった。
そのうちの一つ、今目の前にいるリュカルドくんがその一人だ。エディオスさんとセリカさんのお子さんで、次期神王国国王太子でもある。
「先生の授業もいいけど、ピッツァ作りたい~!!」
「我慢です。お勉強ちゃんと終わってから! エイシアちゃんのように課題をきちんとこなしなさい」
「ちぇ」
お子さんはひとりだけじゃなくて、少し年の離れた二人目もいる。セリカさんに瓜二つと言っていいくらい、そっくりの美少女で僕にもすごく懐いてくれてる女の子だ。勉強部屋でお兄ちゃんが説教されてても、気にせずに自分の課題をこなすスルースキルは誰に似たかはわかんない。セリカさんは前に、自分のお兄さんとかかなとは言ってたが。
「楽しいことはあとのほうがいいでしょ? 課題を残したままだと……お母さんに怒られるよ?」
「勘弁!」
僕は、二人の家庭教師として日々仕事をいただいている。異世界転生してきたときは、好きに料理していた以外はこの二人のように課題をこなす日々だったからね。
実体験をしたこともあり、次世代への教育に協力する仕事をもらえたことはありがたいからね。ぐうたらして、刺激の少ない日常を送るのもよくないから。
「カティア先生、出来ました」
リュカルドくんが席に着いたあとに、エイシアちゃんが課題のプリントを持ってきてくれた。品のいい歩き方とか、本当にお母さんによく似てきている。この子の御名手が誰になるかはわかんないけど、いいお婿さんをゲットしてほしいものだ。
「うん。いい感じだね。じゃ、エイシアちゃんは着替えてピッツァの仕込みをしようか?」
「はーい」
「先生、俺は!?」
「終わってから」
「……うぅ」
リュカルドくんにもう一回注意したところで、エイシアちゃんが僕のお腹をぽんぽんしてきた。
「どうかした?」
「……まだかなって」
「うーん。まだかなあ」
実は僕。まだお式はしていないんだけれど。
セヴィルさんと同棲して数十年は経っていますので……致すことは色々しているから、デキちゃっているのです。
つまりは、妊娠。
結婚前に、赤ちゃんがお腹に宿っているのだ。こっち基準で妊娠期間は二年以上だから……今は一年くらい。
来年には、この手に可愛らしい赤ちゃんを抱っこする予定です。
次回はまた明日〜